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熊本から世界に羽ばたいた最強フォルテ使い,ぺぺだい選手インタビュー。「TOPANGA 闘会議特別マッチ」フォトレポートとともにお届け
このイベントは,ウメハラ選手らプロゲーマーを含む国内屈指の猛者達16名が,くじ引きによって8組のタッグを結成し,トーナメントを戦い抜くというもの。所属プロチームや地域の垣根を越えたドリームタッグが誕生し,白熱のタッグマッチを繰り広げたこのイベントの模様をフォトレポートで紹介していこう。
また記事の後半では,同大会でかずのこ選手と共に優勝を果たした最強のエル・フォルテ使い,ぺぺだい選手に大会後話を聞いたインタビューを掲載している。
東京ゲームショウ2014のMad Catzブースで行われた大会で鮮烈なデビューを果たし,その後も世界各地の大会で大きなインパクトを残し続けている氏は,何を思いながら大舞台に臨んでいるのか。格闘ゲームを始めたきっかけから,社会人ゲーマーとしてのポリシーまで,さまざまな話を聞いてみたので,格闘ゲームファンはぜひご一読いただきたい。
「TOPANGA 闘会議特別マッチ」参加タッグ
6選手(ポイズン)&ボンちゃん選手(サガット) 関西の最強豪鬼使いとして知られ,ウルIVではポイズンを駆る6選手と,一秋千撃杯,EVO2014で準優勝を果たしたボンちゃん選手による東西混成タッグ |
ふ〜ど選手(フェイロン)&ももち選手(ケン) EVO2011優勝,EVO2014では3位入賞を果たしたRazerのプロゲーマー・ふ〜ど選手と,Capcom Cup 2014で見事優勝を成し遂げたEvil Geniuses・ももち選手による,勝負強さ満点のタッグ |
ときど選手(豪鬼)&チョコブランカ選手(ブランカ) EVO2013準優勝を果たしたMad Catz所属の東大卒プロゲーマー・ときど選手と,日本人女性唯一のプロゲーマーとしてEvil Geniusesに所属するチョコブランカ選手によるプロゲーマー男女タッグ |
うりょ選手(ディカープリ)&sako選手(エレナ / いぶき) さまざまなキャラクターを使いこなし,TOPANGA Aリーグにて好成績を残し続けるうりょ選手と,Team HORIに所属するプロゲーマーsako選手による関西タッグ |
ぺぺだい♪選手(エル・フォルテ)&かずのこ選手(ユン) 熊本が生んだ変幻自在のルチャドール,ぺぺだい選手と,2015年1月に行われた海外でのリーグ戦「Canada Cup Master Series 2015」で見事準優勝を果たしたかずのこ選手による,超攻撃的タッグ |
マツリ選手(春麗)&ハイタニ選手(ルーファス) 一秋千撃杯大阪予選での活躍でその名を知らしめた四国の超強豪女性プレイヤー,マツリ選手と,クレイジーラスカルの異名を持つ読み合いの鬼,ハイタニ選手によるタッグ |
板橋ザンギエフ選手(ザンギエフ)&ネモ選手(ロレント) 投げキャラ使いとして数々の名勝負を演じてきたRazer所属のプロゲーマー,板橋ザンギエフ選手と,最強のロレント使いとして,日頃から「ザンギ嫌い」を公言してきたネモ選手によるタッグ。まさかのくじ運に両者この表情で,観客も大爆笑 |
マゴ選手(ヤン)&ウメハラ選手(殺意の波動に目覚めたリュウ) フェイロンからヤンへのキャラクター変更を行ったマゴ選手と,TOPANGA Aリーグ,「Canada Cup Master Series 2015」で堂々の優勝を果たしたリビングレジェンド,ウメハラ選手によるTeam Mad Catzタッグ |
「ウルトラストリートファイターIV」公式サイト
「TOPANGA 闘会議特別マッチ」フォトレポート
世界でもっとも“エモい”フォルテ使い。ぺぺだい選手誕生秘話
4Gamer:
「TOPANGA 闘会議特別マッチ」,優勝おめでとうございます。ずばり,勝因は?
