プレイレポート
負けたら即引退!「DQMSL」DDT高木社長vs.男色ディーノ選手――こいつら戦いながら新バージョン6を紹介してやがる……!
「DQMSL」バージョン6アップデート座談会。ドラゴンクエストには堀井雄二氏の“めんどくさい感覚”が大切?
スクウェア・エニックスのスマホ向けRPG「ドラゴンクエストモンスターズ スーパーライト」のバージョン6アップデート座談会の模様をお届けする。6周年に向かうDQMSLのこれまでとこれからを,柴 貴正氏や堀井雄二氏などのDQ関係者らが語った。
先日はこれを祝し,プロデューサーの柴 貴正氏やDQシリーズお馴染みの堀井雄二氏らによるバージョン6アップデート座談会の模様をお届けしたが,華やかなショーのあとに嵐あり。リアルで熾烈な戦いの世界に身を投じている2人の男が,過去の因縁にケリをつける日がやってきた。
「らいなまを守る!」
「らいなまを潰す!」
※DQMSLの公式生放送「らいなま」の意
DDTプロレスリングの高木三四郎社長 |
DDTプロレスリングの男色ディーノ選手 |
「5年も遊んでいる高木三四郎に,はじめて10日の私が一矢報いる」
2019年3月の「DQMSL レジェンドマスター決定戦」特設ステージ。日本のプロレス団体“DDTプロレスリング”所属の男色ディーノ選手は,自らを雇用する大社長(こと代表取締役 兼 レスラー)の高木三四郎選手に,問答無用のDQMSLハードコアマッチ(アプリ内課金上等ルール)を仕掛けた。1ターンで負けた。一瞬のことで観客も思わず笑った。
勝ち目のない戦いだと知っていた彼はその後,日本最大級と言われているし言っている総合ゲーム情報サイトの一角で,普段のレスラー生活やゲーム体験などを赤裸々に書き連ね,根強いファンを生み出していることで好評の,毎週木曜に絶賛連載中である人気コラム「男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ」にて,高木選手との対戦後の胸中を明かした。
「人には差がある」
「この世には,鬼がいる」
そのときの彼は,控えめに言って,負けドッグだった。
そして,時は今に戻る。その日,スクウェア・エニックスの応接間の一室では,DQMSLの強豪チーム「令和いしんぐん」を率いる,まもなくプレイ日数が2000日を超えるというやりすぎガチプレイヤーの高木社長に,V6を遊んでもらう場が設けられていた。
「――ピンク色のかた。待ってください! 受付はこちらです!」
可愛らしいモンスターに囲まれてご満悦の高木社長。V6の仕様を説明しはじめるスタッフ。それを取材するために同行した筆者。すべては順風満帆で,朗らかな1日を予感させるものであった。
「――その,ピンクの,見せないでください! 警備呼びますよ!」
そこに,この日のことをコッソリと聞きつけ,受付嬢の制止を振りきって扉を蹴破った,ピンク色の野獣さえ乱入しにこなければ。
「ここにいるんだってなぁ!! 高木さんよぉ!!」
「うん?」
「俺と(DQMSLで)勝負しろ! 負けたら(DQMSLを)即引退だ!」
「うん」
毎日DDTプロレスで顔を合わせているのはさておき,その面持ちはいつもとどこか違って見える(気がする),男の表情であった。
男色ディーノさんが叩きつけた,決死の(DQMSLを)即引退デスマッチ。これは彼の闘志が生んだ運命の一戦,あるいはDDTプロレスがDQMSL関連の仕事で得たギャランティなんかじゃ比較にならないほど“注ぎ込んだ”とされる高木社長への不信が生んだ根性注入であった。
男の覚悟,果たして届くのか? 届くわけないのだけど。
当然の敗北にも敗北なりに感じ入るものがあったのか,男色ディーノさんは敗北に打ちひしがれ,即引退の約束どおり,自前のスマートフォンを折ろう……と見せかけてアプリのアンインストールだけで事を済まそうとしていると,勝ち誇った表情の高木社長に声をかけられた。
「いいか? お前はDQMSLを分かってねえから負けんだよ。俺に勝ちたければ今からスタッフさんが教えてくれる,7月8日実装のV6アップデートと,7月12日実装の超魔王“闇の覇者りゅうおう”の説明を聞け」
バージョン6ってどんなアップデート?
