インタビュー
パズドラ,ケリ姫,オデッセイ……ヒットが続くガンホーに,一体何が起こっているのか――体制の変化と内情について,森下社長に聞いてみた
しかし――むろんこれはガンホーに限った話ではないが――ROもECOもすでに相当古いタイトルであり,過去を紐解けば,ポトリス2,A3,TANTRA,ヨーグルティングなど,オンラインゲームの歴史に埋もれていった作品も多い。途中,ニンテンドーDS用ソフトの開発をしてみたり,プレイステーションアーカイブスに手をつけてみたり,いろいろな方向に手を広げてはいるが,結局のところガンホーという会社は,外から見る限りは「古い作品で稼いでいる会社」であったわけだ。
ラグナロクオンライン |
エミル・クロニクル・オンライン |
トイ・ウォーズ |
むろん,それが悪いという話ではないし,ダメだという話でもない。なにより,稼げる古い作品を2つも持っていて,それらが現在でもしっかりしたビジネスとして成立していること自体が希なケースなのだ。
しかし,2006年から2010年にかけての5年間でサービスしたオンラインゲームはわずか2作品で(うち一つは携帯向け),会社の規模を考えると「ちょっと元気がなかった」印象はぬぐえないし,誤解を恐れず暴言であることを承知で言うならば,昨今のガンホーは「RO以外のものを持っていないパブリッシャ」だったのである。……ついぞ1年前までは。
遡ること1年ほど前から,ガンホーの進撃が始まる。
2011年10月にアクワイアを子会社化,同月にPSP用の「ラグナロク〜光と闇の皇女〜」を発売,さらに同月には,ブラウザゲーム「ラグナロクオンライン ギルドマスターズ」をサービス開始。11月にはスマートフォン用ゲームの「ケリ姫クエスト」をサービス開始,2012年2月にはVita用アクションゲーム「ラグナロク オデッセイ」を発売,同月にスマホ用「パズル&ドラゴンズ」をサービス開始,さらに同月に,同じくスマホ用「戦国テンカトリガー」をサービス開始,さらにこの8月には,NHNと共同でVita用オンラインゲーム「ピコットナイト」を発表している。
ラグナロク〜光と闇の皇女〜 |
ラグナロクオンライン ギルドマスターズ |
ケリ姫クエスト |
ラグナロク オデッセイ |
パズル&ドラゴンズ |
戦国テンカトリガー |
ピコットナイト |
今までの5年間はなんだったのかと思うほどの激しい動きを見せており,しかもこのわずかな期間で,「ケリ姫」「オデッセイ」「パズドラ」など,世に広く知られる作品も多く登場している。作品アウトプットのスパンや,それらの実績を鑑みても,過去5年間とこの1年間は,もはや別な会社だと言っても過言ではないだろう。
では,ガンホーに一体何が起こったのだろうか。その疑問をそのまま,代表取締役社長 CEOの森下一喜氏に聞いてみることにした。
4Gamer:
ガンホー創業10周年おめでとうございます。……そういえば「10」といえば,Vitaの「ラグナロク オデッセイ」も,10万本達成のリリースが来てましたね。
森下氏:
うん,おかげさまでなんとか10万本いけました。
ガンホー・オンライン・エンターテイメント 代表取締役社長 CEO,企画開発部門統括 エグゼクティブプロデューサー 森下一喜氏 |
4Gamer:
Vitaで10万本といったら,実装率は……何%くらいだろう。いま大体70万台くらい? だとすると,14%くらいかな。結構な数字ですよね(編注:インタビューは7月4日に行われている)。
森下氏:
このタイトルは,本当に自分達としてはかなりのチャレンジだったんだよね。なにしろ受託でアクションゲームを作ったことはあったけど,自社ブランドでアクションゲームを作ったのは今回が初めてだったし。まだまだ荒削りかもしれないけど,ユーザーさんの評価自体は非常に良くて,出して良かったなぁ,と。
4Gamer:
評価もそうですが,数字も上々です。
森下氏:
いや,10万本という数字そのものがかつてないほどの記録かというと,もちろんそういうわけじゃない。でも,次に自分達がチャレンジするときの自信につながったという意義は大きいと思う。次は20万本,30万本をうまく出していけそうだ,という。だから,モチベーションは非常に高くなったかな。
4Gamer:
良い踏み出しでしたね。
森下氏:
「ラグナロクオンラインのガンホーです」だったのが,コンソール市場においても「ラグナロク オデッセイのガンホーです」って言えるくらいになるといいんだけどね(笑)。2月に発売されているにも関わらず,まだお店で動いているとも聞いてるし。
