インタビュー
[E3 2013]今作の主人公はプレイヤー? 「Assassin's Creed IV: Black Flag」ディレクターに独占インタビュー。少しだけ“V”の話題も……
Black Flagでは,デズモンドに代わってプレイヤー自身が主人公になる
4Gamer:
よろしくお願いします。
さっそくですが,Black Flagでは前作「Assassin's Creed III」(PC / PlayStation 3 / Xbox 360 / Wii U)における主人公の祖父,エドワード・ケンウェイが主人公に据えられているなど,シリーズ作品としての連続性が強く感じられます。この第4作はどのような企画から始まったのでしょうか?
Ash Ismail氏(以下,イズマエル氏):
実は,我々は前々から海賊をテーマにしたAssassin's Creedを作りたいと思っていたんですよ。ただ,カリブ海を舞台にするとなると,海洋シミュレーションをさらに洗練させたり,ジャングルや海岸の複雑な町の風景など多様な環境を実現したりする必要が出てきます。過去のゲームエンジンの性能や,(PS3やXbox 360といった)現行世代のゲーム機のパワーでは,とても表現できないと考えていました。そういう意味で,Black Flagは次世代機の登場を待っていたとも言えますね。
4Gamer:
海賊をテーマにしたいという希望から,シリーズで初めて時代を遡るという状況になったわけですか?
イズマエル氏:
それもあります。Black Flagの企画が持ち上がったのは,前作を作り始めてしばらくして「今のままテクノロジーが進化したら,多様な環境も表現できるようになるな」と感じたときですね。
ちなみにBlack Flagは,第1作以降としては最も長い,2年半もの開発期間を費やしています。
4Gamer:
ストーリー面で言うと,「真の主人公」ことデズモンド・マイルズが,前作のエンディングで“あんなこと”になっちゃいました。今後はどのように展開するんでしょう?
イズマエル氏:
あまり詳しくは話せませんが,Black Flagにおける現代のストーリーで主人公になるのは,プレイヤー自身なんです。プレイヤーは,アブスターゴ社にデズモンドの後任として雇われた研究者となって,その明確な理由も分からないまま,エドワード・ケンウェイの調査を依頼されることになります。
4Gamer:
へえ! デズモンドがあんなことになったので心配していましたが,それは驚きの展開ですね。
イズマエル氏:
プレイヤーはファーストパーソンビュー(※Black FlagはTPSスタイルなので,「プレイヤーがが役になりきる」という意味なのかも……)でアブスターゴ社の極秘研究に関わり,その陰謀に巻き込まれていくわけですが,現代パートの舞台はオープンワールドになります。つまり,プレイヤーはアブスターゴ社の内部を自由に歩き回って,あんなことになってしまったデズモンドの実情や,その後日譚に触れることができるのです。
ただ,Black FlagでAssassin's Creedシリーズを初めて体験するというゲーマーもいるはずですから,このあたりはシリーズのファンに向けたオプションとして用意することになるでしょうね。
4Gamer:
基本的なストーリーは,エドワード・ケンウェイや,彼の血脈にフォーカスしたものになると考えていいんですかね?
イズマエル氏:
そうなります。
4Gamer:
なるほど。ところで,リリースされたいくつかの映像を見ていて,Assassin's Creedの“アサシン”(暗殺者)の部分が強調されていないという印象を持ったんですが……。
イズマエル氏:
それは,これまでの主人公とエドワードでは「性格」が大きく異なるからかもしれません。
もともとエドワードは,カリブ海で名声を得ようと発起し,野心に燃えて祖国を離れた海賊です。海賊なので粗暴なところが玉に瑕ですが,基本的にはオープンで,人とおしゃべりするのが大好きという性格ですね。
Black Flagでは,海賊としての彼の生き方を強調する一方で,彼が「テンプルの騎士団と対決すべき暗殺者」としての宿命を受け入れていくという葛藤が描かれます。なので単純に言ってしまえば,序盤では海賊としてのエドワード,中盤以降に暗殺者としてのエドワードをプレイすることになります。
4Gamer:
だから現段階ではアサシン部分が弱く感じられるわけですか。
おしゃべり好きとのことですが,そういえばエドワードがベンチに座ったときに周囲のNPCと会話したり,酒を酌み交わしたりしてますね。
イズマエル氏:
まあ,技術としては大したものではないですが,エドワードの人となりをよく表した動きだと思います。
4Gamer:
海賊船の乗組員となるクルーはどうでしょう。個人的には,酒場の乱闘シーンを描いたトレイラーなどを見て,従来のシリーズ作品に登場した配下のNPCよりも個性が引き立てられていると感じましたが。
イズマエル氏:
実はその点に関しては,後日詳しく発表する予定なのですが……。よく気付きましたね(笑)。
