レビュー
泣く子も唸る人気シリーズ最新作をレビュー
バトルフィールド 4
2013年11月7日,ついに日本でもリリースされた「バトルフィールド 4」(PC/PlayStation 3/Xbox 360)。2002年にリリースされた「バトルフィールド1942」以来,10年以上にわたって続く人気シリーズだけに,4Gamer読者の多くはよくご存じだと思うが,最新作をレビューする前にシリーズの歴史を簡単に振り返り,「バトルフィールド 4」の現在位置を確認しておきたい。
「バトルフィールド 4」公式サイト
バトルフィールド1942 |
バトルフィールド ベトナム |
シングルプレイモードも搭載していたのだが,これといったストーリーはなく,マルチプレイで使用されるマップでAIと戦うだけのチュートリアル的意味合いの強いものだった。あくまでもメインは,オンラインのマルチプレイなのだ。
現在,「バトルフィールド1942」はエレクトロニック・アーツのデジタル配信サービス「Origin」で無料配布されているので,今でも楽しんでいるという読者も少なくないだろう。筆者もかつて,さんざんやり込んだクチで,日本軍で戦ったときの「兵士よ,よくやったー!」がいまだに耳に残っている。
パブリッシャ/デベロッパの予想を超える人気作になった「バトルフィールド1942」に続き,2004年にはベトナム戦争をテーマにした「バトルフィールド ベトナム」が発売されたが,こちらは「つなぎの作品」というイメージもあってか,あまり大きな話題にはならなかった。
そして2005年,シリーズのエポックメイキングとなる「バトルフィールド 2」が発売された。「バトルフィールド 2」では,第二次世界大戦やベトナム戦争といった歴史的な戦場から脱却し,初めて現代戦が描かれた。分隊/司令官システムの導入やクラスの増加,グラフィックスの向上などが図られており,発売翌年には200万本以上のセールスを記録するヒット作になった。当時のPC専用タイトルとしては,破格の数字だろう。
個人的な意見だが,多くのミリタリーFPS好きが,それまで主流のテーマだった第二次世界大戦に飽きていたのが,成功の理由ではないかと思っている。戦闘ヘリコプターや誘導ミサイルなど,現代の多種多様な兵器を存分に操れる大規模戦闘は,多くのミリタリーFPSゲーマーに刺さったのだろう。
この成功を受けて,システムは大きく変更され,対戦人数も減ったものの,PlayStation 2向けの「バトルフィールド 2 モダンコンバット」が発売され,初のコンシューマ市場進出を果たした。
2011年には,ついに新たなナンバリングタイトル「バトルフィールド 3」(PC/PlayStation 3/Xbox 360)が発売され,発売初週に500万本のセールスを記録している。このほか,Free-to-Playの「Battlefield Heroes」や「Battlefield Play4Free」もスタートしており,約10年のうちに,膨大なプレイヤー層を抱えるシリーズに成長した。「バトルフィールド 4」は,以上のような歴史を持った「バトルフィールド」シリーズの待望の最新作というわけだ。というわけで,そんな「バトルフィールド 4」をレビューしてみたい。ちなみに本稿では,PC版を使用してプレイしている。
確実に進化したキャンペーンモード
上記のように,「バトルフィールド」シリーズはシングルプレイにストーリー性のない,あくまでマルチプレイを前提とした作品としてスタートしたが,コンシューマ機専用の「バトルフィールドバッド:カンパニー」から,キャンペーンにも力を入れるようになってきた。これは,ライバルの「コール オブ デューティ」シリーズが,ドラマチックなストーリー展開をセールスポイントにしたこととも関係があるだろう。
この流れに沿って前作「バトルフィールド 3」にもキャンペーンモードが搭載されたのだが,筆者の感想としては,正直微妙な感じだった。多くの海外メディアもそう思ったようで,悪くはないものの「バトルフィールド」シリーズらしさに欠けているところが物足りなかったのだ。
果たして「バトルフィールド 4」は? と,まずは,ちょっとばかり懐疑的な気持ちで臨んだシングルプレイの印象をお伝えしたい。早い話,いい意味で筆者の予想は裏切られた。
主人公は,精鋭特殊部隊トゥームストーンの隊員,ダニエル・レッカー軍曹だ。ゲームは,アゼルバイジャンに亡命中のロシア軍の将官から機密情報を入手するというミッションでスタートするのだが,この模様は,2013年に開催されたGame Developers Conferenceで公開された17分ほどのムービーで確認できる。まだ見たことがないという人は,ぜひそのパッショネイトかつエモーショナルなプレイシーンを見てほしい。
亡命中のロシア軍将官から機密情報を入手することに成功したトゥームストーン部隊だが,ロシア軍に追われ,隊長であるダンを失ってしまう。その結果,部隊はレッカーと,チームには必ず一人いるコミカルパート担当のアイリッシュ,そしてコンバットライフセーバー(CLS。メディックほどではないが,一般兵士より高レベルの救命措置ができる)であるパックの3人だけになってしまう。そして,時を同じくして中国軍のチャン提督がクーデターを起こし,物語は急展開する。
