インタビュー
「逆転裁判5」は新規層が安心して入り込め,コアなファンでも満足できる内容に――意欲的な施策の数々を,プロデューサーの江城元秀氏とシナリオディレクターの山﨑 剛氏に聞いてきた
3Dモデルの採用をはじめ,音声付きのセリフやアニメーションパートなど,ナンバリングタイトル初の試みに挑戦
4Gamer:
「逆転裁判5」では,キャラクターが3Dのポリゴンモデルになって,声優のボイスやアニメーションパートが入るというように,ビジュアル面が大きく進化していますよね。開発体制も,これまでのシリーズ作品とは変わったと思いますが。
江城氏:
今回は,ハードがDSから3DSに移行したこともあって,シナリオ担当,プランナー,プログラマーのごく少数のチームで,まずは「何ができるのか」を研究するところから始めました。
山﨑氏:
その時期は,主にハードの研究とゲームデザイン,シナリオをどうするかを考える期間でしたね。中でも,これまで2Dだったキャラクターを3Dにするというのは,大きなチャレンジでした。
アートディレクターの布施が公式開発ブログに載せているのですが,初期に作ったなるほどくんの3Dモデルは,当時は「こんな感じか?」と思っていましたけど,今見ると本当にひどいですから(笑)。
江城氏:
「コレジャナイ感」が半端ないんですよ(笑)。
山﨑氏:
当時は,「うまく3Dに落とし込めないようなら2Dに戻す」くらいの心づもりで研究を進めていたんですよね。
ただ,仮に2Dでやるとしたら,ハードに合わせてゲームも進化しなければいけません。今までDSでできたことを3DSでそのまま再現しても仕方がないですから。
3DSでは滑らかなアニメーションを実現できますから,ヌルヌル動く感じを最大限に生かすには,本物のアニメに負けないくらいの枚数の絵が必要になります。
そうなると,3Dでやるときの1.5倍くらいの人数が必要になってしまうので,実際は,できるかどうか分からなくても,3Dを使う道を選択せざるを得なかったんです。現場は茨の道だったと思いますね。まあ,私は「3D化を目指してくれ」と言うだけなので(笑)。
4Gamer:
これなら3Dモデルでも行けるという感触を得るまでに,どのくらいかかったのでしょうか。
江城氏:
3か月くらいですね。そのタイミングでなるほどくんの原型がようやくできた感じです。
山﨑氏:
結局,なるほどくんは最後の最後までいじり続けましたから,最終的には1年以上かかっているんですけどね(笑)。
江城氏:
実は今回,公式開発ブログで現場のスタッフが開発の裏話を直接書いているんですよ。2Dの原画に似せるための工夫であったり,キャラクターをカッコよく見せるために専用パーツを用意していたりと,製品版のビジュアルに至るまでの過程が事細かに書いてあります。興味のある方は,ぜひ読んでほしいですね。
4Gamer:
セリフが音声付きになったり,アニメーションパートが挿入されたりしている点も,「逆転裁判」のナンバリングタイトルとしては初の試みになりますよね。
江城氏:
そうですね。過去作からの続投キャラについては,東京ゲームショウや10周年記念イベントなどで上映した「特別法廷」に出演していただいている声優さんにお願いしています。新キャラはオーディション形式で選考しました。
【主要キャスト一覧】
成歩堂龍一(CV:近藤孝行さん)
夕神迅(CV:咲野俊介さん)
王泥喜法介(CV:KENNさん)
番轟三(CV:佐藤美一さん)
裁判長(CV:外波山文明さん)希月心音(CV:潘めぐみさん)
御剣怜侍(CV:竹本英史さん)
牙琉響也(CV:楠田敏之さん)
亜内文武(いづみ尚さん)
山﨑氏:
僕は声優さんについてあまり詳しくないので,純粋に声質と演技だけで選びました。
4Gamer:
アニメーションパートの制作はボンズとのことですが,「レイトン教授VS逆転裁判」からの流れでの依頼となったのでしょうか?
