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大人気の「人狼ゲーム」を徹底解説する集中連載「特集:人狼」。本日スタートの第1回は“人狼ゲームカタログ”で,その歴史と広がりを再検証
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印刷2014/03/22 10:00

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大人気の「人狼ゲーム」を徹底解説する集中連載「特集:人狼」。本日スタートの第1回は“人狼ゲームカタログ”で,その歴史と広がりを再検証

人狼ゲームカタログ


 現在発売されている人狼ゲームは,おおよそ3つのカテゴリーに分けることができる。一つは「海外製のカード型人狼ゲーム」で,これらは原典に近い,オーソドックスな人狼ゲームが楽しめる。
 それに続く「国産のカード型人狼ゲーム」は,カードイラストが可愛らしくなっていたりなど,日本向けのカルチャライズが施されているのが特徴だ。取り扱い店舗も多く,手に入れやすいので,初心者はまずこの辺りから選ぶのがいいかもしれない。
 三つめの「バリエーション型人狼ゲーム(正体隠匿系カードゲーム)」は,人狼ゲームにインスパイアをうけて制作されたタイトル群で,元の人狼ゲームとは,ルールや世界観にかなりの違いがある。その分,通常の人狼ゲームとは,一味違った戦略が楽しめるはずだ。ここでは現在国内で入手可能なものに絞りつつ,それらについて紹介していこう。

●カタログ目次

1.海外のカード型人狼ゲーム

2.国産の普及版カード型人狼ゲーム

3.バリエーション型人狼ゲーム(正体隠匿系カードゲーム)


1.海外のカード型人狼ゲーム


 まずは,カードゲームとして輸入された「汝は人狼なりや?」から始まる,正統派の流れをくむ人狼ゲームを紹介していこう。これらは基本的に,20枚強のカードとルールブックがセットになった小さなカードゲームのようなパッケージとなっている。


■「タブラの人狼 日本語版」

 おそらく日本で最も普及しているオーソドックスな人狼ゲーム。10種の役職が収録されている。かつてはゲームショップが独自の翻訳をつけた小型バージョンが発売されていたが,現在はホビージャパンから大型の箱入りとなったバージョンが発売されている。

「タブラの人狼 日本語版」
制作:daVinci Editrice S.r.l./販売:ホビージャパン/価格:2520円(税込)/プレイ時間:20〜40分/プレイ人数:8〜24人(右の写真は旧版のもの)
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「タブラの人狼 日本語版」公式サイト



■「ミラーズホロウの狼男(The Werewolves of Miller's Hollow)」

 アーティスティックな雰囲気の,文字のないカードが特徴。プレイヤーを一組選んで勝手に「恋人」同士にしてしまうという「キューピッド」,夜のターンに薄目を開けて人狼をスパイできる「少女」など,変わり種の役職を含む、9種類の役職が収録されている。ちなみに「恋人」となったペアは,片方が死んでしまうと,もう一方も死んでしまう。なお特別版では,さらに5種類の役職が追加となる。

「ミラーズホロウの狼男(The Werewolves of Miller's Hollow)」
制作:Lui-Meme/販売:ホビージャパン/価格:1470円(税込/特別版は2520円)/プレイ時間:20〜30分/プレイ人数:8〜18人(特別版は28人まで)
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■「究極の人狼 第2版 完全日本語版」

 44種類もの役職を収録し,最大74人までが同時にプレイできるのがウリの「究極の人狼」。もちろん必ずすべてを使わなくてはならない訳ではなく,参加人数にあわせて増減できる仕組みだ。選択によっては,いくつもの第三勢力や,途中で所属が変わるトリッキーな役職などが登場し,複雑なゲーム展開となる。通常の人狼ゲームに飽きてしまった人にも楽しめるパッケージといえるだろう。

「究極の人狼第2版 完全日本語版」
制作:Bezier Games/販売:アークライト/価格:3360円(税込)/プレイ時間:30〜90分/プレイ人数:5〜74人
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「究極の人狼第2版 完全日本語版」公式サイト



