テストレポート
ドコモ,「Xperia Z」や2画面MEDIASなど2013年春モデルスマートフォン&タブレットを発表。注目モデルをちょっと使ってみた
ソニーの香りがやたら漂うモノリス
Xperia Z SO-02E
ソニー製品の命名ルール的に,「Z」を冠する製品はフラグシップであり,挑戦的であり,ソニー的であることがお約束となっているので,当然のプッシュといったところだろうか。先に書いておくと,予約開始は1月23日からで,発売日は2月9日。ハイエンドなスマートフォンが欲しいというのであれば,迷うことなくいますぐGOなスケジュールだといえるだろう。
外観からしてiPhoneを意識しているのはもう明白と述べていいレベルだが,ソニーらしい,エッジの効いたビジュアルは,iPhoneとは明らかに異なる。ファンならば納得のデザインと述べていいのではなかろうか。
重量は約146g。バッテリー容量が2330mAhと多めであるためか,スマートフォンのなかではやや重い部類に入るが,体感だと,それほど重く感じなかった。ちなみに,IPX5/7対応の防水機能とIP5X対応の防塵機能を持つこともあって,本体はいわゆるブラックボックスタイプとなっており,バックパネルを開けてバッテリーを交換したりはできない。
といっても,前述のとおり薄く,かつ,角やエッジ部に微妙な丸みが設けられているため,手に刺さるような感じはなく,端的に述べて持ちやすい。縦に持ったとき,電源/スリープボタンの位置が低く,ボリュームボタンがさらにそれよりも低い位置に置かれているのに疑問を持つかもしれないが,左手で握ってみると,指が届くよう配慮されているのに気づかされる。
端末情報。OSはAndroid 4.1.2(Jelly Bean)だった |
ぺしぺしIkinaのテスト結果。制限時間内に93〜96タッチとなるペースで連射したので,90というスコアは「取得漏れがほとんどなく,30タッチめ付近の飽和によって一瞬反応しない分だけスコアが減少した程度」ということになる |
メインメモリ容量は2GB,内蔵ストレージ容量16GBで,microSDXCカードスロットを用いれば,ストレージ容量は最大64GB追加できる。先ほど防水&防塵の話をしたが,加えて下り100MbpsのLTE(Xi),NFC,Felica(おサイフケータイ),赤外線,ワンセグなど,いわゆる全部入り端末なので,スペック面の不足はない。
いくつかプリインストールアプリを試してみたが,反応はよく,“独特すぎる”チューニングもないようで,総じて扱いやすい。なお,連射測定アプリ「ぺしぺしIkina」でテストした限り,タッチが飽和したのは30タッチめ前後。連射の取得漏れもごくわずかなので,ゲーム用途でも問題ないものに仕上がっていると述べていいだろう。
●Xperia Z SO-02Eの主なスペック
- メーカー:Sony Mobile Communications
- OS:Android 4.1
- ディスプレイパネル:5.0インチTFT液晶,解像1080×1920ドット
- プロセッサ:Qualcomm製「Snapdragon S4 Pro APQ8064」(クアッドCPUコア,1.5GHz)
- メインメモリ容量:2GB
- ストレージ:内蔵(容量16GB)+microSDXC(最大64GB)
- 外側カメラ:有効画素数約1310万画素
- 内側カメラ:有効画素数約220万画素
- バッテリー容量:2330mAh
- 3G連続通話/待受時間:約640分/約480時間
- Xi対応:あり
- 無線LAN対応:詳細未公開
- 本体サイズ:71(W)×7.9(D)×139(H)mm
- 本体重量:約146g
- 本体カラー:Black,White,Purple
- 主な対応サービス&機能:spモード,spモードメール,GPS,dマーケット,ワンセグ,おサイフケータイ(NFC),WORLD WING,赤外線通信,Bluetooth(Version.4.0),防水,防塵
Xperia Zと同じデザイン路線のタブレット
Xperia Tablet Z SO-03E