そうです。先ほどもお話ししたとおり,「逆転」シリーズを作るには,キャラクター性は強いけれどマニアックに振り過ぎないとか,世界観や考え方が独特であったりとか,言葉にはできない独特のセンスが求められます。
ボンズさんであれば,「レイトン教授VS逆転裁判」でアニメパートを手がけてベースの知識をすでに持っていらっしゃるので,非常に話が早いんじゃないかと。
4Gamer:
なるほど。
江城氏:
もちろん,クオリティに関しても「レイトン教授VS逆転裁判」と同じかそれ以上のものを目指したいですから,依頼できるアニメーションスタジオも限られてきます。その二つの観点から,今回はボンズさんにお願いしました。
ボンズさんの「やるからには中途半端なものは作らない,命懸けでやる」という労力を惜しまない姿勢のおかげで,非常にいい仕上がりになったと思います。「間に合わないかもしれない」とダメ元で出した修正依頼も,納品後にチェックしたら,しっかり直っていましたから。
4Gamer:
アニメーションパートは,ゲームのどのようなシーンに挿入されているのでしょうか。
江城氏:
事件の冒頭や終わりの説明,これまで1枚絵で入れていた説明のカットなど,重要なシーンをアニメーションにしています。
尺は20秒だったり1分だったりと状況によってバラバラですが,重要なシーンや効果的なシーンで使っています。全体的に,これまでのシリーズ作品よりかなりゴージャスな仕上がりで,ドラマのバックボーンがさらに分かりやすくなっていると思います。
心音や夕神のデザインのヒミツや,オドロキくんが包帯姿で登場した本当の理由とは
4Gamer:
ここからは,「逆転裁判5」に登場するキャラクターについて質問させてください。
「逆転」シリーズでは,キャラクターデザインの非常に細かい部分にまで意味が込められていると感じているのですが,「逆転裁判5」でもその伝統は受け継がれていますか?
個人的には,設定やシナリオだけでなく,キャラクターデザインも含めて,すごく「逆転裁判」らしく仕上がったと思っています。
スタッフ全員が,「逆転裁判」のキャラとは何ぞやというイメージをつかむまではカンカンガクガクで大変でしたが,一度イメージを共有できたら,相乗効果でどんどん良くなっていくんですよね。
たとえば,デザイナーが「こう動いたら面白いだろう」というモーションを考えたら,それが面白くなるようにセリフ回しを合わせていったり,その逆もあったりと,非常に密度の高いキャラ作りができました。
江城氏:
スタッフがそういったテンションの高い状態で作ったこともあってか,過去のどの「逆転」シリーズよりも,キャラクターが生き生きしていると思います。2Dっぽいけど3Dで滑らかに動いていて,テンポもいいんですよ。
発売前に公開されているキャラクターのモーションは,全体のごく一部に過ぎませんから,実際に遊んでもらったら,驚いていただけるのではないかと思います。「今回は,どんな動きをするキャラクターがいるのか」と,気にしていただいているファンの皆さんの期待は裏切りません。
4Gamer:
では,キャラクター何人かについて,デザインのこだわりを教えてください。まず,新ヒロインとなる希月心音のポイントはどこでしょうか。
心音のデザインはかなり難航しましたね。
彼女は弁護士であるだけでなく,心理学を学んでいるという側面も持っています。初期は弁護士側に寄せたスーツ姿だったのですが,やはり心理学の要素も出そうとなったときに,アートディレクターの布施が頭を抱えてしまいました。
白衣を着せてみたりもしたんですが,そうすると今度は弁護士に見えないというように,両者を兼ね備えた絵をなかなか表現できなかったんですね。
いろいろと悩んだ結果,心理分析の機能を持った未来的なガジェットの「モニ太」や,それを操作するための手袋などを持たせる,という形に落ち着いたんです。
江城氏:
心音が着ているインナーが白いのは,白衣のイメージから来ているんですよ。バストアップだとスーツのように見えますが,アウターの丈が短いので,腰から上くらいまで引いて見ると,白衣っぽくも見えるんですね。それと,白いショートブーツには,近未来的なイメージを持たせています。
4Gamer:
では,衣装が黄色で派手めというのは,どのような理由からなんですか?