ぺぺだい選手:
くじ引きでかずのこさんを引き当てたのが何より大きかったと思います。強さという意味では本当に信頼できる人ですし,「Canada Cup Masters Series 2015」のとき一緒に行動して打ち解けてもいたので,緊張せずに大会に臨めました。たぶん,集まった15人の中で一番勝てそうにない相手でもありましたし,運が良かったです。
ぺぺだいさんにとってベストなパートナーだったわけですね。
ぺぺだい選手:
ええ。ただイベントが始まる前は,いちパンピーとして,ウメハラさんと組んでみたいというのもありましたけど。こういう機会でもないと,なかなか同じチームでは戦えないでしょうから。
4Gamer:
ご自身の試合内容についてはいかがでしたか?
ぺぺだい選手:
うーん……全体的にミスが多くて,全然ダメでしたね。優勝はできましたが,それはかずのこさんのおかげであって,自分の試合内容には嬉しさよりも悔しさがあります。
4Gamer:
ご自身の試合でもっとも印象に残っている相手は誰でしょうか。
ぺぺだい選手:
板ザンさん(板橋ザンギエフ選手)との試合ですね。もともとザンギ戦には自信があって,以前板ザンさんと対戦したときもかなり勝てたんですよ。だからかずのこさんに「絶対大丈夫ですよ」と言って任せてもらったんですが,結果は1勝2敗でした。プレイヤーの平均レベルで言えばやっぱり日本が世界一だと思うんです。久しぶりに日本人だけの大会に出たことで,それを痛感した思いです。
4Gamer:
板橋ザンギエフ選手との試合では,お互いに7秒ほどニュートラル状態でお見合いするなど,ものすごい読み合いが展開されていました。
ぺぺだい選手:
エモーショナルな試合でしたね。でも板ザンさんの方が,試合の作り方は二枚も三枚もうわてでした。
戦い続ける理由と“炎”の意味
4Gamer:
ぺぺだいさんの名前が知れ渡ったのは第4回TOPANGAチャリティーカップ,そして東京ゲームショウ2014(以下,TGS2014)でのトーナメントだと思うのですが,それ以前の活躍についてはあまり知られていません。そもそも,格闘ゲームを始めたのはいつ頃なんでしょうか。
ぺぺだい選手:
友達に誘われてゲームセンターに行くようになったのが7〜8年前ぐらいです。最初は「機動戦士ガンダム ガンダムVS.ガンダム」(以下,ガンダムVS)シリーズをプレイしていたんですが,友達が遊んでいた初代「ストリートファイターIV」(以下ストIV)を見て,ちょっとやってみようかなと。それが初めての格ゲーでした。
4Gamer:
ゲーム自体は,もともとよく遊ぶほうだった?
ぺぺだい選手:
いや,学生の頃は寮生活だったこともあって,家ではほとんどやりませんでした。いわゆる野球少年でしたね。ただ,ガンダムVSシリーズもストIVも最初は全然勝てなくて,それが悔しくて悔しくて,気付いたら6年経っていた。
4Gamer:
ゲームセンターで対戦する面白さにハマったと。ではエル・フォルテというキャラクターを選んだ理由は? 初めての格闘ゲームで選んだキャラクターにしては,マニアックですよね。
ぺぺだい選手:
……実は俺自身,最初の1か月間ストIVにフォルテというキャラクターがいることを知らなかったんです。周りに使い手もいなかったので(笑)。最初はケンを使っていました。
4Gamer:
えっ,そうなんですか?
ぺぺだい選手:
ただ,熊本には当時からマイケル(TOPANGA Aリーグで活躍するケン使い,マイケルたん選手)がいたので,ケンではまず1番にはなれないだろうって思ったんです。そう考えていたとき,ゲーセンでフォルテ使いの店員さんと仲良くなり,当時最強フォルテ使いと言われた中足絶唱TKDさん(以下,中足さん)の動画を教えてもらいました。それがフォルテとの出会いです。
4Gamer:
では中足さんのプレイをお手本に練習されたわけですか。
ぺぺだい選手:
フォルテって基本的に荒らして勝つキャラクターなんですけど,あの人のプレイはものすごく綺麗なんですよね。細かい部分までリスク管理が徹底されていて,理論的なんです。「Ver.2012」の頃までは,自分もこの人のようなフォルテ使いになりたいと思っていました。動画を見ながらゲーセンで研究しまくって……たぶん,世界で一番中足さんの動画を見ているんじゃないかと思います。
4Gamer:
なるほど。お話を聞いていると,主戦場はあくまでもゲームセンターのようですが,家庭用はあまりプレイされないんでしょうか。
ぺぺだい選手:
ウルIVが出た頃に一式を買い揃えはしましたが,今でも基本はゲームセンターですね。相手の顔が見えない対戦って,あんまり面白いと思えなくて。もちろん練習環境としてはすごく便利なんですけど。
4Gamer:
スキルアップのためには役に立つけど,対戦格闘ゲームを楽しむなら,オフラインに勝るものはない?
