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[GDC 2013]オリジナル版開発者が語る「X-COM: UFO Defense」の誕生物語。Microproseとの出会いがなければ「X-COM」は生まれなかったかも?
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印刷2013/03/29 17:39

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[GDC 2013]オリジナル版開発者が語る「X-COM: UFO Defense」の誕生物語。Microproseとの出会いがなければ「X-COM」は生まれなかったかも?

Julian Gollop氏
画像集#001のサムネイル/[GDC 2013]オリジナル版開発者が語る「X-COM: UFO Defense」の誕生物語。Microproseとの出会いがなければ「X-COM」は生まれなかったかも?
 1994年に発売された「X-COM: UFO Defense」は,アメリカや日本といった国々が協力して作った組織「X-COM」(eXtraterrestrial COMbat unit,対地球外生物戦闘部隊)の活躍を描いた,ターン制のストラテジーゲームだ。
 プレイヤーはX-COMの部隊を編成しつつ研究を重ねて技術力を上げ,迫り来るエイリアンと戦っていく。隊員は死んでしまうと甦らせることができないというシビアさなどが評価され,大ヒットを記録。名作として語り継がれている。

 そんな作品を手がけたゲームデザイナーであるJulian Gollop(ジュリアン・ガラップ)氏による講演「Classic Game Postmortem: X-COM: UFO Defense」(クラシックゲーム回顧録:X-COM: UFO Defense)が,サンフランシスコで開催中のGame Developers Conference 2013で2013年3月28日(現地時間)に行われた。

 Gollop氏は,ゲーム業界に入って30年というベテランだが,今も現役のゲームデザイナーとして作品を作り続けている。そんなGollop氏だが,もともとボードゲームのファンで,中でもストラテジーものを好んで遊び込んでいたそうだ。Gollop氏が「X-COM: UFO Defense」以前に作った「Rebelstar Raiders」「Laser Squad」などのゲームにも,その趣味嗜好が反映されていたという。

Gollop氏のゲーム作りに影響を与えたとされるもの
画像集#002のサムネイル/[GDC 2013]オリジナル版開発者が語る「X-COM: UFO Defense」の誕生物語。Microproseとの出会いがなければ「X-COM」は生まれなかったかも?

Gollop氏が「X-COM: UFO Defense」以前に手がけたゲーム。「Laser Squad」の続編が作られていたら,「X-COM」シリーズは誕生しなかったのかもしれない
画像集#003のサムネイル/[GDC 2013]オリジナル版開発者が語る「X-COM: UFO Defense」の誕生物語。Microproseとの出会いがなければ「X-COM」は生まれなかったかも?

 「Laser Squad」のヒットを受けて,その続編である「Laser Squad II」の開発話が持ち上がったが,もっと規模の大きいゲームを作りたかったGollop氏は,スポンサーとなるパブリッシャを探した。そして,当時TycoonシリーズやCivilizationシリーズといったストラテジーものをヒットさせていた,Microproseと出会ったのである。
 Microproseでは,「Laser Squad」よりも規模の大きいゲームを作るということは了承されたが,続編ではなくまったく別のものを出すよう,提案されたという。

画像集#004のサムネイル/[GDC 2013]オリジナル版開発者が語る「X-COM: UFO Defense」の誕生物語。Microproseとの出会いがなければ「X-COM」は生まれなかったかも?

 企画は,国家レベルではなく地球規模で戦うようなものにしようと話が進み,最終的には,UFOが出てきてエイリアンと戦う,というところに落ち着いた。基礎となるアイデアができた時点で,Microproseのゲームデザインチームに相談し,「X-COM」という名前が決まったそうだ。
 Gollop氏は,この段階まで進んだところで,ゲームの仕様書を用意した。ちなみにGollop氏は,「X-COM」以前に作ったゲームは基本的に一人で全部まかなっていて,仕様などを文書化する必要がなかったため,仕様書を書いたのはこのときが初めてだったという。
 氏が生まれて初めて手がけた仕様書は12ページで完成したが,その出来はお世辞にも褒められるものではなかった。要となるエイリアンのデザインがダメ,基本となるシステムはそのまま作ったら機能しないなど,いいところなしで,結局,最初からすべて書き直したそうだ。しかし,書き直したことで,今度は,頭の中に思い描いていたものを文書化できたとのこと。
 仕様が決まったところでアートチームに相談し,独特なスタイルのアートデザインが固まった。ちなみに,エイリアンのデザインもこの段階で決まったのだが,アイデアとしては,以下の写真のような候補もあったそうである。

エイリアンのデザイン。赤い丸が付いているのが,ゲームに採用されたもの
画像集#005のサムネイル/[GDC 2013]オリジナル版開発者が語る「X-COM: UFO Defense」の誕生物語。Microproseとの出会いがなければ「X-COM」は生まれなかったかも?

 仕様とデザインが決まり,いよいよプログラミングという段階でも,問題が発生した。当初は,Gollop氏がプログラムを担当したのだが,ゲームをごく少人数で作った経験しかなかったため,完全にオーバーワークとなってしまい,結局,ゲームデザインに専念することになった。
 Gollop氏がプログラミングに携わったことで,のちに語り継がれるゲームシステムができあがったので,悪いことばかりではなかった。
 本作のキモとなっているのが,戦闘マップやエイリアンの行動などがプレイするたびに変わる,ランダムプロシージャルジェネレータだ。このシステムによって,少ないアセットでありながら,ゲームのパターンをバラエティ豊かなものにできたとGollop氏は語る。
 また,この経験は,プレイヤーが繰り返し遊んでも飽きないものを目指すという,Gollop氏の以後のゲーム作りにも生かされている。Gollop氏は,ゲームにランダム要素を入れるだけではなく,プレイヤーの行動に合わせて的確な要素を抽出するシステムも作るよう心がけているという。

「X-COM: UFO Defense」の導入パート。マップの大半を黒く塗りつぶして自分のユニットが到達した部分だけを見せる,という手法は「X-COM: UFO Defense」が先駆けで,その後フォロワーが増えたとのこと
画像集#006のサムネイル/[GDC 2013]オリジナル版開発者が語る「X-COM: UFO Defense」の誕生物語。Microproseとの出会いがなければ「X-COM」は生まれなかったかも?

 「X-COM」は,その後Gollop氏の手を離れ,ときにはフライトアクションものなども登場するなど,すべてがヒットしたわけではないが,シリーズを重ねていった。また,2012年に2K Gamesから「XCOM: Enemy Unknown」(※Gollop氏が手がけた「X-COM: UFO Defense」のリメイク作)が発売され,ヒットしたのは記憶に新しいところである。

 冒頭にも書いたように,Gollop氏は現役のゲームデザイナーであり,「Rebelstar: Tactical Command」や「Tom Clancy's Ghost Recon: Shadow Wars」など,2000年以降も相変わらずターン制のストラテジーを作り続けている。なお,氏の最新作である「Chaos Reborn」もやはりターン制のストラテジーで,2014年の発売が予定されている。

  • 関連タイトル:

    XCOM: Enemy Unknown

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