インタビュー
「魔法少女まどか☆マギカ オンライン」の大型コンテンツ「ワルプルギスの夜」がやってくる……と,その前にゲーム運営についていろいろ聞いてみた
こと「まどか☆マギカ」で「ワルプルギスの夜」というと,非常に重要なアップデートであると察する人も多いだろう。さっそく,新コンテンツについて同社運営部ブラウザグループ グループリーダーの松岡比呂美氏に話を聞いてきた……のだが,このゲームについてはまったくの新コンテンツよりも,実装予定だったコンテンツや現状のゲームそのものがどうなるのかを気にしている人のほうが多いかもしれない。
ただ,想像以上に人が集まりすぎたというのもあるのだろうが,サービス開始直後は接続トラブルなどが多発し,メンテナンスの遅れや再メンテなどトラブルが尽きず,運営に対する評価は,控えめに言ってもかなり低いところに留まっている。
ある程度オンラインゲームをプレイしていれば,サービス初期のトラブルに慣れている人も多いだろうが,そうでない人にはゲームは「動いて当然」という思いもあるのだろうか。メンテ告知や再メンテ,作業の不手際も重なって,アップデートを行うたび,Twitter公式ハッシュタグでのタイムラインが荒れまくっていた。
そんな状況で行われる大型アップデートなので,今回はゲーム運営の問題にも踏み込んで幅広く話を聞いてみた。
「ワルプルギスの夜」特設サイト
本日はよろしくお願いします。
今回は本題の「ワルプルギスの夜」の前に,ゲーム運営についていろいろ聞いてみたいと思います。まず,サービス前のインタビューでは「間口の広いゲームにしたい」というメッセージがあり,実際,ゲームの仕様などもそのようになっていると思うのですが,正式サービス後に展開されているキャンペーンなどを見ると,非常にコアな人だけを狙った展開が行われているように見えます。
松岡氏:
問題にされているのは主にキャンペーンのことでしょうか。
4Gamer:
そうですね。「一発3万円」のキャンペーンは,ほかではちょっとないと思いますし。
どちらかというと内容よりも「高い」というのが真っ先に感じられることが問題です。ぱっと見の金額が違うだけで,プレイヤーへの印象がまったく違っていたのではないかと思っています。
状況が分からない人のために補足しておくと,魔法少女まどか☆マギカ オンラインのマネタイズは,行動ポイント(AP)回復薬(1個100円)とプラチナチケット(3枚300円)の販売のみの2種類と非常にシンプルだ(キャンペーンによっては多少増える)。中心となるのはプラチナチケットの販売で,これを3枚使用してプラチナキュゥべえBOX(以下プラチナQB Box)を回し,アイテムカードやスキルカードを入手することになる。
非常に簡素な,アイテムモールの品揃え
プレイヤーのニーズは,ほぼ「強力な武器」に集約される。カードにはN,R,RR,S,SS,Uのグレードがあり,非課金のガチャではN〜Sグレードのカードが出るバラエティQB Box,R〜SSグレードのカードが出るスペシャルQB Boxも用意されている。ただし,それぞれ最高位のグレードのカードが出てくる率はかなり低く,武器が出てくる確率はさらに低い。
プラチナQB BoxではS〜Uグレードのカードが出るようになっているが,大半はSカードであり,SS以上のものが出てくる率は16%となっている。武器に限定すると,2%くらいがせいぜいだと思われる。
今回問題として挙がっているキャンペーンは,「プラチナQB Boxを100回開けるとSS武器をプレゼント」といったもので,初期のキャンペーンでは実装されている最強の武器がプレゼントされていた。
ガチャでアイテムを入手するゲームの場合,希望のアイテムを入手するには数十万円かかるようなものも存在するので,実は結構良心的な設定とも言えるのだが,とにかくプレイヤーに対しての提示の仕方が悪かったように思う。サービス開始からある程度経過して「SS武器なかなか出ないね」という雰囲気になったところでこういうキャンペーンをすれば印象も違ったと思うのだが,サービス開始直後に「3万円で最強武器を手に入れよう」的な提示が行われていたのだ。
なにもしないよりはプレイヤーにとって有益なキャンペーンなのだが,半端な利用額では恩恵が薄かったことや,これ以外のキャンペーンでもあからさまにお金を使わせるための企画が連発されたため,かなりプレイヤーの心証を害していたように思われる。
松岡氏:
当初,「間口の広いゲームにする」と言っていたのですが,キャンペーンなどでターゲットを狭めてしまったというのはあると思います。サービスを長く続けるためにはどうしたらいいのかという視点には欠けていたかもしれません。
なぜ間口が狭くなったのでしょうか。
松岡氏:
私がこのチームに入ったときには,すでにかなり間口が狭まっていました。運営としても間口を広げようという思いはあるのですが,やっている施策が間口を狭めるようなものばかりになっていることに問題があるようですね。
4Gamer:
では,ゲームのターゲットについては広げていく方針ということでよろしいでしょうか。
松岡氏:
はい。ブラウザゲームですし,間口を広げることは必須だと思っています。運営としては間口を広げていこうとしているのですが,キャンペーンなどが足を引っ張っているというご指摘ですよね。
4Gamer:
ゲーム自体の間口は非常に広いと思います。個人的には,オンライン要素の少なさがよい点ではないかと考えています。面倒なことがなにもありませんので。
松岡氏:
そうですね。ほかのゲームが難しくてこのゲームをやっているという人もいると思います。そういった層に,もっとリーチしていかなければいけませんね。
4Gamer:
そうなると,ゲーム内容は十分シンプルですので,あとは値段だけでしょうか。
その辺は改善しないといけないかなと考えています。
4Gamer:
年末のSS武器キャンペーンでは,最初それまでより価格が下げられていましたので,少し改善されるのかなと思ったのですが,追加で3万円コースになっちゃいましたよね。
松岡氏:
SS武器以外に魔法少女や衣装,アクセサリなどの価値を新たに加えて,SS武器だけじゃないものを提供しようという方針でした。ただ,それで価格を上げたと取られてしまうのは運営の本意ではありませんので,変えていかなければならない部分だと思います。
4Gamer:
結局,金額が3万円ですので,「安くする気はないんだ」というところだけ目立ったように思います。3万円以外に途中に段階を設けてきたのは非常によいことだと思いますが。
また,魔法少女はすでに保持しているとチケットに還元されちゃいますよね。結果的に当たりの魔法少女を持っているほど当たり確率が低くなります。このあたりは,消費者庁がコンプガチャで問題視していた「確率の錯覚」と同様のことが発生していると思われますが(関連記事)。
松岡氏:
せっかく高レアなものを取っているのにチケット戻されてしまいますので,こちらでも仕様に問題はあると認識はしています。この部分は直したいんですけど,現状のシステムでは簡単に直せないところなのです。しばらくお待ちください。
4Gamer:
ちなみに開発は自社で行われているのでしょうか。
松岡氏:
開発は外注ですが仕様はこちらから出していますので,問題があるとしたら弊社側ということになりますね。
なぜプレイヤーの信頼を失っていったのか
4Gamer:
4Gamerでの読者レビューやTwitterでのつぶやきを見ても,現状では,プレイヤーの運営に対する信用度は極端に低下しているように思われます。いろいろとトラブルが多かったのも事実ですが,運営サイドとしては,どのあたりを問題視していますか。
松岡氏:
大きなものではアイテムの誤配でしょうか。多くのプレイヤーの方にご迷惑をおかけしてしまいました。
状況を説明しておくと,イベントの報酬であるスペシャルチケット配布で,一部のプレイヤーに間違って大量のプラチナチケットが配布されるというミスがあり,一時的に緊急メンテナンスなどが行われた。対応としては,対象者のみメンテナンス前の時点まで巻き戻されるという措置が取られたが,これによって数日間プレイできない人が発生していた。その時期にプレイ回数を多く必要とするイベントが開催されていたことや,誤配布されたプラチナチケットをすでに使用していた人についての巻き戻しが適切に行われなかったことで物議を醸していた。
4Gamer:
基本的な対応はそう間違っていなかったように思えるのですが,説明や補償が十分なものではではなかったかもしれません。また,部分的に巻き戻しされないままになっていた点が不透明でしたね。手持ちのチケットと運営側からは区別できないという事情が分からないわけではないのですが,不公平感を抱いた人が出てくるのも当然だったのではないかと思います。
ところで,Twitterでは最近のイベントでも「アイテムが二つきた」みたいな話を聞きますが,それは大丈夫ですか?