ぺぺだい選手:
ええ。対戦相手が目の前にいて,後ろにはそれを見ている人がいる――そういう空気があってこそ対戦は楽しい。もちろん人によるとは思うのですが,少なくとも6年間ずっとゲーセンで育ってきた自分にとってはそうなんです。オンライン対戦だと,「やるぞ! 炎炎炎」とはならないですね(笑)。
4Gamer:
なるほど。ところで,その“炎”について聞かせてください。ぺぺだいさんがよく使っている炎って……どういう意味なんですか?
ぺぺだい選手:
これはですね,もともとはシバマさんという,ものすごくエモーショナルなフォルテ使いがいまして,その方が発祥なんです。もう,読み合いとメンタルの強さでランキングのトップクラスまでいってしまったような人で,中足さんをお手本にしてきた俺からしたら,「そんな勝ち方があるのか!」ってプレイスタイルなんですよ。
4Gamer:
理論ではなく,勢いで勝ってしまうような?
ぺぺだい選手:
ええ。そのシバマさんのプレイスタイルを取り入れようと思って観察していたら,Twitterで「今日はゲーセンが閉まっていた。これから牛丼を食いに行くぞ炎炎炎」みたいなことが書かれていて……あっ,これだ! って(笑)。
4Gamer:
まさか(笑)。
ぺぺだい選手:
フォルテって起き攻めが強いキャラクターなんですが,リスクリターンで考えると実はリスクの方が大きいんですね。でもシバマさんは,そこであえて起き攻めをする――しなくても良い読み合いに持ち込んで,そして勝つ。自分は当初,なぜそんなことをするのかまったく分からなかった。……でも続けていくうちに,「格上の相手を倒すためには,どこかでリスクを取らなければならない」ということに気づいたんです。
4Gamer:
上級者との対戦になると,理論だけでは勝ちきれない場合がある?
ぺぺだい選手:
もちろんキャラクターにもよるのでしょうけど。ただフォルテで勝つためには,理論で動くのは3割程度で,7割は感性の鋭さで動くことが必要だと思っています。でも,中足絶唱TKDさんの理論的なプレイからスタートした自分は,どうしても先に頭が動いてしまう。たまに大逆転できるのは,そういう状況になって初めて感性に7割を割ける――自分の行動すべてに自信を持てるようになる――からなんじゃないかなあ。
4Gamer:
それで,もっと炎が必要だと。
ぺぺだい選手:
俺に足りないのはこれだっ! って(笑)。それこそ,10回じゃんけんして10連勝を確信するような。……もう,炎を探しにお寺にまで行きましたからね。
4Gamer:
はい?
ぺぺだい選手:
ウルIVが稼働する少し前のことなんですけど,理論だけで戦うスタイルに壁を感じていて,どうしたらシバマさんのような動きができるのか,どうすればメンタルを強くできるのかを真剣に考えるために,座禅を組みに行ったんです。
今,最前線で戦っているトッププレイヤーの皆さんは,場数や経験がものすごいからこそ揺るがないメンタルを手に入れているわけです。そんな人達と比べたら,俺は圧倒的に経験が足りない。だからゲーム以外の方向からもアプローチして,なんとか追いつきたいと思ったんです。
4Gamer:
なるほど。ここ最近のぺぺだいさんの活躍を見ていると,メンタルの強さが伝わってくる試合が多くあったように思います。そう考えると,効果はあったのかもしれませんね。……ちなみに,お寺では何回ぐらい警策で叩かれました?