2.国産の普及版カード型人狼ゲーム


 人狼ブームにあわせるように登場した,国産の人狼ゲーム達を紹介しよう。これらのパッケージは,おもちゃ屋やゲームショップ,書店,通信販売などでも広く扱われているため,海外産のものよりも入手しやすい。人狼初心者は,この中から好みの絵柄のものを選んではじめてみるといいかもしれない。


■「うそつき人狼」

 国内の人狼ブームにいちはやく対応し,さまざまなイベントなども行っている株式会社人狼から発売されたベーシックな人狼ゲームセット。日本向けの分かりやすい解説に加え,役職カードも19種類と多彩で,多人数でも遊びやすい。

「うそつき人狼」
制作・販売:株式会社人狼/価格:2100円(税込)/プレイ時間:30〜90分/プレイ人数:6〜25人
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「うそつき人狼」公式サイト



■「会話型心理ゲーム 人狼(JIN-ROU)」

 同じく株式会社人狼が監修を手がけた人狼カード。収録されている役職は6種類とそれほど多くないが,カードが厚く丈夫で,繰り返しの使用に耐えるのが特徴だ。また販売ルートに書店が含まれているので,入手しやすいのもポイントが高い。なおこのパッケージに準拠したガイド本「決定版 人狼ゲームが100倍楽しめる本」(幻冬舎エデュケーション)も発売されている。

「会話型心理ゲーム 人狼(JIN-ROU)」
制作・販売:幻冬舎エデュケーション/価格:1575円(税込)/プレイ時間:10〜50分/プレイ人数:4〜20人
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「会話型心理ゲーム 人狼(JIN-ROU)」公式サイト



■「人狼 〜嘘つきは誰だ?〜カードバトル」

 バンダイから,フジテレビのテレビ番組「人狼〜嘘つきは誰だ?〜」のオフシャルカードとして発売されたもの。番組で使われたものと同じデザインのカードが収録されているが,「人狼」「市民」「占い師」「騎士」しか登場しないテレビとは異なり,全21種類の役職が含まれている。

「人狼 〜嘘つきは誰だ?〜カードバトル」
販売:バンダイ/価格:1575円(税込)/プレイ時間:30〜90分/プレイ人数:4〜30人 (c)フジテレビジョン
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「人狼 〜嘘つきは誰だ?〜カードバトル」公式サイト



■「はじめての人狼」

 女性がカバンに入れて持ち歩きやすいデザインを心がけたという,小さくてかわいいデザインが特徴のカードセット。またお酒やお茶を飲みながらでも遊べるよう,カードが耐水性となっているのもポイントだ(関連記事)。

「はじめての人狼」
制作・販売:アークライト/価格:2520円(税込)/プレイ時間:20〜60分/プレイ人数:3〜20人
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「はじめての人狼」公式サイト



■映画「人狼ゲーム」のカードゲーム版「人狼ゲーム」

 桜庭ななみ主演の映画「人狼ゲーム」に登場したカードを再現したカードセット。一般的な人狼のルールを踏襲した「伝承編」のほか,少人数(4〜6人,GM不要)でプレイできる「現代編」のルールが同梱されている。「現代編」では,プレイヤー1人が2キャラクターを兼任する形となるため,少ない人数でも大人数で遊んだときと同等の戦略性が保持されており,深い読み合いが楽しめる。

「人狼ゲーム」
原作:川上亮/制作・販売:ドロッセルマイヤーズ/コザイク/価格:1890円(税込)/プレイ時間:15〜40分/プレイ人数:4〜16人
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カードゲーム版「人狼ゲーム」販売サイト