松岡氏:
あれは大丈夫です。
4Gamer:
本当に?
大丈夫です。ただ,そういったことが起こっているのは事実ですし,完全になくなるとは断言できないのですが,現在は作業工程の改善が進んでいますので,今後は確実に減ってくると思います。
4Gamer:
こういったことが起きる原因というのは,手作業でアイテム配布を行っているからでしょうか。イベントやキャンペーンが相当多いですし,結構複雑な内容ですから,ちょっと無理はありませんか。
松岡氏:
現在は手作業ですね。イベントなどのアイテム配布につきましては,今後システム化していく予定です。サービスを充実させる前にそういう体制をとることが重要だと考えています。
なにかと疑惑を呼んでいるゲームの仕様について聞く
4Gamer:
プレイヤーからの信用度が低下しているためか,ゲーム仕様の端々が「運営の悪意」によるもののように見られているような節があります。これはゲーム仕様で不透明なところが多いのも一因でしょう。ちょっと突っ込んだところを確認しますが,まず,サイコロの目。あれは完全にランダムなものでしょうか。それともなんらかのプレイヤーの操作が反映されているものでしょうか。
松岡氏:
そこは完全にランダムです。ゲーム中のサイコロの目についてはなにも手を加えておりません。
4Gamer:
それにしては,かなり偏りが出ているようですね。乱数の品質が低いのであればプログラムを見直したほうがよいかと思います。
ついでにお聞きしますが,キュウべえBOXの開封で乱数と開封時間の関連はありますか? いわゆる「50分教」という奴で(編注:毎時50分にガチャでよいものが当たりやすいという,サービス初期にあった都市伝説みたいなもの),私はまったく信じていなかったのですが,初めて100枚プラチナチケットを開けたときに,いきなりSとSSがもの凄い勢いで連続したことがありまして,なにが起こったのかと時計を見ると,ちょうど50分を回ったところだったという……。実は,毎回乱数のシードにdateの時間のところだけを入れてたりしませんか?
松岡氏:
いえ,ありません。
4Gamer:
現在の戦闘システムと言いますか,各種パラメータのバランスについてお聞きします。
対戦ではほぼ攻撃力しか意味がなく,一撃必殺が基本で大雑把と言いますか,普通のゲームだとちょっとないようなところで成り立っているゲームですよね。このあたりは変更する予定はあるのでしょうか。
松岡氏:
対戦マップでの罠や薬に意味がないとか,対戦に限っていえば攻撃力以外のパラメータに意味がないという指摘はいただいています。しかし,現状では大きく変えることは難しいですね。
4Gamer:
なるほど。あのバランスだからゲームが非常にシンプルに収まっているという側面もあるとは思います。
ところで,いわゆる「紳士」については,運営ではどのようにお考えですか。
紳士というのは,対戦時のパーティ構成を一人だけにして,できるだけ弱い構成でエントリーすることを指す言葉だ。それだと対戦で勝てないのではないかと思う人もいるかもしれないが,これには理由がある。本作の対戦モードは非同期仕様であり,他プレイヤーはNPCとして登場するのだが,対戦ではプレイヤーが必ず先攻となることと,独特なゲームバランスであるため,ほぼ必ず一撃で相手をしとめることができてしまう。よって,対戦相手3人が紳士状態であれば,(戦闘地点到着が遅れない限り)プレイヤーが紳士状態でも確実に3人抜きの勝利を収めることができるのだ。3人の紳士がいない場合は運任せとなるため,勝率は低下する。本作の対戦モードで勝率を上げる最適解,それが紳士なのである。このことから,必要時以外はパーティ編成を解くことが半ばマナー化している。
ゲームとして考えますと,こちらの意図した対戦が行われておりませんので,あまり好ましいことではないと思っています。「対戦では攻撃力以外意味がない」といったパラメータのバランスについても,本音で言えば手をつけたい部分ではあるのですが,影響範囲が大きすぎますので,なかなか手を加えることは難しいとも思っています。
4Gamer:
ところで対戦モードのマッチングリストはどういう風に作られているのでしょうか。ときどき微妙に変わったりしますよね。リスト作成時にお客様がオンラインであるか,クエスト中であるかといったことは影響しますか。
松岡氏:
リストはサーバーで一定時間ごとに更新して,クライアントで拾っています。お客様のログイン状態については関係ありません。マッチングはレベルなどいくつかの数字を参照し,いろいろな条件を考慮して行っており,ランクごとにレベル帯で区切られています。
4Gamer:
どういうタイミングで変わるのでしょうか。
