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「ZOTAC GeForce GTX 1050 Ti 4GB OC」「ZOTAC GeForce GTX 1050 Mini 2GB」をテスト。短尺Pascalカードの存在意義に迫る
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印刷2016/11/26 11:00

レビュー

GTX 1050シリーズを搭載した短尺カードの存在意義を探る

ZOTAC GeForce GTX 1050 Ti 4GB OC,ZOTAC GeForce GTX 1050 Mini 2GB

Text by 宮崎真一


ZOTAC GeForce GTX 1050 Ti 4GB OC(左),ZOTAC GeForce GTX 1050 Mini 2GB(右)
メーカー:ZOTAC International
問い合わせ先:アスク(販売代理店) info@ask-corp.co.jp
ZOTAC GeForce GTX 1050 Ti 4GB OC実勢価格:2万〜2万1000円程度(※2016年11月26日現在)
ZOTAC GeForce GTX 1050 Mini 2GB実勢価格:1万5000〜1万5800円程度(※2016年11月26日現在)
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 Pascal世代のエントリーミドルクラス市場向けGPUである「GeForce GTX 1050 Ti」(以下,GTX 1050 Ti)は,「GeForce GTX 960」(以下,GTX 960)相当の性能を補助電源なしで実現するという,消費電力対性能比に秀でたGPUだ。また,その下位モデルとなる「GeForce GTX 1050」(以下,GTX 1050)も,そのGTX 1050 Ti比で9割程度の実力を備えており,3D性能を低コストでイマドキのレベルまで引き上げたい場合に魅力的な選択肢と言えるGPUだった。このあたりは,GTX 1050 TiとGTX 1050のレビュー記事を参照してもらえればと思う。

 今回取りあげるZOTAC International(以下,ZOTAC)の「ZOTAC GeForce GTX 1050 Ti 4GB OC」(型番:ZT-P10510B-10L,以下,ZOTAC GTX 1050 Ti OC)と「ZOTAC GeForce GTX 1050 Mini 2GB」(型番:ZT-P10500A-10L,以下,ZOTAC GTX 1050 Mini)は,製品名からも想像できるように,前者がGTX 1050 Ti搭載のクロックアップモデル,後者がGTX 1050搭載でカード長の短いモデルとなっている。
 市場で賑わいを見せるGTX 1050シリーズ搭載カードの中で,ZOTACの2製品にはどういった価値を認められるのか。テストにより明らかにしてみたい。


共通の基板を採用しつつ,GPUとクーラーで差別化した2製品


 GTX 1050 TiとGTX 1050がどういうGPUかという話はお伝え済みなので(関連記事),さっそく,入手した2枚のカードをチェックしていこう。


ZOTAC GeForce GTX 1050 Ti 4GB OC

ZOTAC GTX 1050 Ti OC
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 ZOTAC GTX 1050 Ti OCは冒頭でも触れたとおり,メーカーレベルのクロックアップモデルだ。具体的にはベースクロックが1392MHzに,ブーストクロックが1506MHzにそれぞれ引き上げられており,リファレンスクロックであるベース1290MHz,ブースト1392MHzと比べると,両者とも約8%高い。ただし,メモリクロックはリファレンスと変わらず7008MHz相当となっている。
 後述するテスト環境において,製品付属のオーバークロックツール「FireStorm」(Version 2.0.0.012E)から確認したところ,GPUクロックは1847MHzまで上がっていた。

FireStormから動作クロックを追ったところ。左のメーター部に「1847」とあり,1847MHzまで動作クロックが上がったことを確認できる
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 なおFireStormでは,自己責任を覚悟すれば,ブーストクロックを変更する形でのオーバークロック設定も可能だ。ウインドウ中央部にある「GPU CLOCK」のスライドバーを動かすことで,−400〜+2400MHzの範囲を1MHz刻みで設定できる。また,GPUコア電圧は「現在の電圧に対して何%加えるか」という形で,「GPU MAX VOLT」から0〜100%の範囲を1%刻み,メモリクロックは「MEMORY CLOCK」から,−100〜+1000MHz相当の範囲を1MHz相当刻みで変更可能だ。

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 カード長は実測で約157mm(※突起部含まず)。ただし,基板自体は同145mmで,GPUクーラーがカード後方に同12mmはみ出た格好となっている。今回比較対象として用意したエルザジャパン製「GeForce GTX 950」(以下,GTX 950)搭載カード「ELSA GeForce GTX 950 2GB S.A.C SS」が同174mmなので,「クロックアップモデルながら,一般的なGTX 950カードより短いという紹介も可能だろう。

