インタビュー
パズドラ,ケリ姫,オデッセイ……ヒットが続くガンホーに,一体何が起こっているのか――体制の変化と内情について,森下社長に聞いてみた
この数年間,負のスパイラルに陥っていたガンホーへの特効薬は,とにかくヒット作を作り出すことだった
森下氏:
正直な話,僕はあんまりお金を払いたくない人なんだけどさ。
4Gamer:
お金を払いたくて仕方ない人はそんなにいないと思います。
森下氏:
でもコンティニュー課金は,自分の中で切実に「したい」と思うんだよね。だから納得感がある。
ほかにも今後,いろんな課金の方式は出てくるかもしれないけど,納得感があるものは,探せばもっとあるんじゃないかなぁ。
4Gamer:
納得感をもってお金を払うのは大事ですよね。誰も後悔しないしみんなハッピー。
森下氏:
元々別プロジェクトに入ってた機能を,プロデューサー兼ディレクターと「入れちゃおうよ」って結託して(笑)。
でも自分達としては,そんなに売り上げシェアを持つとは思ってなかったので,ちょっとびっくりだったかな。
4Gamer:
いやあ,昔から割と主張してたんですが,MMORPGとかで,死んだらその場で300円払えば生き返らせてくれる機能を付けてほしい,って。それをパズルゲームで見られるとは思ってなかったですけど。
森下氏:
お金を払ってクリアするんじゃなくて,お金を払って「まだやる」っていう,文字どおりコンティニューなんだよね。
何度もチャレンジしているけどダメだ,あともうちょいなんだけどダメだ,っていうときに,やはり作り手としてはその次に進んでほしいわけだよね。その詰まるところだけずっと遊んでいればいいのではなくて,その先を目指してもらいたいわけで。
そこで投げ出されてしまうことを考えたら,これはもしかしたら勝手な言い分なのかもしれないけど,その「あとちょっと」の部分をサポートしてあげるというのは,お互いにとって「アリ」じゃないかと思うんだよね。
4Gamer:
とはいえ実際に導入するのは割と度胸が必要だったのでは。
森下氏:
度胸……というよりは,ホントに反応が分からなかったかな。受け入れてもらえるのか,非難囂々(ごうごう)になるのか。
でもまぁアーケードゲームもさ,硬貨を山ほど積んで何度もコンティニューしたわけだし,そういう感覚なんじゃないかな,とも思えた。それがえげつない課金方式だったかというと,全然そんなことは感じなくて,自分達は納得したうえでお金払ってたわけだし。
4Gamer:
確かにそうですね。
しかし,いろいろとゲームプレイの経験が生かされてるんですね。
森下氏:
いろんなインスパイアは当然受けているし,必ずしも,絶対的に新しいオリジナリティのある体験ってそうそうはないよね。
AとBにαを加えることで,まったく違ったものが作り上げられる可能性もあるかもしれないし,そういう意味では,いろんなものの経験を積んでおきたいと思ってる。ゲームもいっぱいやったほうがいいし,映画もいっぱい観たほうがいいし,音楽もいろんなジャンルを聴いてみたほうがいいと思うし。
違うこともやってみるといいと思うんだよね。たとえば,今作ってる別のタイトルなんかでは,BGMを鳴らさずに遊んでみて,別の音楽を流してみてどんな具合になるか確認したりとか。
映画を観たり音楽を聴いたりだけじゃなくて,演劇だったりミュージカルだったり,NGK(なんばグランド花月)で吉本新喜劇を観たりとか,いろいろなものに触れれば,感性は養われるのかなって。
4Gamer:
なんでNGKだけ妙に具体的なんですか。
森下氏:
去年観に行ったから(笑)。
旅行を兼ねてNGKのホール行って,オール阪神・巨人を観たんだけど,やっぱりすごいね。
4Gamer:
どのあたりでそう感じました?