■「ワンナイト人狼」

 その名のとおり,1夜だけ(1ターン)で決着がつくという,短時間で遊べる人狼ゲームとして制作されたタイトル。プレイ人数が3〜6人と少なく,10分ほどで楽しめるのが最大の特徴。正確には,後述する人狼バリエーションゲームの一つといえるが,その遊びやすさから人狼の入門用タイトルとして人気がある。
 ちなみに同作のプレイフィールは海外でも高く評価され,「究極の人狼」の版元であるBezier Gamesより,英語版の発売も決定している。また同作のゲームシステムを元に,人気漫画「暗殺教室」とのコラボで制作された「サバイバル暗殺ゲーム」が,2013年末に発売された「週刊少年ジャンプ4・5合併号」に付録として収録されたことでも話題を呼んだ。

「ワンナイト人狼」
制作・販売:ワンナイト人狼/価格:1500円/プレイ時間:10分/プレイ人数:3〜6人
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「ワンナイト人狼」



■「『人狼』カード&プレイブック」

 正確には人狼ゲームの入門用ガイドブックだが,付録として16枚の人狼カードが付属している。ルール解説をはじめ,実践で役立つテクニック,人狼好き著名人のインタビューなども収録されており,初心者にオススメの一冊となっている。書店で購入できるので,入手しやすいところもポイントだ。

「『人狼』カード&プレイブック」
販売:富士見書房/価格:1470円(税込)/最大プレイ人数:〜16人
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「人狼」カード&プレイブック公式サイト



■「今夜はじめる人狼ゲーム」

 輸入ボードゲームショップのドロッセルマイヤーズが手掛けた,おしゃれなカード付きガイドブック。ガイドブックであるため,書店で購入できる。GMのやり方がゲームブック方式で解説されており,読みやすい。収録されているカードには,8種類の役職が収録されている(関連記事)。

「今夜はじめる人狼ゲーム」
販売:スモール出版/価格:1600円(税込)/最大プレイ人数:〜20人
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「人狼読本」
販売:エンターブレイン/価格:1365円(税込)/最大プレイ人数:〜14人
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■「人狼読本」

 ネット上での人狼ゲームのプレイログや,関係者のインタビューを中心とした,300ページにおよぶ本格的な人狼解説本。プレイログが数多く収録されており,戦術的な注釈も加えられているため,実戦的な技術を学ぶのにも最適の一冊となっている。もちろん人狼カードも付属しており,6種の役職が収録されている。


「人狼読本」公式サイト



3.バリエーション型人狼ゲーム(正体隠匿系カードゲーム)


 人狼ゲームは,伝統ゲームを起源とするために,これにインスパイアされたさまざまなゲームが世界中で生み出されてきた。プレイヤーの中に混じった“裏切り者”を見つけ出す,こうした正体隠匿系ゲームは,大きな括りとしては人狼のバリエーションではあるものの,ルール部分には大きく手が入れられている。
 その多くが人狼ゲームの欠点(人数が揃わないとプレイできない,プレイ時間が長い,ゲームから脱落した人は暇になるなど)を補う方向に進化を遂げているので,通常の人狼ゲームに飽きてしまったという人は,これらのゲームにも手を伸ばしてみるといいかもしれない。
 また4Gamerでもなんどか紹介しているアナログゲーム即売会・ゲームマーケットなどに足を運べば,さまざまなオリジナルの人狼カードを見ることができる。ここでは,そうしたバリエーション型人狼の中から,とくに面白そうなものをピックアップして紹介していこう。

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人狼をクトゥルフ神話の邪神崇拝者に置き換えた「Do Worship the Cthulhu?(クトゥルフ崇拝者は誰?)」。海外でもこうした人狼バリエーションは数多く制作されている
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1980年代初頭に発売された「超人ロック」も,こうした正体隠匿系ゲームの一つだ。人狼ゲームが広く知られる前のタイトルではあるが,プレイフィールはかなり近いものがある