クーラーがカード後方に少しはみ出たデザイン。6ピン補助電源コネクタ用のスペースが空きパターンとして残っていた
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FireStormの右メーター部にあるファン回転数関連の設定項目(上)。下は[ADVANCED]ボタンを押すと開ける,温度ごとのファン回転数設定用ウインドウだ
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 さて,そのGPUクーラーは2スロット占有タイプで,70mm角相当のファンを2基搭載したものとなっている。ファンの回転数はFireStomeで右側メーター部にある「FAN」のところで,標準の[AUTO]から[MANUAL]に変更することで,その上にある「FAN SPEED SETTING」のスライドバーを使って,(やはり自己責任だが)0〜100%の範囲を1%刻みで変更できるようになる。
 さらに,[ADVANCED]を選択すると,温度とパーセント表示からなる「回転数設定の折れ線グラフ」を使って,温度ごとの回転数を任意に設定することも可能だ。

 ただし,温度は10℃刻み,回転数は10%刻みでしか指定できないので,階段状の設定しか行えないのは画竜点睛を欠く印象がある。あと,これは評価が分かれると思うが,GPU負荷が低いアイドル状態でファンの回転数を停止する,流行の機能は用意されていない。

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70mm角相当のファンに寄ったところ。見る限り,これといったギミックはとくにない,シンプルなファンブレードのように感じられる
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こちらは外部出力インタフェース。DisplayPort 1.4×1,HDMI 2.0b(Type A)×1,Dual-Link DVI-D×1だった。このクラスの製品としては標準的な構成と言ってよいだろう

カードを側面から見たところ(上)と,クーラーを外したところ(下)
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 GPUクーラーの取り外しはメーカー保証外の行為であり,クーラーを外した時点でメーカー保証は失効する。その点は十分に注意してほしいが,今回は製品評価のため特別に取り外してみると,GPUクーラーは,GPUに接する銅製ベースから,すぐ上にある放熱フィン部へ,6mm径のヒートパイプ2本で熱を運ぶ仕様になっていることが分かる。

 このクラスだと,「ヒートシンクに冷却ファンを付けただけ」といった見た目の,シンプルな構造のGPUクーラーを採用するケースも多いのだが,クロックアップモデルだからということか,ZOTAC GTX 1050 Ti OCのクーラーはなかなかコストがかかっている印象だ。

 基板の電源部は4+1フェーズ構成のようで,MOSFETは「QM3058M」「QM3054」で,PWMコントローラは「uP9509P」,さらにDC/DCコントローラと思しきチップは「uP1542S」といった具合に,主要なコンポーネントはuPI Semiconductor製で固まっている。電源部にはいくつか空きパターンも見えるので,ひょっとすると,電源部を強化して,さらにクロックを高めたバリエーションモデルをZOTACとして検討しているのかもしれず,だとすると,基板に6ピン補助電源コネクタ用の空きスペースがあるのも納得である。

基板全景と電源部のクローズアップ
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 なお,メモリチップはSamsung Semiconductor製GDDR5の「K4G41325FE-HC28」(7.0Gbs品)で,メモリクロックのマージンは設けられていない格好だ。同チップは4Gbit品のため,4枚でメモリ容量は4GBとなる。


ZOTAC GeForce GTX 1050 Mini 2GB

ZOTAC GTX 1050 Mini
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 一方のZOTAC GTX 1050 Miniは,動作クロックはリファレンスどおりながらも,カード長は実測で約145mm(※突起部除く)を実現した,かなり小さなカードとなる。クーラーのサイズも基板長の中に収まっているため,2スロット仕様のグラフィックスカードに対応するPCケースへの搭載にあたって,そのサイズが問題になることはまずないだろう。

90mm角のファンを搭載するクーラーが,基板のほぼ全体を覆う。6ピンの補助電源コネクタ用となる空きスペースがあるのはZOTAC GTX 1050 Ti OCと同じ
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カードを側面から見たところ(左)と,出力インタフェース群(右)。出力インタフェースもZOTAC GTX 1050 Ti OCと同じだ
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こちらはファンブレードに線状の凹みがあった
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 FireStormでテスト中のGPUコアクロックを確認してみたところ,最大1746MHzを記録していた。そのほか「FireStormから行えること」は,ZOTAC GTX 1050 Ti OCと変わらない。アイドル時にファンの回転が完全に停止したりしない点も同様だ。