森下氏:
例えばさ,ショートスタイルのお笑いだったりあるあるネタだったりがはやると,そればっかり有象無象の亜流パクリがばーっと出てくるけど,結局さーっと消えていくよね。
でもオール阪神・巨人は,あれだけ長い一つのネタをやって観客と一体感を持って,かつその空気に合わせてマネージメントできてるんだよね。ああ,本当の実力というのは,こういうことなんだなって思い知らされたというか。
ゲームにおける開発という意味で,自分達としてはまだなにも人に誇れることはないんだけど,いつの日かそういう実力をつけた会社になれればいいな,って。
4Gamer:
確かに,本当の「一流」を見ると,全然まだまだな自分が見えて,もっとがんばらなきゃっていう気になりますよね。
森下氏:
そうなんだよね。
僕らの話で言うなら,やっぱりスマホっていまどきのように短いスパンで売るのが,もしかしたら王道なのかもしれないけど,それでもやっぱり,自分達の作品は完成度を高く磨かなくちゃいけないと思うし,そのためにいろいろなものを見直さなきゃいけないんじゃないかな,とか。
まだまだ勉強中なので何も誇れるものはないけど,答えの出ないものを延々と探し回るのが,今は自分達の仕事なんだろうなあ,って。
4Gamer:
「勉強中」だというのが,誇れるところだと思うのですが。
森下氏:
……あぁ,なるほどね。確かにそうかもしれない。
もちろん儲かる儲からないってのも大事なんだけどね。儲からないと,作品創りにこだわり続けることもできないし,いい人材も確保できないし。
4Gamer:
どれだけ高尚な理想があっても,利益が出ないと,なにより正のスパイラルに入れないんですよね。事業としてやることの難しさはそこに尽きると思います。
そうなんだよね。この数年間,負のスパイラルにあったガンホーへの特効薬は,とにかくヒット作を作り出すことだったし。
それでそのヒット作が,儲かったとか儲からないとかいう言葉だけじゃなくて,お客さんに「楽しい」って評価されると本当に嬉しいし,心から「がんばって良かったな」と思う。やっぱりそうなってくると,みんなの顔も変わってくるしね。
4Gamer:
それまでの暗雲が消えるというか。
森下氏:
ただ難しいのは,どうしたらヒットするかという必勝法は自分達でもよく分からないんだよね。勘と運が良かっただけかな,とか。
4Gamer:
いや,それがちゃんと分かるなら誰も苦労しませんよ!
森下氏:
まあそうだね(笑)。
まぁ,そこに行き着くまでには,企画の段階であったり,プロトの段階であったり,果ては開発の途中であったり,そういうタイミングで中止してるタイトルもいっぱいあるんだけどね。
みんなと同じことをやっても仕方ないし,別にガンホーはソーシャルゲームを作らなくてもいい
4Gamer:
話を思い切り戻しますが,2年半前あたりからは,全部のタイトルが森下さんの目を通っていると思って差し支えないんでしょうか。
森下氏:
ラグナロク オデッセイとかパズドラとか。企画を見始めたのは,ちょうどケリ姫ぐらいからかな。
ケリ姫は,最初はホントに机をひっくり返してやろうかっていう企画だったんだよね。放物線を描くというのは,当時も似たようなゲームが結構あったりして。
4Gamer:
ちょっと前なら御社も一時サービスしてた「ポトリス」とかもありますし,遥か以前BASICのころからある,言うならば太古の昔から存在するゲームジャンルですよね,あれは。
森下氏:
そう。別にシステムは目新しいわけじゃないよね。なのにそれをそのまま使ってて。スリングショットタイプのステージクリア型って,どうかなって思って。
4Gamer:
それを言われると,最近のほとんどのスマホのゲームが……。
森下氏:
まぁでも,企画段階で良かったのは姫が兵士を蹴っ飛ばすというシュール感があったこと。これは魅力的な部分になるかもしれないな,って。
せっかく兵士を使ってるんだから,ゲームデザインとして育成であったり合成であったり,そういうリプレイアビリティに直結する要素を盛り込んで,プラスαの要素に上達度の演出として弱点ポイントを与えて,そこにジャストヒットしたときに折れて,演出をさせて……。みたいなことを議論しながら,プロトタイプを作ってもらった感じ。
4Gamer:
プロトに行き着くまでに何度の差し戻しが?
森下氏:
2回,かな。企画自体を2回差し戻した気がする。
あ,もう一つあったな。ソーシャルの話をしてるときに「ソーシャルいらね」って言ってバッサリ切り落としたというのもあった。
4Gamer:
言葉だけ聞くと刺激が強いですね。
森下氏:
あぁそうかも(笑)。ソーシャルいらないというのは,無理矢理にそういうものを入れたって,別に誰も使わないんだから,そこまでして入れなくてもいいのでは? という意味。
あとそもそもガンホー的には,いわゆる世間で言うところの「ソーシャルゲーム」はやらないというスタンスだし。
4Gamer:
お,明言しましたね。
森下氏:
パズドラもケリ姫も,ソーシャルゲームじゃないでしょ?
