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現実にはありえない迷路を踏破せよ。iOS向けパズルゲーム「Monument Valley」を紹介する「(ほぼ)日刊スマホゲーム通信」第525回
スマートフォンには相当な数のゲームが存在しているが,「じゃあ,どれが面白いの?」「そもそも,数が多すぎて好みのタイトルが探せない!」と思っている人も少なくないはず。 そんな問題を解決すべく,スタートした連載が「(ほぼ)日刊スマホゲーム通信」だ。話題の新作タイトルからネタ要素多めのオモシロ系まで,スマートフォンのゲームを片っ端からプレイして(ほぼ)毎日お届けする。
美術の教科書などで,画家エッシャーが描いた,無限に続く階段や,水が循環している滝の絵を見たことはないだろうか。これらのいわゆる騙し絵は,現実では再現できない「不可能図形」とも呼ばれている。本日の「(ほぼ)日刊スマホゲーム通信」で紹介する「Monument Valley」は,そんな不可能図形の迷路をさまよってパズルを解いていくという,不思議な雰囲気の作品だ。
iOS版「Monument Valley」ダウンロードページ
ゲームは,主人公の女の子を操作し,迷宮のゴールを目指すというシンプルな内容だ。画面をタップした場所に女の子が自動で移動してくれるので,迷路を行き来しながら最深部を目指していこう。
さて,本作最大の特徴は,迷路が2Dと3Dの入り交じったような空間になっているところにある。例えば,ある視点から見れば離れ離れになっている通路も,視点を変えて「つながっているように見える」状態にすれば通れるようになるのだ。少々分かりづらいが,以下の画像を参考にしていただきたい。
主人公が進もうとしている通路は途中で崩れ落ちたのかつながっておらず,この状態では通れない |
しかしマップを回転させると,通路がつながっているように見えるだけでなく,本当に通れるように |
本作ではこのように多角的にマップを捉えることで,本来つながるはずのない通路をくっつけて,移動を繰り返していくのだ。従来のパズルゲームとはかなり異なるこのシステムは,とても想像力を刺激してくれる。PSPの名作「無限回廊」ともよく似た性質のゲームだ。
ステージ内には昇降する床や自由に動かせる柱,一定距離を往復する「カラス人間」といったさまざまなギミックが登場。プレイヤーはこれらを使い,ときに組み合わせながら迷路を進んでいくこととなる。迷路はパッと見で分かる直感的なものから,少し頭を捻らないと解けない複雑なものまでさまざまだが,全体的な難度はやや抑え目という印象なので,ぜひ自力で踏破してもらいたい。
本作では,とにかく多角的にマップを見るということがとても重要になってくる。ひとつの仕掛けを動かすとどの通路がつながり,どの通路が断たれるのかということをしっかり把握しておきたい。幸い制限時間はないので,納得がいくまでとことん迷路とにらめっこするのもいいだろう。
非常に幻想的で知的な本作。不可能図形を用いた有名な芸術作品のパロディと思われる迷路も登場するので,この手のだまし絵が好きな人にはぜひともオススメしたい。もちろん従来のパズル好きや変わった作品が好き,雰囲気ゲーが好きという方でも十二分に楽しめるゲームだ。
著者紹介:トリスター/目代将規
ゲームやアニメの書籍企画,編集,シナリオライティングや広告制作なども手がける編集プロダクション「トリスター」所属。スマートフォンならではのゲームや,一瞬で遊べてしまうゆるいゲームが大好物。好きなゲームのジャンルはRPGとアドベンチャー。“モンハン”好き。
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