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「Windows Phone 7.5」登場。第1弾は富士通東芝製のKDDI向け端末「IS12T」〜Xbox LIVE周りもいろいろ聞いてきた【詳報追加】
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印刷2011/07/27 10:00

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「Windows Phone 7.5」登場。第1弾は富士通東芝製のKDDI向け端末「IS12T」〜Xbox LIVE周りもいろいろ聞いてきた【詳報追加】

 Microsoftは,開発コードネーム「Mango」と呼ばれてきたスマートフォン用OS「Windows Phone 7.5」のRTM(Release-To-Manufacturing,製造工程への移行)を発表。これを受けてKDDIは,富士通東芝モバイルコミュニケーションズ製のWindows Phone 7.5搭載端末「Windows Phone IS12T」(以下,IS12T)を発表した。現時点で価格は未定。
 発売は2011年9月以降となっており,このまま予定どおり発売されれば,世界でも初登場になるとのことだ。

IS12Tの実機。とにかく,スムーズで高速な動作が印象的だった。ハードウェア性能の高さに加え,Windows Phone 7.5の大きな特徴である「DirectX 9クラスのGPUによるアクセラレーション」が効いているのだろう。Android端末に慣れた身には「速すぎる」と思わされることもあったが,使い込んでいくと慣れるのかもしれない
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本体色はシトラス,マゼンタ,ブラックの3色。第1弾ラインナップとしてはずいぶん鮮やかだ。また,色の塗り分け方もユニークで,外観からは既存のスマートフォンとの差別化がうまくできている印象を受ける
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●Windows Phone IS12Tの主なスペック
  • 端末メーカー:富士通東芝モバイルコミュニケーションズ
  • 通信方式:CDMA 1x EV-DO Rev.A(WIN HIGH SPEED)
  • サイズ:約59(W)×10.6〜13.3(D)×118(H)mm
  • 重量(バッテリー装着時):約113g
  • 連続通話時間:約400分
  • 連続待受時間:約280時間
  • 充電時間:AC時約160分,DC時約240分
  • 本体色:シトラス,マゼンタ,ブラック
  • ディスプレイパネル:TFT
  • 画面サイズ:約3.7インチ
  • 画面解像度:480×800ドット
  • 内蔵フラッシュメモリ:容量32GB(ユーザー領域約28GB)
  • 外部フラッシュメモリ:非対応
  • カメラ:有効画素数1320万画素
  • 無線LAN:IEEE 802.11b/g/n準拠
  • Bluetooth:2.1+EDR
  • 外部インタフェース:microUSB
  • 防水性能:PX5/IPX8等級(耐噴水流/耐水没)
  • 防塵性能:IP5X等級(標準的な防塵)


ハードウェアキーは3個

タッチセンサーは最大4点まで


本体正面下部にはハードウェアキーが3個搭載される
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 Windows Phone 7.5では,Microsoftがさまざまなハードウェアデザインガイドラインを提示しているため,IS12Tの基本仕様は,それに則ったものとなっている。
 例えば本体下部に3個のボタンが並んでいるが,これは左から順に[戻る][ホーム][検索]に割り当てられている。3.7インチ,480×800ドット解像度で,4点タッチに対応する液晶パネルを搭載するのもガイドラインどおりだ。

 持ってみると気づくのは,その軽さ。公称113gという重量はもちろん,幅が同59mm,厚さも最厚部で13.3mmというコンパクトさも,そう感じさせる一因になっているのだろう。

本体向かって右側面には,上から順に電源,ボリューム,(カメラの)シャッターボタンがそれぞれ用意される。左側面はボタンが用意されていない
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 IS12T独自の要素としては,まず強力な防塵・防水仕様が挙げられよう。防水はJIS規格に定義されるIPX5/IPX8(耐噴水流/耐水没)をクリア,また防塵はIPX5(標準的な防塵)をクリアしているという。
 Windows Phone 7.5のガイドライン(500万画素)をはるかに上回る1320万画素のカメラを内蔵する点も,国内メーカー製端末らしいところだ。

 また,富士通東芝モバイルコミュニケーションズの独自技術として,通話時に音声が聞き取りやすくなるという「スーパーはっきりボイス」の搭載も,独自要素としてアピールされている。

カメラにはLEDフラッシュも用意される。本体上部にはmicroUSBコネクタとヘッドセット/ヘッドフォン接続用のミニピン端子を搭載
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Windows Phone 7.5は「目的」ベースのOS