江城氏:
これは単純に,ほかのメインキャラクターとの兼ね合いですね。なるほどくんが青,オドロキくんが赤のイメージですから,最初から心音は黄色だと決めていました。
4Gamer:
そのほか,心音のデザインでこだわったところを教えてください。
心音は感情が豊かな女の子なので,動きに合わせて元気よくなびくように,前髪をとがらせています。髪の毛のツヤがギザギザになっているのは,心電図の波形をイメージしているんですよ。
江城氏:
ヒロインが元気な女の子キャラというのは,私は山﨑の趣味なんじゃないかと思っているんですよね。「逆転検事」シリーズのミクモちゃんもそうですし。
山﨑氏:
ああ,そうかもしれません。でも,ミクモちゃんは普通に元気な女の子でしたけれど,心音はもっと感情表現が激しいので,少し違うんですよ。
江城氏:
そうね,心音はすぐ怒るし。
山﨑氏:
そう言うと感じが悪いじゃないですか。感情が豊かで,表情がクルクル変わると言ってください(笑)。
江城氏:
感情表現豊かといえば,心音が気になっている人は,モーションにも注目してください。「逆転裁判5」では,机をバーンって叩くモーション一つをとっても何パターンかあるんですけど,心音の場合,「何種類あんねん!」ってツッコミたくなるくらいパターンが多いんです。モーション全体でいうと,なるほどくんよりも多いんですよ。
4Gamer:
では次に,検事・夕神迅のポイントを教えてください。
江城氏:
夕神は,「囚人かつ検事」という設定自体は最初に決めたとおりなのですが,見た目がガラッと変わりましたね。
最初は囚人服を着ていて,その囚人服に「N0.12」という囚人番号が入っていたんです。「N0.12」には「NOIZ」,つまり“ノイズ”という意味を持たせていました。
山﨑氏:
当初は,法廷でも囚人番号で呼ばれているという設定で,本名も出さず,「ノイズ検事」にしようとしていたんですよ。
江城氏:
ただそれは,私からダメ出しをして,ちゃんとした名前を付けるようにオーダーを出しました。
夕神は囚人と検事という相反する側面を持っているので,それを両立する容姿にしたかったのですが,囚人服では,どうやっても検事に見えないんです。
ですから,検事に見えるようにスーツのような衣装を基本にして,その中に囚人としての悪さやニヒルな部分を加える方向で進めました。そこで出てきたのが,維新の志士というイメージだったんです。
4Gamer:
和風なイメージだとは思いましたが,そういう由来だったんですか。
山﨑氏:
維新の志士と聞くと,自分が正しいと信じたことを命をかけて貫く人物で,戦いに破れて命を落としたり罪人として捕まってしまったといったイメージがわきますよね。
夕神が侍風の言葉遣いや法廷で居合い風のアクションを見せるのも,今の陣羽織にスーツという和洋折衷のデザインがヒントになって生まれたものです。ちなみに,夕神のイメージカラーが白と黒なのは,囚人服からの流れです。
また,侍のようなイメージをどう表現してインパクトを出すか,いろいろとアイデアを試す中で,鷹がいたら面白いんじゃないかということで,鷹のギンが肩に乗ることになりました。
江城氏:
ちなみに,ギンが首に巻いている横縞のスカーフも,囚人服の名残りですね。
4Gamer:
なるほどくんやオドロキくんについてはどうでしょうか。
なるほどくんは主人公で,大きく変えることはできませんから,前髪に少し“大人の魅力”を付け足したくらいですね。ですから,もう一人のキーパーソンであるオドロキくんを,まったく別のベクトルでインパクトのある姿にしようと。
そこで出てきたのが,オドロキくんの包帯姿です。
4Gamer:
確かにあれは,オドロキくんに何が起きたのかと気になりました。
江城氏:
オドロキくんがあの包帯姿になるのは,至極まっとうな因果関係があって,ゲームをプレイすれば分かるんですけど,実はあれを初出のイラストにしたのは,プロモーション的な意味合いが強かったんです。
4Gamer:
それは,どういう意図だったんですか?