自分達としては,着実に一歩一歩,道を進めていけてるかな,と。
4Gamer:
それを言うなら,広く世間一般的に見れば,今や「パズドラのガンホー」じゃないですか? 先日90万ダウンロード達成のリリースを見ましたし,もう100万も目の前でしょう(編注:2012年7月18日に,100万ダウンロード達成のリリースが,8月10日には110万ダウンロード達成のリリースが出された)。
森下氏:
確かにおかげさまで,100万ダウンロードは見えてるかな。でも,Vitaの10万本とスマホの100万本を無理やり比較すると,まだまだだなぁ,とも思う。
ラグナロクオンラインにしても,もう累計で400万アカウントが目の前だし,PCでのオンラインゲームよりはるかに障壁が低いであろうスマホのゲームだから,100万本でもまだまだがんばらないとマズいな,って。
4Gamer:
高みを目指しますねえ。
ROが400万とおっしゃいましたが,あの当時のROにはとても良い条件が揃ってたわけですよね。
森下氏:
まあ,ほかにほとんど競合がなかったしね(笑)。
4Gamer:
それにしたって,10年で400万ってかなりの数字では。スマホにしたって,昨今のこの激戦具合では,いくら母数が多いとはいえ100万は相当なものかと。
森下氏:
理想論だけど,すべての人に遊んでもらえるゲームをスマホで作りたいんだよね。それを目指しているというか。
家庭用ゲーム機では,どうしてもゲームユーザーというか,そもそもそのゲーム機を持っているユーザーしか対象にならないけど,スマホは本当にすべての人がターゲットになりうるわけで。若年層はもちろん,40代,50代の人でも遊んでもらえるゲーム作りっていうのを目指すにはいいんだよね。
2年半前に,開発を全部社長直轄にしようと決めた――結局全部自分の責任なんだから,もういっそ自分が納得するものだけを作ろう,って
4Gamer:
それで実は今日お伺いしたのは,そういうガンホーの「ゲームに対しての向き合い方」が変わったな,と思ったからなんです。
なにげに森下さんと私のお付き合いは相当長くて,まだ森下さんがガンホーを創業する前から……なんですよね。
森下氏:
そう。ROを始める前だからね。
4Gamer:
で,私のような古い人はもちろん,4Gamerに比較的多い「ずいぶん昔からオンラインゲームをやってます」というプレイヤーから見ると,さっきご自身でおっしゃっていたように「オンラインゲームのガンホー」なんですよね。
ただ,この一年くらいを見ていると,そういう枠にはとどまらない勢いを持って,どうも動きが活発で,にぎやかで,しかも──別にここにいるからお世辞を言ってるわけではなく──ちゃんとうまくいっているように見えます。
森下氏:
そう……かな?
4Gamer:
少なくとも外から見ていると,ここ最近で急に会社が変わったように見えるんです。この一年がそう見えるということは,仕込みとかを考えると,ガンホーが実際に変わりだしたのは,その前を含めてここ2〜3年くらいの話になると思うんですね。
ゲームを取り巻く環境がこれほどまでに激変するなかで,ガンホーに何が起こって,どういう理由でプラス方向へと舵をきれたのか,そういう部分を聞いておきたいと思った次第です。
森下氏:
なるほど。どこから話そうかな……。今年の8月はちょうどラグナロクオンラインの10周年で,もちろんそれはガンホーの創業10周年とも重なるんだけど。
10年前にちょうどお会いしたころから,私個人としては会社を作りたいとか一発儲けたいとかそういうことよりも,日本でオンラインゲームというもの自体を根付かせていきたいっていう思いがあって。
4Gamer:
正直,そこもちょっと意外でした。甚だ失礼な言い方になってしまいますが,森下さんってファーストインプレッションでは「ゲーマー」という感じがしませんでしたし,そういう志を持っていたとは。
森下氏:
ガンホーを立ち上げる前は,コンソール向けのSDKみたいなものを作って売ってたからね。自分では「ゲーマー」という特別な意識はないんだけど……意外と「ゲーマー」なんだよね(笑)。なので,自分で何かをしようと思ったときに,当時は「オンラインゲームというものを自分達で作り上げていきたい」って方を向いてて。ガンホーの資本構成も,本当は大手ゲームメーカーさんに出資してもらおうとしてたくらいだし。
ともあれ,そのころの自分は,別に会社がどうこうとか利益がどうこうというより,ゲームで何か面白いことをしたいというのが一番大きな思いだったかな。それは今も変わってないけど。
4Gamer:
とくに開発とかパブリッシャとかにこだわらず?
