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「Unite Japan」開催,Unityの哲学とインディーズによるゲーム市場の変革が語られた基調講演レポート
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印刷2013/04/16 16:10

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「Unite Japan」開催,Unityの哲学とインディーズによるゲーム市場の変革が語られた基調講演レポート

画像集#002のサムネイル/「Unite Japan」開催,Unityの哲学とインディーズによるゲーム市場の変革が語られた基調講演レポート
 2013年4月15日,都内でUnity開発者向けのイベント「Unite Japan」が開幕した。
 その基調講演では,ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン代表取締役会長の豊田信夫氏がまず開会の挨拶。続いてUnity Technologiesの創設者・CEOであるDavid Helgason(デイビッド・ヘルガソン)氏が登壇して,Unity開発初期の模様を振り返りつつ同社のビジョンなどを語った後,Camoufraj StudiosのRyan Payton(ライアン・ペイトン)氏が,開発中の新作「Repubrique」を紹介しながら,インディーズゲームにかける思いを披露した。本稿ではその模様をお届けしよう。

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ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン代表取締役会長 豊田信夫氏
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Unity Technologies CEO David Helgason氏

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 Helgason氏はUnityの開発が始まった10年前を振り返ることから講演を始めた。当時は3名の開発者が地下室にこもり,非常にエキサイティングで先進的だが,それが何であるか自分達にもよく分からないものを開発していたのだそうだ。Helgason氏は当時を振り返り,非常に「美しい一瞬」だったと語る。
 ゲームエンジンを制作するに当たっては,高度なテクノロジーを小さなパッケージにまとめる必要がある。非常に大きな課題だったものの,その目的は見失わなかった。Unityの「哲学」,つまりUnityが作り出すテクノロジーはツールのためのものであり,ツールを使ってもらって,なにかを創造してもらうということこそが本懐だという部分は忘れていなかったというわけだ。

 しかし,それもUnityの最終ゴールではないと氏は語る。3名の開発者には,ツールを通して「ゲーム業界そのものを民主化」するという大きなビジョンがあった。これまで大企業がコストをかけないと成功しなかったゲーム開発を,すべての人が行えるようにしたいという思いを抱いていたのだ。そしてHelgason氏は開発から10年経った今,その方向性は正しかったと振り返る。

 当初のビジョンを数年で達成してしまったためか,近年は少し目標を見失い気味だったようだが,Bioware共同設立者の一人,Ray Musyka(レイ・ムジカ)氏と話をしたときに「君達が作ったものは,一つの社会的な動きだよね」と言われて,自分達の役割を再確認したとのこと。Helgason氏は,そういった社会的な動きに貢献できているということを誇りに思うとともに,これからもUnityの哲学を推進すると語った。


Unityの現在,時代はモバイルに着実に移行中


 続いてUnityの現状についての報告が行われた。現在,Unityは180万人の開発者に使用されており,月間(30日間)のアクティブユーザーだけ見ても40万人,使用時間は延べ500万時間に上るという。おそらく1,2万本のゲームが開発中とのことだ。
 順調に増加しているUnity開発者の強い味方となっているのがAsset Storeだ。Asset Storeは,Unity開発者が,自分の作ったパーツやスクリプト,テクスチャなど,各種ゲーム素材を販売できる場所である。開設から2年が経過したが,Helgason氏によれば2012年は驚くほど素晴らしいものがたくさん登場してきたとのことだ。現状のAsset Store利用者は28万人,出品者は2000人程度で,素材登録数は6500件ほどだが,売り上げでは月間300万円を超える人も出てきているという。

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 現在のUnityを取り巻く環境としては,PCとスマートフォンの状況比較が示された。
 1976年にApple Iが登場したときの出荷台数は200台だったが,最近のPC出荷台数は15億台に上る。なお,15億台を記録したのは2012年のことだが,今後はこれをピークに減少傾向になることが予測されている。
 一方,スマートフォンは2003〜2008年くらいに最初の製品が出荷され,現在では15億台と,PCと同程度の出荷台数となっている。重要なのは,スマートフォンの出荷増がまだまだ続くということだ。2018年には60億台の出荷になることが予想されているという。PCと比較すると,実に8倍の速度で成長を続けていることになる。

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 そして,ソフトの売り上げも大きく伸びている。App Storeにおけるトップタイトルの売上高を見ると,今年は40億円を超えるものも出てくるのではないかとのことだ。