今お話しできる範囲で言うと,海賊船の乗組員は,戦闘や悪天候などで命を落としやすくなっています。もちろん,人員を補充することは可能で,酒場や波止場で雇い入れたり,サイドクエストで無人島に取り残された海賊を助けるといったことで,仲間に引き入れることもできます。それもあって,Black Flagでは配下のNPCにより強い思い入れを持つことになるはずです。
それに,たとえば伝説の「黒ヒゲ」(Blackbeard)はカリブ海で恐れられた海賊として有名ですが,実際には,いたずらに人を殺めたりはしたくないという思いを持った人物だったという噂があり,そういった記録も残されています。Black Flagでは,そうした海賊達の人物像にも迫っているつもりです。
4Gamer:
その点もBlack Flagの楽しみの一つというわけですね。
それらキャラクターに関連してですが,アクションはどのように進化するんでしょうか。木から木へ飛び移ったり,ロッククライミングのようなことは本作でもできるかな,と。走りながら戦えるのはデモで確認しましたが。
イズマエル氏:
いま思いつくところでは,今回からは相手を尾行するとき,物陰に隠れながら移動するようになりました。とくに,ジャングルではその樹勢を利用して,植物の大きな葉の後ろに隠れたりもします。ただし,ランプで照らされると居場所はバレてしまいますけれど。
4Gamer:
そういった細かい点も,見どころとして覚えておきます。
ところで,今回のE3でマルチプレイデモを試したんですが,ゲームの基本的なシステムはそのままに,「Game Lab」という新しいカスタマイズ機能が追加されていますね。
イズマエル氏:
ええ。Game Labは,使用可能な武器の制限といった対戦モードの細かい設定を行う機能です。現段階でも,すでに200種類ほどのパラメータがあって,プレイヤーは対戦モードを自由にカスタマイズして保存しておき,他のプレイヤーと共有したりすることもできるんですよ。
4Gamer:
もう一つ,ここまでの話からは少し離れた話題になりますが,PS4とPS3向けには専用DLCがリリースされますよね。その内容を教えてもらえますか。
イズマエル氏:
PlayStationプラットフォームのDLCでは,「Assassin's Creed III: Liberation」(邦題:アサシン クリードIII レディ リバティ)の主人公だったアヴリーンでプレイできるようになります。「なぜアヴリーンでプレイするのか」は,ゲーム内で明らかにされるでしょう。
まあ,詳細は私が話してしまうより,プレイヤーのみなさんで解き明かしてほしいですね。
4Gamer:
分かりました(笑)。
それにしても,これだけの超大作シリーズにも関わらず,1年ごとに新作を出してくるというUbisoftの体制には驚かされます。この1作だけで500人もの開発者が従事していると聞きましたが,実際はどうなんでしょう。
イズマエル氏:
常に人数は変わりますし,実際に現時点で何人いるか数えていませんが,それぐらいの人数はいてもおかしくないですね。Ubisoft Montrealを中心に,世界中に散らばる7つのオフィスで並列に開発を進めることもあります。24時間,世界のどこかでAssassin's Creedシリーズの開発が進んでいると言ってもいいでしょう。
なにせ,オフィス間でのコミュニケーションだけを専門に行う部署もあるくらいですから。
でもね……,本当にずっとシリーズを開発し続けている感じで,個人的には,いつか日本へ行きたいと思っているんですけど,そんな旅行も叶わないんですよ。
何か日本に行く理由を作ってくれないかな?(と,日本人の広報担当者に尋ねる)。
4Gamer:
いい考えがあります。次回作の舞台を日本を舞台にすれば,リサーチに行けますよ!
イズマエル氏:
ははは(笑)。よし,じゃあスクープネタを披露しちゃいましょう。
「Assassin's Creed V」の舞台はもう決まっていて,それは日本ではありません。でも,個人的には日本を舞台にしたAssassin's Creedを作りたいと思ってるんです。ニンジャとかぴったりですし,実際にそれを望むファンも少なくないですからね。
4Gamer:
ではいつか,それが現実になることを期待しています。
本日はありがとうございました。
関連記事:[E3 2013]エドワードの素顔やインゲーム映像に注目。「Assassin's Creed IV: Black Flag」の最新トレイラー3本が公開に
「アサシン クリード4 ブラック フラッグ」公式サイト
4GamerのE3 2013特設ページ
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(C) 2013 Ubisoft Entertainment. All Rights Reserved. Assassin’s Creed, Black Flag and Ubisoft, and the Ubisoft logo are trademarks of Ubisoft Entertainment in the US and/or other countries.
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