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新作TCG「ドレッドノート」開発者インタビュー。グループSNEの「モンコレ」開発陣が目指したTCGの“ストロングスタイル”とは?
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印刷2015/06/13 00:00

インタビュー

新作TCG「ドレッドノート」開発者インタビュー。グループSNEの「モンコレ」開発陣が目指したTCGの“ストロングスタイル”とは?

アナログゲームの雄,グループSNEの今


4Gamer:
 ここからはゲームから離れて,お三方のご経歴についてお聞きしてみたいのですが,まずグループSNEさんって,今はどんな規模で活動されているのですか。

杉浦氏:
 今は……所属人数で言えば20数名くらいだよね。

ソード・ワールド2.0
画像集 No.026のサムネイル画像 / 新作TCG「ドレッドノート」開発者インタビュー。グループSNEの「モンコレ」開発陣が目指したTCGの“ストロングスタイル”とは?
加藤氏:
 みんな仕事がバラバラなので,統一感ないですけど。社長の安田が今一番力を入れているのはボードゲームですね。自社でパブリッシングまで始めたので張り切ってます。あとはTCGとテーブルトークRPG(以下,TRPG)。TRPGは昔は色々ありましたが,今は「ソード・ワールド2.0」に絞って展開しています。

※安田 均……グループSNE代表取締役社長。小説家兼ゲームライターとして,日本におけるテーブルトークRPGの普及に尽力したことで知られる。翻訳家でもあり,日本のSF黎明期において,数多くの海外作品を日本に紹介した功績を持つ。「ドレッドノート」にも,スーパーバイザーとして関わっている。

河端氏:
 あとは小説とか,幅広くやってる感じです。ちなみに,ボードゲームに力を入れているというのは,ボードゲーム部門のトップが安田という意味で,ほかを疎かにしているわけではありません。

加藤氏:
 TCG系は自分が中心で回していますし,TRPG系は北沢 慶ってのが引っ張っています。ちょっと前までは僕らがまだ若手だったので任せてもらえなかったけど,今はそれぞれが独立して動いている感じですね。

河端氏:
 その分,安田がボードゲームに集中できるようになったという感じですね。

加藤氏:
 今一番若いのって誰だっけ。20歳前後もいるよね。ソード・ワールド,ルナル・サーガ世代世代の清松みゆき友野 詳がいて,その下に僕や杉浦、北沢慶。それからボードゲームをサポートしている秋口ぎぐる。その下が30代の河野 裕田中公侍藤澤さなえあたり? さらに20代の河端くん世代がいて……層が5つくらいあるのかな。

河端氏:
 こうしてみると,60代から20代まで,綺麗に揃ってますね。

4Gamer:
 皆さんはどうしてグループSNEの門を叩かれたのでしょうか。

加藤氏:
 僕はいわゆる第2次ベビーブームの頃に生まれたので,子供の頃,ゲームの幅がものすごく広がった世代なんですよね。「ドラクエ」があって「ストII」があって……ゲームの表現の段階を味わうことができた世代だったと思います。それで「ロードス島戦記」(以下,ロードス)を読んだのが,確か中学生の頃で。

4Gamer:
 小説のロードスですか?

加藤氏:
 「コンプティーク」って雑誌があるじゃないですか。「スーパーマリオ」の幻のステージの出し方なんかを目当てにコンプティークを買ったら,そこにロードスのリプレイが載っていて。「何だこのゲーム!」と思ったのが,グループSNEに興味を持ったきっかけですね。

4Gamer:
 それで自分も作り手になりたいと思った?

加藤氏:
 ええ。元よりゲームは遊ぶより自分で作ってみるのが好きで,将棋の駒でまったく違うゲームを作ったりしてた子供でしたから。ちょうどグループSNEが,しかも地元である関西にあると知ったのもあって,ちょっと受けてみようかなと。

画像集 No.017のサムネイル画像 / 新作TCG「ドレッドノート」開発者インタビュー。グループSNEの「モンコレ」開発陣が目指したTCGの“ストロングスタイル”とは?

