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「ZOTAC GeForce GTX 1070 Ti AMP Edition」レビュー。新しい「AMP」モデルは,クーラーの冷却能力と静音性に注目!?
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印刷2018/01/19 00:00

レビュー

「Factory OC不可」のGPUを搭載するAMP Editionは,クーラーの冷却能力と静音性に注目!?

ZOTAC GeForce GTX 1070 Ti AMP Edition
(ZT-P10710C-10P/ZTGTX1070TI-8GDAMP01)

Text by 宮崎真一


ZOTAC GeForce GTX 1070 Ti AMP Edition(型番:ZT-P10710C-10P/ZTGTX1070TI-8GDAMP01)
メーカー:ZOTAC International
問い合わせ先:アスク(販売代理店) info@ask-corp.co.jp
実勢価格:6万5000〜7万2000円程度(※2018年1月19日現在)
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 ZOTAC International(以下,ZOTAC)製グラフィックスカードの中でも,製品名に「AMP」と入ったものは,かなり大胆なクロックアップが施されたモデルとして知られてきた。しかし,これまたよく知られているとおり,「GeForce GTX 1070 Ti」(以下,GTX 1070 Ti)でNVIDIAは,「メーカーレベルのクロックアップ」自体を認めていない。そのため,ZOTACのAMPシリーズ新製品となるGTX 1070 Ti搭載モデル「ZOTAC GeForce GTX 1070 Ti AMP Edition」(型番:ZT-P10710C-10PもしくはZTGTX1070TI-8GDAMP01,以下 ZT-P10710C-10P)も,工場出荷時設定の動作クロックはリファレンスどおりだ。

 では,そのような状況にあって,ZT-P10710C-10Pを選択する意味はあるのだろうか? サンプルをZOTACから入手できたので,実機の実力を探ってみたい。


メーカー保証付きのクロックアップ機能「One-Click OC」によりブーストクロックは70MHz上がる


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 さて,冒頭で述べたように,ZT-P10710C-10Pの動作クロック設定は,GPUがベース1607MHz,ブースト1683MHzで,メモリクロックが8000MHz相当と,リファレンスどおりだ。
 正確に言えば,リファレンスのメモリクロックは8008MHz相当(実クロック2002MHz)で,ZOTAC公式スペックはそれより若干低いということになるのだが,ZOTACの公開しているオーバークロック用ユーティリティソフト「FireStorm」(Version 2.0.0.026E)からチェックするとメモリクロックは8012MHzだったりもするので,ここは深く考えず「リファレンスどおり」という理解でいいと思われる。

GTX1070Ti_AMP_01.iniを選んでいるところ
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 それより重要なのは,FireStormを使うことで,ZOTACが公開しているクロックアップ用プロファイル「GTX1070Ti_AMP_01.ini」を適用できることのほうだ。プロファイルはFireStormに付属しており,FireStorm側で[LOAD]ボタンをクリックして当該ファイルを指定し,すぐ左隣にある[OC]ボタンをクリックすると,当該プロファイルを適用できる仕掛けになっている。

 ZOTACによると,GTX1070Ti_AMP_01.iniの適用はメーカー保証の範囲内とのこと。NVIDIAによる指示に従いつつ,なんとかAMPモデルらしい仕様を実現するため,このような方策を取っているのだろう。
 ちなみにZOTACはこの仕様に,「One-Click OC」という名を与えている。

GTX 1070 Ti GPU
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 One-Click OCによって引き上げたクロックの状態を本稿では便宜上「OCモード」と呼ぶことにするが,このOCモードでは,GPUのベースが1677MHz,ブーストが1753MHzと,いずれもリファレンス比で70MHz上がる,さらにメモリクロックも8100MHz相当(実クロック2025MHz)と,100MHz弱上がった。
 なお,後述するテスト環境でテスト中のGPUコアクロックを追ってみたところ,工場出荷時設定では1898MHz,OCモードでは1961MHzがブースト最大クロックとなっていた。

