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ゼンハイザーのアナログ接続型ヘッドセット「GSP 300」レビュー。1万円以下でこの音質と装着感は破格だ
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印刷2017/10/30 00:00

レビュー

1万円以下で買えるSennheiser印のヘッドセット,弱点は1つだけ?

Sennheiser GSP 300

Text by 榎本 涼


 発売されてからだいぶ時間は経ってしまったのだが,結果として税込1万円以下から買えるようになった,Sennheiser Communications(ゼンハイザーコミュニケーションズ)製のアナログ接続型ヘッドセット「GSP 300」を今回は取り上げてみたい。

GSP 300
メーカー:Sennheiser Communications
問い合わせ先:ゼンハイザージャパン 03-6406-8911
実勢価格:9200〜1万200円程度(※2017年10月30日現在)
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 Sennheiser(ゼンハイザー)ブランドで税込1万円以下というのは,それだけでグッとくる人も少なくないと思うが,果たしてゲーム用途におけるその実力はどれほどか。今回も細かくチェックしていこう。

 それに先だってお伝えしておくと,主なスペックは以下のとおりとなる。

●GSP 300の主なスペック
  • 基本仕様:アナログ接続型ワイヤードタイプ,密閉型エンクロージャ採用
  • 公称本体サイズ:未公開
  • 実測重量:約267g(※マイクブーム,ケーブル含む)
  • 実測ケーブル長:約1.9m(本体標準,3極3.5mm×2),約71m(3極3.5mm×2→4極3.5mm×1変換アダプターケーブル)
  • 接続インタフェース:3極3.5mmミニピン×2(※標準),4極3.5mmミニピン×1(※3極→4極変換アダプターケーブル利用時)
  • 搭載ボタン/スイッチ:ヘッドフォン出力音量調整,マイクミュート
  • 主な付属品:3極3.5mm×2→4極3.5mm×1変換アダプターケーブル
  • 対応ハードウェア:PC,Mac,据え置き型ゲーム機,アナログ接続対応モバイルデバイス
  • 保証期間:未公開
《ヘッドフォン部》
  • 周波数特性:15Hz〜26kHz
  • インピーダンス:19Ω
  • 出力音圧レベル:113dB SPL
  • スピーカードライバー:未公開
《マイク部》
  • 方式:未公開
  • 周波数特性:10Hz〜15kHz
  • 感度:−41dBV/PA
  • インピーダンス:未公開
  • S/N比:未公開
  • 指向性:未公開
  • ノイズキャンセリング機能:あり


素材感は価格相応ながら,随所にSennheiserらしさのある外観


水色の差し色がなんともLogitech G/Logicool G風なGSP 300。本体側面のロゴマークとブランド名がSennheiser製品であることを主張している。ちなみに海外だと,差し色が赤や黒,白のモデルもある
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 外観は,つや消しの黒色と灰色を基調色として,ヘッドバンド内側のクッションなどに鮮やかな水色をあしらったデザインになっている。正直に言うと,この水色がどう見てもLogitech G(日本ではLogicool G)のブランドカラーそのもので,本体側面のSennheiserロゴがなければ,Logitech G/Logicool G製品と勘違いしてしまいそうだ。

 言い方を変えると,ハイエンドモデルである「GAME ONE」(旧称:G4ME ONE)や「GAME ZERO」(旧称:G4ME ZERO)のような「いかにもSennheiser」な見た目を,GSP 300はしていない。また,素材感自体は悪くないものの,Sennheiserというブランドの名前から期待されるレベルでもない。
 まあ,ハイエンドブランドがエントリーやミドルクラスの製品を開発すると,「ローコスト製品の見栄えをそれなりに保つ」ノウハウがないので,こういうことになりがちではあるのだが。

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 ただ,各部からは随所に「Sennheiserらしさ」も見て取れる。
 密閉型のエンクロージャ(※ハウジングとも言う)は,装着状態を横から見たとき,下側が鼻寄り,上側が後頭部寄りに傾いた,Sennheiserのヘッドフォンでもよく見られるデザインになっている。これは,より多くのユーザーの耳にフィットしやすくなるという,Sennheiser伝統のアナログ的な工夫だ。