4Gamer:
 TCGは以前からプレイされていたのでしょうか。

加藤氏:
 いえ,時期的にも入社してからですね。安田からM:tGを教えてもらって,えらいハマりました。英語はまったく分からなかったんですが,もともと対戦ゲームが大好きだったこともあって,とにかく楽しかった。だからモンコレを手がけることになったのは,たまたま安田が「やってみーひんか?」って言ったときに手を挙げたからなんですが(笑)。

4Gamer:
 ええっ。それでいきなりモンコレを任せられたんですか?

加藤氏:
 そうです(笑)。ほかに立候補する人がいなかったのもあるかもしれません。2〜3日でそれっぽい試作品を作って持っていったら,その根性が認められて。その時点で「地形を並べて進軍し,本陣落としたら勝ち」ってルールだったので,いわばこれがモンコレのプロトタイプでした。グループSNEに入社したのがちょうど20歳のときで,モンコレが出たのが……。

杉浦氏:
 23歳の時ですね。

加藤氏:
 それぐらい。今は41なので,もう20年ほど前になります。TRPGの仕事もやりましたし,小説も書きますが,デビュー作のモンコレ以来TCGにずっと関わり続けて,今ここに辿り着いたという感じです。杉浦とは入社当時からの戦友ですね。

4Gamer:
 入社当初から,コンビでお仕事されてきたのですか。

加藤氏:
 ええ。杉浦とは同期ですし。たしか面接でボードゲームをやったんだけど……「アクワイア」だったかな。その時たまたま横にいたのが彼でした。

4Gamer:
 初対面の「アクワイア」で,バチバチやりあったわけですね(笑)。

加藤氏:
 そうですね,あの頃は仲が良くて……。

杉浦氏:
 今は悪いみたいじゃないですか(笑)。

加藤氏:
 長い間やっているので,今はもう弟みたいな感覚なんですよ。

4Gamer:
 では,杉浦さんはどうしてグループSNEに?

杉浦氏:
 僕も加藤と同じ世代なので,SNEに興味をもった流れは似ています。違うことと言えば,僕はイラストレーターとして採用されたクチでして,好きなゲームの絵を描きたいと思って応募したのがきっかけです。あの頃の僕らにとってTPRGって,すごく自由度の高い,夢のようなゲームでしたから。

4Gamer:
 本作やモンコレでは,デベロッパーという肩書きになっていますが,具体的にはどんなお仕事をされたんですか?

杉浦氏:
 ルールを整え,ルールの穴があったら埋めていくといったことでしたね。デジタルゲームで言えば……デバッグ兼プログラミングといったところでしょうか。加藤が作ったゲームデザインを,ほかの人が遊べるように整えていく。あとは……加藤へのダメ出しが主な仕事です(笑)。

4Gamer:
 ダメ出しというと?

杉浦氏:
 加藤からたまに無茶なことを言われるんですよね。それをやってしまったら,全体を大きく弄ることになってしまうからダメ。こういう形なら行けるかも,というような。

加藤氏:
 現場ではよく喧嘩してます(笑)。「これ新しいし,オモロイからやってみよう」って僕が言うと,とりあえず彼が無理って言うんです。「いや無理じゃなくて。考えてみようや」とかやってるうちに,それなりのものができあがってくる。もちろん,本当に無理だというんで,諦めることもありますけどね。

画像集 No.023のサムネイル画像 / 新作TCG「ドレッドノート」開発者インタビュー。グループSNEの「モンコレ」開発陣が目指したTCGの“ストロングスタイル”とは?

4Gamer:
 例えば,どんな無理難題を?