松岡氏:
一定時間で取ってきているだけのはずなのですが,リストが変わらないという声はよく聞きますね。
4Gamer:
実感では2パターンくらいが出てくるように思えます。ここがあまり変わってくれないので,運が悪いとずっと負け続ける人も出ることも考えられますよね。例えば,リストをまったく違うものに更新するアイテムとかは無理なんでしょうか。
松岡氏:
いえ,可能だと思いますよ。どういう影響があるのかなどは精査しなければなりませんが。
常識で考えると,100%の効率なんてのは「ゲームの不具合扱い」されてもしかたないと思うのですが,このゲームでは,すでに紳士状態での勝利効率を基準として考える人が多いようですから難しいですよね。中途半端に努力しても結果に反映されない以上,1か0かのほうが分かりやすいというのはあります。
松岡氏:
現状でそこに手を付けるのは難しいですね。例えば魔女の強さなど多くの部分に影響が出ますので。
4Gamer:
へたに変更すると,どえらい騒ぎになると思います(笑)。
さて,最近のクエストマップは非常に複雑になっているように思うのですが,最短経路を通ると数ステップでゴールできますよね。遠回りを選ぶメリットがほとんどありませんので,複雑なマップは無駄ではありませんか。
松岡氏:
クエストマップには,報酬となる宝箱などが配置されているのですが,それが魅力的でないため,最短距離以外の部分が問題なのでしょうね。もっと遊んで楽しめる要素,例えば普通のすごろくの要素をもっと取り入れてみたり,配置する仕掛けを増やしたり,報酬を改善したりするなどして,通常クエストをプレイする動機を与えつつ,広いマップに意味が出てくるようにしたいと思っています。
続いて協力モードについてです。
協力モードはかなり手こずっているようですね。個人的には,12月にテスト公開された「獲得アイテムがなくならないバージョン」でも十分遊べるかなと思っているのですが。
松岡氏:
同期対戦はゲーム進行が非常に重くなることがあるという点で難航しました。しかし,こちらのほうの解決のメドが立って,いまはだいぶ改善されました。2月中には再開できると思います。
4Gamer:
以前掲載したインタビュー記事では触れていませんでしたが,あの時点で,協力プレイには非同期のものもあると聞いていました。個人的には,そちらのほうがこのゲームの本質部分かと思っていたのですが開発はどうなっているのでしょうか。
松岡氏:
はい。協力プレイは現在の同期モードのものだけでなく非同期のものもやっていきます。
ただ,本作はテストの当初から「魔法少女まどか☆マギカオンライン」というタイトルなのにオンライン要素がないということが問題視されていましたし,お客様同士でのオンラインプレイを楽しみにされている方も多かったので,同期協力モードの実装を優先しました。
もともと同期も非同期もやる方向だったのですが,同期のほうで処理が重くなったりエラーが出たりと問題が出てしまい,非同期の開発は少し遅れてしまっています。
4Gamer:
以前聞いた話では,フレンドさんからを借りてきたキャラクターでパーティを組んでダンジョンに向かって,フレンドさんのところにも多少は報酬が入って……と,実現すればみんなハッピーになりますよね。
松岡氏:
ええ,そう思います。私自身もそういった方向でアピールできるゲームだと思っていますし,せっかくそういったことができる土壌が用意されているわけですから,ちゃんと生かしたいですね。
新コンテンツ「ワルプルギスの夜」と今後の展開
それでは改めまして,本日の本題に入りたいと思います。新コンテンツの「ワルプルギスの夜」というのはどういうものなのでしょうか。
松岡氏:
これは本作のコアコンテンツとなるものです。現時点では最終仕様を詰めている段階となります。
4Gamer:
とりあえずソロ用ではなくて協力タイプのコンテンツみたいですね。名称からして,かなりの難度が予想されるのですが,対象のレベル帯などは想定されているものでしょうか。
松岡氏:
いえ,低レベルでも楽しめるものになっています。クエストや対戦を一通り楽しんだ人が挑戦してみるようなコンテンツになると思います。
4Gamer:
ゲームシステム的にはこれまでのものとは違うものなのでしょうか。それとも特殊クエストの変形のようなものでしょうか。
松岡氏:
システムは新しいものになります。現在ある,通常クエスト,対戦モード,特殊クエストと,まもなく再開される協力プレイに加わる新たなゲームモードですね。
4Gamer:
気になるのは,通常クエストのほうでも打倒ワルプルギスの夜を目指して話が進んでいることです。こっちで倒してしまうといろいろとマズいですよね?