江城氏:
「逆転裁判5」では,なるほどくんだけではなく,オドロキくんも法廷に立ちます。そのことを公開するときに,ファンの皆さんの間で議論になってしまうことを懸念していたんですよ。
4Gamer:
発売前にオドロキくんが法廷に立つという情報が出たら,なるほどくんとオドロキくん,どちらが本当の主人公なのか,という議論が起きそうですよね。
江城氏:
我々は最初から,「逆転裁判5」ではなるほどくんが主人公だと公言していましたし,そういう議論に発展してしまうのが嫌でした。
ですので,オドロキくんを初めて公開するときは,インパクトのある包帯姿で「逆転裁判5」に登場することだけを露出したんです。そうすれば,ファンの皆さんの関心はまず,「オドロキくんに何があった?」という方向に向かうだろうと。
オドロキくんが法廷に立つという情報を翌月に公開したときには,ファンの皆さんの興味は,「なるほどくんとオドロキくんが両方法廷に立つと,話はどう展開するんだろう」というように,我々が希望する方向に向いてくれました。
4Gamer:
それではもう一人,今回は検事局長に昇進した御剣怜侍のデザインのポイントを教えてください。
なるほどくんが主人公ですから,当然,ファンの皆さんは御剣の登場を待望していたでしょう。ただ,なるほどくんと御剣のライバル関係というのは,これまでのシリーズ作品をプレイしていない方にとっては分からない,言い換えれば内輪ネタといえるものです。
ですから御剣は,初見の方でも分かる立ち位置での登場のさせ方を考えないといけませんでした。今回はそういったことを踏まえて,御剣を検事局長に昇進させました。
御剣も過去作からの登場となりますから,イメージを大幅に変えるわけにはいきませんし,どう表現するかはいろいろと悩みました。「フリルタイを6段くらいに増やしてゴージャス感を出してみようか」「髪の毛を伸ばしてみようか」「髭を生やしてみようか」と,いろいろアイデアは出ましたが,最終的には,メガネをかけさせ,ジャケットの丈を伸ばしてフロックコート風にするという,現在の形で落ち着きました。
4Gamer:
「逆転裁判5」には,過去作品のキャラクターが再登場していますが,登場させる際の決め手は,どのようなところなのでしょうか。
山﨑氏:
「話の中でどんな役割を持たせられるか」「ファンの皆さんに喜んでもらえるか」という基準の両方を満たしていることです。再登場が望まれているキャラクターであっても,シナリオの中でうまく役割を与えられなければ,登場は見合わせています。
4Gamer:
そういえば今回は,シリーズ伝統の亜内武文検事は登場しないみたいですね……。
江城氏:
その代わり,弟の「亜内文武」が出てきますから。
山﨑氏:
僕らも「逆転裁判5」を作るまでは,まさか亜内に弟がいるとは思いませんでした(笑)。
“水晶球”になっていたかもしれない「ココロスコープ」
4Gamer:
新システムの「ココロスコープ」は,どのような経緯で生まれたのでしょうか。
最初の企画書の段階で,「逆転裁判5」では「心理」を利用したシステムを取り入れようということ自体は決めていました。ただ,そこから具体的にどうシステムに落とし込むのか決まるまでは,紆余曲折がありましたね。
4Gamer:
最初は,どのようなものを考えていたのでしょうか。
山﨑氏:
まず考えていたのは,探偵パートで証人ごとに「この人はこういう状況で喜ぶ,あるいは悲しむ」といった感情的な証拠を集めて,法廷パートでそれを使って謎解きをするというものでした。
ですが,感情という曖昧なものをゲームに落とし込むのが難しくて,システムがどんどん複雑になっていってしまったんです。それを,いかにシンプルに分かりやすいものにするかが,当時の大きな課題でした。
最終的には,「感情」と「証言の矛盾」を指摘するという部分と,証言が映像化されて変化していくという面白さの2点に絞ることにしたんです。そこにたどり着くまでは本当に大変でしたが,これにより完成された法廷パートの邪魔にならず,自然にマッチする形にすることができたんですね。
ただ,「ようやくこれで形になった」と思ったとき,江城が「面白いんだけど,もう一捻りほしい」と言い出したんです。