加藤氏:
 最近何があったっけ? どちらかというと,僕より安田が無茶苦茶言ってくるんですけどね。モンコレの時とか,あれって3×4のマス目を使ったゲームなんですけど,それ以外のところに地形を置けるようにしろ,とかね(笑)。

杉浦氏:
 そういうのを実際のルールに落としこんでいくのが,僕の主な仕事です。あとはルールやデータを文字に起こしていくこととか。TCGはTRPGと比べると,アバウトな記述が許されませんから,そういった細かい部分が担当ですね。

河端氏:
 アイデアが加藤さんから上がってきて,それを形にしていくのが杉浦さん。だから2人合わせてゲームデザイナーと言っても間違いないではないです。「ゴッドドロー」とか,まさにそんな感じでしたよね。

加藤氏:
 今の話だと,僕がものすごく無責任に聞こえるんだけど(笑)。ま,でも杉浦が歯止めを効かせてくれているから,めちゃくちゃなボールも「とりあえず投げてみよう」と思えるのは確かにあります。

4Gamer:
 杉浦さんは当初イラストレイターとして採用されたとのことですが,なぜこっちの道に? 今はイラストは描かれないのですか。

杉浦氏:
 今は描いてないですね。入社して1年半くらいは描いていたんですが,その後モンコレの開発にちょっと参加したら,自分でもやりたくなってしまって。正式にチームに入れてもらって,加藤とはそこからの付き合いです。

河端氏:
 イラストを発注するときの,設定のラフ画は描いてますよね。もちろん,僕や加藤さんも描きますけど。

加藤氏:
 そうだよね。河端も絵で採用されてるんで,この3人は皆絵が描けるんですよ。

4Gamer:
 おお,そうなんですね。河端さんはなぜグループSNEに?

画像集 No.025のサムネイル画像 / 新作TCG「ドレッドノート」開発者インタビュー。グループSNEの「モンコレ」開発陣が目指したTCGの“ストロングスタイル”とは?
河端氏:
 それは……モンコレが好きだったから。

一同:
 おぉー。

河端氏:
 M:tGが来てTCGブームだった小中学生のとき,あれこれ触ってみて一番しっくりきたのがモンコレだったんです。ただ,周りは遊戯王OCGに夢中だったので,モンコレは一人で買い続けるだけだったんですよね。そんなこんなしているうちに美大に進み,モンコレのことをすっかり忘れていたんですけど,そこでモンコレの話ができる相手が見つかって。

4Gamer:
 ついにモンコレ仲間が!

河端氏:
 ええ,10数年越しの念願かなって(笑)。その頃はモンコレがお休みしている時期だったんですが,それが復活するらしいって聞かされて「これはめちゃくちゃ熱いやん」と。

4Gamer:
 パブリッシャがブロッコリーに移ることになった,2008年頃のお話ですね。

河端氏:
 そうですそうです。でも,自分もそろそろ就職しなきゃいけなくて,デジタルゲーム系のグラフィックスデザイナー職で試験を受けまくってたんだけど,うまくいかず。あれ,そういえばモンコレ作ってるのもゲーム会社だよな,と。

加藤氏:
 その時って,募集とかしてたんだっけ?

河端氏:
 募集してなかったんです。だから,募集を開始してくださいってメールを出しました。その後1週間くらい待ったけど返信がなくて,「これはスルーされたな」って思ってたんですけど,1か月後にサイトを見たら,募集が始まってた。「あ,気持ちが届いたんだ」って思いましたね。

4Gamer:
 いい話ですけど,会社ってそういうものななんですか……。

河端氏:
 考えてみれば,すごいですよね。で,その時点で締切まで1週間しかなかったけど,「これはハンデでであり,試練だ」と思ってTCGっぽいものを作り,面接に臨みました。

4Gamer:
 イラストではなく,ゲームを作って持っていったんですか?

