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[E3 2016]「LET IT DIE」は“グラスホッパーらしくない出来の良さ”を目指した。E3版のデモをプレイしつつ,森下氏と新氏に話を聞いてきた
また今回は,ガンホー・オンライン・エンターテイメント代表取締役社長CEOの森下一喜氏と,本作のディレクターを務めるグラスホッパー・マニファクチュアの新 英幸氏に話を聞くこともできた。本稿では,デモ版のプレイレポートとインタビューの模様を合わせてお届けしよう。
「LET IT DIE」公式サイト
「LET IT DIE」はガチガチのローグライクだった
サバイバル“ド”アクションゲームと謳われているLET IT DIEは,もともと「リリィ・ベルガモ」というタイトルで制作されていた作品だ。E3 2014でのインタビューでは,「リリィ・ベルガモが,PS4にふさわしい革新的なタイトルへ昇華したのがLET IT DIEです」と森下氏は話していたが,蓋を開けてみると,ガチガチのローグライクゲームであることが分かった。
今回プレイしたデモ版は,ガスマスクにパンツ一丁という風貌のプレイヤーキャラクターを操作して,人型の変異体と戦いながら,荒れ果てた遊園地のようなステージを進んでいくという内容だ。
ステージの雰囲気は「サイレントヒル」でいう裏世界のような不気味さがあり,主人公がパンツ一丁なのを除けば,ホラーゲームとしても十分通用しそうだ。まあ主人公の見た目も十分ホラーなのだが。
当然ながら,パンツ一丁のままではボスのところにたどり着くことすら困難だ。したがって,道中の敵からドロップした武器や防具を装備し,少しずつ自分を強化していくことになる。ただし,装備品には耐久度が設定されており,戦闘中に少しずつ摩耗していくので,強い武器を手に入れたからといって,いつまでも使い続けることはできない。
その場で拾った装備品でやりくりしていくところに,ローグライクならではのシビアさを感じることができた。
またローグライクといえば,死亡するとレベルや装備品がリセットされ,一からやり直しになるのが一般的だが,本作でもキャラクターが死亡すると,それまで集めてきたものをすべて失うことになる。
ちなみに死亡すると,コンティニューするかどうかを訪ねてくる美少女が現れる。その場の雰囲気に合わない女の子の登場に若干戸惑ったが,こういったところがグラスホッパー(というより須田剛一氏)らしさとも言えるだろう。
ローグライクのキモはしっかりと押さえている一方で,“ド”アクションと謳っているだけに,本作の戦闘はハック&スラッシュのような歯応えのあるものになっている。
基本的に戦闘では1対1の状況になることが多いため,敵の空振りを誘ってから攻撃を仕掛けるヒット&アウェイ戦法が有効なのだが,一撃の重さがしっかりと表現されているので,殴ったり叩き切ったりする感触がずっしりと伝わってくるのが心地いい。
とくに,スタンさせた敵にとどめを刺す処刑アクションでは,シネマティックなカメラワークによる痛快な演出を見ることができ,決めたときの気持ちよさは格別だ。処刑モーションは武器ごとに設定されているとのことで,これを見るのも1つの楽しみになっている。
ちなみに今回のデモ版では,釘バットや巨大な斧,刀やオートボウガンといった武器を拾えたのだが,それぞれにメイン攻撃とサブ攻撃が設定されており,攻撃モーションやダメージ量が異なっていた。左右の手に3つずつの武器を登録できるので,プレイヤーは状況に応じた切り替えも瞬時に行っていくことになるわけだ。
デモの最後では,大量の人間の死体を身体に取り込んだ巨大な化け物と戦うことに。このボスは,超音波でプレイヤーの位置を察知して,そこに向かって死体を投げてくるという,なんともぶっ飛んだ攻撃を仕掛けてくるのだが,コツさえ掴んでしまえばそこまで苦労はしなかった。
それよりも,ボス戦の手前で遭遇した,ほかのモンスターとはあきらかに動きが違う赤い名前の敵にはかなり苦戦させられた。これが一体何なのかは,以下のインタビューで明かされるので,気になる人は最後まで読み進めてほしい。
「LET IT DIE」は“グラスホッパーらしくない出来の良さ”を目指して作られた
4Gamer:
さっそくE3 2016版のデモをプレイしてきたのですが,第一印象としてはローグ色が強いなと感じました。
森下一喜氏(以下,森下氏):
そうですね。リリィ・ベルガモからゲームコンセプトをシフトしたときから,ローグ型のゲームにしようというのは決めていました。
4Gamer:
ローグライクというと,「一から」を繰り返すイメージがあるのですが,本作ではどうでしょうか。
森下氏:
LET IT DIEでもキャラクターが死亡すると,持っていたものと経験値をロストします。ゲームの流れとしては,良い武器を手に入れたら拠点に戻ってセーブして,また挑戦するといった感じですね。
4Gamer:
経験値をロストするとのことですが,先ほどプレイしたデモ版では,経験値を稼いでもレベルが上がりませんでした。
新 英幸氏(以下,新氏):
今回プレイしていただいたデモ版は,アクションと世界観を体験していただくために,そこだけを抜き取ってビルドしたものです。本来だと拠点のようなものがあって,そこから塔に向かう準備をするタイミングでレベルを上げることができます。
4Gamer:
デモでは荒れ果てた遊園地が舞台になっていたのですが,あれも塔の内部ということでしょうか。
新氏:
はい。塔の内部は,毎回変わる部分と定期的に変わる部分があり,けっこう複雑な構造になっています。「この風景は見たことあるな」と思っても,角を曲がってみるとやっぱり違っていて,そのまま進むと,やっぱり見たことあるな,みたいなのを繰り返します。まあ,結局は見たことがないマップになっていることがほとんどですが(笑)。なので,毎回緊張感を持って遊べると思います。
4Gamer:
LET IT DIEでは,ほかの世界で死亡したプレイヤーキャラクターが,自分の世界に敵として登場すると聞きました。
森下氏:
どちらかというと,死亡したキャラクターのデータを送り込むといった感じです。NPCの敵ばかりだと,やはり戦いが単調になってしまうので,そこにプレイヤーのキャラクターが出てくるというのが,いい刺激になります。かなりレベル差のあるキャラクターも出てくるので,「あいつ,めちゃくちゃ強そうだ」と感じたら,戦わずに逃げるのも一つの手です。
4Gamer:
そういえば,やたらと動きのいい赤ネームの敵が出てきたのですが,あれがそうなのでしょうか?
森下氏:
ああ,あれと戦いましたか(笑)。あれがそうです。
4Gamer:
ああいった敵対プレイヤーを倒してもアイテムが手に入るのでしょうか。
森下氏:
詳しくは言えないのですが,アイテムどころではないですね(笑)。
4Gamer:
このほかにも,非同期的なオンライン要素はありますか。
森下氏:
こちらもまだ深くは言えないのですが,ユーザー同士の抗争劇みたいなのを,実は入れています。
楽しみにしています。
LET IT DIEの世界観についても教えてください。ぱっと見た感じだと相当カオスな印象を受けますが。
森下氏:
見た感じのままです(笑)。僕はパズドラ的な感じの世界観は考えられるのですが,LET IT DIEのような世界観はあまり得意じゃないので,自分では積極的にやらないような世界観に挑戦できるのはいいことだと思ってます。まあ,まとめたのは新なんだけど(笑)。
新氏:
この世界は,リアルなものの組み合わせでできているんですよ。なので,炎や電撃といった魔法のようなものがあっても,よく見ると電池がついていたりとか,まったくファンタジーのない世界です。
4Gamer:
プレイヤーはパンツ一丁のガスマスクで始まりますが,どういう境遇なのでしょうか。
新氏:
あれは,あえてプロローグとかでは語らない部分なんです。ある程度ゲームを進めていくと,なんで自分が“パン一”なのかも分かってきます。
4Gamer:
あの姿にはちゃんと意味があるんですね。
新氏:
はい。LET IT DIEの世界には,文字列だけでなく,背景の一部や武器のパーツをよく見てみると,世界の秘密に関するさまざまなヒントが隠されています。
4Gamer:
ちなみに,武器は全部で何種類くらいあるのですか。
森下氏:
詳しくは言えませんが,武器と防具の組み合わせは6億通りを超えます。
4Gamer:
それはすごいですね……。そういえば,デモ版で偶然ブループリントを拾ったんですが,武器を作ったりもできるのでしょうか。
森下氏:
はい。もちろんブループリントだけでは作れないので,素材を集める必要がありますが。ただ,ブループリントで武器を作ってもいずれは壊れます。
4Gamer:
武器の耐久度は回復しないのですか。
森下氏:
回復はしないですね。
4Gamer:
なるほど。レアな武器でも使い続けると壊れちゃうんですね。
森下氏:
そうですね。現地で調達しながら登るか降りるかを考えるといった感じです。いろいろな武器を試してもらえるような工夫をしています。
4Gamer:
キャラクターには武器の熟練度みたいなものはあるのですか?