森下氏:
うん。開発もパブリッシングも含めて。
そんな中で,ラグナロクオンラインというゲームを,会社を設立するのと一緒に事業から自分で起こして,プロデュースも全部自分で考えて。……まぁ,当時はホントに人がいなかったからね(笑)。ご存じの堀と,私と,あと女の子2人の合計4人。
4Gamer:
ああ,最初って4人でしたっけ。懐かしいなぁ。森下さんも今より全然若くて(笑)。
お互いさまでしょう(笑)。
それで,たった4人しかいなかったから,自分でプロデュースをやるしかなかったんだけど。結局,おかげさまでROはヒットして,そこから急速に会社が大きくなっていったんだよね。
大きい会社は大変だから(笑),別に会社を大きくしたかったわけじゃないんだけど,自然に大きくなっていってしまった。……でもその中で,自分が経営者として,やるべきことというものも考えていくようになって。
4Gamer:
「組織としてどうあるべきか」とか「どうするべきか」とかですよね。
森下氏:
そう。それで,現場に事業を任せて,なるべく自分は経営に集中したわけで。
それを自分のミッションだと捉えてやってきたんだけれども,実はラグナロクオンラインで成功したとき――商用サービス開始当時っていう意味だけど――は,社員は20人弱しかいなかったんだよね。それが何を意味するかというと,ガンホーという組織の中で,成功体験をしている人間がすごく少ない。
4Gamer:
あ,なるほど……。
森下氏:
人が少なくて自分でも現場でバリバリ回してたころは,たまに「こういうことをやろうよ」と言い出して,堀(現CTO)なんかに「なんでそういうことをやろうとするわけ?」って言われて議論したりとか(笑)。
4Gamer:
そんな無茶振りしてたんですか。
森下氏:
日本独自でこういう実装をしようとか,よく二人でそういうことを直接交渉したりとか。当時はよくそういうことがあったけど,自分が経営に専念していくなかで,そもそも自分達が何をしたいのかとか,どういうものを目指しているのかとか,まぁ要するに「ゲーム会社をどうしていきたいのか」という部分を,あまり伝えることをしてこなかったな,と思って。
4Gamer:
よくある話ですけど,実は割と深刻なことなんですよね。
森下氏:
そういう意味で言うと,正直なところ,ラグナロクオンライン以降はほぼ失敗の連続だったかな。もちろん,ちゃんと成果を上げているタイトル「エミル・クロニクル・オンライン」であったりとか,そういうものもあるんだけど,なかなかヒット作というものに恵まれず,極端な言い方をするなら,デススパイラルに陥ったな,と。
4Gamer:
ざっくばらんにお話いただけて嬉しいです。
そうですね,いっときのガンホーは──この場で言うのもアレですけど──確かに失敗続きだったイメージは否めないですね。
森下氏:
もちろん,まったく何も現場を見ていなかったわけではないんだけど,何がうまくいかないんだろうって自分でいろいろ考えたときに,たいていは外的環境の悪さをまず考えちゃうんだけどさ。
4Gamer:
そうですね。つい外の要因に責任を転嫁してしまうことは,油断すると自分でもあります。
森下氏:
でもちょうど2年半くらい前に,なんとなく「降りてきた」んだよね(笑)。
4Gamer:
降りてきた,って(笑)。
森下氏:
これからのガンホーの経営方針は「開発のガンホー」にしよう,と。むろんパブリッシャでもあるんだけど,クリエイティブなガンホーを作ろう。純粋に面白くて,楽しくて,驚きのあるゲームを作ろう,って。
4Gamer:
シンプルですね。
森下氏:
言葉で言うのはすごく簡単なんだけど,実はすごく難しいことで正解もないんだよね。
じゃあ,それに対して何をしていけばいいかなと考えて,ちょうど2年前くらいにゲームアーツだけではなく、「開発を全部自分の直轄にしよう」って。
4Gamer:
ということは,それまでは直轄じゃなかったんですね。いわゆる縦割り?
森下氏:
そう,ガンホーは典型的な縦割り構造だった。開発に関しても,組織的にはかなりお役所的な形になっちゃってて。組織ばかりか対応もやっぱりお役所的というか事なかれ主義というかそんな感じになってて,企画が上がってきたときに「これ面白いの?」って聞いても,返事が返ってこないんだよね。
4Gamer:
あぁ……。なんだか想像がつきます。
森下氏:
スタッフが上司の顔色を見ながら,いや面白いですよとか絶対いけますよとか。それ本気でそう思ってるの? っていうのがね。そういえば数年前は,稟議書が上がってきても「俺は絶対にハンコ押さん」といって押さなかったこともあったなぁ。
4Gamer:
経営レイヤーを見る者として,お金を出す価値のない稟議にハンコ押さないのは普通なのでは。
森下氏:
いや,そうは言ってもみんな押すでしょ?(笑) そのときは本部長クラスの人間に,「面白いとは思えないから俺はハンコを押せない」って。やるなら自分の責任で押してくれと。
4Gamer:
自分の責任で,っていうのもたいがい無茶だと思いますけど,皆さんはどうしてました?
