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AMD,2-in-1&タブレット向け次世代APU「Beema」「Mullins」を2014年前半に市場投入
ここで明らかになったのは,2-in-1デバイス向けの「Beema」(ビーマ,開発コードネーム)と,薄型タブレットデバイス向けとなる「Mullins」(ムリン,同)の2製品。あくまでも「ロードマップが更新されただけ」ではあるものの,BeemaとMullinsのスペックに関する具体的な言及もいくつかあったので,本稿ではそのあたりをまとめてみたいと思う。
従来製品比で2倍以上の電力性能を実現
Cortex-A5搭載でシステムレベルのセキュリティに対応
「Kabini」(カビニ)コア版AMD A-Series APUおよびAMD E-Series APUの後継となるBeema,そしてTemash(タメシもしくはテマシュ)コア版AMD A-Series APUの後継となるMullinsは,いずれも28nmプロセス技術を用いて製造されるSoC(System-on-a-Chip)だ。現時点では明言されていないものの,KabiniとTemashはダイレベルだと同じものになっており,提供される製品カテゴリーに応じてスペックの違いが設けられていたので,今回のBeemaとMullinsも同じではないかと思われる。
いずれも,CPUコアはKabini&Temash(およびPlayStation 4,Xbox One)で採用されている「Jaguar」(ジャガーもしくはジャギュア)マイクロアーキテクチャを改良した「Puma」(プーマ)世代のものを2〜4基,GPUコアはKabiniから引き続き,「Graphics Core Next」世代のものをそれぞれ集積するという。
BeemaのTDP(Thermal Design Power,熱設計消費電力)は10〜25Wとなる見通しで,Kabiniの15〜25Wと比べると下限が下がる。またMullinsでは,Temashの3〜4WというTDPに代わり,2W以下というSDP(Scenario Design Power)値が採用されたのがポイントだ。
SDPはIntelが提唱した値で,言うなれば「『タブレットデバイスに必要とされる程度の性能』」で動作させたときの発熱を基準とした放熱設計基準値」といったところ。要するに,タブレットデバイス向けの新しい熱設計指標を用意することで,より薄いタブレットデバイスを実現できるようにしてきた,といったところだ。
これらのアップデートによって,クアッドCPUコアモデル同士で比較した場合,Beemaが持つ消費電力あたりの性能は,Kabiniと比べて3D性能で約2倍,一般的なPCアプリケーション実行性能で2倍以上に達するとのこと。Mullinsも,Temashと比べたとき,3D性能で2倍以上,一般的な一般的なPCアプリケーション実行性能で2.5倍弱に達するという。
もう1つ興味深いのは,BeemaとMullinsで,ARMの提唱するセキュリティ技術「TrustZone」が利用可能になることだ。
TrustZoneというのは,CPUコアIP「Cortex-A5」をセキュリティコントローラとしてプロセッサ上に統合することにより,システムレベルのセキュリティ機能を実装するというもの。APUにおけるTrustZoneの対応は2012年6月の時点で予告されていたが(関連記事),BeemaとMullinsでようやく具体的な話が出てきたというわけである。
Windows 8.1への最適化を果たし
「Instant Go」の正式対応も実現
Windows 8.1への最適化が果たされているというのも,BeemaとMullinsにおけるトピックの1つだ。いずれもx86プロセッサなので,当たり前といえばそれまでだが,重要なのは,かつて「Connected Standby」と呼ばれていた「Instant Go」機能をサポートし,端末がスリープ状態へと移行しても,ネットワーク接続は有効な状態を維持して,メールやインスタントメッセージを受信できるようになっていること。しかも,スタンバイモードからの復帰は500ミリ秒以内に完了するという。
スマートフォンでは当たり前のように実現されている機能が,BeemaやMullinsを搭載した2-in-1デバイス,もしくはタブレットデバイスで実現可能になるのである。
以上,今回は,ロードマップの更新に合わせて“さわり”が紹介されただけだが,それでもBeemaとMullinsがイマドキのSoCになっており,そのうえでCPU&GPU性能の強化が図られている気配は強く感じられる。続報に期待したいところだ。
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- 関連タイトル:
Beema,Mullins(開発コードネーム)
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