……と,これが序盤の状況なのだが,実際にプレイしていると戦闘の合間に入るカットシーンの見せ方がうまく,映画というよりも海外ドラマの「24」を見ているときのような感覚で,「えっ,次どうなっちゃうの? ええええええマジで?」と,かなり本気で楽しんでしまった。発売直後ということもあって詳しいことは書けないのだが,ドラマパートは前作より確実に進歩しているという印象だ。
ただ,バグっぽい部分も少々あり,肝心な場面で味方の姿が消えてレッカーが何もない空間に手を差しのべていたり,ヘリが地中に潜行して再び大空に飛んでいくという場面が見られたりした。いずれも,ゲームの進行が不能になるようなものではなく,むしろちょっと笑ってしまう感じだが,おそらくスクリプトの問題なので,パッチでの修正を期待したい。
個人的に感心したのは,味方に攻撃指示を出せるようになった点だろう。これまでは,味方が各個に敵を攻撃していたのだが,指示が可能になったため,戦略的な集中攻撃を加えられるようになったのだ。これでもう「なんであんたら,一番近い敵を攻撃しないの? なんなの?」という独り言の必要はなくなった。
多人数対戦で戦争ごっこ。ワーッと突撃してバーンと散るのが楽しくてしょうがない
さて,マルチプレイだ。「バトルフィールド」シリーズの魅力はやはりオンラインのマルチプレイ。戦車や装甲車,戦闘機や戦闘ヘリなどの大型搭乗兵器が入り乱れての大規模対戦は,ほかの作品では味わえない迫力に満ちている。
そんなマルチプレイには,順不同で以下の7つの対戦モードが用意されている。
・コンクエスト
「バトルフィールド1942」から続く伝統のモード。マップ上にある複数の拠点を2つのチームで奪い合うことが目的。「チケット」という概念があり,敵に倒されたり,拠点を制圧されたりすることで減少する。相手のチケットをゼロにするか,規定の時間で相手よりも多くのチケットを残せば勝利だ。
・ドミネーション
コンクエストと同様,マップにある複数の拠点を奪い合い,相手のチケットをゼロにするのが目的。コンクエストに比べて拠点奪取にかかる時間が短く,スタート時のチケットも少ないため,戦いはハイペースになる。また,大型兵器はなくマップも狭くなるため,白兵戦が中心。
・オブリタレーション
マップにランダムに出現する爆弾を使い,敵陣営の拠点をすべて爆破するのが目的。一ひねりしたキャプチャー・ザ・フラッグという感じで,爆弾の位置が常に表示され,誰からも分かってしまうので,爆弾を運んでいるときの緊張感がすごい。
・ディフューズ
ゲーム大会向けに制作された,5人対5人の歩兵専用モード。2チームに分かれ,敵の殲滅か目標の破壊を目指す。やられてもリスポーンはないので,緊張感は高い。腕の差が如実に出てしまうため,上級者向けだろう。
・チームデスマッチ
2チームに分かれてデスマッチを繰り広げるという,おなじみのルール。敵陣営よりも先に所定のキル数を挙げた側が勝利となる。マップは狭めで,リスポーンしたとたんに撃ち倒されることもある。
・ラッシュ
攻撃側と守備側に分かれ,攻撃側は複数用意された目標(M-COM)に爆弾を仕掛け,すべて破壊すれば次の目標セットが出現する。こうして戦線を押し上げ,すべての目標を破壊すれば勝利。守備側は規定の時間,M-COMを守りきれば勝利だ。戦闘がM-COMの周辺に集中するのでプレイヤーがバラけることがなく,少ない人数でも白熱した戦いが楽しめる。
・分隊デスマッチ
分隊に分かれて戦うモード。所定のキル数を先に挙げた分隊が勝利する。
以上が,「バトルフィールド 4」に用意された対戦モードだ。個人的にはコンクエスト,チームデスマッチ,オブリタレーションの順で多くプレイしている。人気もやはりその順,という感じだ。
コンクエストは最も「バトルフィールド」らしいモードで,さまざまな大型搭乗兵器の利用が可能であり,全方位の攻撃に備えなければならない。ビークルに乗って敵を蹂躙するのは圧巻だ。興奮する。
チームデスマッチはテンポが非常に速く,撃ち合いをメインにしたいときはオススメ。そしてオブリタレーションは,爆弾周辺が賑やかだ。コンクエストでは,マッチの途中である程度勝敗が見えてくるが,こちらは一発逆転があり,最後まで気が抜けない。ただし,それなりのスキルが要求される。
筆者は,シリーズ従来作では歩兵メインでプレイしていた。というのも,いまいち戦闘機やヘリの操作がうまくないため,周囲に迷惑がかかってしまいそうだったからだ。
だが「バトルフィールド 4」には,航空機の練習が可能な「射撃演習場」が用意されている。この射撃演習場では,あらゆる大型兵器が使用可能になっており,誰にも迷惑をかけずに戦闘機やヘリコプターのコソ練ができるのだ。このおかげで,ようやく筆者も普通に飛び回れるようになった。もう,離陸直後にひっくり返るような失態は起こさなくてすみそうだ。また,プレイにコントローラを使っている人は,ここで設定のチェックができる。