 右耳用エンクロージャ部には大きなダイヤルが付いているが,これはヘッドフォン出力のコントローラ。左耳用エンクロージャには大きなマイクブームがあり,跳ね上げるとマイク入力をミュートできる。
 右でヘッドフォン,左でマイクをそれぞれシンプルに制御できるのは,分かりやすい配置だと思う。

マイクブームを跳ね上げてミュートにした状態(左)と,いっぱいまで下げた状態(右)。上位モデルと同じく,ミュートの有効/無効は「かちっ」と鳴る音でも確認できる
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ブーム先端のマイク部は実測で18(W)×35(D)×8(H)mm程度の大きさ。上寄りに配置すると視界に入りやすいので,事実上,使うときは一番下か,それに近いところまで下げることになるだろう
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 マイクブーム全長は実測で約145mm。例によって大型のブームとマイク本体で,ここはいかにもSennheiser的だ。
 ブームは中央のみ硬めのゴム製で,ここを曲げてマイク位置を調整するという,GAME ONEおよびGAME ZEROと同じ仕様で,つまり設置自由度はとても低い。ノイズキャンセリング対応とされる先端のマイク部は,口に近いほうと,その反対側に空気孔が8つずつ並んでいるが,2マイク仕様かどうかは後段で検証したい。

表裏とも金属メッシュの空気孔が見えるマイク部。プロオーディオで多数の定番マイクを出しているSennheiserブランドの製品らしく,本格派っぽいマイクカバーである。GAME ONE&GAME ZERO的とも言える
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マイク設置時の,ブームの自由度は低い。このあたりもGAME ONEやGAME ZEROを踏襲している。「お好きにどうぞ」ではなく,「とりあえず一番下に下げればいいですよ」的な無言のメッセージを感じる仕様だ
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 エンクロージャに取り付けられているイヤーパッドは合皮製で,厚さは実測約20mm。取り外してクリーニングできるタイプだ。脱着は比較的容易であるものの,エンクロージャ側に引っかけて取り付ける部分が伸びやすくもあるので,あまり極端な力で引っ張ったりしないよう少し注意したほうがいい。
 水色の布素材によるグリルで覆われているため分かりにくいが,スピーカードライバーは若干傾いていて,装着時,わずかにユーザーの斜め前から音が鳴るような設計になっている。最近のゲーマー向けヘッドセットで流行の仕様だが,GSP 300でも,これによりステレオ感の改善を図っているという理解でいいだろう。

 なお,スピーカードライバーの周波数特性は公称15Hz〜26kHz。一般的なゲーマー向けヘッドセットよりも広い範囲をカバーしている。

イヤーパッドの台座部(≒スピーカーグリル)は一部がスピーカーと被らないようくり抜かれた形状になっていて,ここにコストがかかっている印象を強く受ける
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 エンクロージャとアーム経由でつながるヘッドバンド部だが,長さはアームとヘッドバンド部のところに埋め込まれたスライダーにより調整が可能だ。
 スライダーのクリック感は,片手で調整できるほど軽い。目盛りはあるが数字はないので,ユーザーは目盛りを数えて左右の長さ調整をすることになる。

ヘッドバンドの長さ調整機構は大きく伸縮する。頭の小さな人からかなり大きなひとまで対応できるはずだ
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Split Headbandと呼ばれる,非常にユニークな構造をGSP 300のヘッドバンドは採用している
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 ヘッドバンドの頭頂部は,装着時の前後中央を境にして2つに分かれ,さらに通気性のよいメッシュ素材で覆われた柔らかいクッション部は左右中央を境にして分かれるという,ユニークなデザインになっている。Sennheiser Communicationsが「Split Headband」と呼ぶこのデザインは,長時間のゲームプレイにおける快適性を生むというが,装着してみると確かに快適だった。構造上通気性がよく,かつ最も圧力のかかる中央部分が分割されていて,頭頂部中央への圧力が少ないからだ。

