レビュー
「Factory OC不可」のGPUを搭載するAMP Editionは,クーラーの冷却能力と静音性に注目!?
ZOTAC GeForce GTX 1070 Ti AMP Edition
(ZT -P10710C -10P /ZTGTX 1070TI -8GD AMP01)
では,そのような状況にあって,ZT
メーカー保証付きのクロックアップ機能「One-Click OC」によりブーストクロックは70MHz上がる
正確に言えば,リファレンスのメモリクロックは8008MHz相当(実クロック2002MHz)で,ZOTAC公式スペックはそれより若干低いということになるのだが,ZOTACの公開しているオーバークロック用ユーティリティソフト「FireStorm」(Version 2.0.0.026E)からチェックするとメモリクロックは8012MHzだったりもするので,ここは深く考えず「リファレンスどおり」という理解でいいと思われる。
ZOTACによると,GTX1070Ti_AMP_01.iniの適用はメーカー保証の範囲内とのこと。NVIDIAによる指示に従いつつ,なんとかAMPモデルらしい仕様を実現するため,このような方策を取っているのだろう。
ちなみにZOTACはこの仕様に,「One
なお,後述するテスト環境でテスト中のGPUコアクロックを追ってみたところ,工場出荷時設定では1898MHz,OCモードでは1961MHzがブースト最大クロックとなっていた。
なお,FireStorm自体はオーバークロック用ユーティリティソフトなので,自己責任を覚悟すれば,GPUのブーストクロックを1283MHz〜4083MHzの範囲から1MHz刻み,GPUのコア電圧は規定値に対するパーセンテージ指定により0〜100%の範囲を1%刻みで指定可能。メモリクロックは規定値に対して−2000〜+2000MHz相当の範囲を1MHz相当刻みで変更できるようになっている。
大型のオリジナルクーラー「IceStorm」を搭載
カード長は実測で約289mm(※突起部除く)だが,基板自体は同280mmなので,9mmほどGPUクーラーが後方にはみ出た格好だ。GTX 1070 TiのFounders Editionだと同267mmなので,カードも基板も長いということになる。
しかもZT
ZOTACによると,これはリップルノイズや電力の変動を抑え,電流供給の安定化を図るためのものだという。
先ほど配置について言及した補助電源コネクタは,8ピン
一方,外部出力インタフェースはDisplay
補助電源コネクタは8ピン×2という構成。GTX 1070 Ti Founders Editionから8ピンが1基増えた格好となる |
外部出力インタフェースは端子の並びどころか空気孔の空き方もGTX 1070 Ti Founders Editionとまったく同じだった |
ファンの回転数はFireStormから調整可能で,工場出荷時設定は自動制御となる「AUTO」。別途,負荷状況を問わず一定の回転数に保つ「MANUAL」,そして温度と回転数の関係をグラフから指定できる「ADVANCED」も選択可能だ。
ちなみにMANUALだと,回転数は10〜100%の間を1%刻みで設定できるのに対して,ADVANCEDでは10%刻みとなる。またADVANCEDの場合は,温度も10℃刻みだ。
電源周りはかなり豪華な作りに
GPUクーラーの取り外しはメーカー保証外の行為である。それをお断りしつつ,今回はレビューのため特別に取り外し,“中身”をチェックしてみよう。
また,メモリチップとメモリ用電源部の熱はヒートシンクで受ける一方,GPU用の電源部には専用のヒートシンクが取り付けられていることも見てとれよう。
GPUクーラーからファンとカバーを取り外したところ。GPU上の銅製枕からヒートパイプが伸びている |
パッシブクーラー部は,5本のヒートパイプが2ブロックに分かれたフィンを結ぶ構造になっていた |
しかも,ただ多段化しただけでなく,フェーズごとにMagnaChip Semiconductor製のN-Channel型MOSFET「MDU1511」
デジタルPWMコントローラには,お馴染みの「μP9511P」を搭載している |
基板の端には,LEDテープ連動用と思われる端子もあるのだが,その詳細は説明されていない |
GTX 1080&GTX 1070 Tiの両Founders Editionと比較
テスト環境の構築に入ろう。
今回,ZT
テストに用いたグラフィックスドライバは「GeForce 388.71 Driver」。すでにRelease 390世代のドライバがリリース済みだが,テスト開始タイミングの都合で一世代前になっている。競合製品との比較は行わないため,大勢に影響はないはずだが,ご了承を。
なお,「Spectre」「Meltdown」という識別名で名で知られる,CPUの投機実行機能の脆弱性に対しては,今回,Windows Updateによる対策のみを行っている。
そのほかテスト環境は表のとおりだ。
テスト方法は,4Gamerのベンチマークレギュレーション21.0に準拠。テスト解像度は,GTX 1070 Tiがハイエンド市場向けということもあり,3840
なお,ここまでの説明からピンときた人もいると思うが,今回のテスト環境とテスト方法などは,ASUSTeK Computer製カード「TURBO-GTX1070TI-8G」のレビュー時と同じ。そのため,GTX 1080とGTX 1070 Tiのスコアは同記事のものを流用する。この点はあらかじめお断りしておきたい。
ZT -P10710C -10PのスコアはGTX 1070 Tiとほぼ横並び。OCモードの効果はタイトルによる
以下,グラフ中に限り,OCモードを「ZT
ZT
グラフ2は,そのFire StrikeにおけるGPUテスト結果「Graphics Score」を抜き出したものだ。ここでもZT
同じく3DMarkから,DirectX 12のテストとなる「Time Spy」の総合スコアをまとめたものがグラフ3,そのGPUテスト結果「Graphics Score」をまとめたものがグラフ4である。