■「人狼系なりきり推理ゲーム ダンガンロンパ1・2 超高校級の人狼」

 人気アドベンチャーゲーム「ダンガンロンパ」シリーズとのコラボによる人狼バリエーションゲーム。内容については,2013年10月に掲載したレポート記事に詳しいが,原作が人狼ゲームに影響を受けて制作されたという経緯もあって,その完成度はかなりのものだ。
 役職による特殊能力のほかに,表向きの顔であるキャラクターカードの能力と,アイテムカードによる特殊効果があるため,能力を持たない役職を引いた場合や,早期にゲームから脱落してしまった場合でも,見ているだけにならないのが特徴と言える。同作のように,表向きの役職(キャラクター)と裏の役職があるタイプは,人狼バリエーションの中でも人気があり,可能性を感じるタイトルといえる。

「人狼系なりきり推理ゲーム ダンガンロンパ1・2 超高校級の人狼」
制作・販売:アルジャーノンプロダクト/価格:3150円(税込)/プレイ時間:30〜70分/プレイ人数:5〜17人
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「人狼系なりきり推理ゲーム ダンガンロンパ1・2 超高校級の人狼」公式サイト



■「狼の血(Blood of the Werewolf)」

 インディアンポーカーのルールを取り入れた,台湾製のユニークな人狼バリエーションゲーム。通常の人狼とは違い,“自分以外の”役職がすべて分かっている状態からスタートするのが特徴で,むしろ自分が何者であるかを推理するゲームとなっている。自分の正体を知るためには,「密書」としてプレイヤー間を行き来する,配られなかった2枚のカードの中身を知る必要があるのだが,2通とも自分の所に集めてしまうと,その時点でゲームから脱落してしまうというジレンマがある。ディベート的なテクニックがあまり要求されないシステムということもあり,本家の人狼とはまた違った駆け引きが楽しめる。

「狼の血(Blood of the Werewolf)」
制作:Homosapiens LAB/販売:ゲームストア・バネストの通販など/価格:1200円(税込)/プレイ時間: 15分/プレイ人数:4〜9人
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■「究極の人狼 異端審問 完全日本語版」

 プレイヤー自身が役職を持った村人になるのではなく,村の外部から来た異端審問官という立場から,村に潜む人狼を見つけだすという趣向のバリエーションゲーム。村人は机に並べられたカードとして表され,この中から人狼を見つけ出すのがゲームの目的となる。ただしプレイヤーたる異端審問官の中にも人狼の味方が潜んでいるため,彼らの妨害工作により捜査は難航を極める。
 プレイヤーは疑われても食べられたり処刑されたりすることがなく,最後まで脱落することなくゲームに参加できるのがポイントといえる。またGMが不要という点でも遊びやすい(関連記事)。

「究極の人狼 異端審問 完全日本語版」
制作:Bezier Games/販売:アークライト/価格:3150円(税込)/プレイ時間:30〜60分/プレイ人数:3〜12人
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「究極の人狼 異端審問 完全日本語版」公式サイト



■「レジスタンス」

 政府に仇なすテロ組織の構成員となったプレイヤー達が,秘密裏に任務の達成を目指すという主旨の正体隠匿系カードゲーム。ターン毎に変わるリーダーが,プレイヤーの中から選抜部隊を選んで任務遂行に当たるのだが,プレイヤーの中には政府のスパイが混じっており,メンバーの中に彼らがいると,任務はおおむね失敗となってしまう。3回以上任務に失敗するとスパイ側の勝ちとなってしまうので,それまでにスパイを見つけ出さなければならない。「究極の人狼 異端審問」 と同じく,ゲーム終了まで脱落者を作らないシステムが特徴と言える。
 またSFモチーフからアーサー王伝説に世界観を変えた続編「レジスタンス:アヴァロン」も発売されている。こちらは円卓の騎士となったプレイヤー達が,宿敵モードレットが放った暗殺者の邪魔をかわしつつ,聖杯の探索を成功させるという内容だ。

「レジスタンス」(写真左)
制作:Indie Boards and Cards/販売:ホビージャパン/価格:1890円(税込)※/プレイ時間:30分/プレイ人数:5〜10人 ※「レジスタンス:アヴァロン」(写真右)は2100円(税込)
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「レジスタンス」公式サイト