江城氏:
ユーザーインタフェースも分かりやすくて,よくできているとは思ったのですが,突き詰めると「4つの選択肢からどれかを選ぶ」だけだと感じてしまったんですよ。
ゲーム中のちょっとしたスパイスならそれでもいいのですが,新システムとして謳うにはもう一つ足りなかったので,「もう一歩踏み込んだものにできないか」とオーダーを出したんです。
そこで追加したのが,感情の「暴走状態」です。
何かのきっかけで,証人が感情の暴走状態になると,喜怒哀楽の4つの感情のうち一つが暴走して,ほかの3つを覆い尽くしてしまいます。そうなると感情の矛盾を指摘できなくなってしまうので,暴走の原因を探って,感情を静めることが必要になってきます。
たとえば,第2話に登場する怖がりのキャラクターは妖怪の存在を信じていて,恐怖の感情が暴走すると,周囲のものすべてが妖怪に見えてしまいます。その勘違いを指摘して感情を静めることで,新しい証言が引き出せるようになるんです。
江城氏:
「暴走状態」が加わったことで,以前の形より完成度が高まって,「逆転裁判5」を代表する新システムと言えるものになりましたね。
山﨑氏:
それと,「暴走状態」のために「この証人は,こんなきっかけで感情が暴走する」という設定を作ったおかげで,キャラクター,ひいてはゲームそのものにより深みが出せたと思います。
4Gamer:
ちなみに,「逆転検事」シリーズの「ぬすみちゃん」もそうでしたけど,ココロスコープって,現在のテクノロジーでは実現できなさそうな,すごくハイテクなアイテムですよね。
最初の頃は,心音が水晶玉を持って相手の心を覗くというアイデアもあったんです。
これまでの「逆転」シリーズには,霊媒師,マジシャン,義賊というように,とんでもないヒロインが出てきましたから,次は占い師でどうだろうと(笑)。
ただ今回は,法廷に心理戦を持ち込むので,科学的な裏付けがないと説得力に欠けるという話が出たんです。ポリグラフ(嘘発見器)のような器具を使うのはどうかというアイデアから発展して,より未来的な方向性を持たせようということで,心音が首から下げている「モニ太」というアイテムを使う,という現在のスタイルに収束していきました。
江城氏:
もともと「逆転」シリーズは,リアルをベースにしつつ,少しファンタジーな要素の入った独自の世界ですから,そういうのもいいんじゃないかと。
山﨑氏:
そのリアルとフィクションの狭間が,「逆転」シリーズの落しどころなんじゃないでしょうか。
追加DLCは発売後も提供予定。追加シナリオは現在絶賛制作中
4Gamer:
今回は,なるほどくん,オドロキくん,心音のコスチュームセットが追加ダウンロードコンテンツとして提供されますよね。今後も追加ダウンロードコンテンツが提供される予定はあるのでしょうか。
江城氏:
追加ダウンロードコンテンツについては,期間限定での無料配信と,有料配信を予定しています。
まず,発表済みのコスチュームセットは,「逆転裁判5」を購入していただき,8月15日までにインターネットに接続すれば,無料でダウンロードできます。ゲームをセーブできるところまで進める必要があるので,その点はご注意ください。
4Gamer:
ちなみに,第1弾をコスチュームセットにしたのはなぜでしょうか。
やはり,今回は3Dモデルになったことで,2Dではできなかった着せ替えができるようになったのが最大の理由ですね。
なるほどくんの「逆転裁判1〜3」時代のコスチュームはファンの方に喜ばれるだろうという理由で選びました。オドロキくんは,「逆転裁判4」でメインキャラクターのデザインを担当した塗※に,新しく私服のデザインを起こしてもらいました。
心音は,北米で心理学を専攻した新米弁護士という設定ですが,18歳なので,普通だったら高校生でもおかしくない年齢なんですよね。だったらセーラー服にしましょうということで決まりました。
※カプコンの塗 和也氏。「レイトン教授VS逆転裁判」ではキャラクターデザインとアートディレクションを担当した。
4Gamer:
そのほかのダウンロードコンテンツは,どのようなものを予定していますか?