ぺぺだい選手:
あ,そのお寺のお坊さんは優しくて,叩かれたことは一度もないです(笑)。
社会人格闘ゲーマーが海外大会に賭ける想い
4Gamer:
ぺぺだいさんといえば,r/Kappa(海外の格闘ゲームコミュニティ掲示板)やTwitchの取り組みを通じて海外大会に招待され,いずれもインパクトのある結果を残しました。こうした流れのきっかけはなんだったのでしょうか。
ぺぺだい選手:
TGS2014の大会をr/Kappaの方が視てくださっていたようで,数日後にコンタクトがありました。「貴方のプレイに感動したので,クラウドファンディングを使ってアメリカの大会に招待したい」と言われたのがすべての始まりです。あの優勝から人生が変わったといって良いかもしれない。
4Gamer:
ぺぺだいさんの活動は,すでにプロゲーマーといって過言ではないように見えますが,一方でご家庭とお仕事をお持ちですよね。どうやって折り合いを付けているのですか。
ぺぺだい選手:
自分は元々,職場や嫁さんの親族方にもゲームを遊んでいることをオープンにしていましたから,TGS2014で優勝したときは職場でものすごく祝福してもらったんですよ。その流れで海外の大会に行こうかという話をしたら「ぜひ行ってこいよ」と送りだしてもらえたんです。
家庭の方は,一般的な常識のある嫁さんなので,当然「好きなだけゲームしていいよ」というわけではありませんが,ゲーム大会で1週間家を空けるとなっても,最後は黙って見送ってくれます。とてもありがたいですね。……もちろん,一週間家を空けていた分のお詫びは,いろんな形で返すことになりますが(笑)。
4Gamer:
周囲の理解があったうえでの今の活動なんですね。奥さんと一緒にゲームを遊ぶこともあるんでしょうか。
ぺぺだい選手:
それは一切ないですね。ただ最近は,自分の出場している大会の動画配信を見てくれているみたいで。帰ってくると「なんであそこでボム(ケサディーヤボム)打ったの?」なんて聞かれるようになりました(笑)。あと嫁さん方のお父さんも見てくれているようで……ちょっとプレッシャーを感じるところもありますが,熱心に応援してくれるので励みになります。何より普段まったくゲームをやらない人が,そうやって興味を持ってくれるのはとても嬉しいです。
4Gamer:
素晴らしいことだと思います。
ぺぺだい選手:
日本では,まだまだ「ゲームは良くないもの」という風潮があったりもしますが,社会人を続けながら結果を出していくことで,そういうイメージを少しずつ変えていきたいですね。そうなれば俺達はさらに楽しめるハズだし,新しい人も入ってきやすくなる。さらにいえば,俺達のような“一般のプレイヤー”がたくさんいることで,プロはもっと輝けるようになる。このゲームシーンが活気づくってことです。
4Gamer:
では,ぺぺだいさん自身はプロゲーマーになる,つまり専業でゲームに取り組むことは考えていない?
ぺぺだい選手:
うーん,憧れはありますし,もし自分に家庭がなければ専業のプロゲーマーを目指していたかもしれません。とはいえ,自分にはゲームだけで食っていけるほどの才能や実力はないなと,TOPANGAの大会に参加してみて痛感したところでもありますし,難しいんじゃないかなと。
4Gamer:
少し残念な気もしますが……。最後にぺぺだいさんの今後の活動について聞かせてください。まず,TGS2014での大会を制したことで,Evolution 2015(以下,EVO2015)へのチケットを獲得していますね。
ぺぺだい選手:
はい,EVO2015ではぜひ上位を目指したいです。それと,これは俺が所属している福岡GamersClubの活動になりますが,3月中旬にかなり面白い企画を予定しているので,こちらもチェックしていただければと。
4Gamer:
期待しておきます。あと,年末には「Capcom Cup 2015」も控えていますが,そちらはいかがですか?
ぺぺだい選手:
昨年は出場できなかったので,今年はぜひ出場したいと思っています。とはいえ海外の大会にたくさん出場してポイントで上位に入るというのは現実的でないので,どこかのプレミア大会に絞って,対策をばっちり仕上げたうえで獲りに行きたいですね。
4Gamer:
おお,モチベーションはかなり高いみたいですね。
ぺぺだい選手:
それはもう! 去年出られなかったのがものすごく悔しかったですから。賞金が高額になるともいわれていますが,それはどうでも良くて。何より,ああいう大きな舞台でゲームがやりたいんですよ。……それって,炎じゃないですか。
4Gamer:
ぺぺだいさんらしいですね(笑)。今後の活躍にも期待しています。本日はありがとうございました!
「ウルトラストリートファイターIV」公式サイト
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