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 スマートフォンでは,インディーズ開発者の割合が増えており,2012年には68%となっている。売上高の構成比も変化してきており,トップ25が全体に対して占める割合は,2010年に28%あったものが,2012年には15%に縮小した。逆にトップ100以下のものが占める率は45%から68%に上がってきている。
 スマートフォンの爆発的な拡大とインディーズ開発者の増加,そしてそれを支える市場構造と,Unityにとって追い風となる条件は揃っているわけだ。

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 Helgason氏は最近,Atari創設者のNolan Bushnell(ノーラン・ブッシュネル)氏と会ってエンターテイメントコンテンツの半減期について話し込んだのだという。半減期というと分かりにくいが,要はコンテンツの寿命みたいなものだ。例えば音楽の場合,ある曲が出て陳腐化するまでに要する時間は10年から100年だという。これが映画だと5年から10年,ゲームだと2年から3年と,陳腐化までの期間が短くなり,モバイルゲームの場合,これがさらに顕著で,半年から2年くらいの半減期になるという。
 コンテンツの寿命が短いというのは一見デメリットだが,実はそうとも言い切れない。音楽の場合,アーティストは常にビートルズと勝負しなければならないわけだが,モバイルゲームの場合は,長くて2年くらいの範囲内にいる相手との競争となるので,誰にでもチャンスが出てくるとHelgason氏は語った。

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 続いてHelgason氏はUnityが進む今後の方向性を明らかにした。
 2013年はクオリティ向上リリースの短期化,そしてプラットフォーム拡大の3点に力を入れていくという。まずクオリティ向上だが,これには機能追加なども含まれるとのこと。最近発表されたUnity 4.1に続き,4.2と4.3はまもなく発表され,現在は4.4の開発にも着手しているそうだ。
 最近の傾向としてリリース間隔は短くなり,バグは逆に減っているとのこと。それもそのはずで,100名ほどの技術者のうち,3分の1がQA(Quality Assurance)要員なのだという。また,昨年はWii UやBlackBerryなどに対応し,最近はソニーとの包括的な提携を発表したばかりだが,今後もプラットフォーム拡大に力を入れるとのこと。

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 さらに,長期的な目標として3点の指標が示された。
 まずはUnityの安定だ。ここではソフトというよりも会社の安定が約束され,とくに財務基盤については「非常に保守的」なため,世界が終わるまで大丈夫と宣言された。
 続いては,Unityの文化。3人で始めたときから続く,フレンドリーかつオープンを旨とするものが100倍の規模になっても保たれていることが紹介され,Helgason氏はこれを今後も大切にしていくと語っていた。
 そして速度だ。会社の規模が大きくなるにつれ,全体のアウトプットが遅くなるという傾向が一時出ていたが,現在では人数が増えても高いスループットを実現できるようになったという。今後も可能な限り生産性を上げていくことが約束された。
 Helgason氏は最後に,来日中にできるだけ多くの日本の開発者と触れ合いたいと語って講演を締め括った。


インディーズでAAAゲームを作ることは可能か?


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Camoufraj Studios Ryan Payton氏
 続いて登壇したのは,Ryan Payton氏だ。Haloシリーズなどを手がけてきた氏が,なぜ独立してゲームを作り始めるに至ったのかや,現在Unityを使って制作中の新作「Repubrique」などが紹介された。

 最初に語られたのは,氏の「壮大なもの」に対する嗜好だ。映画やゲームといったお気に入りのコンテンツについて非常に熱く語られたのだが,ここでは割愛し,氏が挙げたゲームベスト9を紹介するに留めておこう。その9つとは「ファイナルファンタジーVI」「シェンムー」Halo「killer 7」「METAL GEAR SOLID 3」「ワンダと巨像」BioShock」「Dark Souls」「風ノ旅ビト」だ。氏はこれらのゲームに多大な影響を受けているという。

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 氏は壮大なストーリーのゲームが好きで,死ぬまでにそういったゲームを作ることを熱望しているという。ストーリーベースの,起承転結のあるゲームを作るためにどうすればいいのか,Payton氏が考える5つのポイントが紹介された。その5つは以下のとおりだ

  • Freedom
  • Team
  • Capital
  • Platform
  • Engine

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 Freedomについては,killer 7が例に挙げられた。ああいった作品をリリースすることをカプコンが許したこと,須田剛一氏,三上真司氏らに自由なゲーム作りができる場を用意していたことを高く評価しているようだ。
 ゲーム内容については,テロリズムや暴力,政治,生まれ変わり,多重人格などかなり特異なジャンルの話題を扱いつつ,素晴らしい作品にまとめあげていると語り,Payton氏自身は,暴力的なテイストをまったく好まないとしつつも,須田氏らの作品に対する信念に惜しみない賛辞を贈っていた。