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 アナログケーブルは左耳用エンクロージャに直付けで,その長さは全長実測約1.9m。ビニール皮膜付きで太さは実測3mm弱といったところである。
 ケーブルの先端は,3極3.5mmステレオミニピン×2で,これを4極3.5mmステレオミニピン×1へ変換するためのアダプターケーブルが標準で付属している。アダプターケーブルの全長は実測約71mmだった。
 細かいことだが,3極端子の先端部は,出力用の黄緑と入力用の桃で色分けされている。デザイン重視で色分けしない製品も増えてきたが,こういう分かりやすい色分けは実用的でよい。


出力の周波数特性はGAME ONEとGAME ZEROの中間くらい


 さて,テストである。
 2017年10月現在,4Gamerのヘッドセットレビューは,

  • ヘッドフォン出力テスト:ダミーヘッドによる測定と試聴
  • マイク入力テスト:測定と入力データの試聴

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を行うようになっている。
 ヘッドフォン出力時の測定対象は周波数特性と位相特性,そして出力遅延だが,GSP 300は純粋なアナログ接続型ヘッドセットで,アナログ音声信号の遅延は事実上,無視できるレベルだ。そのため,USB接続型ヘッドセットのテストで行っている遅延検証は,今回は行わない。

 周波数特性をテストする具体的なやり方は,「4Gamerのヘッドセットレビューなどにおけるヘッドフォン出力テスト方法」にまとめてあるので,そちらを確認してもらえればと思う。
 マイク入力の測定対象は周波数特性と位相特性で,こちらも具体的なテストの流れは「4Gamerのヘッドセットレビューなどにおけるマイクテスト方法」にまとめてある。基本的には,いま紹介した2つの解説記事を読まずともなんとなくは理解できるよう配慮しているつもりだ。

 というわけで,いつものようにヘッドフォン出力から見ていくが,今回はCreative Technology製サウンドカード「Soundr Blaster ZxR」だけでなく,Sennheiser Communications製のUSBサウンドデバイス「GSX 1000」と組み合わせた状態でも出力を行い,ダミーヘッドから計測を行うことにした。GSX 1000を用いた計測では,本体側の設定からヘッドセットモードを選択し,イコライザは無効化している。

こちらが今回のテストに用いるリファレンス波形
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 本稿で示すテスト結果において,波形スクリーンショットの右に示した画像は,それぞれ「得られた周波数特性の波形がリファレンスとどれくらい異なるか」を見たものだ。これは4Gamer独自ツールでリファレンスと測定結果の差分を取った結果で,リファレンスに近ければ近いほど黄緑になり,グラフ縦軸上側へブレる場合は程度の少ない順に黄,橙,赤,下側へブレる場合は同様に水,青,紺と色分けするようにしてある。

 差分画像の最上段にある色分けは左から順に重低域(60Hz未満,紺),低域(60〜150Hzあたり,青),中低域(150〜700Hzあたり,水),中域(700Hz〜1.4kHzあたり,緑)中高域(1.4〜4kHzあたり,黄),高域(4〜8kHzあたり,橙),超高域(8kHzより上,赤)を示す。

 結果は下に示したとおりで,結論から先に言うと,Sound Blaster ZxRとGSX 1000とで,ほぼ同じ結果となっている。つまり,両サウンドデバイスでヘッドフォン出力仕様はよく似ているわけだ。
 もっとも,違いは存在する。45Hz付近より下の超重低域ではSound Blaster ZxRと組み合わせたときのほうが,6kHz付近はGSX 1000と組み合わせたときのほうが,それぞれわずかながら低い。