FireStormからGPUコアの最大動作クロックを追った結果
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クーラーを外したところ
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基板全体。ZOTAC GTX 1050 Ti OCとまったく同じデザインだ
 そのクーラーをこちらも特別に外してみると,ヒートシンクでGPUの熱を受け,90mm角相当のファン1基で冷却するという,エントリーミドルクラス市場向けモデルらしい冷却機構になっていることが分かる。こちらはクロックアップモデルでもないので,コストとサイズを優先した結果ではなかろうか。

 基板のほうは,部品の配置や数,部品そのものの型番も含め,先に紹介したZOTAC GTX 1050 Ti OCと瓜二つ。なので,クーラーを外してしまうと,一見しただけではどちらの基板か分からなくなる。
 メモリチップは,ZOTAC GTX 1050 Ti OCと異なりSamsung Semiconductor製GDDR5の「K4G80325FB-HC28」(7.0Gbs品)。こちらは2Gbit品のため,4枚でグラフィックスメモリ容量は2GBとなる。GPUクーラーとメモリチップ以外の仕様を共通化することで,製品シリーズ全体としてのコストダウンを図っているということなのだろう。

電源部の仕様はZOTAC GTX 1050 Ti OCと変わらない。メモリチップは2Gbit品へ変更となっていた
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GTX 960やGTX 950といった前世代モデルと比較。ZOTAC GTX 1050 Ti OCは「リファレンス相当」でもテスト実施


 テストのセットアップに入ろう。
 今回,比較対象としてはGTX 960とGTX 950を用意。ただし,GTX 960搭載カードとして用いたGIGABYTE TECHNOLOGY製「GV-N960WF2OC-2GD」はクロックアップモデルであるため,MSIのオーバークロックツール「Afterburner」(Version 4.3.0)でリファレンスレベルにまで下げて利用している。また,ZOTAC GTX 1050 Ti OCも同様にリファレンスにまで落とした状態を「GTX 1050 Ti」としてテストする。
 理想を言えば,比較対象はすべてリファレンスカードで揃えるべきだが,ミドルクラス以下のGPUを搭載してリファレンスデザインのまま出てくるカードが単体では流通していなかったりするので,この点はご了承を。

 テストに用いたグラフィックスドライバは,テスト開始時点における最新Hotfix版「GeForce Hot Fix driver version 375.95」だ。そのほかテスト環境はのとおりとなる。

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 テスト方法は基本的に4Gamerのベンチマークレギュレーション18.0準拠。ただし,レギュレーション19世代を先取りする形で,「3DMark」(Version 2.1.2973)のDirectX 12版テストである「Time Spy」を追加し,さらに,「Tom Clancy’s The Division」の代わりとして「DOOM」をテストに加えている。

 その具体的なテスト手順だが,Time Spyでは,テストを2回実行し,総合スコアが高いほうをスコアとして採用する。これは,従来の「Fire Strike」と同じやり方だ。
 一方のDOOMは,グラフィックスAPIとしてVulkanを選択のうえ,アーケードモードの「UAC」ステージにおいて,1分間の平均フレームレートを計測する。スコアのバラつきを抑えるべく,一定のルートを移動するわけだが,それでも「実際に操作する」という不確定要素は残るため,2回テストを行い,その平均をスコアとして採用することにした。
 なお,DOOMにおけるグラフィックス設定は,描画負荷が低めの「中」と,最も高い「ウルトラ」選択。Vulkanを採用したこともあり,平均フレームレートの取得には「PresentMonLauncher」(Version 1.0A)を用いている。

 テスト解像度は,GTX 1050 TiとGTX 1050がエントリーミドルクラス市場向けという観点から,3DMarkを除き,1920×1080ドットと,アスペクト比16:9でその1つ下となる1600×900ドットを採用した。
 また,これはいつもどおりだが,CPUの自動クロックアップ機能「Intel Turbo Boost Technology」は,テスト状況によってその効果に違いが生じる可能性を排除する目的で,マザーボードのUEFI(≒BIOS)から無効化している。


ZOTAC GTX 1050 Ti OCのクロックアップ効果は約3%。ZOTAC GTX 1050 MiniはGTX 960に迫る場面も


 スコアを順に見ていこう。
 グラフ1は3DMarkのFire Strikeにおける総合スコアをまとめたものだが,ZOTAC GTX 1050 Ti OCはGTX 1050 Ti比で2〜3%高いスコアを示し,GTX 960に対しても互角以上に立ち回っている。また,ZOTAC GTX 1050 MiniはGTX 950に対して10〜12%程度のスコアを示し,GTX 960に対しても約92%のところに付けている。

