インタビュー
「レインボーシックス シージ」,Ubisoft Montreal StudiosのeスポーツディレクターWei Yue氏インタビュー。「日本で開催して正解だった」
会場には多数のファンが訪れ,日本チームが出ていないにも関わらず,会場は大きな歓声で埋め尽くされるほどの盛況ぶり。日本でもこの規模の大会を開催して,約4000人もの観客が集まり,熱中するという,良いモデルケースにもなったはずだ。
日本初開催の「レインボーシックス シージ プロリーグ シーズン10 ファイナル」レポート。各チームが激闘を繰り広げ,ファンは熱狂
2019年11月9日と10日,愛知県常滑市の愛知国際展示場にて,「レインボーシックス シージ」の世界大会「プロリーグ シーズン10 ファイナル」が開催された。本作の世界大会決勝が,日本はもちろんアジア地域で行われるのも初めて。日本チームは未出場だが,会場は大いに盛り上がっていた。
開催中にシージを開発するUbisoft Montreal Studiosで,eスポーツディレクターを務めるWei Yue氏にインタビューを実施した。もともとはプレイヤーとしても活躍していたYue氏は,コミュニティベースでeスポーツ大会を開催した経験もあり,コミュニティの大切さを知っている人物だ。
そんなYue氏に日本で開催した理由や,今後のeスポーツ的展開などの話を聞いてきたので,お届けしよう。
4Gamer:
よろしくお願いします。これほどの規模のFPSの世界大会が日本で行われるのはおそらく初めてだと思うのですが,なぜ日本で世界大会決勝を実施することになったのでしょう。
Wei Yue氏(以下,Yue氏):
APAC地域での「レインボーシックス シージ」コミュニティの成長が著しく,その中でも日本は特に成長しているので,今回の決勝の舞台となったのは自然な決断でした。プレイヤー数も多いですし,コミュニティの熱量も高いですね。会場でプレイヤーの姿を見ましたが,日本で開催して正解だったと感じています。
4Gamer:
日本のプレイヤーの熱量は世界と比べていかがでしょう。
Yue氏:
ほかと比べても見劣りしないですね。どの国もシージのファンは熱狂的ですので。
ただ日本のファンを見ていて気付いたことがあります。彼らは入場するときに規則正しく静かに並んでいるのです。ところが,いったん会場に入るとみんな歓声を上げているので,そのギャップが面白かったですね。
4Gamer:
日本のeスポーツマーケットはYueさんの目にはどう映っているのでしょうか。
Yue氏:
シージの話ですが,日本には約200万のプレイヤーがいますし,公式Twitterだったり,YouTubeだったりのフォロワーも多いんです。数字で見ても大きいマーケットなのですが,実際に決勝大会に来てくれた人たちを見てパッションを感じています。日本のマーケットは重要視しています。
4Gamer:
野良連合がパイロットプログラムに選ばれましたが,反響はいかがでしょうか。
Yue氏:
パイロットプログラムの反響は大きく,Phase2に移るときに対象が11チームから14チームに増えました。
パイロットプログラムで重要なのは「サスティナビリティ(持続可能性)」だと考えています。チームだけでなく,eスポーツのエコシステム全体を考慮しつつ,持続的な環境を作るためにやっています。今は14チームで実施していますが,将来的にはもっと多くのチームを支えられるように成長させたいと思っています。
4Gamer:
昨年,中国展開の発表がありましたが,その進捗はいかがでしょうか。
Yue氏:
来年あたりを目処に展開する予定です。中国で正式に「レインボーシックス シージ」が販売されたら,それに合わせてeスポーツ市場としていろいろと取り組む予定です。
4Gamer:
その場合,中国はどこのリージョンに属するのでしょうか。
Yue氏:
計画はあるのですが,まだそれは公開できません(笑)。7か月くらい前から,中国でどう展開していくか,というのは考えていて,もちろんその中には,中国がどこのリージョンに所属するかも含まれています。
新市場を開拓するために必要なことは,アマチュアレベルのコミュニティをしっかりと育成することです。そこからプロリーグに挑戦するチームも出てきますからね。中国でも同様にそうした展開を行っていくことを考えています。
4Gamer:
今回,日本での開催にも関わらず日本チームが出場できませんでした。やはり現地の人間としては日本チームが活躍する姿が見たかったのですが,たとえば開催国枠といったものを設定したりはしないのでしょうか。
公平性の観点から開催国枠というようなものは考えていません。しかし,プロリーグのストラクチャーは今の状態からかなり変化する予定ですので,アジア地域であったり,日本のチームがもっとファイナルに出場しやすくなると思います。
4Gamer:
Ubisoftがeスポーツに参画するのはレインボーシックス シージが初めてだと思うのですが,今の状態に作り上げていくにあたって苦労したことはありますか。
Yue氏:
いろいろありますね。競技シーンに向いたタイトルであるために,ゲームのバランスが重要で,その調整には時間が掛かります。あとは観戦機能の整備,ランクにおけるスキルキャップのバランス調整なども,大変でしたね。
Ubisfot側の一方的な希望で「あるタイトルをeスポーツタイトルにしたい」と思っても,そうできるわけではないんです。最終的にeスポーツタイトルとして受け入れてくれるのはプレイヤー達なので,プレイヤーとのコミュニケーションが大切だと思っています。
4Gamer:
そのコミュニケーションで特に重要なものはなんでしょうか。
今のシージでのコミュニケーションで重要なのは「ストーリーラインの構築」ですね。プロリーグでいうと年に6か月ずつ2シーズン実施して,その節目には「Six Major」「Six Invitational」を行って,プレイヤーやファンが飽きないようにしています。
ただ,現在のプロリーグでは構造的に少し分かり辛いところもあるので,もっとたくさんの人にシージのeスポーツのストーリーラインが分かりやすく伝わるように,ストラクチャーの改善を予定しています。
また,大会はもちろんですが,そこで活躍する選手にフォーカスして,人間的なコミュニケーションをするように心がけています。ファンが身近に感じてくれるようなソーシャル上のコミュニケーションを展開しています。
4Gamer:
また日本でこうした決勝大会を開催しようと思いますか。
Yue氏:
まだまだ行きたい国はたくさんあって,多くの国からラブコールをもらっているので,それに応えるため,いろんなところで開催したいと考えています。もちろん,日本のコミュニティの熱さもわかったので,約束はできませんが,将来また開催したいと思っていますよ。
2020年以降のeスポーツチームの目標としては,もっとローカルのコミュニティに還元できるように,何かできることはないかと考えています。そのあたりを楽しみにしてもらえたら嬉しいです。
4Gamer:
最後に日本のファンにメッセージをお願いします。
Yue氏:
日本のコミュニティにはすごく感謝しています。日本はすごく美しい国で,コミュニティは素晴らしいパッションを持っているので,引き続き応援していただけるとありがたいです。
会場に入っただけで身体に振動が伝わるくらい皆さんの熱狂が伝わってきました。楽しんでいただけていることに感謝したいです。
それと,私は1年間,日本に住んでいたことがあるのですが,また日本に戻ってこれて嬉しいです(笑)。
4Gamer:
ありがとうございました。
「レインボーシックス シージ」公式サイト
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(C)2015 Ubisoft Entertainment. All Rights Reserved. Tom Clancy’s, Rainbow Six, The Soldier Icon, Ubisoft and the Ubisoft logo are trademarks of Ubisoft Entertainment in the U.S. and/or other countries.
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