インタビュー
「遙かなる時空の中で5 風花記」のメインキャスト10人にインタビュー。アフレコ収録後に「風花記」の見どころを聞いてきた
八戸 亮さん(リンドウ役)インタビュー
――アフレコを終えた感想はどうでしたか?
勉強させてもらいながらだったので時間がかかってしまったんですが,初めてのアフレコが,大好きな「遙かなる時空の中で」だったというのはありがたかったし,嬉しかったです。
――普段の演技と声だけの演技の違いはどうでしたか?
八戸さん:
体を使った演技の場合,目に見えている情景があります。でも,声だけの演技は,隔離されたスタジオで,相手がどこにいるであるとか,相手の気持であるとか,全部自分の頭の中で想像しながらやらないといけませんよね。そこに違いは感じました。難しかったです。
――リンドウという新キャラを演じましたが,どういったキャラクターでしたか?
八戸さん:
頭はいいんですけど,テキトウというか,あまり人とかモノに興味がなくて,でもそれが格好良さになっているという大人の男性ですね。それが神子である主人公に出会って,変わっていくというのが面白いと思います。
――リンドウとご自身で,共通点のようなものはありましたか?
八戸さん:
人や物にあまり興味がないところですかね(笑)。執着がないところとか,すごく似ていると思います。演じるときに気持ちは入りやすかったですし,キャラ作りの認識も監督さんと同じだったみたいです。
――八戸さんが今,守りたいものは何ですか?
八戸さん:
大事なものですよね……。PS3かPSPですかね。あと,アニメがいっぱい入っているハードディスク……はtorneなので,やっぱりPS3ですね(笑)。ゲームもアニメも大好きなんですよ。
――見どころや注目してほしいポイントはどこですか?
八戸さん:
「遙かなる時空の中で」シリーズはプレイしているんですけど,「5」をプレイしたのは,このお仕事をいただいてからだったんですよ。久しぶりに遊んだら,「やっぱりいいな」って。男の俺でもキュンキュンしちゃうんです(笑)。
彼らは,今の時代の男に足りないものを持っているような気がします。女性を惑わす力というか,惚れてもらう力というか,そういうのが,乙女ゲームにはあると思うんですよね。
僕も普段はテキトウですけど,今回はちゃんと演じたので惚れてほしいですね(笑)。
――リンドウ以外に,気になるキャラクターがいたら教えてください。
八戸さん:
福地桜智です。あそこまでのイケメンもなかなかいないでしょうし,そんな人が「大好き! 大好き!」ってなったら,女性はすぐにオチちゃうんじゃないかと思います。俺も惚れました(笑)。
――初めてのアフレコでしたが,難しかったところはどこでしたか?
八戸さん:
やはり,情景が変わっていくのを,声だけで表現するのは難しかったですね。頭の中にビジョンがないとできないんだなと。アニメを見ている分には,もう少し簡単なのかなと思っていたんですけど(笑)。
また,リンドウに惚れさせないといけないと思って,セリフ一言一言がすべて決めゼリフになるように気を遣いました。
――リンドウのルートを,一言で言い表すとしたらどのような表現になりますか?
八戸さん:
ツンデレの一言ですね(笑)。意外と信念のある男なんだなという感じなのですが,最初はツンというかひどい奴です。
――戦闘シーンでは,技とか術は使うんですか?
八戸さん:
技や術はセリフにあったので,多分使うんでしょうね(笑)。
――リンドウは,史実を元にしたキャラクターなんですか?
八戸さん:
それは秘密です。ゲームをプレイして確かめていただければと。
――リンドウ以外で,気になっているキャラクターはいますか?
八戸さん:
ちょっとキャラが近いような気もしますが,小松帯刀ですかね。
自分で「5」をやったときには,小松のことをできる奴だなと思っていたので。目立つシーンではないですけど,頭脳戦のような場面があったときには「いいなあ」と思いました。
――実際に,乙女ゲーム特有の甘いセリフを演じるときに,照れのようなものを感じましたか?
八戸さん:
抵抗はぜんぜんなかったです。普段から,アニメやゲームで慣れ親しんでいますから(笑)。
――八葉の面々と行動を共にすることはあるんですか?
