テストレポート
NTTドコモ版「Galaxy S10+」&「Pixel 3a」テストレポート。Snapdragon 670はバランス良好でゲーマーの新たな選択肢になり得る
全体的な傾向としては,2018年から引き続いて,ディスプレイのアスペクト比は9:16から,より縦長の9:18〜21へのシフトが進んでいる。ゲーマー視点では,Qualcomm製のハイエンドSoC「Snapdragon 855」の性能が気になるところだが,ミドルクラス市場向けSoC「Snapdragon 670」も無視できない。
- AQUOS R3 SH-04L:6月1日,1576Mbps対応
- Galaxy S10 SC-03L:6月1日,1576Mbps対応
- Galaxy S10+ SC-04L:6月1日,1576Mbps対応
- Xperia Ace SO-02L:6月1日
- Pixel 3a:6月上旬
- arrows Be3 F-02L:6月上旬
- Xperia 1 SO-03L:6月中旬,1576Mbps対応
- LG style2 L-01L:7月
- Galaxy S10+ Olympic Games Edition SC-05L:7月下旬,
1576Mbps対応 - HUAWEI P30 Pro HW-02L:今夏
発表されたラインナップは上記のとおりで,6月以降に順次発売となる予定だが,「HUAWEI P30 Pro HW-02L」は,本稿執筆時点で予約受付を停止しているとのことだ。
5月16日に行われた新商品発表会では,「Galaxy S10+ SC-04L」(以下,Galaxy S10+)と「Pixel 3a」の2台をチェックしてみた。そのレポートをお届けしよう。
Galaxy S10+
Galaxy S10+のボディデザインは,2018年夏モデルだった「Galaxy S9+」をブラッシュアップしたようなものであるが,全体の印象はあまり違いはない。しかし,Galaxy S10+のボディは,格段に持ちやすくなっているのが印象的だった。気になる人は,店頭のデモ機で確認してみるといいだろう。違いはすぐに分かるはずだ。
ディスプレイには,6.4インチサイズでアスペクト比9:19という縦長の有機ELパネルを採用。インカメラを前面の切り欠き(ノッチ)に収めるのではなく,画面の右上に開けた横長の「パンチホール」に配置するというデザインを採用したことで,画面占有率は91.6%にも達しているという。おかげで,前面だけ見ると,ほとんどディスプレイという印象だ。
ディスプレイ上に孔があるというのは,使ううえで気になりそうにも思えるのだが,実際にはステータスバーの部分にあるので,全画面を使うアプリでもない限りは気にならない仕様となっている。
画面占有率の拡大によって,インカメラや受話口,各種センサーの処理をどうするかは端末メーカーごとに違いが顕著なポイントだ。スマートフォンの進化における面白い部分ともいえる。
Galaxy S10+(とGalaxy S10)では,超音波方式の指紋認証センサーがディスプレイ下部に埋め込まれている。仕組みは異なるが,使い方はこれまでの指紋認証センサーと同様で,画面に指を押しつけることで指紋認証が行われる。
なお,ゲームプレイ時の邪魔にならないかと心配する人もいそうだが,実機でのテストプレイ中に邪魔となることはなかった。ロック画面の解除や個人認証の入力といった指紋認証が必要な場面でだけ有効になるからだと思われる。
今回のGalaxy S10+ブースには,ゲーム向けのアピールとして「PUBG MOBILE」を使った動作デモがあった。といっても,実機でプレイできたわけではなく,ゲームのプレイ画面を録画した動画を再生していただけなのだが,ほぼ最高設定でもフレームレートが安定している様子を見せるというものだった。
Game Launcherは機能強化。ゲームのパフォーマンス設定が楽に
ちなみに,パフォーマンス設定以外には,着信と通知の制御,ゲーム録画,サラウンドサウンド技術「Dolby Atmos」のゲーム向け設定などが用意されている。
説明員によると,省電力重視にした場合,ゲームの解像度を下げたり,CPUの動作クロックに制限がかかるとのこと。2018年までの端末にプリインストールされていた古いバージョンのGame Launcherでは,同じことをするにはあちこち設定を変更する手間があったのだが,最新版ではそれが一元化されたと考えればいい。
一方,同じ画面にある「ゲームごとの設定」スイッチをオンにすると,ゲームアプリごとに,より詳細な設定が可能となる。一括制御と同じ3段階の動作モードを選ぶ項目に加えて,「低解像度」と「最大FPS」という項目が並んでいた。