Xbox LIVE機能の概要も明らかに


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Windows Phone 7と同7.5の違い
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「つながり,軽快,ココチいい」OSとして訴求されるWindows Phone 7.5

 ところで,Windows Phone 7.5とは何なのかだが,これは,2010年2月に発表された「Windows Phone 7」の後継製品だ。Windows Phone 7は,英語圏のみに限定して市場投入され,搭載端末は11製品登場していたが,Windows Phone 7.5では,そんな従来製品のコンセプトを引き継ぎつつ,500以上の機能を追加し,日本語を含む21か国語に対応してきている。

 そんなWindows Phone 7.5が持つ最大の特徴は,目的ベースのユーザーインタフェース(以下,UI)を採用する点にある。
 iOSやAndroidベースの端末だと,例えばSNSをチェックしようという場合,当該SNSのクライアントアプリを立ち上げて,ウォールなりタイムラインなりを見るという形になる。それに対し,Windows Phoneでは,まず「誰とつながりたいのか」を,「People Hub」と呼ばれる広義の連絡帳から選び,そこで,電話するのか,Facebookのウォールを見るのか,Twitterのツイートを追うのかを選ぶような流れになっているのだ。
 People Hubは,ユーザーのSNSアカウント情報と,友人知人のアドレス帳が統合されたものという理解をしておくのがいいのではないかと思われるが,このあたりが「目的ベース」と主張されるゆえんである。

 なお,トップメニューには,「ライブ・タイル」と呼ばれる,情報が逐次更新されるタイルが並んでおり,アイコン自体がミニアプリ的な,言ってしまえばAndroidのウィジェット的な機能を持っている。タイルをタップして進んだ先では,「パノラマUI」という,左右にスクロールするインタフェースを使うことになるのも,Windows Phone 7.5のユニークなところだ。

ライブ・タイルとパノラマUIの概要
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Xbox LIVEタイルからゲーム関連を開いたところ。パノラマUIにより,左右スクロールによって,アバターやゲームの一覧などにアクセスできる
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 そして,そんなライブ・タイルのなかでも目を引くのが「Xbox LIVE」と書かれたタイルだが,これは「Xbox LIVEを含む,ゲーム関連全般」がまとまっているタイル,という理解でいい。
 まず,Xbox LIVE関連の話からしておくと,アバターや,フレンド周りの機能はXbox 360と同様に利用可能。接続されるネットワークが異なる関係で,Xbox LIVEのフレンドは前出のPeople Hubには登場しないため,Xbox 360でのフレンドと連絡を取りたい場合は,こちらからアクセスすることになる。
 LIVEサービスなので,Windows Phone端末からログインすると,Xbox 360を起動しているフレンドからログイン状況が見えるのもポイント。このあたりはGames for Windows LIVEと似たようなイメージだ。

Xbox LIVEからWindows Phone Marketplaceへアクセスし(左),ゲームを入手すると,Xbox LIVEメニューのトップにリスト表示され,実行可能になる(右)
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 発表時点において,Windows Phone Marketplaceでのゲーム配信を予定している主なメーカーは下にまとめたが,発表会場にいた日本マイクロソフトの説明員によれば,現在Microsoftは,ゲームデベロッパに対し,初代Xboxタイトルの移植や,Xbox 360との連携を依頼しているとのこと。とくに後者では,「Xbox 360でプレイしていた続きを外出先ではWindows Phone端末でプレイし,自宅に戻ったらXbox 360に戻る」とか,「Windows Phone用のミニゲームをXbox 360タイトルと連携させ,ミニゲームのスコアを実績として加算したり,何かメリットとしてXbox 360タイトル内に反映させたり」といったことも検討されているという。
 マシンパワーを考えると,後者の可能性のほうが現実味はありそうだが,うまく実現してくれれば面白いことになるかもしれない。

●Windows Phone Marketplaceへの配信を予定している主な国内ゲームメーカー(五十音順,括弧内はリリースより製品名あるいはジャンル)
  • グリー:GREE
  • ケイブ:新作オリジナルSTG
  • セガ:ソニック・ザ・ヘッジホッグ4 エピソードI
  • ハドソン:タイトル未定
  • バンダイナムコゲームス:PAC-MAN,PAC-MAN Championshiop Edition DX,塊魂モバイル
  • ビースリー・ユナイテッド:つみネコ