左は工場出荷時設定,右はOCモードでそれぞれブースト最大クロックを追ったところ。順に1898MHz,1961MHzとなった。OCモードでは「Power Limit」が140%まで上がる点にも注目
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 なお,FireStorm自体はオーバークロック用ユーティリティソフトなので,自己責任を覚悟すれば,GPUのブーストクロックを1283MHz〜4083MHzの範囲から1MHz刻み,GPUのコア電圧は規定値に対するパーセンテージ指定により0〜100%の範囲を1%刻みで指定可能。メモリクロックは規定値に対して−2000〜+2000MHz相当の範囲を1MHz相当刻みで変更できるようになっている。


大型のオリジナルクーラー「IceStorm」を搭載


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 続いて,ZT-P10710C-10Pの実機をチェックしていこう。
 カード長は実測で約289mm(※突起部除く)だが,基板自体は同280mmなので,9mmほどGPUクーラーが後方にはみ出た格好だ。GTX 1070 TiのFounders Editionだと同267mmなので,カードも基板も長いということになる。
 しかもZT-P10710C-10Pの場合は,マザーボードに装着したときの垂直方向へもブラケットから同27mmはみ出ていて,さらに補助電源コネクタも垂直方向を向いているため,PCケースの内部では,相応に広いスペースが必要になるので,この点は注意が必要だ。

灰色で統一された,最近のZOTAC製グラフィックスカードらしい外観のZT-P10710C-10P。基板の背面側にはやはり灰色をした補強板がある
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 上の写真で補強板の一部がくり抜かれているのに気付いた読者も多いと思うが,くり抜かれたところから顔を覗かせているのは,「POWERBOOST」チップだ。
 ZOTACによると,これはリップルノイズや電力の変動を抑え,電流供給の安定化を図るためのものだという。

 先ほど配置について言及した補助電源コネクタは,8ピン×2という構成。GTX 1070 TiのFounders Editionだと8ピン×1なので,ここは強化がなされていると言える。
 一方,外部出力インタフェースはDisplayPort 1.4×3,HDMI 2.0b(Type A)×1,Dual-Link DVI-D×1なので,こちらはFounders Editionと同じである。

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補助電源コネクタは8ピン×2という構成。GTX 1070 Ti Founders Editionから8ピンが1基増えた格好となる
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外部出力インタフェースは端子の並びどころか空気孔の空き方もGTX 1070 Ti Founders Editionとまったく同じだった

ZOTACはIceStormのファンにこれといったマーケティングネームを与えていないが,羽の下側(=ヒートシンクに近い側)が膨らんだような構造となっているので,何らかの改良は入っているようだ
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 2スロット仕様となるZOTAC独自のクーラーには,「IceStorm」という名が付いている。大型であることを活かし,2基のファンは100mm角相当と大きめなのが特徴だが,「アイドル時など,負荷の低い局面ではファンの回転を止める」といった流行の機能は持たず,常時回転となる仕様だ。

 ファンの回転数はFireStormから調整可能で,工場出荷時設定は自動制御となる「AUTO」。別途,負荷状況を問わず一定の回転数に保つ「MANUAL」,そして温度と回転数の関係をグラフから指定できる「ADVANCED」も選択可能だ。
 ちなみにMANUALだと,回転数は10〜100%の間を1%刻みで設定できるのに対して,ADVANCEDでは10%刻みとなる。またADVANCEDの場合は,温度も10℃刻みだ。

FireStormからADVANCEDを選択したときにポップアップするグラフ。GPUの温度と回転数の関係を折れ線グラフから自由にカスタマイズ可能だ
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FireStormの[SPECTRA]ボタンから,LEDイルミネーションの設定を行える
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 GPUクーラーの側面部にあるZOTACロゴ部にはLEDが埋め込んであり,FireStormから色や明るさ,発光パターンを変更可能だ。色の選択肢は標準の白と,赤,黄,緑,水,青,紫の計7色。明るさは8段階,発光パターンは常時点灯の「STATIC」と,ゆっくり明滅を繰り返す「BREATHING」,早い点滅の「STROBE」,色が順次変わっていく「CYCLE」の4つからそれぞれ選択できるようになっている。