Sound Blaster ZxRと組み合わせたときの周波数特性。60Hz付近と6kHz付近を頂点とするドンシャリだが,後者の山のほうが高く,急峻だ。370〜400Hz付近と2kHz付近が凹んでいるが,これで低域をすっきりさせ,プレゼンス帯域(※)が耳に痛くならないようにしているのだと思われる。高周波は14kHz付近から落ち込み始め,20kHz付近だとかなり弱くはなっているものの,存在はしている。スペックどおり,26kHzまでこのくらいで推移するのかもしれない
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こちらはGSX 1000と組み合わせたときの周波数特性。基本的には同じながら,こちらでは45Hz付近より下がやや高く,反対に45Hz〜125Hzあたりはやや低い。つまり,超重低域の再現力はGSX 1000が勝るものの,分かりやすい「低音感」だとSound Blaster ZxRに分があるといった感じだ。6kHz付近の“高台”は,比べてみるとわずかながらGSX 1000のほうが低い
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※ 2kHz〜4kHz付近の周波数帯域。プレゼンス(Presence)という言葉のとおり,音の存在感を左右する帯域であり,ここの強さが適切だと,ぱりっとした,心地よい音に聞こえる。逆に強すぎたり弱すぎたりすると,とたんに不快になるので,この部分の調整はメーカーの腕の見せどころとなる。

 実際にステレオの音楽を試聴してみると,得られた周波数特性どおり,「シャリ」の強いドンシャリ傾向がある。最近の4Gamerが比較用リファレンスとして用いているGAME ONEと比較してみると,中低域を抑えてクリアにして,プレゼンス帯域を強くした印象だ。
 結果として,GAME ONEと比べて,音の重心がやや軽く感じられる。音質傾向としては,GAME ONEとGAME ZEROの中間,どちらかと言えばGAME ZERO寄りといったところか。Sound Blaster ZxRよりは,GSX 1000と組み合わせたときのほうが,プレゼンス帯域はスムーズである。

 ただ,スピーカーの能力の問題かもしれないが,強いバスドラムの入った曲をやや大きめの音量で聞くと,歪みまではいかないものの,若干の飽和感があった。GSP 300は,大音量で強めの低周波を再生するのは得意でないかもしれない。

 ゲームタイトルを用いた試聴では,GSX 1000を7.1chモードにした状態をメインで用いた。
 GSX 1000は,最新技術であるバイノーラルレンダリングをサポートするのが特徴だが(関連記事),7.1chモードを有効化すると,前方定位がかなりすっきりする。

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 テストに用いている「Fallout 4」のテストシークエンスでは,ヘリコプターに乗り込む直前から直後のシーンを用いているのだが,ここでヘリコプターの周りをぐるぐる回ってみると,その「回っている感」はしっかり感じられる。「音がどこから鳴っているか」の定位を把握するのに十分な能力をGSP 300は持っていると言っていいだろう。
 ちなみに,ヘリコプターのプロペラ音をたとえば右前方30度くらいのところに置いた場合,Sound Blaster ZxR+GSP 300では右斜め前45度くらいに聞こえるのだが,GSX 1000と組み合わせると,ほぼイメージどおり右斜め30度くらいに聞こえ,「前方に定位している感」が明らかに高まった。この点は特筆しておきたい。

 話をGSP 300に戻すが,ゲームタイトルを「Project CARS」へ変更してみると,周波数特性からも想像できるように,縁石に乗り上げたときの超重低音まできちんと再生できるようになった。ガヤの後方定位なども良好だ。
Razer Surround Proの較正結果。フロントLRを前寄りにしているのは恒例だ。センターがズレるのは,その日の耳の具合によるという理解で構わない
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 ゲームの,とくに効果音に必要な超重低域から高域まで幅広く再生できているわけである。

 なお,「Razer Surround Pro」をいつものように有効化してみると,面白い体験ができた。最近のRazer Surround Proアルゴリズムは,良くも悪くも高域がロールオフした(=なまった)感じになるのだが,GSP 300ではそれがなかったのだ。おそらくはGSP 300のプレゼンス帯域再生能力がしっかりしているからだろう。