DQMSLは7月にゲームバージョンがV6に移行し,新系統「超魔王」の実装をはじめ,ゲーム画面のUI刷新,マスターズGPの改修,さまざまな便利機能の追加などが行われた。
これまでひとつずつ回収するしかなかった冒険スタンプの「まとめて受け取り」,モンスターの各種耐性を「アイコンや色で強調表示」,パーティが計5組から「計10組まで組めるように」など,遊びやすさの向上は大きく,高木社長も「これ分かりやすいわ」「こりゃ分かりやすいわ」と,自前のスマホと開発機を男色ディーノさんに見せつけて比較させる。
(高木社長はらいなまで発表されていた情報をすでに網羅していたが)中でも「AI行動時の各とくぎのON/OFF機能」にはいたく感心しており,どれを使わせるか,使わせないかに,ひとりではしゃいでいた。
高木社長:
コイツが勝手に絶対零度つかってもMPの無駄なんだもん。
男色ディーノさん:
スクエニさんの前で失礼ですよ。
マスターズGPには,シーズンごとに特定のモンスターにポイント倍率が加算される「ランクポイントボーナス」が追加された。簡潔に言えば,よく使われているモンスターの勝利時は低ボーナスに,あまり使われないモンスターの勝利時は高ボーナスになるといったものだ。
これが面白く作用すれば,「テンプレパーティが嫌な上級者」「新たなシナジーを見つけ出す探究者」「手持ちがたまたま高ボーナスだから使ってみる人」など,モンスターの強弱が影響するのとはまた違う,各々のプレイスタイルに応じた対戦環境が広がっていくのかもしれない。
また,マスターズGPのシーズン開幕時の開始ランクは「前シーズンのランクを基準」に振り分けられるようになった。これにより,シーズン開始直後の対戦者間の実力の隔たりが,多少なりとも是正されそうだ。
高木社長:
俺,おろちファンだからさあ。最近は☆4の「怪竜やまたのおろち」「伝説の神鳥ラーミア」と「魔王オムド・レクス」が勝ちパターン。
男色ディーノさん:
はぁ。
目玉はなんといっても,DQ作品の歴代魔王に変身ギミックを搭載した新系統「超魔王」シリーズの登場だ。超魔王はこれまでになかったとくぎや特性を持つ,中々に規格外なモンスターとなる。
超魔王の第1弾「闇の覇者りゅうおう」の大きな特徴は「正体をあらわす」で,変身シーンと同時に竜王へと姿を変えることだ。その際,HPとMPも全回復し,変身時に発動する特性も発動させ,さらに使えるとくぎも変化する。変身自体はコマンド1回分になるが,タイミングによっては敵の攻勢を無駄にすることもできる。
特性「闇の闘気」の存在も大きい。これはバトル開始時に3ターンの間,自分が受けるダメージを50%軽減するほか,変身時に3ターンの間,無属性とくぎ攻撃によるダメージを無効化するものだ。さらに闇の闘気はラウンドが経過するごとに「闇の闘気レベル」が1ずつ上昇し,レベル3になるとコマンドを消費せず,ラウンド開始時に自動で変身できる。変身後のとくぎは,このレベルに応じて効果が上がる。
高木社長:
9回メラ攻撃? 特性6個? AIの3回行動に秘めたる(チカラ)? もうヤバイもうヤバイ! しかも最近のトレンドって耐性を下げることなんだけど,これメラブレイクだよ(メラ耐性を2ランク低下)。最近じゃほとんど通じないメラ系はやっかい呪文扱いだったんだけど,こりゃ対戦環境もクエストもガラッと変わるよ!
男色ディーノさん:
さっきまで「引かない勇気」について話してましたよね?
ここで,闇の覇者りゅうおうを使って対戦することになった。若干1名,「いや無理ですって絶対勝てないですって。この人プロレスの巡業中とかずっとスマホ弄ってますけど大体これ(DQMSL)やってますもん無理だって」と茶番劇になることを恐れていたが対戦ははじまった。
闇の覇者りゅうおうの常套手段は「3ターン守ってから変身後のパワーで一転攻勢」となる。おそらくこの記事が掲載されるころには,それを逆手にとったアンチ速攻……をさらに逆手にとった早い仕掛け……を読んで持久戦に持ち込むなど,読み合いが発生しているだろうが,この日の高木社長は“他人のゲームデータ”で初挑戦だった。
チームウェイトは130。高木社長は「闇の覇者りゅうおう即席パーティ」。男色ディーノさんは「スタッフ仕込み&アドバイス有りのポセイドンパーティ」。豊富な回復と蘇生で持久戦に引きずり込むポセパは,電車に乗っている最中に出会いたくないパーティNo.1であるが(降車的な意味で),強力無比で鳴り物入りの超魔王の前では,果たして――。
「ちょい待ち,待って。いやいやいやいやこれおかしいって」
高木社長が,ギリギリで敗北。闇の覇者りゅうおうのパワーは確かに強力であった。闇の闘気レベル3で放つとくぎ「覇者の竜牙」は,敵1体にみかわし&みがわり不可のかいしんのいちげきを放ち,3000だの5000だのと大ダメージを出した。しかし,1体の力では勝てなかった。
高木社長は声を荒らげる。敗因はこのゲームデータにあると。一同が首をかしげる中,スクエニのスタッフが思い出した。「あっ,お二人のデータって,試しにクロちゃんのゲームIDをコピーした開発版なんです」。クロちゃんこと黒川明人さんはご存じのとおり,お笑いグループ“安田大サーカス”のボケ担当で,らいなまのメインメンバーである。
男色ディーノさん:
クロちゃん悪くないでしょ。
高木社長:
いやクロちゃん悪いよ! だってなにこれ? このとくぎ? かぁーっ! 黒川わかってねえ! 黒川しょっぱいな!