「レジスタンス:アヴァロン」公式サイト



■「悪魔城への馬車」

 2つの秘密結社のメンバーが,たまたま乗り合わせた悪魔城行きの馬車の中で,虚々実々の心理戦を繰り広げるという正体隠匿ゲーム。直接的な議論ではなく,アイテムカードの取引を通して敵と味方を判別していくシステムで,勝利条件となるアイテム(「聖杯」もしくは「鍵」)を先に集めた陣営が勝ちとなる。人狼よりもカードゲーム的なプレイフィールになっており,議論が苦手という人にもオススメできるタイトルだ。

「悪魔城への馬車」
制作:daVinci Editrice S.r.l./販売:アークライト/価格:2940円(税込)/プレイ時間:20〜40分/プレイ人数:4〜8人
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「悪魔城への馬車」公式サイト



■「ブラッドバウンド」

 敵対する二つの闇の勢力が,互いのリーダーを探り合う。プレイヤーは自身の組織内の序列と特殊能力を持っており,先に相手のリーダー(最高序列者)を倒せれば勝ちとなるのだが……間違った相手を殺してしまうと負けとなるので,まずは誰が敵と味方のリーダーが誰なのかを探り合うこととなる。特殊能力を使えばゲームを有利に進められるものの,逆に敵陣営に自分の正体=序列を明かすことになりかねず,このジレンマが面白い。やるべきことが分かりやすく,1プレイの時間も短いので,ついつい繰り返し遊びたくなる魅力がある(関連記事)。

「ブラッドバウンド」
制作:Fantasy Flight Games/販売:アークライト/価格:2730円/プレイ時間:30分/プレイ人数:6〜12人
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「ブラッドバウンド 完全日本語版」公式サイト



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同人サークル制作による人狼バリエーションも,少しだが写真で紹介していこう。こちらはカードイラストが美しい,サークル・月世界通信の「トガの人狼」。最近追加のカードセットも発売された
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サークル・楽々亭の「月夜の人狼」は,「究極の人狼」を超える55種類の役職を収録した人狼ゲーム。写真は限定の豪華革装箱バージョンだ。同サークルからは,学園を舞台に遊ぶ「箱庭の人狼」というタイトルもリリースされている
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サークル・もんはみ工房制作による「人狼外伝〜霊界乃鬼編・改〜」。「超高校級の人狼」と同じく,表の役職と裏の役職があるタイプで,生者による昼の議論だけでなく,死者によって呪殺者を決定する,夜の議論があるのが特徴となっている
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サークル・Phandprapの「こびと人狼」。ベーシックな9役職のみというオーソドックスな作りだが,こびとさんの風情溢れるイラストが可愛いらしい。童話のような雰囲気で,いつもとは違った雰囲気が楽しめるかも
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サークル・Short Lineの「新撰組 壬生狼」は,新撰組をモチーフにした人狼カード。ブーム前夜の2007年に発売されたタイトルながら,なかなかにスタイリッシュだ
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タンサンファブリークと賽苑が,関西のゲーム大好きアイドル「やおよろズ」とのコラボで制作したという「闇おちアイドル」。アイドルが合コンしてフライデーされちゃうという内容

■ネットで話題の「量子人狼」とは?
 
CiSRA Puzzle Competitionサイト内の「Quantum Werewolf」解説ページ。ちなみにCiSRAとはオーストラリアにあるキヤノンの海外研究開発拠点とのことで,このパズルコンペティションは,同研究所が人材発掘を目的とし,現地の学生を対象に開いているものだという
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 数ある人狼バリエーションの中でも,とくに変わり種なものに「量子人狼」というものがある。すべてのプレイヤーの役職が未確定な状況からスタートし,プレイ中の立ち回りによって,確率的に役職が決まっていくというこのゲームは,2013年夏頃に日本で紹介され,インターネットを中心に話題となった。