2013年春モデルには,「Z」を冠するXperiaなタブレットも用意されている。Xperia Tablet Z SO-03E(以下,Xperia Tablet Z)という製品名からは,「Xperia Tablet S」の後継機,もしくは上位機といった印象を受けるかもしれないが,外観は別モノで,Xperia Zを10.1インチタブレットサイズに引き延ばしたような形になっている。ノートPCでいう「VAIO Z」と「VAIO S」の棲み分けと同じようなルールで製品名が付けられているのかもしれない。
タブレットでも主流はラウンドフォルムなのだが,そこをあえて外しつつ,Xperia Zと同じようなエッジの処理によって持ちやすくしているあたりは,ソニーらしい部分といえそうだ。店頭などで実機を発見したときは,ぜひ持ちやすさをチェックしてみてほしい。
「NFCを利用することで,Xperia Zとの写真などのデータシェアを行える」というギミックが用意されていることもあってか,Xperia Tablet Zは,外観だけでなく,スペックもよく似ている。OSはAndroid 4.1.2で,SoCはSnapdragon S4 Pro APQ8064(CPU動作クロック最大1.5GHz),メインメモリ容量2GB,内蔵ストレージ容量32GB,microSDXCカードスロット(最大64GB),NFC(※決済機能なし),防水&防塵,ワンセグなどなど。Xperia Zとの違いは,標準ストレージ容量と,おサイフケータイ機能の有無くらいである。
撮影した写真や動画をチェックしてみたが,気持ちよく鑑賞できるチューニングになっていた。アプリにも対応すると,ゲームがより楽しくなりそうだが,従来のモバイルブラビアエンジンの挙動からするに,その点は期待をしないほうがいいかもしれない。
●Xperia Tablet Z SO-03Eの主なスペック
- メーカー:Sony Mobile Communications
- OS:Android 4.1
- ディスプレイパネル:10.1インチTFT液晶,解像1920×1200ドット
- プロセッサ:Qualcomm製「Snapdragon S4 Pro APQ8064」(クアッドCPUコア,1.5GHz)
- メインメモリ容量:2GB
- ストレージ:内蔵(容量32GB)+microSDXC(最大64GB)
- 外側カメラ:有効画素数約810万画素
- 内側カメラ:有効画素数約220万画素
- バッテリー容量:6000mAh
- 3G連続通話/待受時間:詳細未公開
- Xi対応:あり
- 無線LAN対応:詳細未公開
- 本体サイズ:266(W)×6.9(D)×172(H)mm
- 本体重量:約495g
- 本体カラー:Black,White
- 主な対応サービス&機能:spモード,spモードメール,GPS,dマーケット,ワンセグ,WORLD WING,Bluetooth(Version.4.0),防水,防塵
一部が大好きそうな変態的折りたたみ端末登場
MEDIAS W N-05E
2画面で折りたたみ式のMEDIAS W N-05E(以下,MEDIAS W)は,好きな人にはたまらないであろう,非常に挑戦的なスマートフォンだ。折りたたみ式のスマートフォンというと,フィーチャーフォン風のデザインが注目を集めた「AQUOS PHONE THE HYBRID SoftBank 007SH」や,ノートPC風の「IS01」といったあたりを思い浮かべる人も多いと思うが,MEDIAS Wは,折りたたむと,タッチセンサー付き液晶パネル部が本体の両面に置かれるという点で画期的な存在である。
この状態では,2枚の液晶パネルで仮想的な1画面表示を行えるほか,セカンダリパネル側のソフトウェアスイッチをタップすると,そちらに異なるアプリを表示することもできる。WebブラウザとSNSクライアントの同時利用,なんてことができてしまうのである。
Qualcomm製SoC「Snapdragon S4 Plus MSM8960」(デュアルKrait/1.5GHz+Adreno 225)で,メインメモリ容量1GBを搭載するため,スペックはまずまずといったところではあるのだが,動作はややもっさり感があった。液晶パネルの解像度は1枚あたり540×960ドットだが,2画面を捌くには,ちょっと厳しいのかもしれない。2画面ゲームプレイまではあまり期待しないほうがよさそうだ。