LEDの色を変更してみたカット。左から白,赤,青である
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電源周りはかなり豪華な作りに


 GPUクーラーの取り外しはメーカー保証外の行為である。それをお断りしつつ,今回はレビューのため特別に取り外し,“中身”をチェックしてみよう。
GPUクーラーを取り外したところ。電源部には専用のヒートシンクが用意されていた
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 というわけでさっそく取り外してみると,IceStormは,GPUの熱を銅製の枕で受け,8mm径が2本,6mm径が3本という構成のヒートパイプで熱を放熱フィン部へ運ぶ仕様になっているのが分かる。
 また,メモリチップとメモリ用電源部の熱はヒートシンクで受ける一方,GPU用の電源部には専用のヒートシンクが取り付けられていることも見てとれよう。

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GPUクーラーからファンとカバーを取り外したところ。GPU上の銅製枕からヒートパイプが伸びている
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パッシブクーラー部は,5本のヒートパイプが2ブロックに分かれたフィンを結ぶ構造になっていた

電源部のヒートシンクと補強板を取り外したところ
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 基板側の電源部は8+2フェーズ構成。GTX 1070 TiのFounders Editionだと5+1フェーズ構成なので,かなりの強化がなされていると言っていい。
 しかも,ただ多段化しただけでなく,フェーズごとにMagnaChip Semiconductor製のN-Channel型MOSFET「MDU1511」×2と「MDU1513」を組み合わせた,豪華な作りだ。

電源部全景
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デジタルPWMコントローラには,お馴染みの「μP9511P」を搭載している
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基板の端には,LEDテープ連動用と思われる端子もあるのだが,その詳細は説明されていない
こちらは電源部の背面側(左)。ZHUOXINWEI TECHNOLOGY製LED制御チップ「ZX604」の姿も確認できる(右)
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 搭載するメモリチップはMicron Technology製GDDR5「MT51J256M32HF-80」(8Gbps品,チップ上の刻印は「7UA47 D9TCB」)。ロットは異なるものの,GTX 1070 TiのFounders Editionが搭載するのと同種のチップで,この8Gbitチップを8枚搭載することで容量8GBを実現している。


GTX 1080&GTX 1070 Tiの両Founders Editionと比較


 テスト環境の構築に入ろう。
 今回,ZT-P10710C-10Pの比較対象としては,「GeForce GTX 1080」(以下,GTX 1080)とGTX 1070 Tiの両Founders Editionを用意した。GTX 1070 TiのFounders Editionと同じクロック設定になっているZT-P10710C-10Pの工場出荷時設定が,異なるテスト結果を示すのか,そしてOCモードでGTX 1080に迫ることができるのかを確認しようというわけである。

 テストに用いたグラフィックスドライバは「GeForce 388.71 Driver」。すでにRelease 390世代のドライバがリリース済みだが,テスト開始タイミングの都合で一世代前になっている。競合製品との比較は行わないため,大勢に影響はないはずだが,ご了承を。
 なお,「Spectre」「Meltdown」という識別名で名で知られる,CPUの投機実行機能の脆弱性に対しては,今回,Windows Updateによる対策のみを行っている。

 そのほかテスト環境はのとおりだ。

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 テスト方法は,4Gamerのベンチマークレギュレーション21.0に準拠。テスト解像度は,GTX 1070 Tiがハイエンド市場向けということもあり,3840×2160ドットと2560×1440ドット,1920×1080ドットの3つを選択した。

 なお,ここまでの説明からピンときた人もいると思うが,今回のテスト環境とテスト方法などは,ASUSTeK Computer製カード「TURBO-GTX1070TI-8G」のレビュー時と同じ。そのため,GTX 1080とGTX 1070 Tiのスコアは同記事のものを流用する。この点はあらかじめお断りしておきたい。