ここで注目したいのは,OCモードのスコアが,GTX 1080比で99〜100%程度と,ほぼ互角と言っていいレベルに達していることだ。ZT
グラフ5〜7は「Prey」の結果だ。
ここでは1920
グラフ8〜10の「Overwatch」だと,スコア差はさらに小さくなる。OCモードですらZT
Overwatchはシンプルな実装であるがゆえにGPUの規模とメモリ性能がスコアを左右しやすいのだが,果たしてそのとおりの結果になったと言えそうだ。
「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」(以下,PUBG)の結果がグラフ11〜13となる。
PUBGでも1920
続いてグラフ14〜16は,「Middle-earth: Shadow of War」(以下,Shadow of War)のテスト結果となる。
Shadow of Warにおいて,ZT
OCモードが工場出荷時設定に対して2〜3%程度高いスコアを示すのも目を惹くが,一方で対GTX 1080だと91〜92%程度の平均フレームレートに留まっており,描画負荷の高いタイトルにおけるメモリバス帯域幅の重要性も分かる。
「Tom Clancy’s Ghost Recon Wildlands」(以下,Wildlands)のテスト結果はグラフ17〜19にまとめたとおりだ。
ZT
1920
グラフ20は,「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク」(以下,FFXIV紅蓮のリベレーター ベンチ)の総合スコアをまとめたものとなる。
FFXIV紅蓮のリベレーター ベンチでも,1920
そんなFFXIV紅蓮のリベレーター ベンチにおける平均フレームレートと最小フレームレートの結果がグラフ21〜23だが,平均フレームレートは総合スコアを踏襲したものになっている。
一方の最小フレームレートは,CPU性能依存が大きいためスコア差が生じにくいものの,OCモードの3840
「Forza Motorsport 7」(以下,Forza 7)の結果がグラフ24〜26だ。ここでもZT
OCモードで消費電力は30Wほど上昇。IceStormクーラーの冷却性能と静音性は優秀
8ピン
グラフ27は,「4Gamer GPU Power Checker」(Version 1.1)を用いて,FFXIV紅蓮のリベレーター ベンチ実行中におけるカード単体の消費電力を測定したものだ。そのままでは横軸が詰まっていて分かりにくいことから,グラフ画像をクリックすると横に伸ばしたものも表示するようにしてあるので,そちらも参照してほしい。
さて,ZT
一方のOCモードだと,300Wを超える場面が目に見えて増え,350Wを超えることも珍しくなくなってしまった。クロックアップの代償は小さくない印象である。
参考までに,グラフ27から中央値を求めた結果がグラフ28だ。
ここで面白いのはZT
OCモードの中央値が図抜けているのは,グラフ27を見る限り,納得といったところだ。
さらに参考として,ログの取得が可能なワットチェッカー「Watts up? PRO」を用い,システム全体の消費電力で比較したものがグラフ29となる。
なお,テストにあたっては,ゲーム用途を想定し,無操作時にもディスプレイの電源がオフにならないよう指定したうえで,OSの起動後30分放置した時点を「アイドル時」,各アプリケーションベンチマークを実行したとき,最も高い消費電力値を記録した時点を,タイトルごとの実行時としている。
というわけで結果を見てみると,ZT
GPUの温度もチェックしておこう。3DMarkの30分間連続実行時点を「高負荷時」とし,アイドル時ともども,TechPowerUp製GPU情報表示ツール「GPU-Z」(Version 2.5.0)からGPU温度を取得した結果がグラフ30だ。テスト時の室温は約24℃で,テスト環境は机上に,いわゆるバラックの状態で置いたときの結果となる。
言うまでもないことだが,温度センサーのデータ取得方法がテスト対象のすべてで同じとは断言できず,また,基板設計もファン回転数の制御方法も異なる。そのため,横並びの評価にあまり意味はない。その点はくれぐれも注意してほしいが,高負荷時におけるZT
最後にIceStormクーラーの動作音を確認しておきたい。今回は,カメラをカードと正対する形で30cm離した地点に置き,PCをアイドル状態で1分間放置した状態から,FFXIV紅蓮のリベレーター ベンチを最高品質の2560×1440ドットで4分間実行した,合計約5分間をビデオとして用意した。テスト時の動作モードは,工場出荷時設定だ。
最初の1分間はアイドル状態だが,ファンは回転しているものの,その動作音はかなり静か。1分後,FFXIV紅蓮のリベレーター ベンチを実行すると,次第に回転数を増していき,実行してから3分後(=ファイル冒頭から4分後)には,ファンの回転数は最大に達し,動作音も大きくなっている。
しかし,それでも動作音はこのクラスの製品としては静かで,ケース内部に入れると外部には聞こえてこないレベルだ。
「AMP」モデルとして見るとやや大人しめで価格の高さも気になるが,カード自体の完成度は高い
ただこれは,ZOTACのラインナップに,さらなる上位モデル「ZOTAC GeForce GTX 1070 Ti AMP Extreme」(型番:ZT
気になる実勢価格は6万5000〜7万2000円程度(※2018年1月19日現在)。メーカーやブランドを問わなければ,GTX 1080カードを7万円以下で購入することも可能という状況を考えるに,価格対性能比はあまりよろしくない。
その意味でZT
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ZOTACのZT -P10710C -10P製品情報ページ
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