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 続いてグラフ2はTime Spyの総合スコアをまとめたものだが,ここでもZOTAC GTX 1050 Ti OCはGTX 960を超えるスコアを示している。
 ただ,ZOTAC GTX 1050 MiniはGTX 960比で約81%に留まり,GTX 950のスコアをわずかに上回る程度に留まった。これはGPUのレビュー記事でも指摘したことだが,DirectX 12といった最新世代のグラフィックスAPIを前にすると,GTX 1050の持つポテンシャルの限界が露呈気味になる傾向は,(クロックがリファレンスと変わらない)ZOTAC GTX 1050 Miniでも変わらないわけだ。

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 グラフ3,4は「Far Cry Primal」のテスト結果だ。ZOTAC GTX 1050 Ti OCはGTX 1050 Tiと比べて2〜4%程度高いスコアを示し,GTX 960に対しても,より描画負荷の高い「最高」プリセットで8〜11%程度と,有意に高いスコアを示した。このあたりはGPUレビュー時と同じ傾向だ。
 ZOTAC GTX 1050 Miniも最高プリセットでGTX 960の95〜100%程度のスコアと,かなり景気がいい。

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 「ARK: Survival Evolved」(以下,ARK)のテスト結果がグラフ5,6だ。
 ZOTAC GTX 1050 Ti OCの「クロックアップ効果」は,ざっくり1〜6%程度。とくにGPU負荷の高まる「High」プリセットでその効果が大きくなる傾向にある。そのHighプリセットにおいて,GTX 960に対し14〜15%程度ものスコア差を付けている点にも注目したい。
 ZOTAC GTX 1050 MiniとGTX 950のスコア差は7〜12%程度。なのでこちらは3DMarkと似た傾向を示したということになるだろう。

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 Vulkan API版DOOMのテスト結果がグラフ7,8となる。
 ZOTAC GTX 1050 Ti OCはGTX 1050 Tiに3〜5%程度のスコア差を付けているので,クロックアップの効果は出ていると言える。対するZOTAC GTX 1050 Miniは「中」プリセットでこそGTX 950を上回るものの,「ウルトラ」プリセットでは逆転を許してしまった。このあたりは先のGPUレビュー時と変わらない結果だ。

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 グラフ9,10は「Fallout 4」の結果だが,ここでもZOTAC GTX 1050 Ti OCはGTX 1050 Tiからスコアを3〜4%程度伸ばし,GTX 960といい勝負を演じている。
 ZOTAC GTX 1050 Miniは,GTX 960の85〜90%程度,GTX 950の105〜110%程度なので,ちょうど両GPUの間くらい,といったところか。

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 「ファイナルファンタジーXIV:蒼天のイシュガルド ベンチマーク」(以下,FFXIV蒼天のイシュガルド ベンチ)の結果がグラフ11,12だ。「標準品質(デスクトップPC)」では,相対的なCPUボトルネックが近づき,GTX 950以外の製品でスコアが丸まり出している。そのため,それ以外のスコアを見ていくことになるが,ZOTAC GTX 1050 Ti OCはGTX 1050 Ti比で102〜103%程度,GTX 960比で108〜111%程度と,とくに対GTX 960で見栄えのいい結果となっている。ZOTAC GTX 1050 Miniも,GTX 960に対して97〜104%程度のスコアなので,優秀と言っていい。

※グラフ画像をクリックすると,平均フレームレートベースのグラフ11’,12’を表示します
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 グラフ13,14は「Project CARS」の結果だ。Project CARSにおけるZOTAC GTX 1050 Ti OCとGTX 1050 Tiのスコア差は1〜4%程度で,ZOTAC GTX 1050 MiniがGTX 960の93〜97%程度というのは,ARKと似た傾向である。

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クロックアップモデルでも消費電力の低さが光る。GPUクーラーの冷却性能は申し分なし


 ZOTAC GTX 1050 Ti OCとZOTAC GTX 1050 Miniの消費電力もチェックしておこう。ここでは,ログの取得が可能な「Watts up? PRO」を用いてシステム全体の消費電力を測定,比較してみたいと思う。
 テストにあたっては,ゲーム用途を想定し,無操作時にもディスプレイの電源がオフにならないよう指定したうえで,OSの起動後30分放置した時点を「アイドル時」,各アプリケーションベンチマークを実行したとき,最も高い消費電力値を記録した時点を,タイトルごとの実行時としている。

 その結果はグラフ15のとおり。ぱっと見て分かるとおり,第2世代Maxwellベースの2製品に対し,Pascalアーキテクチャを採用するGTX 1050 Ti&GTX 1050の消費電力が低い。
 もう少し細かく見てみると,ZOTAC GTX 1050 Ti OCとZOTAC GTX 1050 Miniはいずれもアイドル時に42〜43Wと低め。アプリケーション実行時は,クロックアップモデルとなるZOTAC GTX 1050 Ti OCのスコアが高めとなってしまっているが,それでもGTX 950より確実に低いので,大きな問題はないと言っていいだろう。
 ZOTAC GTX 1050 Miniの消費電力が,(ZOTAC GTX 1050 Ti OCをクロックダウンした)GTX 1050 Tiと同じなのは,基板設計が同じ以上,さもありなんという感じはある。