マイクはとても素直で,実用的な周波数特性


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 続いてはマイクである。
 ここでは周波数特性だけでなく位相特性も計測することから,リファレンスのスイープ波形と計測結果の波形を重ねて下に示しているが,まず,GSX 1000はUSB接続型サウンドデバイスということもあってか,サンプリングレートが16kHzで,計測結果でも8kHz以上ですっぱりフィルタリングされているのが分かる。逆に言うと非常に高い周波数まで,Sound Blaster ZxRはがっつり集音することになるわけだ。
 1.7kHz付近の落ち込みはテストに用いているスピーカーの特性なので,これは気にしないでほしい。

 さて,それ以外だとSound Blaster ZxR接続時もGSX 1000接続時も似た波形で,2kHzくらいから下がやや低く,それより上はわずかに高めの山となり,低域はなだらかに落ち込んでいく傾向が見られた。不要なフロアノイズ(=低周波帯域の定常波ノイズ)を減らしつつも,男性の声の響きを含む低周波までは極端に犠牲にしていない周波数特性ということになる。
 位相は完璧で,これを見る限り,GSP 300はモノラルマイクを採用しているか,ヘッドセット側でモノラル化を行っているように思われる。

上段左はSound Blaster ZxR,下段左はGSX 1000と組み合わせたときのテスト結果。いずれも黄緑がリファレンス,橙が計測結果で,上段が周波数特性,下段が位相特性を示す。右は,周波数特性の差分を取ったものだ
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 差分で見ると,Sound Blaster ZxRとGSX 1000とで2kHz以上の山の高さが異なり,スパッとフィルタリングされている部分を除けばGSX 1000のほうが低く,リファレンスに近い傾向を示しているのも分かるが,これは「高周波になるほど落ち込む」という,GSX 1000の持つ入力周波数特性がゆえだろう(関連記事)。

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 実際に自分の声を録音してみると,Sound Blaster ZxRと組み合わせた場合,2kHz以上が相対的に高くなっているためか,多少の鼻づまり感は否めないものの,全体的にはクリアで聞き取りやすい音質傾向になっていた。
 気になったのはノイズキャンセリングの効果で,低周波から中周波では有効ながら,ZxRだと超高域まで集音するため,高周波のヒスノイズ(=定常波ノイズ)は意外と残っている。この帯域は実際のオンラインボイスチャットだと気にならない場合がほとんどだと思うが,空調などのヒスノイズ(≒高周波ノイズ)がもし気になるようであれば,サウンドカード側のノイズキャンセリング機能なりノイズリダクション機能を併用するのも一考だ。

 一方,GSX 1000と組み合わせた場合は,8kHz以上が存在しないため,どうしてもサンプリングレートの低い,ざらざらした音に感じる。ただ,ネットワーク転送の帯域幅に著しい制限がかかる,ゲーム中のボイスチャットにおいては,いつも書いているとおり,まず問題にならないだろう。むしろ「何を言ってるか」がきちんと相手に伝わることこそが重要で,その点でGSP 300の示しているこの波形は合格と言える。


低価格製品らしい外観は残念だが,製品品質は高い


製品ボックス
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 「Sennheiserの低価格製品」と聞くと,どうしてもホームオーディオ用の安価なインイヤーヘッドフォンをイメージしてしまって,「どうかなあ」というのがテスト前の正直な感想だったのだが,テストを終えての印象は「けっこうよい」に変わった。Split Headbandのおかげで通気性がよく,かつ頭頂部に負担がかからず,それでいてストレスを感じない程度にかっちり装着できるのもよい。
 しかし,外観はお世辞にも,所有欲を満たす感じがしない。何と言うか,GAME ONEやGAME ZEROと比べてコストを落としつつ,見た目をゲーマー向けっぽくしようとして,見事に失敗している印象が拭えないのだ。ここがGSP 300の抱える最大の泣きどころだろう。とくにこの価格帯では既存のゲーマー向け製品ブランドが見た目にこだわったヘッドセットを争って出しているだけに,余計そう思えてしまう。

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 2017年10月30日現在の9200〜1万200円程度という実勢価格は,こと音質や装着性とのバランスで言えば破格だ。
 見た目さえよければ……というところに話は落ち着くのだが,読者の皆さんはどう思うだろうか。

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