新氏:
武器はいくつかの種類にカテゴライズされていて,特定の武器を使い続けると,その武器が属するカテゴリの熟練度が上がっていきます。武器によってレア度や強さなどが異なるのですが,それに加えてプレイヤーの熟練度が影響してきます。
4Gamer:
武器の熟練度が上がると,どう変化するのでしょうか。
新氏:
熟練度が上がれば,特殊なアクションを出せるようになったりします。
4Gamer:
スタンさせた敵に処刑アクションを使えますが,あれはすべての武器に用意されているのでしょうか。
森下氏:
全部にあります。武器によってアクションが違うので,どれが気持ちいいのかを探すのも楽しいと思います。処刑アクションを決めると獲得できる経験値も変わるので,うまくできるようになると,より効率的に進めると思います。
4Gamer:
ちなみに,パンツには防御力とかあるんですか?
新氏:
残念ながら,あれは大事なところを隠しているだけなので……。
森下氏:
パンツにパラメータを入れようかって話をしたこともあるんですけど,もしあれが壊れると発売できなくなっちゃうんで(笑)。
4Gamer:
そうですよね……(笑)。ゲームのバランス調整について意識したところはありますか。
新氏:
ローグライクという時点でシビアな印象を持たれがちなので,とっつきやすくするために,アクションが気持ちいいバランスにしました。でも,戦闘が気持ちいいからといって,ついつい先に進んでしまうと,帰れなくなってしまうこともあります。
とくにハック&スラッシュやローグライクの場合,新しい武器が手に入ると試したくなりますからね。
森下氏:
こだわっているポイントは,バランスが悪いと言われないようにしようという部分です。さらに今回はグラスホッパーだけでなく,ガンホーをはじめ,ゲームアーツなどグループ会社からも開発スタッフが加わっていますし,そういう意味ではグラスホッパーを核にして,グループ総出でやっているプロジェクトです。
新氏:
グラスホッパーらしくない出来の良さを目指しました。
一同:
(爆笑)
森下氏:
本当にしっかりできているゲームです。新を中心として,スタッフ総出で作っているので,今までのグラスホッパー作品とはだいぶ毛色が違うと思います。まだ絶賛開発中ですけど。
4Gamer:
2016年内にリリースされる予定ですが,進捗はどうでしょうか。
新氏:
2016年内には絶対に間に合います。
4Gamer:
日本でのサービス予定は決まっていますか。
森下氏:
日程は確定していないのですが,日本語版もちゃんと用意してあります。
4Gamer:
それでは最後に,本作を楽しみにしているファンに向けて,メッセージをお願いします。
新氏:
最近だとオープンワールドを採用するゲームが流行していますが,そういったゲームに飽きている人もいるのではと思います。僕自身そうなのですが,そんな僕でもついつい遊んでしまうゲームってなんだろうと考え,思い切ってそちらに振り切りました。
見た目は奇抜だけど,ずっと遊び続けられるというバランスをうまく成立できたのではと思っているので,ぜひ皆さんもこの隙間に挟まってもらえればと思います。
森下氏:
LET IT DIEは,ゲームシステムも世界観もガンホーらしくないタイトルだと思われるかもしれません。かなり挑戦的なタイトルですが,新しいことに挑戦していかないと自分達も飽きてしまうし,そういった意味ではかなり振り切ったタイトルになっていますので,日本でリリースしたときには,ぜひ遊んでいただければと思います。
4Gamer:
ありがとうございました。
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