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これは名作の予感! 作り込まれた雰囲気が素晴らしい學園ジュヴナイル伝奇シリーズ最新作「魔都紅色幽撃隊」をプレイムービーで紹介
本作の世界観やゲームシステムは,これまで今井氏が手がけてきた學園ジュヴナイル伝奇作品の流れを汲んでおり,特徴的な「感情入力」システムも健在だ。全13話構成による,アニメ作品のようなストーリー展開は,新しい映像表現と一新されたバトルシステムによって,従来のものとは一線を画す仕上がりになっている。
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まず,プレイした感想を率直に言うと,本作はかなり「作り込まれた作品」であるということが挙げられる。とくにゲームシステムや世界観,ビジュアル,音楽,インタフェースなどのすべてが絶妙にマッチしていて,作品全体の“統一感”というか,作品の雰囲気が素晴らしいのだ。
本作がなぜ面白いのかを考えるとき,要因の一つとしてアドベンチャーパートの作り込みが挙げられるかもしれない。本作のアドベンチャーパートでは,新たなアニメーション技法「GHOST(Graphic Horizontal Object Streaming)」によって,キャラクターの動きや360度回転する背景など,臨場感ある表現が実現され,「感情入力システム」は5つの感情と感覚を組み合わせた「五感システム」へと進化している。決まりきった選択肢では表現しえない,想像の余地を残す曖昧なニュアンスを含んだシステムは,相変わらず良く出来ていると関心させられる。
またバトルパートに関しても,敵と味方が同時に動く「行動予測システム」によって,“ゴーストとの戦い”という独創的な戦闘が表現されているのは大きな特徴だろう。
本作では,悪霊(霊体)を相手に立ち回るという設定上,明確に敵の位置や姿を把握して戦うことが難しい。つまり,行動予測システムというのは,どこに潜んでいるのか,そしてどこから現れるのかも分からないゴーストを相手に,「次の一手を先読みして攻撃を仕掛ける」というシチュエーションを表現するためのバトルシステムなのである。
正直,最初にプレイしたときは,この特殊なバトルシステムがいまいちピンと来なかった。しかし,いわゆるオカルト物の小説や漫画などで見られる,窓にお札を貼るだとか,鬼門の位置に魔法陣を敷く――といった,霊の行動を制限する,あるいは罠にはめる描写を思い起こし,「ああ,これはあれを再現しているのか!」と理解した途端に,俄然面白味を感じるようになった。本作のバトルシステムでは,まさに“あの悪霊退治の雰囲気”が非常にうまく再現されているのだ。
例えば,バトルに突入する前に,部屋の見取図を確認しながらゴーストに対する罠を設置したり,霊体が通れるような道をあらかじめ塞ぐなど,対策を練る必要があるのだが,「ゴーストハンターの戦い方」というものをプレイヤーに体験させるうえで,これが実にうまく機能しているように思える。
実際,無計画に突入して攻撃を仕掛けても,ゴーストを捉えることは難しい。実体のない霊体を相手に戦っているのだということを,ゲーム中で何度も痛感させられるのである。
アドベンチャーパートやバトルシステム単体で見ても非常に完成度が高い本作なのだが,それらを繋ぎ合わせるためのインタフェースやゲームの流れもとても秀逸だ。
例えば,アドベンチャーパートが終わって,チームの編成や依頼の受託を行うインターバル画面は,「主人公はバイトで,出版社の編集部で仕事をしている」という設定なのだが,コマンドメニューのがすべて「編集部にあるそれっぽいもの」に置き換えられている,という部分が分かりやすいだろうか。
要するに,依頼の受託は編集部のPCを使って会社のサイトにアクセスするという手順を踏んで行われ,アイテムの購入は,編集部ご用達のコンビニへ買い出しに行くという風に表現される。また,一度見たイベントを閲覧するギャラリーモードは,アルバムを開いてシーンを選ぶことになるし,出撃前の準備は編集部のロッカーを開けて行い,戦いが終わって次の章へ進むときは,編集部の電源を落として帰宅する……といった風に,一連のゲームの流れや操作を,単なる無機質なメニューとして見せるのではなく,きちんと作り込んだ世界観の中で行わせるというあたりに,今井秋芳監督のプロ魂が感じられるわけだ。
文章だけで書くと「当たり前だろ?」と思われるかもしれないが,これらをハイレベルな形で(違和感なく自然に)まとめ上げているのは,さすがと言わざるを得ない。
……と,なんだか説明が長くなってしまったが,とにかく言いたいのは,本作がとても良く出来ている作品だということだ。もちろん,本作に細かい不満点がないわけではない。しかし筆者的には,「これはいいゲームだから期待しておけ!」と,手放しにオススメしてしまいたくなるほど惚れ込んでしまった。
4Gamerでは,そんな本作の魅力をお伝えする紹介プレイムービーを作ってみたので,本作に注目している人も,「そこまで言うほどよくできてるのか?」と疑問に感じている人も,ぜひともムービーを見て判断していただきたい。
「魔都紅色幽撃隊」公式サイト
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(C) ARC SYSTEM WORKS/TOYBOX Inc.
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