ZT-P10710C-10PのスコアはGTX 1070 Tiとほぼ横並び。OCモードの効果はタイトルによる


 以下,グラフ中に限り,OCモードを「ZT-P10710C-10P(OC)」と表記するが,まずは「3DMark」(Version 2.4.4180)の「Fire Strike」における総合スコアをまとめたグラフ1から見ていこう。
 ZT-P10710C-10PのスコアはGTX 1070 Tiより若干高い傾向にあるが,ほぼ横並びと言っていい。一方のOCモードだと,工場出荷時設定と比べて最大で約4%高いスコアを示し,GTX 1080比で約97%というところにまで迫っているが,さすがに逆転まではできていない。

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 グラフ2は,そのFire StrikeにおけるGPUテスト結果「Graphics Score」を抜き出したものだ。ここでもZT-P10710C-10PはGTX 1070 Tiとほぼ同じスコアで,あえて言えば最大で約1%高い。OCモードでは工場出荷時設定と比べてスコアが2〜4%程度向上し,対GTX 1080で95〜97%程度に迫るものの,逆転まではしないといった具合で,総合スコアを踏襲する結果となっている。

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 同じく3DMarkから,DirectX 12のテストとなる「Time Spy」の総合スコアをまとめたものがグラフ3,そのGPUテスト結果「Graphics Score」をまとめたものがグラフ4である。
 ここで注目したいのは,OCモードのスコアが,GTX 1080比で99〜100%程度と,ほぼ互角と言っていいレベルに達していることだ。ZT-P10710C-10Pにおける,NVIDIAの指示に従いつつもZOTACの施した苦心のクロックアップ設定は,少なくともTime Spyでは奏功したと述べてよさそうだ。

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 グラフ5〜7は「Prey」の結果だ。
 ここでは1920×1080ドット条件において相対的なCPUボトルネックによるスコアの頭打ちが生じている。そのため今回は残る2条件のスコアを見ていくことになるが,ZT-P10710C-10PとGTX 1070 Tiはほぼ横並び。またZT-P10710C-10PのOCモードも工場出荷時設定に対して平均フレームレートで1〜2%程度高いだけだ。Preyおいて,クロックアップの効果はあまりないということになるだろう。

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 グラフ8〜10の「Overwatch」だと,スコア差はさらに小さくなる。OCモードですらZT-P10710C-10PのスコアはGTX 1070 Tiと大差ないレベルで,こうなると当然,GTX 1080とのスコア差は大きくなる。
 Overwatchはシンプルな実装であるがゆえにGPUの規模とメモリ性能がスコアを左右しやすいのだが,果たしてそのとおりの結果になったと言えそうだ。

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 「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」(以下,PUBG)の結果がグラフ11〜13となる。
 PUBGでも1920×1080ドットでは,CPUの相対的なボトルネックによって平均フレームレートが約142fpsで頭打ちになっている。それ以外の解像度では,まずZT-P10710C-10PとGTX 1070 Tiとの間に平均フレームレートレベルの違いはほとんどない。OCモードだと2560×1440ドット条件で工場出荷時設定よりも約3%高いスコアを示すものの,3840×2160ドット条件では描画負荷の高まりからGPUの地力勝負となり,クロックのわずかな違いがスコアを左右しなくなっていることも見てとれる。

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 続いてグラフ14〜16は,「Middle-earth: Shadow of War」(以下,Shadow of War)のテスト結果となる。
 Shadow of Warにおいて,ZT-P10710C-10Pの平均フレームレートは,GTX 1070 Ti比で1〜2%程度高い。fps値で言うと最大でも1fpsしか変わらないので,体感するのは難しいだろうが,傾向としては3DMarkのFire Strikeと似た印象である。
 OCモードが工場出荷時設定に対して2〜3%程度高いスコアを示すのも目を惹くが,一方で対GTX 1080だと91〜92%程度の平均フレームレートに留まっており,描画負荷の高いタイトルにおけるメモリバス帯域幅の重要性も分かる。