松岡氏:
そうですね。ちょっとマズいですね。
4Gamer:
そうすると,倒せないだろうけど,どれくらいダメージを与えたかで報酬が出るような感じでしょうか。
松岡氏:
そのあたりは順を追って公開していく予定ですので楽しみにしていてください。
4Gamer:
ちなみに報酬については,低レベルの人でももらえるようになっていますか。また,なにか特別なものを用意していますか。
松岡氏:
どのレベル帯でも報酬は受け取れます。もちろん,このコンテンツでしか手に入らないアイテムを用意しています。
4Gamer:
ついでにストーリーについてもお聞きします。
もともと原作は,ワルプルギスの夜襲来までの1か月ほどを中心に展開しており,あまり話を広げる余地がありませんよね。現在の通常クエストの展開からして,さすがにあと何周かするとワルプルギスの夜を倒さないと収拾がつかないように思えます。最強の魔女を倒したあとの展開というのは用意されているのでしょうか。
松岡氏:
はい。ワルプルギスの夜を倒して現在のストーリーに一区切りをつけてから,新章のような形で新しいストーリーが始まります。そちらもちゃんと準備してありますのでご安心ください。
4Gamer:
ちなみに,以前ニコニコ静画でイラストコンテストを開催し,募集していたオリジナル魔法少女はストーリーに絡んでくるのでしょうか。色的には,緑色あたりが足りないので,7人7色揃ったあたりでクライマックスになるのかなと予想しているのですが。
最優秀作品賞を受賞したオリジナル魔法少女は1体だけで,色でいえば白になります。緑色の投入を予想している人も多くいらっしゃるようですが,オリジナルの魔法少女ですので,ストーリー展開とは関係なく投入されるものになります。こちらの最優秀作品賞を受賞されたオリジナル魔法少女については,すでにかなりできあがってきていますのでご期待ください。
4Gamer:
今後の拡張の方針についていろいろ聞いてみたいと思います。まず,ギルド機能についてはどうでしょうか。
松岡氏:
ギルドコンテンツを実装するのが先ですね。現状ではギルドを作ってもやることがありませんので。
4Gamer:
一部で要望の出ているトレード機能についてはいかがですか。
松岡氏:
トレードになるのかオークションのような形になるのかは未定ですが,なんらかの形でアイテムのやり取りを導入したいとは思っています。しかし,こういったものにはRMTの問題がついて回りますので,そのあたりが完全にクリアされた手法が確立されない限り,トレード機能の実装はありません。
4Gamer:
かなりお金を使っている人も多そうなゲームですから,トレード機能がつくと間違いなくRMT業者もやってくるでしょうね。
松岡氏:
アイテムのトラッキングなどもしっかり行う必要がありますし,アカウントハック対策など十分な準備を整えないといけないと考えています。
4Gamer:
ついでにチャット機能についてですが,ホーム画面にある1対1のメッセージシステムのようなものを,もうちょっとなんとかすることはできませんか。
松岡氏:
現在はチャットとも言えないような実装になっていますが,むしろチャットを使うようなコンテンツが協力プレイ以外にないというところが問題ですね。もちろん使いにくい部分を直していくことは必要ですが,ゲームを進めるうえで必須でないのならば,そこに開発力を割くのは得策ではないと考えています。
4Gamer:
確かに,ゲームコミュニティはTwitterが代替しているような感じですし。
松岡氏:
今後のコンテンツ次第ですが,現状では開発の順番としての優先順位は低いですね。ただ,チャットではありませんが,なんらかの形で告知ができる機能をゲーム内に入れたいとは考えています。
4Gamer:
分かりました。コミュニティっぽい要素としては,一応ホーム画面というのが用意されていますが,あれってフレンドが優先で表示されますよね。もう少し変化があってもよいのではないでしょうか。
松岡氏:
それについては社内でも認識しております。ただ,どのように変えるか,変えるとどうなるのかといったイメージがつかめておりませんので手つかずになっています。昨年のクリスマスイベントでホーム画面の背景を変えたことがありましたよね。そのときの反響が大きくて,改めてホーム画面の重要性を再認識いたしました。プレイヤーキャラクターの表示をどうするかなどを変えていくつもりです。また,ホーム画面は,現状ではあまり意味がない画面になっていますので,もう少し意味を持たせる方向で改善したいと思います。