 この量子人狼,発端は2008年にオーストラリアで開催されたパズルコンペティション「CiSRA Puzzle Competition 2008」にまでさかのぼる。ここで出題されたパズルの問題の一つに「シュレーディンガーの狼(Schrödinger's Wolves.)」pdf)があり,その出題者であるSteven Irrgang氏によって提唱されたのが,このパズルの元となった「量子人狼(Quantum Werewolf)」なのだ。

 ルールの具体的な説明は,先のWebサイトおよびその翻訳に譲るが,自分も含めたすべてのプレイヤーの役職が,確率的にしか分からないため,複雑怪奇な状況が度々発生することになる。
 自分が人狼や予言者である確率が残っている間は,毎夜ごと,襲撃先と占う相手をともに指定しなければならないし,誰かの役職が人狼に収束した時点で,そのプレイヤーがこれまで襲撃先としていた人物が,「過去に遡り」死体となって発見される。

 実際にプレイにあたっては,通常の人狼のそれに加え「投票・占いなどの各行動によって変動する情報量」をコントロールする視点が必要となるわけだが……そもそも現時点ではゲームとして成立しているのかどうかも定かではない。しかし,とにかく発生する状況のカオスっぷりが面白いので,まずはそれを楽しんでみるのが良いのではないだろうか。

 なお量子人狼をプレイするためには,毎ターンごとに膨大な確率計算が発生するため,それを自動化するコンピュータの補助が必須となる。ネット人狼であれば,「こちら」のサイトでプレイ可能なほか,オフラインでのプレイを実現する専用ソフトも(海外製のため英語だが)開発されている。興味のある人は,試してみてはいかがだろうか。

量子人狼の確率計算を行ってくれるソフト「QWolf」
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本当は怖い(かもしれない)人狼ゲーム


 今回は人狼ゲームについて,主にその成り立ちと現状について解説してきた。バリエーション型人狼の項でも簡単に説明したが,人狼ゲームは,元々いくつかの弱点を抱えている。
 脱落者が発生するタイプのゲームであるため,死んでしまってからは村の行く末を見守ることしかできず,かなり手持ちぶさたになってしまう。また参加人数にもよるが,1プレイに1時間ほどかかるので,運悪く始めの方で死んでしまった場合などは,かなり待たされることになる(それはそれで面白いという見方もあるが)。そしてそもそも,プレイするために必要となる人数が多いため,プレイのハードルも高いといわざるを得ないだろう。

 だが,それ以上に人を選ぶのは,本作が意外にストレスフルなゲームである点だろう。明日をも知れぬ極限状態の中で,生き残るために嘘をつかなくてはならない。判断材料に乏しいなかで,誰かを糾弾せねばならないという本作の構造は,ディベートになれていない人にとっては,なかなかにしんどい作業といえる。

不慣れな人にとっては意外にストレスフルな人狼ゲーム。それゆえに,自分の主張を信じてもらえた(あるいは騙し通せた)ときの喜びは格別なのだが……
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 もちろん,そうした緊張感やホラーのテイストが,本作の持つ魅力であるのは間違いない。村人側で,恐怖と虚偽を乗り越えて勝利したときの喜びは大きいし,人狼側で悪を演じる楽しさ,劣勢をはねのけて勝利できたときの満足度は格別だ。ただ筆者のようなアナログゲーム畑の者から見ても,かなりハードな推理ゲームと感じるので,まったく向かない人がいることも覚えておくべきだ。そういう意味でも,人狼は実は,かなり“怖い”ゲームといっていいのではないだろうか。

 では,そんなストレスフルで“怖い”ゲームが,なぜこんなにも幅広い層から指示され,ブームになるほど市民権を得るにいたったのか。特集第二回となる次回は,その疑問に答えを出すべく,日本における人狼ブームの立役者の4名――ドロッセルマイヤーズの渡辺範明氏真城七子氏「ドイツゲームスペース@渋谷」を運営する児玉 健氏,「ワンナイト人狼」の作者である奥井晶久氏にお話を伺ってみたいと思う。


 
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    ボードゲーム(アークライト)

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