「低解像度」は,ゲームの描画解像度を下げて動作の快適さを確保するという機能で,具体的な数字は明らかになっていないのだが,OS側の設定アプリにある「画面の解像度」設定から推測すると,横画面状態における1520×720ドットで動作するようだ。
「最大FPS」は,いわゆるFPSリミッターで,15〜60fps間を5刻みで設定できる。高フレームレートとなる60fps対応タイトルはジワジワと増えてきているが,スマートフォンゲーム全体からすると,30〜40fps出ていればOKなタイトルのほうがまだ多い。フレームレートを下げればバッテリー消費を減らせるので,必要十分なフレームレートに設定できるというのは,地味ながら便利といえよう。
3Dグラフィックス性能は大きく向上
では,Galaxy S10+の性能を検証していこう。実施したベンチマークアプリは,3Dグラフィックスベンチマークである「3DMark」と,総合ベンチマークアプリの「AnTuTu Benchmark」と,そのHTML5版である「AnTuTu HTML5 Test」,そして連打応答性検証用の「ぺしぺしIkina」という定番のセットだ。
また,ゲームのテストは2019年も「アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ」(以下,デレステ)を継続採用している。なお,Game Launcherのパフォーマンス設定は,パフォーマンス重視を採用した。
続いてはAnTuTu Benchmarkの結果だが,これも順当なスコアの向上を確認できた。劇的というほどではないが,Webブラウズやマルチウインドウ操作時に性能の高さを体感できるだろう。
横持ち時は16:9よりも横長となるアスペクト比の端末が増えたこともあり,マルチウインドウでも動作する横画面前提のゲームタイトルが増えてきている。ゲームとWebブラウザ,もしくはゲームとSNSアプリといった同時運用がしたいのであれば,高性能なSoCと容量8GBのメインメモリを備えている点は,Galaxy S10+における評価すべきポイントとなるだろう。
なお,Galaxy S10+に限った話ではないが,画面占有率の拡大にともなって,筐体を片手で支えていると画面端に触れてしまいやすくなっている。今回の計測時にも,端に触れたことによるミスが2回あった。ゲームジャンルによっては,画面端への誤タッチを防ぐジャケット(ケース)やパンパーの装着を検討する必要がありそうだ。
まず,プレイフィールはなんら問題なしである。取得漏れらしい挙動も,描写のもたつきもない。Galaxy S10+の場合,サイズが大きくて横長であるため,画面中央付近のタップがしやすさか否かが,指の長さに大きく依存してしまう点が気になるくらいだろうか。
また,Android端末では動作しないことも多かったフォトスタジオの「ARスタジオオートモード」も動作することを確認できた。
高いGPU性能が必要な3Dグラフィクスを多用するゲームアプリの傾向からすると,Galaxy S10+ほどの性能があれば,どんなゲームも快適に動作してくれそうである。10万円近い価格のハイエンド端末は,なかなか買い換えにくいものだが,Galaxy S10+の性能があれば,1年おきにハイエンド端末を買い換えなくても,最新のゲームに十分対応できそうであり,2〜3年使用する前提で買うのもありかなという気がしてくる。「高性能な端末を買って,長く使いたい」という人であれば,検討する価値がある製品だろう。
●Galaxy S10+の主なスペック
- メーカー:Samsung Electronics
- OS:Android 9.0(Pie)
- ディスプレイパネル:6.4インチ有機EL,解像度1440×3040ドット,アスペクト比 9:19
- プロセッサ:Qualcomm製「Snapdragon 855」
・CPUコア:Kryo 485(最大2.8GHz)×1+Kryo 485 (最大2.4GHz) ×3 +Kryo 485 (最大1.7GHz) ×4
・GPUコア:Adreno 640
・モデム:Snapdragon X24 LTE - メインメモリ容量:8GB
- ストレージ:内蔵128GB+microSDカード(最大容量512GB)
- アウトカメラ:3眼式
・望遠:約1200万画素,F2.4,視野角45度
・広角:約1200万画素,F1.5/2.2,視野角77度
・超広角:約1600万画素,F2.2,視野角123度 - インカメラ:2眼式
・標準:約1000万画素,F1.9,視野角80度,
・深度計測用:約800万画素,F2.2,視野角90度 - 対応LTEバンド:FDD LTE Band 1/3/4/5/7/12/13/17
/19 /21 /28, TDD LTE Band 38 /39 /40 /41 /42 - 対応3Gバンド:WCDMA Band1/5/6/19
- 最大通信速度:ダウンロード 最大1576Mbps,アップロード 最大75Mbps