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 「Tom Clancy’s Ghost Recon Wildlands」(以下,Wildlands)のテスト結果はグラフ17〜19にまとめたとおりだ。
 ZT-P10710C-10PはGTX 1070 Ti比で約1%高いスコアを示し,ZT-P10710C-10PのOCモードはそこからさらに1〜3%程度高いスコアを示す。一方,OCモードでGTX 1080比95〜96%程度というところなので,イメージとしては3DMarkのFire StrikeとShadow of Warの中間的なテスト傾向といったところだろうか。
 1920×1080ドットでレギュレーション21世代がハイエンド環境の合格ラインとする60fpsを超えるのがGTX 1080だけというあたりからは,GTX 1070 Tiとの間にある明らかな違いも感じられよう。

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 グラフ20は,「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク」(以下,FFXIV紅蓮のリベレーター ベンチ)の総合スコアをまとめたものとなる。
 FFXIV紅蓮のリベレーター ベンチでも,1920×1080ドット条件はCPUの相対的なボトルネックが近く,スコア差が詰まりつつあるため,2560×1440ドット以上を見ていくことになるわけだが,そこでZT-P10710C-10PのスコアはGTX 1070 Tiとやはりほぼ横並び。OCモードが工場出荷時設定比で3〜4%程度高いスコアを示す一方,対GTX 1080だと94〜95%程度というのは,3DMarkのFire StrikeやPrey,Wildlandsと同傾向だ。

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 そんなFFXIV紅蓮のリベレーター ベンチにおける平均フレームレートと最小フレームレートの結果がグラフ21〜23だが,平均フレームレートは総合スコアを踏襲したものになっている。
 一方の最小フレームレートは,CPU性能依存が大きいためスコア差が生じにくいものの,OCモードの3840×2160ドットと2560×1440ドットでGTX 1080に迫っている点は立派と言ってよさそうだ。1920×1080ドットで最小フレームレートに違いがないのは,CPUの相対的なボトルネックによる影響を受けているためだろう。

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 「Forza Motorsport 7」(以下,Forza 7)の結果がグラフ24〜26だ。ここでもZT-P10710C-10Pのスコア傾向は3DMarkのFire StrikeやPrey,Wildlands,FFXIV紅蓮のリベレーター ベンチと同じ。工場出荷時設定はGTX 1070 Tiと同程度のスコアとなり,OCモードはそんな工場出荷時設定比で1〜4%程度高いスコアを示している。

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OCモードで消費電力は30Wほど上昇。IceStormクーラーの冷却性能と静音性は優秀


 8ピン×2という補助電源仕様を持つZT-P10710C-10Pの消費電力もチェックしておきたい。
 グラフ27は,「4Gamer GPU Power Checker」(Version 1.1)を用いて,FFXIV紅蓮のリベレーター ベンチ実行中におけるカード単体の消費電力を測定したものだ。そのままでは横軸が詰まっていて分かりにくいことから,グラフ画像をクリックすると横に伸ばしたものも表示するようにしてあるので,そちらも参照してほしい。

 さて,ZT-P10710C-10Pの消費電力はおおむね150W前後で,まれに300W超を示すことがある。もっともGTX 1070 TiのFounders Editionも似たような感じなので,定格動作させる限り,両者に極端な違いはなさそうだ。
 一方のOCモードだと,300Wを超える場面が目に見えて増え,350Wを超えることも珍しくなくなってしまった。クロックアップの代償は小さくない印象である。

※グラフ画像をクリックすると拡大版を表示します
画像集 No.057のサムネイル画像 / 「ZOTAC GeForce GTX 1070 Ti AMP Edition」レビュー。新しい「AMP」モデルは,クーラーの冷却能力と静音性に注目!?