続いて,当初からゲーム仕様には盛り込まれていた「強化ジェム」の実装についてですが,具体的な予定はありますか。
松岡氏:
強化ジェムは,アイテムに取り付ける強化要素ですが,当初考えていたものではゲームバランスに与える影響が大きかったため,現在,仕様を詰め直しているところです。
4Gamer:
テスト段階で実装されたものは,かなりのバランスブレイカーだったとは聞いています。
松岡氏:
テスト時の仕様での実装は考えていません。現在のゲームバランスを大きくは変えないような内容で実装したいと考えています。
4Gamer:
分かりました。これら以外に,今後なにか新しい要素は入ってきますか。
松岡氏:
属性武器というものが登場します。
4Gamer:
それは,五行属性のようなものですか? 火は金に強くて水に弱いとか。
松岡氏:
いえ,そういったものではなく,特定の魔女に対してのみとくに効果を発揮する武器だと考えてください。
4Gamer:
今後,属性武器がないと倒せない魔女が追加されるということでしょうか。
松岡氏:
どちらかといえば,属性武器を使うことで,より有利に戦えるといったものになります。
なるほど。それ以外になにかありますか。
松岡氏:
まもなく新プラットフォームでの展開を発表する予定です。
4Gamer:
新プラットフォームは別サーバーですか? それとも現状のサーバーに統合ですか。
松岡氏:
別サーバーですね。これについてはまもなく発表できると思います(参考記事)。
4Gamer:
最後にメッセージをお願いします。
松岡氏:
いままでいろいろ問題はありまして,ご迷惑ばかりおかけしていますので,そろそろお客様にお返しをしていかなければならない時期だと感じています。先日行ったアンケートを見ますと,「現状のコンテンツをどう改善してくれるのか」という問い合わせが大半でした。新しいものよりも,いまあるコンテンツをもっと楽しみたいとおっしゃっていただけるのはありがたいことだと思います。
お客様の「どういうゲームをやりたいのか」というところに,どうすれば近づけていけるのか。これまで裏切り続けている部分が大きいですので,そこに近づけていけるように考えて運営を続けていきたいと思います。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
本作では現在もアップデートのたびにトラブルが発生するような状態が続いているのだが,その根源的な部分を見ると,大半がシステムツールの不備に起因するように思われる。通常のオンラインゲーム開発では,ゲーム本体よりも管理ツールを揃えることが優先されるものである。まあ,管理ツールが気に入らないからと何度も作り直していて,ゲーム本体の開発が進まないようだと本末転倒ではあるのだが,ツールがしっかりしてないとゲーム運営は成り立たないものなのだ。
まどか☆マギカオンラインでは,まずアイテム配布といったところからシステム化が進められていくわけだが,そういったものが揃ってはじめてサービスクオリティについて語れる土台ができあがるわけで,まずは運営の基盤をしっかりと構築することを最優先課題としてほしいところである。
また,ゲームデザインとマネタイズプランの乖離という問題もある。リリースまでにかなり時間のかかったゲームだけに,開発費の回収を急いでいるのかとも思ったのだが,話を聞く限り,単にあまり深く考えずにキャンペーンなどを進めてしまった結果のように感じられた。それが大きな問題につながって,プレイヤーの反発を強める要因になっているわけだ。このあたりの基本認識が改善され,ゲームにあった展開になるだけでもプレイヤーの印象は変わってくるだろう。
なにかと注目を集めやすいタイトルだけに,しっかりとした運営が行われるようになることに期待したい。
(2013年1月16日収録)
「魔法少女まどか☆マギカ オンライン」公式サイト
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