なお,説明員によれば,専用ジャケットを開発中とのことなので,それが出てくれば,強度面はある程度クリアになるかもしれない。折りたたみを前提としたスマートフォンに向けて,どういうジャケットが登場してくるのか,大いに気になるところだ。
ギミックとコンセプトにキュンときたのであれば,4月中旬が予定されている発売日に向けて,照準を合わせておくのもアリだと思われる。
●MEDIAS W N-05Eの主なスペック
- メーカー:NECカシオモバイルコミュニケーションズ
- OS:Android 4.1
- メインディスプレイパネル:4.3インチTFT液晶,解像540×960ドット
- サブディスプレイパネル:4.3インチTFT液晶,解像540×960ドット
- プロセッサ:Qualcomm製「Snapdragon S4 Plus MSM8960」(デュアルCPUコア,1.5GHz)
- メインメモリ容量:1GB
- ストレージ:内蔵(容量16GB)+microSDHC(最大32GB)
- 外側カメラ:有効画素数約810万画素
- 内側カメラ:なし
- バッテリー容量:2100mAh
- 3G連続通話/待受時間:約500分/約630時間
- Xi対応:あり
- 無線LAN対応:詳細未公開
- 本体サイズ:64(W)×12.2(D)×136(H)mm
- 本体重量:約183g
- 本体カラー:Black
- 主な対応サービス&機能:spモード,spモードメール,GPS,dマーケット,WORLD WING,Bluetooth(Version.4.0)
そのほかの端末も
まとめてチェック
そのほかの製品についても,ハイスペックモデルを中心に,駆け足で紹介してみたい。
■一番持ちやすかったELUGA X P-02E
本体正面。ちょっと細長い印象を受ける。またバックキーとホームキー,メニューキーはオンスクリーンでない |
本体背面。アウトカメラにLED,赤外線の3点レイアウト。指紋が汚れが目立ちにくいマット調のバックパネルになっている。両端が丸みを帯びている点にも注目 |
Snapdragon S4 Pro APQ8064(CPUクロック最大1.5GHz),メインメモリ容量2GB,内蔵ストレージ容量32GB,microSDXC対応(最大64GB),NFC,赤外線,防水&防塵,ワンセグと全部入りのスペックは,紛うことなきハイエンド仕様。背面のラウンドフォルムも手伝って,今回登場した新モデルのなかでは最も持ちやすかった点も加えておこう。
付属スタンドと,USB Micro-B接続のワンセグアンテナ |
Qiでの無接点充電にも対応する |
■スペック一直線のOptimus G pro L-04E
本体正面。バックキーなどがオンスクリーンではない分,縦幅がある印象だ。ただ,最近のAndroidスマートフォンらしいレイアウトの域は逸脱していない |
本体背面。これも標準的なレイアウトだ。下部にあるのはスピーカーである |
まず液晶パネルは新開発とされるLG Electronics製品「G2 Touch Hybrid」。カバーガラスとタッチセンサーを一体化することにより,パネル部を薄くできるだけでなく,タッチ反応速度の向上にも効果があったという。
SoCはSnapdragon S4 Pro APQ8064だが,動作クロックは最大1.7GHzと,他社製品より高い。また,バッテリー容量も3000mAhと大きいのも特徴だ。独自機能としては,複数のアプリを同時に起動して表示できるfloating apps,インカメラとアウトカメラを同時に使用できるDual Recordingなども用意されている。
バッテリー容量が大きいためか,本体の厚みは10mmある。ただ,ラウンドフォルムを採用していることと,そもそも5インチクラスだと,ある程度は厚みはあったほうが一般的には持ちやすいということもあり,握りやすさはなかなかのものだった。70(W)×10(D)×139(H)mmというサイズ,160gという重量は人を選ぶため,気になっている人は実機でのチェックをお忘れなく。
■これが新しいARROWS。ARROWS X F-02E
多角形形状を採用した,ユニークなデザインとなるARROWS X F-02E。強度面とデザイン性を両立させたものだと思われるが,ARROWSらしいとんがり感があっていい |
本体背面の自己主張は少なめ。本体下部にある接点はクレードル接続用だ |