ちなみに,コンシューマ機版「バトルフィールド 4」では,前作に比べてコントローラ操作が変わっているので,この射撃演習場で練習するといいだろう。
「バトルフィールド 4」の大きなポイントとして,マップのさまざまなオブジェクトを破壊できる「LEVOLUTION」がある。「Revolution」と「Level」(マップ)を合わせた造語だが,これは,プレイヤー達が起こした行動の結果でマップが大きく変化するというフィーチャーだ。
また,マップによってはプレイヤーの移動可能な範囲を大幅に狭めてしまうことにもなる。「FLOOD ZONE」の場合,決壊した堤防から市内に水が流れ込むため,泳がなければ移動できなくなる。そのため,建物の屋上などを経由しながらの移動が必要になり,それまでたいして重要ではなかったルートやポイントが,いきなり重点攻略目標になったりする。
さらにモードによっても状況は異なる。例えば撃ち合いをメインにしたチームデスマッチの場合,建物を倒壊させて更地のようにしてしまうと,遮蔽物がなくなるため,スナイパーが狙撃しやすくなり,チームのスナイパー率が上昇する。
これは,突撃メインの筆者にとっては非常に厳しい展開だ。まあ,こちらも狙撃で対抗すればいいのかもしれないが,敵がすでに有利なポジションを掌握していると,何もできないということも起きる(リスポーンポイントが固定されすぎている気もする)。
このように,大なり小なり戦略の変化を伴うため,「LEVOLUTION」を発生させるかどうかはプレイヤーの重要な判断になる。オブジェクトの破壊は確かにアツいが,なんでもかんでもぶっ壊せばいいというわけではないのだ。
さて,「バトルフィールド 2」以来の実装となる「司令官モード」だが,こちらはランク10から司令官に立候補可能だ。実際にやってみたが,自分の陣営に所属している分隊に目標を指示したりできる(分隊長が従うとは限らないが)。また,コンクエストモードでは,制圧した拠点の数に応じて司令官が巡航ミサイルで攻撃を加えたり,ガンシップを出現させることも可能になる。
もっとも,司令官という名前はカッコいいものの,やっていることは裏方だ。司令官の腕前は勝敗に大きく影響するとはいえ,FPSをやりたくてゲームに参加している人にとっては魅力に乏しいかもしれない。偵察や支援などを適切なタイミングで正しい場所に提供しても,まあそれほど感謝されるわけではないが,それに失敗するとたちまち「ダメ司令官」になってしまうなど,なかなか辛いものがあると思う。とはいえ,これもまた「バトルフィールド 4」の新フィーチャーの一つであり,チームが勝ったときの報酬も大きい。
我こそはと思う人は,ぜひ司令官に名乗りをあげよう。
以上,簡単に紹介したが,相変わらず大規模戦闘は楽しく,新要素である「LEVOLUTION」も今のところ狙いどおりに機能している印象。もともと「バトルフィールド」シリーズはお祭りゲームの雰囲気が強く,勝っても負けても,仲間同士,あるいは見ず知らずの人と大人数でワイワイできるところに面白さがある。もちろん,経験を積み戦略を立て,腕を磨いて仲間と共に勝利を目指していけば,それに応えてくれる奥深さも持っている。
ビギナーでもベテランでも楽しめるので,ぜひ自分なりのプレイスタイルを見つけてほしい。
FPS初心者でも楽しめるシリーズ最新作
戦場に飛び込むのは今だ
というわけで,まとめ。シングルプレイについては,「バトルフィールド 3」に比べてかなり楽しめると感じた。二転三転するストーリーはドラマ性も高く,最後の最後は「ウワァァどうしようコレ!」と声が出てしまったほどだ。いや,詳しくは言えませんけどね。
マルチプレイに関しては,やはり64人対戦がハデハデで面白い。もちろんコンシューマ機版でも対戦できるのだが,参加人数が24人であるため,雰囲気は若干異なる。ただし,PlayStation 4/Xbox One版では64人対戦が実現しており,さらにPlayStation 3版からPlayStation 4版へ1000円でバージョンアップできることも発表されている。ランクやスコア,キル/デス比などを移行することも可能とのことなので,現行機版でガンガン遊び,次世代機の64人対戦に備えるのもありかもしれない。
いずれにせよ,発売直後のこの時期,プレイヤーの誰もが新戦場や新システムに戸惑っているはず。あと数か月もすれば(いや,もっとずっと短いかもしれない)攻略法が見つかりTipsが整備され,戦略眼とかスキルとかがモノを言うようになるはずだが,今はまだカオス。「バトルフィールド」シリーズは初めてという人こそ,今が新たな戦場に飛び込むチャンスではないだろうか。
ちなみに筆者はPC版をメインにプレイしているが,コンシューマ機版の対戦にもちょくちょく参加している。戦場で出会ったら,ぜひ一緒に戦おう。待ってます。
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