八戸さん:
リンドウさんの立ち位置は,江戸の案内役プラス,神子のベビーシッターみたいな感じですかね。修学旅行の教頭先生みたいというか。
――読者に向けて,最後にメッセージをお願いします。
八戸さん:
「遙か」シリーズを好きな方は,もちろん「風花記」をプレイしてくれると信じているんですけど,新キャラということで出るリンドウは,演じさせてもらった僕から見てもすごく魅力のある男なので,一番の推しキャラになってくれたらと思います。そして,ぜひリンドウの甘さにとろけてください。
――ありがとうございました。
安元洋貴さん(高杉晋作役)インタビュー
――アフレコを終えた感想をお願いします。
前に演じてから結構時間が経っていて,その間にキャラクターソングを録ったりイベントに出演したりといろいろあったので,自分の役に対する接し方がちょっと変わった気がしました。
――イベントとは感覚が違いましたか?
安元さん:
やっぱり,イベントって人のリアクションがあるので,そのリアクションを待ったり,人との対話が噛みあうものになったりします。
イベントが終わったばかりでの収録だったので,それを修正して,本来あるべき姿に戻すというのを,意識的にやらなければいけない部分があったんです。そのあたりは,大変とまでは言わないですけど,面白いギャップがあったので,前とは違う楽しさがありましたね。
――本来あるべき姿に戻すというのは,具体的にどのようなところなんですか?
安元さん:
一番は間ですね。たとえば,人が実際にいる,人が見ている前提の間尺でやるのとは違うので。
イベントに出たのは,ゲームの収録が終わってから結構経ってからだったんですが,そのときに自分がしゃべることに対して,たとえばお客様のリアクションがありますよね。また僕は比較的,台本があっても演者を見て,話しかけるように演じるんですけど,それを汲んで,振り返る間を作ってくれる方もいました。
そういう,イベントで作ったキャラクターがあったけど,ゲームではプレイする皆さんが心の中で声を当てているか,高橋美佳子さんが演じている蓮水ゆきとの絡みになってくるから,多少ギャップがあるんですよね。
――今回演じるにあたって,気をつけた点はどこですか?
安元さん:
感情を出しすぎない,というところですかね。かといって引っ込め過ぎず,出せる時には出してという。
特殊なんですけど,人の話を聞けるマイペースなキャラクターだと思うんで,その軸がぶれないよう,難しくはないですけど意識しました。
――今回,あらためて高杉晋作を演じて,発見などはありましたか?
安元さん:
お話は「if」の部分など広げたシーンがもちろんあるんですが,そこで「優しくなったな」と思いました。シナリオ的にも,認めることを素直にするようになったなと。それは成長なのかもしれませんが。
――主人公に対して認めるようになったということですか?
安元さん:
そうですね。主に蓮水ゆき,神子に向かってですけど。対龍馬などの八葉にしてもそうだし,武人であろうとしていた人が,ちょっと人っぽくなりましたね。
――高杉晋作というキャラクターと安元さん自身に共通点はありましたか?
安元さん:
山口県人ってところじゃないですかね(笑)。
そうですね……,高杉は強いんだけどそれは強がりで,本当は甘えたい時もあるんじゃないかなと思ったことがあるんです。実際,彼は僕よりも何倍も強いですけど,強がりというところは似ているんじゃないかなと思います。
――本作のコンセプトは「命をかけて大切なものを守る」というものですが,安元さんが守りたいものはなんですか?
安元さん:
友達だったり家族だったり,自分にまつわる人ですかね。でもそれは,自分を含めてです。自分を形成している世界ごと守りたいですね。人がいないと自分はいないんで。
――本作の見どころ,注目ポイントを教えてください。
安元さん:
「遙か5」をやった人には,根幹にあるシナリオが,結構びっくりするものになっていると思うんですよ。ネタバレになるから言えないんですけど,桐生 祟の話には,僕も驚いたので。話自体が,見どころと言うか,聴きどころというか,遊びどころというか,皆さんが想像しているシナリオとは,ちょっと違うと思いますね。そのあたりは面白かったです。
直接,高杉晋作としては絡んでいないんですけど,実際に自分でシナリオを読んだりゲームをプレイしたりした感覚なんですが,祟くんのキャラクター自体が,面白い広がり方をしているんですね。思った人が思ったとおりではないので,僕はそこが一番驚いたところですね。
――「風花記」は,前作よりも甘いものになっていますか?
