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プレイ動画を元にAIが「パックマン」を再現。NVIDIAがゲーム向けAIモデル「GameGAN」による実証実験を公開
GameGANは,NVIDIAの研究開発チームであるNVIDIA Researchが開発するAIモデルで,「Generative Adversarial Network」(以下,GAN)と呼ばれる機械学習の手法を採用している。
GANとは,「Generator」と「Discriminator」という2種類のニューラルネットワークを競わせることで,高精度のモデルを生成する仕組みだ。GANを説明するときによく使われるのが,偽札を作る人と偽札を見破る人のアナロジーである。Generatorが偽物のデータを生成し,一方のDiscriminatorは,それが本物のデータか偽物のデータかを判別するという処理を繰り返すことで,本物に見えるようなデータが生成できるようになるという仕組みだ。
NVIDIAは,GANを利用したツールとして,ある動物の画像を認識して,表情やポーズはそのままほかの動物に置き換える「GANimal」(関連リンク)や,簡単なスケッチから写実的な絵を生成する「GauGAN」(関連リンク)などを公開している。
今回披露されたGameGANによる実証実験は,パックマンの誕生40周年を記念した企画(関連記事)の1つだ。NVIDIAのスーパーコンピュータである「DGX」を利用して,人間やAIがプレイした5万回にもおよぶパックマンのプレイ動画とキー入力を学習することで,ゲームエンジンなどを利用せずにゲームのプログラムを作ることなく,パックマンのゲーム映像を再現可能になったという。
パックマンや敵キャラクターであるゴースト,マップといったビジュアル要素はもちろん,パックマンがゴーストから追いかけられながらクッキーを食べる,パワークッキーを食べるとゴーストが青くなってパックマンが食べられるようになる,パックマンがゴーストに接触したらゲーム終了といったゲームのルールまで再現できているとのこと。つまり,ゲームをプレイしている映像とキー入力のデータさえあれば,元となるプログラムやゲームエンジンがなくとも,そのゲームを再現できるというわけだ。
生成したモデルから,背景やキャラクターを変更することも可能で,ゲーム開発者はこれらにより,ゲームの見え方がどのように変わるのか簡単に確認できるそうだ。
また,映像からルールを学習できることのメリットはゲーム開発だけにとどまらない。たとえば,自動運転車の開発において,実際に自動車を運転している映像から交通ルールや,どのような状況でアクセルを踏むのか,ブレーキを踏むのかといったことを認識できるようになるとのことで,自動運転用AIの開発に役立ちそうである。
GameGANが生成したパックマンは,NVIDIAによるWebサイト「NVIDIA AI Playground」で,今後公開する予定だという。
NVIDIA公式Webサイト
パックマン公式Webサイト
- 関連タイトル:
NVIDIA RTX,Quadro,Tesla
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