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 GPU温度もチェックしておきたい。
 ここでは3DMarkの30分間連続実行時点を「高負荷時」とし,アイドル時ともども「GPU-Z」(Version 1.12.0)からGPU温度を取得することにした。なお,テスト時の室温は約24℃で,システムはPCケースに組み込まず,いわゆるバラックの状態に置いてある。

 その結果をグラフ16に示すが,比較対象に用いたカードとはファンの制御方法や温度センサーの位置が異なっており,横並びの評価は適切ではない。そのため,ZOTAC GTX 1050 Ti OCとZOTAC GTX 1050 Miniに搭載されたGPUクーラーの冷却性能を見る程度に留めるが,アイドル時に30℃を下回り,高負荷時にも50℃台なので,冷却能力は申し分ないと言い切ってしまっていいだろう。正直,テストするまではZOTAC GTX 1050 Miniの冷却能力をやや不安視していたのだが,これなら,小型PCケースに搭載しても,熱の問題が生じることはないはずだ。

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 最後に,そんなGPUクーラーの動作音もチェックしておきたい。
 今回は,カメラをカードと正対する形で30cm離した地点に置き,PCをアイドル状態で1分間放置した状態から,FFXIV蒼天のイシュガルド ベンチを最高品質の1920×1080ドットで4分間実行した,計5分間を録画して,ビデオとしてまとめている。
 その結果は下にそれぞれまとめたとおりなので,ぜひ再生してほしいと思うが,ZOTAC GTX 1050 Ti OCは,FFXIV蒼天のイシュガルド ベンチを実行すると次第にファンの回転数が上がっていき,約3分後(=ビデオ再生開始から約4分後)に,回転数は最大レベルに達する。風切り音もそれなりに大きい。小口径のファンらしく,風切り音の周波数がやや高い点も指摘しておきたい。
 対するZOTAC GTX 1050 Miniも,全体としてはZOTAC GTX 1050 Ti OCとあまり変わらない。ビデオ再生開始から約4分後に最大回転数に達するのも同じだが,ただ,ファンの口径が大きいためか,風切り音の周波数がやや低く,若干ながら音量は小さい印象も受けた。


 いずれも,PCケースに入れてしまえば,よほど静音性を重視するのでもない限り,問題のない音量になる印象だ。ただ,画期的に静かというわけでもないので,その点は押さえておく必要もあるだろう。


コストパフォーマンスは両製品とも優秀。これでもう少し静かなら……というのは贅沢すぎ?


製品ボックス。2製品とも同じデザインだ
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 ZOTAC GTX 1050 Ti OCは,「体感できるか?」というと疑問符が付くものの,クロックアップモデルとして,相応の効果は確認できる。GTX 960のスコアをほぼ安定的に上回る点は魅力的だ。2万〜2万1000円程度(※2016年11月26日現在)という価格は,最安値とまでは言わないものの,2連ファンを採用して実現する冷却能力まで加味すれば,アリと言えるレベルにある。
 対するZOTAC GTX 1050 Miniは,絶対性能こそ一段落ちるものの,1万5000〜1万5800円程度(※2016年11月26日現在)で,カード長150mm未満の製品が手に入るという点に惹かれる人はいると思う。

画像集 No.030のサムネイル画像 / 「ZOTAC GeForce GTX 1050 Ti 4GB OC」「ZOTAC GeForce GTX 1050 Mini 2GB」をテスト。短尺Pascalカードの存在意義に迫る
 ただ,GPUクーラー周りでもう少し配慮が欲しかったというのも,偽らざる感想だ。
 小型PCケース内のエアフローに配慮して,アイドル時にもファン回転を停止させないような仕様になっているのかもしれないが,たとえばそのあたりはFireStormから選択できるようになっていれば,よりよかった。ファン回転数の制御も,もう少し細やかに行えたほうがいいだろう。小型PCほど,ただ小さく,ただ補助電源不要なだけではなく,静かであることへのニーズは高いと思われるだけに,そのあたりは考慮してほしかった。

 とはいえ,懸念点はそれくらいである。いずれも,GTX 1050 TiおよびGTX 1050カードの購入を考えている人が検討するに足る製品だとまとめておきたい。

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