レビュー
テンプル騎士団に寝返ったアサシン,シェイのたどる道は?
アサシン クリード ローグ
「アサシン クリード」シリーズ
アメリカ大陸編の最終章が登場
ご存じ,ユービーアイソフトの人気アクションゲーム,「アサシン クリード」シリーズ。2007年に第1作「アサシン クリード」以来,スピンオフタイトルを含めて数々の作品が発売されてきたが,2014年12月11日,シリーズ最新作となる「アサシン クリード ローグ」(以下,ローグ)がPlayStation 3向けに発売された。
「アサシン クリード ローグ」公式サイト
現代と過去が複雑に入り組んだストーリーが1つの特徴になる「アサシン クリード」シリーズだが,さすがにちょっと時系列がややこしくなってきた。というわけで簡単に整理すると,今回のローグは1751年〜1761年の話ということになっており,「アサシン クリード4 ブラック フラッグ」(1712年〜1722年)の後で,また「アサシン クリードIII」(1754年〜1783年)とは時代が重なることになる。シリーズの立ち位置で言えば,アメリカを舞台に展開されてきた「アメリカ大陸編」の最終章に当たるわけだが,以上,ご理解いただけましたでしょうか。
ヨーロッパの七年戦争がアメリカ大陸にも波及した1751年,アサシン教団に所属するシェイ・パトリック・コーマックは任務を進めるうち,アサシン教団が古代装置を使った陰謀を企んでいることを突きとめる。教団のあり方に疑問を持ったシェイは,対立するテンプル騎士団に寝返り,かつての仲間達を相手にしたアサシン教団への戦いを挑むのだった。
……というストーリーが展開される本作だが,シリーズ従来作との最大の違いは,主人公がこれまで敵対関係にあったテンプル騎士団のメンバーになることだ。最強の殺人者集団であるアサシン教団を相手にするだけに,一筋縄ではいかない戦いが待ち受けており,そうした斬新な体験ができるところが,本作の魅力だ。正直,ずっと敵だと思っていた側に立つのはどうなのだろうと思ったが,これが意外に楽しいので自分でも驚いた。
基本のゲームシステムはシリーズを通して踏襲されており,最初は見えないマップもビューポイントでシンクロすることで見えるようになる |
これまでのシリーズを通してプレイしていると,見たことのある名前の人物が多数登場する。長く続くアサシン クリードシリーズの面白いところだ |
さらに,「アサシン クリード4 ブラック フラッグ」の主人公エドワード・ケンウェイの息子ヘイザムが登場するほか,時代が重なる「アサシン クリードIII」の登場人物が姿を見せたり,「アサシン クリード ユニティ」とも物語上のつながりがあるなど,シリーズを通してプレイしてきた人なら必ず引き込まれるような仕掛けが用意されている。「思わずニヤリ」というヤツだ。
凍てつく北大西洋で繰り広げられる
パワーアップした海戦が熱い
ゲームの舞台となるのは,イギリスとフランス,2国の植民地の境界にある自然豊かなリバーヴァレーと,「アサシン クリードIII」の舞台でもあり,1750年代の美しい景観が再現されたニューヨーク,そして氷山が浮き,氷に閉ざされた海を進むには船首に砕氷衝角が必要なほど過酷な環境の北大西洋という3つの地域だ。海と陸地を行き来する必要があるため,シェイはしばしば,帆船「モリガン号」を駆って大海原へ乗り出す。
どちらかといえば,陸地よりも海上にいる時間が長いという印象だが,そのため帆船同士の海戦が頻繁に起きる。具体的には,こちらの船を巧みに操りつつ,敵船を狙って砲弾を撃つわけだが,単純にダメージを与えるだけでなく,敵船の弱点部分を狙ったり,船尾から油を流して水面に火の壁を作ったりなど,単純な砲撃戦だけではない。海面に浮いている氷山を砲撃で崩し,それによって起きた津波で周囲の船にダメージを与えるというダイナミックな戦術も可能だ。
もちろん,敵船だけでなく,海上から陸上の砦を砲撃で破壊するといったミッションもあって,海の戦いは非常に楽しめる。前作「アサシン クリード4 ブラック フラッグ」でも,敵船を砲撃で航行不能して乗り込むことができたが,本作では乗り込むだけでなく,逆に敵船から乗り込まれることもあり,一段と激しい海戦が繰り広げられるようになった。
もちろん,乗り込んでも乗り込まれても敵兵を撃退できれば,モリガン号のアップグレードに必要な木材,金属,石材などのほか,砲弾や船員などが手に入る。また,手に入れた敵船は自軍の艦隊に編入できるが,解体してモリガン号の修理の材料にしたり,部品を売って収入を得たりもできる。
序盤は一隻の船を相手にするだけで苦戦したが,さまざまな材料を手に入れ,モリガン号の攻撃力や防御力を増やすと海戦が非常に楽になるので,できるだけ早くアップグレードしておくことがオススメだ。「アサシン クリード4 ブラック フラッグ」の海戦と比べてもさらに面白くなったという印象で,筆者は現在,敵船を発見するやいなや問答無用で攻撃したりなど,海賊のような行動力で北大西洋を荒らし回っている。
また,本作ならではの新しい要素として「捕虜船」というサイドアクティビティがあり,これは,フランス軍の捕虜になったイギリス軍兵士の捕虜船を解放するというもの。捕虜船を攻撃しないようにしながら護衛船だけを破壊する必要があり,なかなか難しい。
このほか,従来作に引き続き,銛(もり)と小型船を使った捕鯨なども収録されており,海上でできることはさらに充実した。