4Gamer:
確かにそうですね。にしても昨今の状況を考えると,大胆な発言にも思えます。
森下氏:
単なる天邪鬼(あまのじゃく)だけどね。
4Gamer:
でもまぁ,猫も杓子もソーシャルゲームでは,さすがにちょっと辟易します。むろん不要だとまでは言いませんが,読者にもそう思ってる人は少なからずいるんじゃないかと思うんですよね。
森下氏:
ソーシャルゲームとかソーシャルアプリとか,それはそれでいいんじゃないかと思うんだけどね,もちろん。ただ,みんながやっているのと同じことをやっても仕方ないし,別にガンホーがそれをやらなくてもいいじゃん,というだけのことで。
大体きっと,ガンホーにまでソーシャルをやってくれなんて,プレイヤーさんも思ってないだろうし(笑)。社内でも「やらない」と明言してるし,確かIRでもそう書いた覚えがあるので,うん,記事になっても大丈夫(笑)。
4Gamer:
じゃあ心置きなく書いておきます。
森下氏:
まぁ誤解なきように付け加えておきたいのは,僕はとしてはソーシャルという言葉を,ある種バイラル的なものとしても捉えていて,そっちのほうは取り入れていきたいと思ってる。
例えば昔,ラグナロクオンラインのときに口コミを活性化させたいと思っても,プロモーションらしいプロモーションがまったくできなかったのね──なにせお金がなかったから。借金もあったし(笑)。
それでプロモーションといえば,昔4Gamerに雑誌があったときに,クライアントファイルをタダで載せてくれって僕がお願いしたことがあったと思うんだけど……。
4Gamer:
懐かしい。そういえばめちゃくちゃなことばかり言ってた気がします,当時の森下さん。
森下氏:
ダウンロードのサーバーもタダで貸してくれ,とかね(笑)。
4Gamer:
それで会社の回線飛ばしちゃって(編注:当時4Gamerはソフトバンクの傘下にあった),私が始末書書かされたり(笑)。
そういえばベクターのサーバーも借りてませんでしたっけ?
森下氏:
うん,借りてた。それで見事に飛ばしてベクターの社長にむちゃくちゃ怒られた。
4Gamer:
やっぱり(笑)。
森下氏:
まぁとにかく,お金がないからいろんなことで周りの人に助けてもらってたんだけど,その中で一つ,バイラル的に広がっていくように「1Dayチケット」のシステムを構築したんだよね。リアルの友達を誘いやすいように。たぶんあれも今でいう「ソーシャル要素」だと思うんだけど,そういうことはやっていきたいかな,これからも。
4Gamer:
なるほど,「ソーシャル要素」は分かりやすいですね。
森下氏:
今のソーシャルメディアって,別に僕らががんばらなくても,友達を誘ってくれる導線作りができるメディアだと思うので,そこをうまく活用することができないかな,と。
4Gamer:
「目立ったもの勝ち」の勝負に,アグレッシブには参加しないというわけですね。
森下氏:
そう。ソーシャルメディアをうまく活用するっていうのは,開発のテーマの中には入ってるんだよ,ちゃんと。
プラットフォームがどうとか,スマホがどうとか,そういう狭い範囲での話ではなくて,あくまでゲームとして面白いものを作っていく
4Gamer:
ちなみに企画って,どのぐらい通っているんですか。
森下氏:
……そういえば,最近は全然通ってないかも。いや,この前一本プロトタイプが通ったか。
4Gamer:
狭き門ですね。
森下氏:
たぶん10本あってそのうち1〜2本くらいかな。でもそれは「企画」が通るという話であって,その後プロトまで行き着いてそれが通るというと,さらにそこから減って。
4Gamer:
プロトって割と重要ですよね。
森下氏:
かなり重要だと思う。テンポ感とか触感とか,それとユーザーインタフェースを含めて,プロトのところである程度が出来てないと,ちょっと厳しいよね。触感を追求する部分では「任天堂がスマホのゲームを作ったら」みたいなことを想定してやってるんだけど。
4Gamer:
あぁ,なんとなく分かる気がします。
森下氏:
もちろんゲームの全体をプロトで作るわけじゃなくて,あくまでも肝となる部分をちゃんと作ってみて,そこが面白いか面白くないかを見るのがプロト。
だから,一発で通るってことはまずないかな。何度もやり直しさせてる。
4Gamer:
それを社長が全部見て判断してるっていうのは,うーん,でも確かに慣れるとサクサク進むのかも。
森下氏:
慣れるとみんな普通に聞いてくるよ(笑)。
パズドラなんかも,最初は自分とプロデューサーの2人企画から始まってたり。
4Gamer:
人数の割には時給の高い企画ですねえ。
森下氏:
大丈夫,僕の時給は開発原価に入ってないから(笑)。
4Gamer:
それもどうなんだろう(笑)。
森下氏:
でも,基本的にはそういうところから始まる感じかな。毎回随時チェックして,キャラデザに関しても,最終的には描いたりして。
4Gamer:
キャラデザまで……。ところでパズドラのキャラデザって,最初からあんな感じだったんですか?