森下氏:
「社長がそういうなら仕方ないね」って(笑)。で,やってみる。でも案の定失敗する。
まぁそれはいいんだよ。結果としては判断ミスだったのかもしれないけど,失敗したからといって,責任を取らせたりはしないし。責任をとって何かさせる,とかは一切しない会社だから。
4Gamer:
現実的に,現場のスタッフが責任取るって無理ですからね。
森下氏:
そう。責任を負えるはずがない。
……それを突き詰めて考えていくと,何か会社のアクションで失敗したとしても,それは全部社長の責任なんだから……。
4Gamer:
あ,理解しました。
森下氏:
結局全部自分の責任なんだから,いっそ自分が納得するものだけを作ろう,って。だから,企画・開発・監修を全部自分でやる。
4Gamer:
おっしゃりたいことは理解できますが,なんでそんな極端にダイナミックな方向に舵を切るんですか(笑)。
森下氏:
性格的なものかなぁ(笑)。
面白いゲームを作って,それをお客さんが面白いと思ってくれることが,自分にとっては一番いいかなぁ
4Gamer:
今,開発って全部で何人くらいいるんですか。
森下氏:
このビル(編注:本社が入っている有楽町のビル)だけで全部で80人くらい。
4Gamer:
チーム数やライン数は?
森下氏:
アメーバ組織なのでチーム数っていうものは決まってないんだよね。
いわゆる4人〜5人の小さいチームで,企画,プロトタイプに始まって,最終的には,プロジェクトごとに合成していって,終わったらそこで解散。
4Gamer:
なるほど。アメーバってセクショナリズムに陥ったりしません?
いまのところ大丈夫かな。
なので,基本的に何ラインっていうものは決まってない。実際に企画・監修しているタイトルが,今10本ぐらいかな。
4Gamer:
普通「社長が開発を見る」といったときは,たいがいの場合「見るだけ」じゃないですか,文字通り。たぶんいまのお話で言うと,2年半前くらいまでは,森下さんも数字を見ていることを称して「見ている」と言ってたわけですよね。
でもその口ぶりからすると,今は違いますよね。どこまで見てるんですか?
森下氏:
企画から仕様、工程まで全部。
4Gamer:
この規模の会社の社長が,ゲームの仕様に口を出す?
森下氏:
いやいや。ゲームデザインから実際の仕様から,それこそキャラデザやタイトル名まで。
4Gamer:
……それは,世間では「プロデューサー」と言いませんか。
森下氏:
そうだと思うんだけどね(笑)。まぁ真面目な話,ディレクターもプロデューサーもちゃんといるよ。
こういう仕事における勘所って,最終的に突き詰めていくと,やっぱりプロデューサーのセンスの問題になっちゃうと思うんだよね。でも学ぶことも十二分に大事だし,自分の経験からいろんなポイントを教えておこうかな,と思って。過去のこともそうだし,これからのことを考えたらこうなるよね,みたいなことも含めて。
4Gamer:
それをやるのは,実際問題としてなかなか難しいんですよね。
森下氏:
まぁ教えてるっていうか,たぶんどっちかというと勝手に話してるだけなんだけど(笑)。
でも勝手に感じとってくれればいいし,勝手に勘所を掴んでくれればいいよね。あとで自分で体験してやってみて「あー,ほんとにそうだった」とか思ってくれるなら。
4Gamer:
画一的な「正解」があるわけでもないですし。
森下氏:
うん。絶対こうだという答えはないので,ここの部分はこうしたほうがいいよねって直させるときも,一回自分でやらせて,それ自体を理解させて,自分で納得してやってみてほしいんだよね。伝えたまんまで出てきたら「俺の言ったままじゃん」って。
なんて面倒くさい社長だろうね(笑)。
4Gamer:
ありますね,それ。「さっきオレが言ったまんまじゃないか」っていう。
森下氏:
あるある(笑)。
結局さ,面白さっていう部分は,ゲームとしての面白さと,やっぱり長く続けて遊びたいっていう部分と,驚きがあるっていう部分と,そういうものがベースになってると思うんだよね。自分の中でもそのあたりを基準に判断しているし。
でも,そういうのを一言で「これこれこうなんだよ」と言ったって分かるわけないから,企画書やら仕様やらの部分に入って,全部やっていくしかない。
4Gamer:
「入って全部やる」って簡単におっしゃいますが,やる/やらないとかの基準はどこに?