「俺がアストロン覚えさせといてやるよ黒川!」と,聖地竜オリハルゴンを自分好みに転生させる高木社長(あくまで開発機用のコピーIDのため当人のデータではない)。突然はじまったクロちゃんdisこと黒川disが,らいなま界隈の新たな火種にならないよう祈るほかない。
気づいたらせっつかれていたラウンド2は,高木社長が「闇の覇者りゅうおう即席パーティ改」。男色ディーノさんが「スタッフ仕込み&アドバイス有りの魔獣パーティ」。3ターンめを迎える前に超魔王を落とさんとする火力重視がかみ合い,男色ディーノさんがあっさり2勝め。高木社長はその敗因を「ああ,メラのあれがあれなんだ」と分析した。
続いて「もう分かった。戦略が悪かった」とガチな空気になったラウンド3は,高木社長が「闇の覇者りゅうおう即席パーティ改改」。男色ディーノさんが「スタッフ仕込み&アドバイス有りのダークマターパーティ」。闇の覇者りゅうおうに無効化される無属性重視という,多少なりとも忖度した接待のおかげか,ほぼイーブンのまま終盤戦に。
しかし,DDTを率いる大社長は,生粋のエンターテイナーなのだろう。闇の覇者りゅうおうに対して置物同然であった武神クニクズシのたたかうが,最後の最後に超魔王の横っ面をスマックダウン(かいしんのいちげき)。高木社長は静かにV6の新機能「あきらめる」(全員行動不能でも可能に)を活用し,気づけば男色ディーノさんが3連勝。
男色ディーノさん:
ちょっ! レスラーなのにあきらめるんですか!
高木社長:
だってマスターズGPならこれ勝てねえし。
「俺が負けたんじゃない。黒川が黒川に負けたんだ」
意味不明な供述とともに(DQMSLを)即引退の話もいずこかにかき消えると,人知れず敗北者にされた無関係な関係者1名を除き,リベンジの行方は円満に収まった。操作と判断の9割をスタッフ頼りという有り様であったが,勝利したのは確かに男色ディーノさんだった。
闇の覇者りゅうおうを実際に使った高木社長は,超魔王について次のように話す。「モンスターとして一強なのは確か。超級クエストなんかも今よりもグッと楽になりそう。でも,DQMSLの対戦は複数パーティ戦やチーム戦だし,ルール次第なところもあるから,闇の覇者りゅうおうだけじゃダメだね。生態系には影響があるだろうけど,最強になるかはプレイヤーの力次第。それに今日は黒川のデータだったけど,こっちの自分のデータで闇の覇者りゅうおうを使ってたら,負ける気しないわ」。
「いつか自前のデータで勝ちたい」と口にする男色ディーノさんにはスタッフから,初心者は地道にクエストを進めているだけでそれなりのモンスターが手に入るし,映画「ドラゴンクエスト ユア・ストーリー」と同時期に実装される“レジェンドクエストV”を遊べばいいものが手に入りますよ,などと宣伝めいたアドバイスが送られていた。
高木社長:
俺は無理だろうけど,黒川なら倒せるかもよ?
男色ディーノさん:
マジですか!? いやでもクロちゃんも十分強いですよね?
高木社長:
5年やってるだけあるし,ポセパや魔獣パーティはさすがに強いけど,黒川あんま詰めきれてないから,初心者でもチャンスあるはず。
男色ディーノさん:
おお! じゃあ打倒クロちゃんで! ってか黒川黒川って(笑)。
ちなみに,DQMSLでは大型オフラインイベント「第2回 最強三銃士決定戦」が,8月25日に関東予選,9月7日に関西予選,10月13日に秋葉原で決勝大会というスケジュールで行われる。予選大会については3人チームなら誰でも参加可能らしい。
高木社長:
うーん……巡業休むか。
男色ディーノさん:
ちょっと! そういうとこですよ! ウチだってプロレス巡業は,8月25日に東京・後楽園ホールで「夏休みの思い出2019」が,9月7日に千葉・2AWスクエアで「落花生って、結構タンパク質も摂取できるんだぜ!2019」が,10月13日に大阪・世界館で「FROM THE NEW DRAMATIC WORLD!2019」があるんですからね!
DQMSLに負けじと,闘魂も商魂もたくましきDDTプロレスの頼れるレスラー,男色ディーノさん。余談だが,高木社長は連敗したのが相当悔しかったのか,撤収準備中にも関わらず黙々と(クロちゃんのデータで)パーティを組みなおし,場外乱闘のごとき再戦を叩きつけていた。取材中に急かされてパパッと組んだパーティとは違うそれは,中々に綿密な構成だったらしく,手早くリベンジを果たしていたことを伝えておこう。
高木社長にしても今回分かったのは,この名前があってのDQMSLプレイヤーなのではなく,プレイヤー名の後ろにたまたま大社長の名前がついていただけ,なのだろう。こんなに自然と楽しそうな姿でDQMSLを遊ばれたら,そりゃ誰だって分かる。
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