 Teamについては,METAL GEAR SOLID 4(以下,MGS4)制作時代の小島プロダクションで優秀なチームの重要性に気づいたと述懐していた。MGS4は,スニークミッションや格闘など多彩なゲームミッションを網羅しているほか,過去の作品のシーンをリメイクするなど多くの要素を実装している。小島監督のビジョンを実現するには,このチームでないと無理だっただろうと氏は語っていた。

 そしてCapital,つまりお金だ。壮大なゲームを作るためには,やはりお金が必要だという。とはいえ,100億円といった規模ではなく,1,2億円でも風ノ旅ビトのようなゲームを作ることができると知り,大変勉強になったとのこと。

 また,多くのゲームをプレイしてきたPayton氏は,プラットフォームと運命を共にするゲームの悲哀についても熟知しており,プラットフォームが大作ゲームを成功させる重要な要素であるという認識を持っているようだ。

 例えば,当時1000万台を出荷していたDreamcastでは「シェンムー」のような素晴らしいゲームでも売り上げが伸びなかった。一方,通ウケはするが一般人に受け入れられるかどうかは疑問だった「ワンダと巨像」は,全世界1億台を達成していたPlayStation 2向けのソフトとして200万本を売り上げることができた。
 また氏は,もしHaloがなければMicrosoftはゲームビジネスを続けていなかっただろうと,プラットフォームとタイトルの関係に思いを巡らせていた。
 数億人を相手にするハリウッドではこのような問題は存在しない。ゲーム業界はプラットフォームに制限されていると氏は指摘した。

 そして大規模なゲームを作るためにはゲームエンジンも重要だ。


なぜMicrosoftをやめてインディーズになったのか


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 続いて氏は,自分の人生を非常に幸運に恵まれて夢のかなった人生だと振り返った。23歳のときに来日し,自分が最も好きだった雑誌でライターになれ,偶然,人生で一番好きだったゲームの監督である小島秀夫氏にインタビューする機会に恵まれ,さらにそれが縁でKONAMIに入社して,その続編の制作に関わることになったという。

 MGS4の発売後,母親が病気になったこともあってアメリカに帰国したものの,すぐにMicrosoftから「Haloシリーズのディレクターをやってみないか」と誘われた。前述のように,Haloは氏のお気に入りのゲームだったので,開発に参加したのだが,30歳になって,モチベーションが急に落ちてきたのだという。その理由についてPayton氏は,先に挙げた5つのポイントが手に入らなかったからだろうとした。

 優秀なチーム,豊富な資金という面では満足できる環境だったものの,クリエイティブ面での自由さには不満があり,エンジンもあまり好きではなかったそうだ。さらに,プラットフォームも十分でないと感じていたという。Xbox 360で不満があるというのも凄い話だが,氏が作りたかったのは1000万人にプレイされるゲームではなく,1億人にプレイされるゲームであったのだという。5万円でハードを買って,6000円でソフトを買えるような人はごく限られているのだ。

 そんな氏を救ったのが「インディーズゲームの革命」だった。インディーズであれば,Microsoftで手に入れられなかった5つのポイントを実現したうえ,一人でも自分の作りたいものを作ることができる。そういう時代になったことに気づいたのだ。
 そこで氏はCamoufraj Studiosを立ち上げ,ゲーム機ではなく,誰でも持っている携帯電話やタブレットでプレイでき,しかしコンシューマゲーム機と同等のクオリティを持ったゲームを作ると決めたという。

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 では,Camoufraj Studiosが作成しているRepubriqueとはどんなゲームか?
 ざっくり言うと「プレイヤーは,とある全体主義国家に囚われているホープという女性から電話を受け,国家のシステムにハッキングして彼女を助け出す」というゲームだとのこと。
 前述のようにコンシューマゲーム並のクオリティを持つが,インディーズとして制作され,IPは売らないとのこと。また,これまで同種のゲームが,17個のボタンを使いこなさなければならなかったならなかったものを,1年かけて1タッチで操作できるように整理したという。まだ完全ではないというが,なかなか野心的だ。
 ゲームで語られるメッセージは,ネット上の言論がテーマとなるという。今年夏に全世界一億人に向けて,iOS向けにリリースされる予定だ(日本語版は同時リリースにするか,翻訳クオリティを上げるため少し遅らせるか未定とのこと)。

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 Repubriqueは前に挙げた9個のゲームほど壮大というわけではないが,5年前にはとても実現できなかったスケールだろうと氏は語り,さきほど挙げられた5つのポイントが,Repubriqueの開発においてはどうなっているかを説明した。