森下氏:
うーん……企画の時点で石ころがあって,ちょっと光るかなと思ったら,自分で磨いてみる。で,磨いてみて「あ,これは光るな」って,自分の中で成功するストーリーがイメージとして出てきたときは,やってみることにしてる。
でも,そのイメージがどうやっても出てこないなと思ったら,「俺も必死に考えてみたけど,ないね」と言ってやめる。……って抽象的すぎる?
4Gamer:
いや,なんとなく分かりますが。
しかし10年前に会社ができて,2年半前までとして大体7年くらい社長業をずっとやってきて,なんの問題もなくプロデュースが出来るものですか。7年も書類仕事をやってると,どうしても感覚が衰えちゃう気がするんですよ。
森下氏:
いや,年取ったら出来ないだろうなって思うので,いつまでも自分がやらなくちゃいけないとは思ってないけどね。
4Gamer:
実際に出来ているところがすごいです。
森下氏:
企業としての立派な戦略とかカッコいい戦略っていうのは,いくらでも立てられるんだけど,結局のところ僕らゲーム会社は,ヒット作を生めるか生めないかがすべてなわけで。それがなければ,それこそ海外展開なんかできるわけがないし,マルチプラットフォーム展開なんかもできやしない話だし。
4Gamer:
そうですね。ゲーム会社の重要課題はそこですからね。
森下氏:
基本はやっぱり,ヒット作を生むこと。そして,ヒット作を生み出し続けられる環境を自分達で作ること。それで出てきたヒット作を,海外とマルチプラットフォームで展開して,裾野を広げていくこと。
4Gamer:
御社の標榜する「ワンソース・マルチユース」ですね。
森下氏:
そうだね。ラグナロクオンラインとか。
……まぁでもさすがにあのときは,アクションゲームを作ることになるとは思ってなかったけど(笑)。
4Gamer:
その言い方からすると,ほかのことは当時すでに考えてあった?
森下氏:
まずコンシューマでは絶対出そうと思ってた。あと携帯も。テレビアニメとコミック,オフラインイベントなんかも,実は2002年時点で自分の中で描いてあったプランかな。
4Gamer:
それはすごい。しかも全部実現できてますね。
森下氏:
いや,やってくれてるのは現場の人達なんだけどね。僕はあれこれ言うだけ(笑)。
4Gamer:
しかし2002年当時ならいざ知らず,その後7年にわたって,社長業――「背広族」と言い換えてもいいですか――だったわけじゃないですか。まぁ背広は着てなさそうですけど(笑)。
先ほどの話にしても,これはまったく悪気なく聞くんですが,よく開発の人が言うことを聞いてくれますね。なんとなく反発される気がするんですよ。「突然現場に来るなり何言ってんのこの人」って。
森下氏:
うーん,まぁ確かにそう思ってる人もいるかもしれないね。でも自分的には,そんなこと関係ない。なるほど,と思う人もいるだろうし,文句言いたい人もいるだろうし,でも結局のところゲーム会社にとって最も大事なことは「面白いものが作れてヒット作を生んで,周りの人達に応援されること」だよね。
あなたがたのようなメディアもそうだと思うけど,応援してくれる人達が多ければ多いほど,それは会社全体の気運というかモチベーションにもつながって,ヒットする可能性というものが高まってくると思うんだよね。
まあとにかく,自分としては別に気にならないかな。その代わりといっちゃなんだけど,やる/やらないは自分しか決めないので。
4Gamer:
つまり,口を出すだけでなくて全責任も負う,と。
森下氏:
そう。でも,成功したら開発の人にライトを当ててほしい。
4Gamer:
それはうまくいってるのでは? 全然表立って森下さんの名前が出てませんから。
森下氏:
まぁ出るとか出ないとか,そういうことはどうでもいいじゃない?
4Gamer:
いや,もちろんそうですよ。それはメディアにおいても同じです。別に編集者の名前なんか知ってもらう必要はないし。単に,外から見ていてホントにまったく気付かなかったので。
面白いゲームを作って,それをお客さんが面白いと思ってくれることが,自分にとっては一番いいかなぁ。
そうやって今は,「開発会社」としての第一歩を踏み出し始めたところだけど,自分的には,2年前に覚悟を決めて流れに乗れるまで3年かかると思ったんだよね。
4Gamer:
ということは,ちょっと進行が早めですね。
森下氏:
うん,開発スタッフの頑張りのおかげで思ったよりも早かったかな。
あともう一つ,これは外には言ってないんだけど,社内で「10周年に向けて必ずヒット作を作る」って豪語しちゃったので(笑)。
4Gamer:
自分で自分にプレッシャーを(笑)。
森下氏:
そう。やっぱり,言った以上はやらなきゃいけないしね(笑)。
ゲームの完成度を高められるのはディレクターしかいないんです――僕はどこまでいっても極端な話,口だけなんだよね
4Gamer:
しかし当たり前ですが,森下さんがどんなに一人で頑張ったって,作品が作れるわけじゃないですよね。コアとなる人材は,一体どうしてるんですか?