「液晶パネルは5インチで,解像度は1080×1920ドット。以下略」といっていい“全部入り具合だが,メインメモリ容量2GB,内蔵ストレージ容量32GBという点は,容量を重視する人にとって重要な点だといえるだろう。
カメラ用レンズが5枚組になっており,従来のARROWSよりも描写性能を大幅に向上させているところも注目だろうか。
セキュリティ面では,スマート指紋センサーを搭載して,指紋認証によるロック解除に対応するところが,本製品ならではということになる。またブックマークや写真,ビデオを非表示にできる機能も用意されているため,見られたくない情報を持ち運ぶタイプの人は,チェックしておきたい端末だ。
■水滴付着時もタッチ操作OKなAscend D2 HW-03E
解像度はフルHDではないのだが,そのためか,会場でタッチした端末のレスポンスはすこぶるよかった。またディスプレイは「水滴クリアタッチパネル」を採用するのが大きな特徴となっている。
また撥水コーティングもされており,水滴が多い場合,軽く振るだけで水滴を飛ばせるというのもなかなかよかった。
仕様面では,Xiの現時点最高速度である下り112.5Mbpsに対応しているのがトピック。また,同時に発表されたモバイルルーター「HW-02E」も下り112.5Mbpsに対応している。
Ascend D2 HW-03Eの発売時期は4月,HW-02Eは3月とのこと。最高速度の恩恵を受けられるエリアは限られるが,堅実志向の人には意外と面白い選択肢になりそうな気配である。
高精細・高速通信・高速処理の3本柱と
docomo Smart Home
以上,発表された機種の中からdocomo NEXT seriesに属するハイエンド端末を中心に紹介してきた。NTTドコモ社長の加藤 薫氏は,今回出揃った端末を「高精細・高速通信・高速処理」の3本柱に対応する端末と位置づけていたが,確かに言うだけのスペックはあると述べていいだろう。
5インチで1080×1920ドット解像度は,文句なしに高精細だ。また,今回紹介した全モデルがLTEの下り転送速度最大100Mbpsをクリアしている点もポイントといえるだろう。下り最大100Mbps,もしくは112.5Mbpsの対応エリアは,2013年3月時点で全国22都市,年6月には50都市以上を目指し,下り75Mbpsのエリアも2013年6月までに10000局に到達すると加藤氏は述べていた。現状,対応エリアに難のあるXi(クロッシィ)だが,他キャリアのLTE展開に対抗すべく,急ピッチで展開していくつもりなのだろう。
高速処理の“内訳”は,クアッドコアCPUと大容量メインメモリ,Android 4.1の採用だと加藤氏。2013年春モデルのdocomo NEXT seriesは全機種がクアッドコアモデルという状況であり,またバッテリー駆動時間を伸ばすべく,すべての製品で容量2000mAh以上を実現してきたのもポイントとのことだ。2012年は平均して1500mAh前後だったことを考えるに,バッテリー駆動時間に関するユーザーからの要望が多かったと思われる。この点はKDDIも同様のスタンスを取っているが,バッテリー技術のブレイクスルーがあるまでは,バッテリー容量の増加もしくは省電力化で,バッテリー駆動時間を稼いでいくことになるはずだ。
もちろん,バッテリー容量に余裕があれば,CPUをフルに活用できるため,高速処理が実現する。そういった点も踏まえて,バッテリー容量は今後も注目である。
docomo Smart Home用の製品としては,10.1インチのAndroidタブレットで,ホーム画面がdマーケットになっているタブレット「dtab」と,HDMI入力に対応するテレビをdマーケット端末化するAndroidスティック「Smart TV dstick」の2製品が用意される。これらをドコモスマートフォンと併用することにより,自宅でも手軽にdマーケットのコンテンツを利用できる,というわけである。ゲームとはあまり関係がないので,このあたりはNTTドコモのWebサイトで確認してもらえれば幸いだ。
NTTドコモ公式Webサイト
NTTドコモの2013年春モデル特集ページ
- 関連タイトル:
Xperia
- 関連タイトル:
Android端末本体
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