 まず,お金持ちでないインディーズ系開発者でも,ちょっと壮大なくらいのゲームを作れるような自由な時代になってきたと説明。独立系だから,ゲーム内容はまさにFreedomだろう。

 次に,やはり優秀なチームは欠かせないとのこと。現在の開発チームは17名で,かなり優秀なチームのようだ。ちょっと前だと,優秀な開発者が大きなゲーム会社を辞めて,インディーズをやるなんてことは考えられなかったのだが,最近は状況が変わってきているという。大きな会社に疲れて,インディーズで自分を試したいという人も増えているのだそうだ。

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 資金はやはり重要とのこと。これまでのインディーズだと,作ったIPをパブリッシャに売って資金を得るという方法しかなかったのだが,それ以外の道も増えてきた。Camoufrajでも一時資金が尽きてピンチになっていたそうだが,そんなときにKickstarterで300万ドル集めたという記事を見て,「300万ドルは無理だが,50万ドルくらいは集まるんじゃないか」と試してみて,2か月でなんとかギリギリで資金調達に成功したのだという。

 プラットフォームはオープンなものが登場し,従来より市場も拡大され,より民主的なゲーム市場になったという。

 そしてエンジン。5年前もUnityはあったが,とてもシネマティックなゲームを作れるものではなかったという。現在ではUnityのおかげでイメージした通りのゲームができているとのこと。
 なぜUnityを選んだのかというと,ほかの携帯用ゲームエンジンではフレキシビリティがなかったからだとPayton氏は語った。曰く,ボーンやパーツが制限されていたり,口パクなどが表現できなかったりしたのだそうだ。

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 Payton氏はさらに,Unityを使い始めて3か月で作られたデモの模様や,フェイシャルキャプチャ,モーションキャプチャなどの様子を紹介した。最近導入されたナビメッシュを利用することで,レベル作成が非常に短時間でできるようになったとのこと。
 続いてCamoufrajの社員のコメントが紹介された。社内がエネルギーに満ちていることや,Unityの生産性,Unityに搭載されているアニメーションシステムであるMechanimの評価などだ。キャラクターアニメーションではかなり高いゴールを設定したというが,それがMechanimで達成されたとのこと。現在はUnityの性能を出し尽くすことを目標に制作が行われているようだ。iOS版のあとには,PC版とMac版がリリースされることも明かされた。

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 Payton氏は最後に,先日行われたGame Developers Conference 2013で感じたことを語った。今年のAWARDSにノミネートされた作品の半分がインディーズスタジオ制作ゲームであったことについては素直に喜びを示していたが,その一方で,AWARDSで受賞したようなゲームにまったく興味を示さないグループもあったとも語った。具体的には,ゲームビジネス系というか,要するに低予算の小額課金制でAAAゲームの倍ほども稼いでいるグループだ。

 Payton氏は欧米市場についてはよく理解しているものの,アジア市場についてはパートナーが欲しかったため,GDC会場で多くのミーティングを行ったそうだ。そういう席上では「Free-to-Playじゃないんですか」「終わりのあるゲームなんですよね」といったことを何度も聞かれて,少し嫌気がさしたようだ。

 Payton氏は,冷静に考えると,自分が営業職であっても,コストがかかって,さほど儲からない壮大なゲームよりも簡単に作れて儲けの大きいゲームのほうに重点を置くだろうとして,このままではAAAゲームはどうなるのかと不安になったと語った。もしPlayStation 4や次世代Xboxがコケてしまったら,もうAAAゲームが作られることもなくなるのではないか,と心配になったのだという。

 しかし,それもインディーズ仲間との会話で吹っ切れたそうだ。「これからの時代はKickstarterもあればUnityもある。インディーズでも壮大なスケールのゲームを作ることができるし,すでにRepubriqueでその方向に踏み出しているじゃないか」と言われて,なにか思うところがあったようだ。

 氏には「1億人に遊んでもらうゲームを作る」ということと並んで,もう一つのゴールができたという。それはゲーム市場を変えること。インディーズで本格的なゲームを作りたいと思っている人達にRepubriqueの成否が注目されていることに気づき,Repubriqueをよいゲームに仕上げ,成功できればゲーム市場に新しい道を開くことができるのではと,Payton氏は語る。

 「5年前には不可能でした」と述べるPayton氏は,現在もしくは近い将来には,少人数低予算でAAA級ゲームが作れる世の中になると確信しているようだった。そのとき中心的な役割を担うのがUnityであることもほぼ疑いないところだろう。
 10年前にわずか3人で始まったプロジェクトが,ゲーム市場の行方を左右する。「インディーズ革命」ともいうべき変化の大きさを実感させられた基調講演だった。 

Unite Japan公式サイト

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