森下氏:
採ってるよ,いろいろ。
最近のヒット作で言うなら,パズドラ(パズル&ドラゴンズ)のプロデューサーとディレクターを兼務している山本大介なんかもそうで,まぁ採用面接は僕一人しかしてないけど(笑)。
4Gamer:
……会社って全部で何人でしたっけ。
森下氏:
ここ(=有楽町のビル)だけで300人ぐらいかな。
4Gamer:
300人の会社に新たに人を入れるのに,社長しか面接をしないんですね。人事部の人達の立場は一体(笑)。
森下氏:
……マズいかな。そうかも。
でもまぁ正直なところ,最近は結構直で(=森下氏が直接)採用に動いてるんで。
4Gamer:
主に開発関係の人ですよね。
森下氏:
うん。基本的な開発環境を,自分でダイレクトに保証して人を入れていこうかな,と。
「こういうものを作りたいんだ」という自分の開発に対する考え方であったりとか,クリエイティブに対する捉え方とかを説明して,説得すると。
4Gamer:
三顧の礼を尽くしたりするんですか?
森下氏:
説得に4か月かけたことはあるよ。
4Gamer:
その人に4か月かけるべきだと踏んだ理由はなんでしょう。
森下氏:
分からないなぁ……勘?(笑)
4Gamer:
まぁでも突き詰めればそうですよね。履歴書/職務経歴書なんて見たって善し悪しはよく分からないし。
森下氏:
そう。自分の中での「直感」を信じて採用しているというのが実際のところかな。
4Gamer:
でもその直感が「採れ!」と判断を下すにはなんらかの理由があるはずなんですが,どういうところを一番見ます?
森下氏:
自分なりの考え方をきちんと持っていて,開発に対してこだわり抜いて出来そうかそうじゃないか,かな。
当たり前なんだけど,僕はどこまでいっても極端な話,口だけなんだよね。別にプログラマーでもないし,デザイナーでもないし。ゲームの完成度を高められるのはディレクターだけ。だから,それをこだわりもって実現したいと思ってくれて,最終的にちゃんと成し遂げてくれる人かどうかっていうのはすごく重要。
例えば人材募集に応募してきたり,人づてに紹介されたりした人は,技術力や能力は当然あるんだろうから,あとはこだわりを実践してくれる人かどうかなんだよね。
4Gamer:
ディレクタークラスともなると,ヒューマンマネージメントも重要では。
森下氏:
そうだね。分かりやすく「人となり」と言い換えてもいいけど。
開発作業はチームでの行動なので,チームを支える人間が人徳を備えていないと,やっぱり出来ることも出来なくなってしまう。過去の実績とかそういうものも重要かもしれないけど,これから先のことを考えると,そこもかなり重要視してるかな。
4Gamer:
しかし社長が直接面接して採用して,かなり気合いが入ってますが,一体何ライ……あ,そうか。アメーバ組織なのでラインという概念がなかったんでしたね。
森下氏:
世に出ることのないタイトルもいっぱいある(笑)。
4Gamer:
ああ,そうか。企画書から全部絡んでいるってことは,企画書の段階で森下さんが潰すものもいっぱいあるわけですね。
森下氏:
企画書どころか全工程に絡んでる厄介な社長だから。企画一発目,プロト審査,アルファ&ベータ審査……その全課程を全部独断で決めてるという。
4Gamer:
たぶんこういう場だからわざと「独断で」っておっしゃってるんだと思いますが,意思決定プロセスを単純化することには良いこともありますよね。
森下氏:
そう。合議制は嫌いだし。
4Gamer:
場合にもよりますが,合議制ってうまく機能しないことも多いんですよね。まとまらないでダラダラするだけになりがちで。
そうなんだよね。
あとウチは管理的な形のマネジメントが多いから,どうしても単純にコストのことを考えちゃう。それで,コストのことをみんなが考え出してしまうと,どうしてもいろいろなものが止まってしまう。
ただ逆に言うと,僕がそんなことをやっていられるのは,周りの人間が硬いからなんだよね。周りがみんな,いい意味で「役所的」だから。
4Gamer:
まぁ,みんながみんな森下さんでは会社が回りませんよ(笑)。
森下氏:
そう! 自分みたいなのばっかりだったら,えらいことになっちゃう。
開発のマネジメントに入ってもらう人とかは,人事と予算管理だけをしてくれればいい。そこしか求めてないし,それをキチンとやってくれてるので,ホントに助かってる。
4Gamer:
まぁ「役所」というより,ちゃんと周辺を固めてくれる人ですね。
森下氏:
うん。だから,そういう作業は彼らにまかせて,僕はもう直接開発と話して進めていけるわけ。
ここはもっとこうしようよ。でもそれをやったら,あと1〜2か月かかります。いいじゃん入れれば,って。
4Gamer:
いいじゃん,って(笑)。
森下氏:
だってかかるんだからしようがないじゃない(笑)。
で,尻拭いみたいな形で処理された追加予算が出てくるので,つつがなく作業を進める,と。シンプルで理想的でしょ?