砲撃により敵船の弱点が現れたところで,パックルガンを撃ち込んでやると大きなダメージを与えられる。自船のダメージにも注意しよう |
資金と材料を集めることで,モリガン号のアップグレードが可能。少し強化するだけで見違えるほど強くなるのでアップグレードはお早めに |
武器を使い分けることで生まれる
暗殺のバリエーション
アサシンの武器と言えば,籠手に仕込まれた小型の刃物が飛び出す,アサシンブレードが有名だが,今回のローグではアサシンブレードのほかに右手の長剣と左手の短剣を同時に使う「剣とダガー」が選べるようになった。アサシンブレードと剣とダガーはワンタッチで切り替えが可能なので,敵に合わせて使い分けよう。
本作で登場した新しい武器としては,エアライフルがある。普通のライフルのように,敵に命中させることが目的ではなく,戦いの補助として使えるもので,敵を眠らせるスリープダートや,敵を同士討ちさせるバーサークダート,そして大きな音を立てて敵を驚かせる爆竹ダートが放てる。例えば,ステルスで移動しながら,爆竹ダートで敵を驚かせておびき出し,ナイフでサクッ! という攻撃パターンがある。
草むらに潜んで口笛を吹くと,不審に思った敵が近づいてくるので,すかさずアサシンブレードでサクッといこう |
音を出しても大丈夫な状況なら,ライフルで簡単に片付けてしまえる。弾を節約するため,ヘッドショット一発できめたい |
エアライフルの利点は,音が出ないことだが,逆に大きな音は出るが破壊力の高いグレネードランチャーも登場した。グレネードランチャーでは,特定の障害物を破壊したり,複数の敵兵を一掃したりできる榴散グレネードのほか,エアライフルよりも広範囲に効果を及ぼすスリープグレネード,バーサークグレネードが使える。
ステルス好きの筆者としては,一部の扉などを破壊するときにグレネードを使用した程度で,使用頻度はあまり高くなかったが,アイデア次第でいろいろな作戦がとれるだろう。
もちろん,敵兵を盾にしたり,ロープを使って離れた敵を引き寄せたりできる「アサシン クリードIII」に登場したロープダートなども使えるので,暗殺のバリエーションはこれまで以上に豊富になっている。
命を狙う側から狙われる側となった
斬新な物語を体験しよう
これまでのアサシン クリードシリーズとは違い,主人公はテンプル騎士団のアサシンハンターとして活動する裏切り者なので,当然のごとくアサシン教団から命を狙われることになる。ミッションを遂行中であろうとなかろうと,常にアサシン達に狙われており,マップ内を移動していると,屋根の上や物陰,茂みから不意に飛び出して襲いかかってくる。
もちろんこちらも反撃するわけだが,うまく反応できないと敵のアサシンブレードで刺されて大ダメージを食らうはずだ。ただし,ライフゲージが満タンなら一撃では殺されない。さすが,一流アサシンだ。
油断していると当然ビックリするが,実はアサシンが潜んでいるエリアに近づくと,画面のアイコンが点滅し,さらにヒソヒソ声が聞こえてきたりするため,何となく分かる仕掛けになっている。近ければ近いほど,彼らの声が大きく聞こえてくるので(これが結構,不気味だったりする),そこでタカの眼を使えば,近くに潜んでいる追跡者が確認できるほか,見えない位置にいても,コンパスが敵の方向を示すようになっている。
あとは背後からこっそり近づいて片づけるなり,爆竹ダートを使って隠れ場所から飛び出させるなり,ロープダートで引きずり出すなり,料理方法はあなた次第だ。
敵が近くにいるときは,ヒソヒソ声が聞こえてくる。タカの眼を使うと近くに潜んでいる敵を見つけられる |
これまで同様に物語はミッション形式で展開していく。サブ目標も確実に達成して,シンクロ率100%を目指そう |
また,サイドアクティビティとして「アサシンの迎撃」が用意されている。まさにテンプル騎士団に寝返ったからこそ楽しめるモードで,暗殺ターゲットを憎きアサシンどもから守ることが目的だ。
ほかにも古代の謎を解き明かすパズル要素や,マップ内を探索しながらさまざまなアイテム類を入手したり,前作と同様,地図を手がかりに宝を探したりといったコレクション要素も充実しており,メインストーリーから離れて,あちらこちら寄り道しながらゲームを楽しめる。
冒頭にも書いたとおり,アメリカ大陸編の最終章となる本作だけに「アサシン クリードIII」「アサシン クリード4 ブラック フラッグ」をプレイしてきた人にはぜひ本作もプレイしてほしい。もちろん,従来作を遊んでいないという人でも十分に楽しめるはずだが,立場の逆転が興味深い本作だけに,この際,3本まとめてプレイするのもアリだろう。
ステルス行動をメインに,できるだけ敵に見つからないように行動することもできるし,片っ端から敵を倒しつつゴリ押しで進んでいくことも可能,というバランスは相変わらず見事。ステルスとランボースタイルを臨機応変に切り替えつつ,シェイがたどる道を,あなたも追いかけてほしい。
「アサシン クリード ローグ」公式サイト
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- アサシン クリード ローグ初回限定特典「スペシャルコンテンツコード」同梱&数量限定特典「オリジナル アートブック」付
- ビデオゲーム
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