森下氏:
元々は全然違った。……うん,そうだね。改めて見ても全然違う。ほら(といってスマホに入っていた昔の画面を見せてくれた。残念ながら掲載許可はもらえなかったが)。
4Gamer:
ホントだ。イメージは確かに同じですが,だいぶ雰囲気が違いますね。
森下氏:
でも,自分達が目指していたコンセプトっていうのは,まったく変わってないよ。形やイメージも含めて,最初のころのバージョンと比較すると相当変わっているんだけど,テーマやコンセプトはまったくズレてない。
こうしたほうがもっと気持ちいいよねとか,こうしたほうがもっと面白いよねとか,そういう具合に付け足して形になっていってるだけで。
4Gamer:
それは別にスマホの作品に限らず,ということですよね。
森下氏:
オデッセイにしてもそうだね。「新機軸のアクションゲームを作ろう。テーマは巨人との戦闘」っていうコアの部分は変えてない。……途中でちょっと諦めそうになったけど(笑)。
4Gamer:
それはどのへんで?
森下氏:
どうやって巨人を倒せばいいのかっていう部分で。倒すのもそうだけど,そもそもどうやって巨人に駆け上がるのか,とか。
今の「空中ステップ」に行き着くまでに2回作り直してるんだけど,オデッセイのチームだけじゃどうにもうまく決まらなかったので,ほかのチームの人間とかも入れて,巨人戦だけにフォーカスしてブレインストーミングしてみよう,とかやって。
みんなでアイデアを出していく中で,企画サイドから「空中ステップはどうか」っていうのが上がって,作ってみたらちょっと良さそうだったので,次は「どうして飛べるの?」「シナリオ的にどうやって収めるの?」とかのゲームの背景部分を埋めていって。
挙げ句,マスターアップ2週間前にグラフィックスにちょっと手を入れて,グラフィッカーに半べそかかせてしまったりとか。いやあ,ホントごめんね。
4Gamer:
2週間前って……。いやしかし,言い方がちょっと変なのは承知のうえで言うんですが,「ゲーム会社らしい会社」になってきましたね。
森下氏:
オンラインゲームのガンホー,っていう言われ方は,それはそれですごく良いと思うし,僕らも嬉しい。でもこれからのマルチプラットフォームの時代には,まぁ最近ではオデッセイのマルチプレイもそうだし,スマホでのラグナロクオンラインMobile Storyとかもそうだし,いわゆるゴースト機能みたいなものを使った非同期通信型のものもそうかな。そういう,タイトルに常に「オンライン」というものを入れていくつもりでやってるんだよね。
4Gamer:
社名そのもの,ですね。幅広く「オンラインエンターテイメント」。
プラットフォームがどうとか,スマホがどうとか,そういう狭い範囲での話ではなくて,あくまでゲームとして面白いものを作っていく中で,オンラインという要素が一番しっくりくるから。
ただまぁ,今の世の中的にはスマートフォンが急速に普及していて,より多くの人に――今までゲームを遊んでこなかったような人達にも――触れてもらえるチャンスというのは,ゲーム業界の中でも過去最大級のものだと思ってるんだよね。
4Gamer:
昨今のこの状況は,初代プレステのころのバブル的活況より凄いと思うんですよね。
森下氏:
うん。オンラインでやってきた経験と,もう一つはコンシューマで培った開発力と,それらを生かした形で出せるという意味で,今のスマートフォン市場は十分に僕らでも戦える場所だと思っていて,ゲーム会社として,ぜひともそこにチャレンジしていきたいな,と。
4Gamer:
スマホにはどのぐらいパワーを割いている感じなんですか?