4Gamer:
楽しそうな仕事してますねえ。
森下氏:
まあ,悶々とした時期もあったんだからいいじゃない(笑)。
ゲームの面白さを第一に考える――だって,面白くなければ課金なんかしないでしょ?
4Gamer:
さっきもちょっと話題になりましたが,7年間の,いわゆる経営レイヤーの仕事を経て,まだモチベーションを保っているのがすごいなと素直に思います。普通は3年くらいで萎えますよ。もういいや,って。
これも繰り返しになりますが,失礼ながら,ゲームが好きな人にはあまり見えなかったし。
森下氏:
それは自分でも思う。「ゲームしてます!」っていう感じじゃないよね。
ゲームばかりではなくて,スポーツもかなりするし。ゴルフでしょ,あと最近はあんまりやってないけど,サーフィン,スキー,スノーボード……。
4Gamer:
それで年中真っ黒なんですね。
森下氏:
そう(笑)。基本的にはアウトドア派なんだけど,ゲームに関しては,家でほぼ毎日やってる。
4Gamer:
一番最近だと何をやりました?
森下氏:
TOKYO JUNGLEかなぁ。その前がDragon's Dogma。で,その前がファイアーエムブレム(編注:インタビューは2012年7月4日に行われている)。
4Gamer:
……意外になんでもやりますね。
森下氏:
とくにファイアーエムブレムは,ファミコンのころから大好きなんだよね。
その前は,パルテナ。さらに前はアサシンクリード リベレーション……かな。とにかくいろんなゲームで遊んでる。
4Gamer:
ここまでオンラインゲームなし!
森下氏:
ホントだ(笑)。その前はアレだな,ゴッド・オブ・ウォーの2枚組のやつ(編注:ゴッド・オブ・ウォー コレクションだと思われる)。
Vitaではみんゴルもやってるし,あとアンチャーテッドね。アンチャーは全タイトルやっているくらい好き。そういえばアサシン クリードも全タイトルやってるな。
4Gamer:
ガリガリのゲーマーですね。
森下氏:
でも外ではやらないよ。外では外で出来ることをしないとね。
4Gamer:
いや,ちょっと待ってください。外でやらないで家だけで,それだけのラインナップをプレイするのは無理がありませんか?
うん。朝4時ぐらいに怒られたりするの。「まだやってんの!?」って(笑)。
4Gamer:
学生じゃないんですから……。
森下氏:
あとはスマホかな,最近は。スマホのタイトルはいつも探してて,気になったら速攻ダウンロードして,つまんないな,と思ったらすぐ消して。
4Gamer:
今はみんなそういう感じですよね。ランチャーの画面に残るのは大変な栄誉。
森下氏:
そうだよね。まぁスマホのゲームは,どちらかというと楽しむというよりは研究してる感じ。基本的にはコンシューマしかしないかな。
4Gamer:
しかもアクションばっかり。
森下氏:
……あぁそういえば,唯一FPSが苦手かもしれない。ホントに3D酔いしちゃうので。
4Gamer:
身の周りに3D酔いする人がいないんですけど,どういうとこで酔うんですか?
