イベント
ハシラスによる体感型VRコンテンツテストイベントレポート。ほんの少しの体感でVRは劇的に変わってくる?
今回は乗馬とは違うアプローチの体感型VRコンテンツが3種が展示されていた。
●四季の世界遺産ドライブ
会場でいちばん目を引いたのは大型筐体のこのデモだった。台座の上にシートがあり,プレイヤーはその上に座ってハンドルを握る。その台座はといえば,前後に2mほどの稼動領域があり,台座ごと前後に移動する。その移動方法はといえば,筐体の後ろにいるオペレーターが映像に合わせて,押したり引いたりするというハイテクなんだかアナクロなんだか分からないデバイスになっている。
デモ内容は,日本の世界遺産を四季ごとにピックアップしており,観光名所をバイクに乗って順に観光するといったものとなっていた。
面白いのは,搭乗者の乗る部分が筐体とスプリングによって吊り下げるように固定されていることで,右にバンクを切れば実際に右に傾くなど,乗っている人がバイクに乗っている気になっていればなっているほど体感的に楽しめる仕様だといえる。
人を乗せて可動にしていることもあって,かなり大掛かりな筐体になっている。筐体の底を見ると,台座の下にはゴムタイヤがあって,実際にローラーの上で車輪が回っていることが分かる。これと前後の動きで加速/減速,振動などが再現されているわけだ。
なお,シートに固定されると背が引っ張られ気味で一般的なバイクのライディングポジションとは異なるのだが,画面に表示されるアップハンドルとは合致するのでさほど不自然ではない。乗ってると,自分でスロットルをひねりたいとか思うわけだが,そういう運転要素を実現すると,後ろの人が大変すぎるのはよく分かる。一応,筐体の動きを自動化することもすでに視野には入れているということなので,先行きが楽しみなコンテンツだ。
●座間味ロケットジャンプ
このデモは,実写の360度映像をベースとしており,沖縄県座間味島から周辺の島を空中ジャンプで遊覧していくというものになっている。そのジャンプと空中遊泳,そして着地の部分をリアルに体感させてくれるのが,シーソー式の吊り上げデバイスである。
プレイヤーは手足にベルトを通し,背中の部分のハーネスでシーソーの一端に吊り下げられる。シーソーの反対側から下がったブランコにオペレーターが乗ることで,テコの原理により少々体重のある人でも持ち上げることが可能になっている。
実際に体験してみると,ジャンプに合わせて吊り上げられる上昇感がリアルだ(リアルだし)。ぶらぶらと浮遊体験ができるのだが,浮遊感というよりはぶら下がった感で飛行が楽しめる。ジェットパックを背に空を飛ぶというのがどういう感覚なのか想像できないので,どうなったらリアルなのか判断しようがないのだが,この吊り下げ感覚はパラシュートみたいなものであればよりリアルに感じられたのではないかとも思う。
このデモは,実写ベースでインタラクティブなVRコンテンツを作れないかということで企画されたものとのこと。昨今では360度映像もわりと手軽に撮れるようになってきたことと,ドローンなどの普及もあって空中映像も低コストで撮影できるようになったことを考え合わせると,かなり実用度の高いシステムになるのかもしれない。
●Urban Coaster
なお,この作品は新作というわけではないのだが,後述のイベントでは「東京スカイライン-Urban Coaster-」として新たに調整されたものが公開される予定だ。
実際のブランコは押したり動かしたりするわけでもなく,ただ座っているだけなのだが,その効果にはもの凄いものがある。体験してみると,どう考えても横Gがあるのにブランコ自体は単にぶら下がったままなのが不思議だ。おそらく,ゲームなどでも「映像につられて身体が動く」ような体験をしたことがある人は多いかと思うが,ブランコ上で「つられて動く」と自然とGのかかる体勢になってしまうのだろう。前後はあると思っていたのだが,横Gまで再現できていたら万能ではないだろうか。
コースターの挙動としては結構無茶な動きをしていても,体感が伴うので3D酔いなどはほぼありそうにない。ぶらさがり健康器+αのコストでいけるならぜひ家庭用を出してほしいものだ。
今回の一連のデモを見てピンときた人もいるかもしれないが,いずれもテーマは「観光」となっている。3Dグラフィックスや360度映像で再現された観光名所というのは,こういったコンテンツにはうってつけの題材かもしれない。
また,今回のデモであちこち「手動」になっていることに驚いた人もいるかもしれない。オペレーターが映像に合わせて体感を演出するというローテクなアプローチは,それなりに効果を挙げている。世界遺産ドライブのところでも触れたように,これらは最終的には自動化される予定とのこと。
VRに理想的な体感デバイスとなると,もの凄く高額になるのは目に見えていて,開発期間も長くかかるため,いきなりそこを目指して挫折する人が多いのだという。それに対しては,途中の段階を作ることが重要だと藤山氏は語っていた。これが今回の「手動」部分となる。最終的にどんな体験が実現されるのかを手っ取り早く示すことが重要であり,Hashilusも当初の手動要素があったものが評価されたからこそ,ファンコントロールの自動化などが実現していったという実績もある。優れた体験を実現できれば自ずと道が開けてくるのだろう。今回のデモも,次なる体験へのステップとして評価を獲得してほしいものだ。
なお,今回紹介した3つのデモに「Hashilus-美瑛の丘レース-」と,他社開発の「ペンギンロボットコントローラー」「指サッカー」を加えたものが,2016年3月17日と18日の両日東京タワーメディアセンターにあるスタジオアースで公開されるという。そのイベント名は「未来アミューズメントパーク 〜視覚・聴覚・触覚を刺激する,VRを超えたスーパーVR 体験会〜」だ。興味のある人は下記公式サイトから事前登録のうえ(重要),ぜひ会場に足を運んでみよう。
未来アミューズメントパーク公式サイト
ハシラス公式サイト
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