Windows Phone Marketplaceには,英語版ながら,ジャンルごとに合計数十のタイトルが用意されていた。ただ,数十という数は,iOSやAndroidと比べるとさすがに見劣りする印象。「音楽」には1タイトルしかなかったりもしたので,ゲームデバイスとして語るなら,ラインナップの拡充が急務だろう。なお,アバターのカスタマイズツールや,Halo用の情報ツール「Waypoint」が「Xboxコンパニオン」として用意されているのは「ならでは」といったところである
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 ゲーム関連以外では,Microsoft製品だけに,Liveサービスや,Officeスイートとの連携周りが充実しているのも,Windows Phone 7.5の特徴とされている。
 クラウドを使って最大25GBのストレージを利用できる「SkyDrive」へ,撮影した写真を自動的にアップロードする機能や,標準で搭載されるOffice機能により,Officeアプリケーションで制作した図版などを,Windows Phone 7.5端末上で再編集することも可能という。

 もう1つ,日本市場へ投入されるIS12TへインストールされたWindows Phone 7.5が,濁点や半濁点をも1ストロークで入力できる独自のフリック入力系「カーブフリック」を採用したIMEが搭載されている点も押さえておきたいところだ。

 下のムービーは,Windows Phone 7.5の操作感をまとめたものとして,発表会で紹介されたものだ。これで,だいたいのイメージを掴んでもらえればと思う。



「2〜3日使うと気持ちよくなってくる」

おサイフケータイ機能などは当面予定なしか


田中孝司氏(KDDI 代表取締役社長)
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 発表会では,KDDIと日本マイクロソフト,富士通東芝モバイルコミュニケーションズの代表者が登壇し,それぞれの立場からIS12Tを紹介していた。
 なかでも興味深かったのは,「(携帯電話の)プロとして,1か月くらい使ってきた」という,KDDIの田中孝司代表取締役社長の話だ。

 田中氏いわく,「最初の1日か1日半くらいはやや取っ付きづらい印象がある」。確かに,目的ベースのUIによって,従来のスマートフォンから考え方を変えてきているだけに,iOSやAndroidを利用してきた人ほど,分かりづらく感じるかもしれない。
 だが,「使っているうちにだんだん気持ちよくなってきた」と田中氏は続ける。Winodws PhoneでSNSやニュースを見ると「こういう見方もあるのかと気付かされた」そうだ。

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 ところで,KDDI,というかauブランドといえば,「Android au」のマーケティングキャンペーンが花盛りだが,「さすがに『Windows au』とは言えない(笑)」と田中氏。「auらしさとは,ワクワク感だと思っている」と述べた氏は,Android auキャンペーンでは選択肢の幅を広げることによって,このワクワク感をうまく出せたとして,(世界)初となるIS12Tに関しては,「いいモノを,いち早く」をキーワードに,新たなプロモーションプランを検討していると予告していた。

樋口泰行氏(日本マイクロソフト 代表執行役社長)
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 また,日本マイクロソフトの樋口泰行代表執行役社長は,「アプリは(Microsoftが)技術的にがっちりと審査するので,セキュリティでも安心して使える」「Windows Phone 7.5は,機能面では非常にいいものを持っており,一度使った人の満足度は高い」とアピール。安心感や信頼度,完成度の高さを訴求し,先行するプラットフォームに対する遅れを挽回していく姿勢を見せている。

 国内サービスということを考えると,おサイフケータイやワンセグなどといった日本固有サービスへの対応も気になるところだが,発表会後の質疑応答で樋口氏は「今のところ,答える状況にない」と述べ,少なくとも当面の間,対応予定がない可能性を示唆していた。前述のとおり,Windows Phone 7.5では,ハードウェアやソフトウェアに厳密なガイドラインが設定されていることもあり,そこから外れた機能を端末メーカーが自由に実装するのは難しいということなのだろう。

 厳密なガイドラインはWinodws Phone 7.5の快適な操作性を保証するカギだが,同時に,固有サービスや最新ハードウェアへの対応を遅らせる両刃の剣にもなりかねない。
 とくにハードウェアに事実上制限がないAndroidと競争していくうえでは,ガイドラインそのものをどうアップデートしていくかが,Microsoftにとっての課題となりそうである。

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