安元さん:
セリフとしては,甘めになっていますね。ただキャラとしては朴訥なところがある人だから,なんとか甘甘にはならないように,高杉晋作でいようとはしましたし,そのようにディレクションしていただいたと思います。個人的には,「結構言うね」と思いましたが(笑)。
――安元さんが「遙か5」をプレイして,男性視点から見て面白いと感じたところはどこですか?
安元さん:
基本的には恋愛アドベンチャーなんですけど,RPGの要素が強く入っているんですね。やっぱり女性が多いので,ライトユーザーでもすんなりできる作りになっているけど,実は戦闘システムのところや,自分なりに連携で順繰りにやると面白いことができるとか,スチルを集めるとか,やり込み要素もありますし。
人を追い込むやり込み要素ではないんですけど,普通に楽しく攻略していくと積み重なって埋まっていくので,長いこと遊べるゲームだと思いましたね。
――ゲームの中でお気に入りは誰ですか?
安元さん:
お気に入りですか……,ここは神子といっておきましょう(笑)。
――安元さんが高杉晋作と友達としてそばにいると仮定して,一緒に出かけるとしたらどこがいいと思いますか?
安元さん:
初台にある刀剣博物館とか,虎ノ門にある刀屋さんに行くんじゃないですかね(笑)。長い得物を持っている人だから,好きなんじゃないかなと。
あと,彼はお酒が飲めるので,おいしい日本酒,山口県の「獺祭(だっさい)」を飲みに行くと思います。
それから,梶田くん※の家を掃除に行きます。あいつの大切な物を全部ぶった切ってきます(笑)。
※4Gamerではおなじみ,ゲームライターのマフィア梶田氏
――今回の高杉晋作ルートを一言で表現するとしたら,どんな言葉になりますか?
安元さん:
やっぱり,質実剛健ですね。でもやや甘です。甘いのは,家老とかに任せておきます。
――今回,ゆき以外で,高杉晋作にかかわりのあるキャラクターはいましたか?
安元さん:
これは難しいところですね。ボイスがあるシーンだとほとんどないんですよ。せいぜい龍馬ですかね(笑)。
――それは,どんなシーンなんですか。
安元さん:
新キャラのリンドウの紹介といえばいいんですかね。リンドウが表に出てきたときに,たまたま高杉晋作が龍馬と一緒にいて,そこに神子が絡んで話が進んでいく,という感じです。
――今回登場するキャラクターの中で,気になるのは誰ですか?
安元さん:
竹本英史ですね。桜智ではなく。
桜智は面白い人だなと思いますけど,竹本英史はよく分からないと思って。彼はどこまで行ってしまうんだろうと。これからの竹本英史に注目です。ずっと彼だけ見ていきましょう(笑)。
――最後に,読者に向けてメッセージをお願いします。
安元さん:
4Gamer.netをご覧の皆さんこんにちは。梶田くんが一生懸命コラムを書いているんで,読んでください(笑)。
「遙かなる時空の中で5 風花記」は,筋が通った恋愛アドベンチャーですが,RPGっぽいところもありますし,もっと大きなくくりにしてもいいんじゃないかな,というくらい要素がいろいろあるゲームです。
いやゆる乙女ゲームと思わずに,1ゲームとして取り組んでいただけると,僕らも喜びます。楽しめると思いますので,ぜひぜひよろしくお願いします。
あと,梶田くんの部屋を掃除して,あの人形を大破してください。
――ありがとうございました(笑)。
「遙かなる時空の中で5 風花記」公式サイト
「遙かなる時空の中で5」公式サイト
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イラスト/水野十子 (C) TECMO KOEI GAMES CO., LTD. All rights reserved.