- 無線LAN対応:IEEE 802.11ac
- Bluetooth対応:5.0
- おサイフケータイ対応:○
- 防水防塵:○
- 待受時間:約430時間(LTE)
- 連続通話時間:約1320分(VoLTE HD+)
- バッテリー容量:4000mAh
- USBポート:USB 3.1 Gen.1 Type-C
- 公称本体サイズ:74(W)×158(D)×7.8(H)mm
- 公称本体重量:約175g
- 本体カラー:Galaxy S10+:プリズムブラック,Olympic Games Edition:プリズムホワイト
Pixel 3a
続いては,Google純正の新型スマートフォンである「Pixel 3a」(関連記事)を簡単にチェックしていきたい。
Pixel 3aは,2018年に登場したハイエンドスマートフォン「Pixel 3」のデザインを蹈襲しつつ,ミドルクラス市場向けのスペックにまとめたものだ。SoCには,
微妙にサイズは異なるが,外観はPixel 3とほぼそのまま同じであるため,ここでは性能を中心に見ていこう。
ディスプレイは5.6インチサイズの有機ELパネルとなっているが,Pixel 3の有機ELパネルに比べると,色やコントラストには明確な差があり,価格相当という印象も受ける。ただ,よく目にするIPS液晶パネルと発色傾向はあまり変わらないので,ゲーム中心のスマートフォンライフであれば,気になることは少ないだろう。
結果としては,ミドルクラスの端末らしいスコアが並んでいる。ただ,アプリの起動やゲーム中のロードといった場面では,Galaxy S10+との体感差はほとんどない。3Dグラフィックスを多用するゲームや,複数のアプリを起動しっぱなしといった場面で,性能差を感じるくらいではないだろうか。
実際,Pixel 3aでのデレステはよく動く。「3Dリッチ」のままプレイをしてみたところ,途中にもたつきはあったものの,これまでのミドルクラス端末に比べて安定した描写を実現していた。また,画面切換時のロードは,Pixel 3と大差ないほど速い。デレステの高い負荷を考えると,Pixel 3aはゲーム用端末として快適なものなりそうだ。
2019年後半には,ゲーム向けを謳うQualcommのミドルクラス市場向けSoC「Snapdragon 730G」を搭載する端末が登場すると思われる。2019年は,ハイエンド以外の端末もゲーマーにとっての選択肢に入ってきそうだというのは,喜ばしいことと言えよう。
●Pixel 3aの主なスペック
- メーカー:Google
- OS:Android 9.0(Pie)
- ディスプレイパネル:5.6インチ有機EL,解像度1080×2220ドット,アスペクト比 9:18.5
- プロセッサ:Qualcomm製「Snapdragon 670」
・CPUコア:Kryo 360(最大2Hz)×4+Kryo 360 (最大1.7GHz) ×4
・GPUコア:Adreno 615
・モデム:Snapdragon X12 LTE - メインメモリ容量:4GB
- ストレージ:内蔵64GB
- アウトカメラ:約1220万画素,F1.8,視野角76度
- インカメラ:約800万画素,F2.0,視野角84度
- 対応LTEバンド:未公開(※グローバルモデルはFDD LTE Band 1/2
/3 /4 /5 /8 /12 /13 /17 /18 /19 /21 /26 /28, TDD LTE Band 38 /41 - 対応3Gバンド:未公開(※グローバルモデルはBand 1/2/4/5
/6 /8 /19) - 最大通信速度:ダウンロード 最大500Mbps,アップロード 最大75Mbps
- 無線LAN対応:IEEE 802.11ac
- Bluetooth対応:5.0
- おサイフケータイ対応:○
- 防水防塵:防滴防塵対応
- 待受時間:未公開
- 連続通話時間:未公開
- バッテリー容量:3000mAh
- USBポート:USB Type-C
- 公称本体サイズ:70.1(W)×151.3(D)×8.2(H)mm
- 公称本体重量:約147g
- 本体カラー:Just Black,Clearly White
Xperia 1でもちょっとだけテストを実施
まず,懸念事項の1つだった入力応答性だが,ぺしぺしIkinaのスコアは「84」と良好だ。ただ,50タップめ前後で長い飽和が起きる傾向があった。リズムゲームを高難度でプレイする場合は,ここがネックになる可能性はある。
またXperia 1の特徴であるアスペクト比9:21の縦長有機ELディスプレイでのゲーム表示であるが,いくつかのアプリで確認したところ,このアスペクト比に非対応のアプリでは,縦持ち横持ち問わず,上部の受話口側に寄せて表示する仕様であった。