江城氏:
まず「クイズ逆転推理」というコンテンツを,前編,中編,後編の3部作で配信します。
これはもともと,本編とは異なるゲームプレイを提供したいと思い企画したのですが,普通の推理クイズの文章だけだと分かりにくいので絵がほしい,せっかく作るならボリュームを出したい,というように欲張っていたら,いつの間にか壮大なものになってしまいました(笑)。
序章は本編に入っていて無料でお楽しみいただけますので,第1話「逆転のカウントダウン」が終わったらチャレンジしてみていただければと。
また,ゲームをクリアしたあと「もう少しシナリオを楽しみたい」という方に向けて,追加シナリオの特別編「逆転の帰還」を配信する予定です。
4Gamer:
追加ダウンロードコンテンツのボリュームとそれぞれの価格はどれくらいで,いつ頃配信予定なのでしょうか。
江城氏:
「クイズ逆転推理」のボリュームは,3編全部合わせると推理クイズ本1冊分くらいといったところでしょうか。難度もさまざまざまなので楽しんでもらえると思いますし,全部クリアした方には,ご褒美を用意しています。価格ですが,「クイズ逆転推理」は各編150円(税込)にさせていただきました。
ユーザーの皆さんからは,パッケージを買っていただいて少なからずのお金を頂戴しているわけですから,追加コンテンツはあまり負担にならない価格に設定して,その額を超える楽しみを提供すべく頑張っています。こちらは発売日以後,定期的に配信していきますので,楽しみにしていてください。
特別編「逆転の帰還」の配信時期は,まだ決まっていません。というのも,現在鋭意制作中でまだ完成していないんですよ。
山﨑氏:
ゲーム本編がマスターアップしたのに開発が終っていないという状況は,初めての経験なので不思議な感じですね(笑)。
江城氏:
もちろん,DLC配信用にゲーム本編のボリュームを削るようなことはしていないので,ご安心ください。
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「逆転裁判5」のDLC情報が到着。「コスチュームセット」に「クイズ逆転推理」,さらには特別編シナリオ「逆転の帰還」も!
4Gamer:
それにしても,なぜマスターアップ後に開発を続けてまで,追加コンテンツを用意しようと思ったんですか?
やはりアドベンチャーゲームは,クリアしたら終わりという傾向が強いジャンルです。
今回の取り組みが成功すれば,ユーザーさんに「このゲームはまだまだ楽しめる」「手元にゲームを残しておきたい」と思ってもらえるんじゃないかと。
実現するには,新しいキャラクターやトリックを考えないといけませんし,実際にゲームの形に落とし込むまで,労力はかなりかかりますが,それでもやってみたかったんですよ。
4Gamer:
それでは最後に,4Gamerの読者に向けてメッセージをお願いします。
山﨑氏:
「逆転裁判5」は,全スタッフが全力でぶつかり合いながら磨き上げて,良い作品にすることができました。「逆転裁判」の名に恥じないものをお届けできると考えていますので,お手に取っていただければ嬉しいです。よろしくお願いします。
江城氏:
「逆転裁判5」が,ようやく発売を迎えます。「逆転裁判4」から6年,続編をずっと待ってくださった皆さんに対して,カプコンが出した答えです。
私は今回,プレイヤー目線に立って,どれだけのサービスを提供できるかということを目指し,いろいろと考えてやってきました。結果として,シリーズの名に恥じない出来になったという自信があります。
また,何よりシリーズ未経験の皆さんがプレイしやすいよう,心を砕いて作りました。「逆転裁判」未経験の方は,まずは無料で配信している体験版で雰囲気をつかんでいただき,気に入ったらぜひ製品版もプレイしていただきたいです。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
インタビュー中でも話題に上がったが,6年ぶりのナンバリングタイトルとなる「逆転裁判5」は,江城氏,山﨑氏をはじめとした「逆転検事」シリーズのチームが中心となって制作している。
「逆転裁判」シリーズといえば,生みの親であるカプコンの巧 舟氏の作品というイメージが強いこともあって,ナンバリングタイトルの続編を巧氏抜きで作るというプレッシャーが,スタッフに重くのしかかっていたであろうことは,想像に難くない。しかも,プラットフォームがナンバリングタイトルでは初のニンテンドー3DSとなり,3Dモデルやアニメパートといった新しい取り組みにも挑戦しなければならなかったのだから,なおさらだろう。 しかし「逆転裁判5」のスタッフはその重圧をはねのけ,作品を完成させた。
江城氏によれば事前評価も上々で,発売前に公開した動画やWeb体験版,ニンテンドーeショップで配信している体験版などをプレイしたユーザーから,「『逆転裁判5』に抱いていた不安が解消された」という,ポジティブな感想が多く寄せられているとのこと。
ともあれ,発売日を迎えたことで,「逆転裁判5」がどのような作品に仕上がったのかは,自分で確認できるようになったわけだ。気になる人は,公式サイトでプレイできるWeb体験版やニンテンドーeショップで配信されている体験版をまずはプレイしてみてほしい。
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