 参考までに,グラフ27から中央値を求めた結果がグラフ28だ。
 ここで面白いのはZT-P10710C-10Pの工場出荷時設定がGTX 1080 TiのFounders Editionより若干大きなスコアを示していること。電源回路の規模を大きくし,補助電源コネクタの仕様も変更したことと,ファンの数が増えていることによる影響だろうか。
 OCモードの中央値が図抜けているのは,グラフ27を見る限り,納得といったところだ。

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 さらに参考として,ログの取得が可能なワットチェッカー「Watts up? PRO」を用い,システム全体の消費電力で比較したものがグラフ29となる。
 なお,テストにあたっては,ゲーム用途を想定し,無操作時にもディスプレイの電源がオフにならないよう指定したうえで,OSの起動後30分放置した時点を「アイドル時」,各アプリケーションベンチマークを実行したとき,最も高い消費電力値を記録した時点を,タイトルごとの実行時としている。

 というわけで結果を見てみると,ZT-P10710C-10PはGTX 1070 Ti Founders Editionより1〜11W高く,OCモードだとさらに10〜20W高いスコアとなっていた。

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 GPUの温度もチェックしておこう。3DMarkの30分間連続実行時点を「高負荷時」とし,アイドル時ともども,TechPowerUp製GPU情報表示ツール「GPU-Z」(Version 2.5.0)からGPU温度を取得した結果がグラフ30だ。テスト時の室温は約24℃で,テスト環境は机上に,いわゆるバラックの状態で置いたときの結果となる。

 言うまでもないことだが,温度センサーのデータ取得方法がテスト対象のすべてで同じとは断言できず,また,基板設計もファン回転数の制御方法も異なる。そのため,横並びの評価にあまり意味はない。その点はくれぐれも注意してほしいが,高負荷時におけるZT-P10710C-10PのGPU温度は定格動作で68℃,OCモードで72℃と,ハイエンドクラスのGPUを搭載するカードとしては十分に低い。採用するIceStormクーラーの冷却能力は良好と言っていいだろう。

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 最後にIceStormクーラーの動作音を確認しておきたい。今回は,カメラをカードと正対する形で30cm離した地点に置き,PCをアイドル状態で1分間放置した状態から,FFXIV紅蓮のリベレーター ベンチを最高品質の2560×1440ドットで4分間実行した,合計約5分間をビデオとして用意した。テスト時の動作モードは,工場出荷時設定だ。

 最初の1分間はアイドル状態だが,ファンは回転しているものの,その動作音はかなり静か。1分後,FFXIV紅蓮のリベレーター ベンチを実行すると,次第に回転数を増していき,実行してから3分後(=ファイル冒頭から4分後)には,ファンの回転数は最大に達し,動作音も大きくなっている。
 しかし,それでも動作音はこのクラスの製品としては静かで,ケース内部に入れると外部には聞こえてこないレベルだ。



「AMP」モデルとして見るとやや大人しめで価格の高さも気になるが,カード自体の完成度は高い


製品ボックス
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 以上,ZT-P10710C-10Pが持つ“素”の性能は,GTX 1070 Ti Founders Editionと大差ないと言ってよさそうである。メーカー保証の範疇で利用できるOCモードは,性能向上をもたらすものの,消費電力の増加率からすると,「AMP」モデルとしてはやや大人しい印象もある。
 ただこれは,ZOTACのラインナップに,さらなる上位モデル「ZOTAC GeForce GTX 1070 Ti AMP Extreme」(型番:ZT-P10710B-10PZTGTX1070TI-8GDAMPEX001)が存在するためだろう。OCモードでブーストクロックが150MHz上がる上位モデルへの配慮から,ZT-P10710C-10Pのクロックアップは控えめにするほかなかったというわけだ。

 気になる実勢価格は6万5000〜7万2000円程度(※2018年1月19日現在)。メーカーやブランドを問わなければ,GTX 1080カードを7万円以下で購入することも可能という状況を考えるに,価格対性能比はあまりよろしくない。
 その意味でZT-P10710C-10Pは,搭載するIceStormクーラーの冷却能力や静音性に魅力を感じる人向けということになるのではなかろうか。あるいは,自己責任でオーバークロックを試したい人にとっても,豪華な電源周りを持つZT-P10710C-10Pは魅力的に感じられると思われる。

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