森下氏:
もう全部。「どういうゲームかな」って動画を見ているだけでも酔っちゃったり。
4Gamer:
それは厳しい。
まぁでも聞いてると,コンシューマはホントに好きでやってるだけにも聞こえますね。
森下氏:
そうかもしれないね。コンシューマゲームは,研究とかじゃなくて一人のプレイヤーとして純粋に好きでやってるだけかも。スマホとかPCオンラインゲームとかは,どちらかというと自分的には仕事モードでやってるのかもしれない。
4Gamer:
それだけ買ってれば,業界にもずいぶん貢献してますよ。
森下氏:
いやあ,新作見ると欲しくなるよね,やっぱり。これを読んでいるメーカーさんがいたら,ぜひ送ってください。できればアクションゲームを中心に(笑)。
……まぁ次から次へと新しいものを遊びたくなるので,プラチナは1個も取れないんだけどね。実はオデッセイですら持ってないという。
4Gamer:
でも,ゲームを楽しんでプレイしているプレイヤーが,同じ体験をみんなにさせたいと思って楽しんで作ってくれないと,面白いものっていうのは作れないような気もするんですよね。それってただの理想論ですかね。
森下氏:
確かにそういう部分はあるかもしれないね。
4Gamer:
今どきの「世の主流のゲーム」にはあまりそういう印象がなくて,言葉が悪いんですけど,どうすればいっぱいダウンロードしてもらえるかとか,どうすればアイテムがいっぱい売れるかとか,どうすれば効率良くお金が稼げるかとか,そういう部分が透けて見えるというか。
作って売ること自体がメーカーにとっての「ゲーム」なのであって,ユーザーを楽しませるという部分が欠落してるというか,楽しんでもらってお金を払ってもらうとか,もっとエンターテイメントを追求してほしいんですけども。
森下氏:
そこは僕もちょっと感じている部分はあって,なのでウチでは基本的に,どのゲームタイトルでもそうなんだけど「これやったらもっと儲かるじゃん」っていう基準で何かを決めたことはない。こうやったらもっと面白いじゃんとか,こうすれば何回もやりたいと思うじゃん,とか。
4Gamer:
おっしゃることは理解できますし大変嬉しい話ですが,でも現実的にマネタイズをないがしろには出来ませんよね。
森下氏:
もちろんそうだね。
正直な話,ソーシャルゲームを作っている会社さんというのは,僕なんかよりはるかに頭がいいんだろうなと思う。自分にはああいう戦い方はできないというか。
なので自分達はそこで戦うんではなくて,とにかく面白いと思ってもらえるゲームを作ることに注力して,その過程での2割3割の部分に,課金デザインとか,課金の導線とかを考えてる感じかな。
4Gamer:
なるほど,2割3割ですか。
森下氏:
まったく考えてなかったら,さすがにね(笑)。
どちらかというと,ゲームの面白さを第一に考えて,課金とかそういうところに関しては,ある程度事前に頭には入れつつ作って,最終的な調整をすればいいんじゃないのかな。
だって,面白くなければ課金なんかしないでしょ?
4Gamer:
「ゲーム会社」らしい発言ですね。
そういう意味では,私は実は「パズドラ」のコンティニュー課金に,ガンガンお金を吸い取られてるんですけど,あれもそういうことですよね。面白いから,先を見たいから,そこまでの結果を無にしたくないからお金を払うわけで。
森下氏:
……これは話していいか分からないんだけど。
4Gamer:
ぜひどうぞ!
森下氏:
コンティニュー課金は,実をいうと,ちょうど最近マスターアップした別のタイトルの仕組みを,そのまま入れさせたんだよね。
4Gamer:
あれ,元々パズドラのものではなかったんですね。
森下氏:
そう。そのタイトルでなんでコンティニュー課金を入れさせたかっていうと,話はPSPの「パタポン3」から始まるんだけどさ。
「パタポン 3」 (C)2011 Sony Computer Entertainment Inc. (C)2011 Rolito/Interlink |
4Gamer:
それはまた面妖なところから話がつながりますね。
森下氏:
パタポン3を遊んでるときに,敵が宝箱をドロップするのね。その宝箱は,木/シルバー/ゴールドなどの数種類があるんだけど,ゴールドが出ると「うわ,やった。ゴールド出た」って。
でもこれ,ボスに倒されると何も手に入らないんだよね。「あともう少しなのに!」って思ったときに,うおー今すぐコンティニューさせてくれという気分になって。
いつか絶対SCEに言ってみようと思ってたんだけど,その前に自分で作っちゃった(笑)。
4Gamer:
本人の切実な願いが元に。
森下氏:
自分的にはそういうパタポン3での経験があって,コンティニュー課金ってイケるんじゃないかな,って思ってたんだけど,実際にやったことはないから回るかどうか,いくら稼げるかにはあんまり興味がなくて,純粋に実験的だったんだよね。
4Gamer:
実際問題,売り上げはどうなんですか?
森下氏:
あのコンティニュー課金が,パズドラの中では圧倒的なシェアかな。
4Gamer:
ここにお金突っ込むのは自分だけかと思って恥ずかしかったんですけど,そうでもなかったみたいで安心しました(笑)。
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