森下氏:
タイトルの大きさにもよるので,どっちがどう,って言うのは難しいかもしれない。基本はスマホを中心とした「コンシューマを含めたマルチプラットフォーム」という方針で,スマホにフォーカスしている感じかな。
もちろんだけど,別にコンシューマがダメだと言ってるわけじゃない。例えば僕らがVitaを選んでいるのは,有機ELで表示される美しいグラフィックスであったりとか,デュアルスティックであったりとか,ネットワーク機能であったりとか,そういうスペックの部分によるものが大きいので,オンラインゲームを提供するにはベストなハードだと思うから。
Vitaはもちろんのこと,コンシューマとスマートフォンというマルチプラットフォームで考えている感じかな。マルチでフリーミアムなビジネスモデルで展開していくのが一番理想的だけど。
4Gamer:
パズドラなんかも,新しいIPとして一人立ちできそうな感じもありますよね。
森下氏:
パズドラに関しても,企画当初からマルチプラットフォーム展開を念頭において作ってるよ。
4Gamer:
その口ぶりだと,単なる移植ではなさそうですね。
森下氏:
ブランディング展開だしね。ラグナロクオンラインで10年やってきているように,長くお客さんに認知されていけるタイトルに育てていくのは,やっぱり重要だと思ってるので。
まぁマルチ展開とはいっても,スマートフォンはスマートフォンに適用した形のユーザーインタフェースと全体的なデザインになってるけど,それがコンシューマという形になってくると,そこらへんがまた違ってくるけどね。
4Gamer:
とくにスマホというゲームプラットフォームが市場を席巻してから,とりあえずパターンに当てはめて作ってみました的なものや,ユーザーを楽しませる気がなさそうなものや,そういうものが増えてきたように思えて仕方がないんですよね。参入障壁の低さなどもあって,そういうものが登場してくるのはある程度仕方ないことだと思いますし,逆に「予想もしなかったもの」も出てくるわけで,そこは痛し痒しなんですが。
そういう百花繚乱な状況になってみて改めて思うんですが,面白い/面白くないというある種感覚的なものを決めるのは,もしかしたらバックグラウンドの作り込みなのかもしれませんね。バックストーリーであったり,世界観であったり。
森下氏:
例えばROのキャラクターを一つ例にとっても,バッググラウンドストーリーを踏まえて,なんとなくでも世界観を感じてもらいたいよね。別にご大層なストーリーがあったりするわけじゃないんだけど,例えばクラスそのもののバックグラウンドを表現していったりとかでね。
いろんな場所で,いろんな形のプロモーションで使うときも,そういうものは大事にしてやってきてるつもり。
4Gamer:
というかそもそも,そういうものがないとワンソースでマルチ展開は厳しそうです。
森下氏:
そうだね。マルチプラットフォームを念頭におくと,キャラデザとかでもそういうところがすごく大事になると思う。
4Gamer:
……それほど大事なものを全部一人で見て決めていることに,プレッシャーを感じたりしません?
森下氏:
楽しんで作ってるしそういうことはないかな。自分だけじゃなくてきっと開発もそうだと思う。なんていうか,凄まじく立派な何かを作ってるわけじゃないんだから,楽しんで作ればいいんじゃないかな,って。
当然,不安にならないといったらウソになるんだけどね。でも別にプレッシャーとかではなくて,ユーザーさんの評価が出るまでの部分はドキドキであり,ワクワクであり。そういう意味でも楽しい仕事ができているんじゃないかなと思ってるんだよね。
4Gamer:
うまい表現がとっさには見当たらないので,ちょっと言葉が悪くて申し訳ないんですが,ガンホーってどうしても今までは「ROが当たった一発屋」というイメージが強かったんですね。でも今は,なんだかとてもゲーム会社「らしい」感じになって,楽しそうにやってますよね。
ここ最近のゲーム業界では――私が知らないだけかもしれませんが――「いっぱい儲かった話」はたくさん聞こえてきますが,「とても楽しそうな話」ってあんまり聞こえてこないんです。
森下氏:
どの会社でも,いい時もあるし悪い時もあるよね。
突き詰めていくと,自分達が最高に面白いと思える作品を作るか作らないかということが重要で,その覚悟があるのかないのか,あるならあるで,それを維持できるかどうかが大事だと思う。……まぁもしかしたら一年後には,また「ホントにガンホーはどうしようもないな」って言われてるかもしれないし。そうならないようにやっていきたいとは思ってるけどね,任天堂を目指して。
4Gamer:
任天堂? 会社規模とかプラットフォームの話……じゃあないですよね。
森下氏:
もちろんハードとしての好き嫌いとかそういうレベルの話でもなくて,任天堂という会社の,ゲームを作るスタンスが自分としては理想的というか,一番目指すべきものというか,追いつくべきものというか。自分達が持つ「何か」の中には,任天堂が持ってない部分もきっとあると思っているし,そういう部分を見失わないように,がんばっていきたいよね。
とか言いながら,迷ったときには山内相談役の語録とか振り返ってみたりしてるけど(笑)。
4Gamer:
ゲーム業界も,やはり先人は偉大ですね。
森下氏:
自分の中の教訓かな。迷ったときは立ち返って考えてみる。
まぁ任天堂の足元にも及ばないんだけどね(笑)。
4Gamer:
足元に及ぶ会社のほうが少ないのでは……。
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