河端氏:
 募集要綱が,文章かゲーム,あと翻訳の仕事っていう書き方だったんですよね。英語は全然ダメだし,小説はほぼ書いたことがないからゲームかなって。採用されたらイラストを描くチャンスもあるだろうって思ってたんですけど,面接の時点で「うちはイラストはやってないよ」と言われちゃって。

加藤氏:
 あれ? 安田に初めて紹介されたとき,「絵描きや!」って言ってたけどなあ。

杉浦氏:
 イラストを見せてもらいましたよね。

河端氏:
 そうなんですよ。だから面接では「イラスト描きますし,ゲームも作ります。小説も書きます」って言ったんです。今思えば無謀すぎますけど(笑)

4Gamer:
 結局,ちょうど良く募集が始まったのは,河端さんのメールがきっかけだったんですかね?

河端氏:
 それがあとで聞いたら全然関係なくて,たまたまだったみたいです。「そんなん読んだことないなあ」って安田に言われましたから(笑)。 

加藤氏:
 安田の採用基準が謎なんです(笑)。僕なんか,「眉毛薄いからオモロイやろ」って言われて採用されましたからね。杉浦はクレーン免許持ってるから採ったって言ってたよね。

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杉浦氏:
 そうそう。変な2人が揃ってたから2人とも採ったとか。なんでやねん(笑)。

4Gamer:
 ちなみに,入社してからのこれまでのお仕事は何を?

河端氏:
 僕のデビュー作は,集英社みらい文庫さんの「モンスタニア」という小学生向けノベルで。ほぼ同時期には,デッキ構築型カードゲームでゲームデザインを担当しましたし,あとはライトノベルも何冊か手がけています。あとPBW「エンドブレイカー!」のTRPG版にも,途中から少し関わっていました。

4Gamer:
 では,小説は入社してから修行したわけですか。

河端氏:
 面接の時,「こういうのやってもらうから勉強しといて」って,児童書を渡されたんです。それで文章を書かけないとヤバいとなって,めちゃめちゃ勉強しましたね。

4Gamer:
 ……それで書けちゃうのがスゴイですけど。
 ということは,世代的に加藤さん杉浦さんはロードスから始まるTRPGにあこがれた世代で,河端さんはTCGにあこがれたモンコレ世代という感じなんですね。

加藤氏:
 そうなりますね。一昔前は,河端のようにモンコレにあこがれて入って来る人がいたけど……今って,何を見てウチに来るのかな。

河端氏:
 黒井 龍さんとかはTRPG好きでしたよね。あとは小説関連でしょうか。TCG系は僕が一番下の世代で,最近は見ないかも。ただ社風として,あんまりファン然とした人は採らないですからね。

杉浦氏:
 そうそう。あまりに好き好きだと,採らないんだよねえ。

加藤氏:
 僕なんか,どっちかっていうとSNE嫌いだったなぁ(笑)。

河端氏:
 僕は安田均って人はよく知らないけど,とりあえず加藤ヒロノリってのに会わせろって言って入ったクチです。

4Gamer:
 実際に,会ってみてどうでしたか?

河端氏:
 顔こわって思いましたよ。いや,これは割とマジで(笑)。

(一同爆笑)

画像集 No.024のサムネイル画像 / 新作TCG「ドレッドノート」開発者インタビュー。グループSNEの「モンコレ」開発陣が目指したTCGの“ストロングスタイル”とは?


グループSNEだからこそ可能な,次世代TCGを目指して


4Gamer:
 ゲームの話に戻るんですが,個人的にいくつか気になったことがあったので質問させてください。まずルールブックなんですが,一番最初のページの「ゲームを遊ぶ前の原則」に,「紳士的なプレイを心がける」とありますよね。この項目は,なぜ加えられたのでしょうか。

加藤氏:
 これはですね,ぜひ入れてほしいと僕が言ったんです。本作は賞金制を謳ったタイトルですから,そういう場では,どうしたってギスギスすることだって出てくる。イカサマだってやろうと思えばやれるわけですし。でも,それはやっちゃダメなんですよ。

4Gamer:
 いや,おっしゃることはよく分かります。しかし,それをルールブックに明記しているタイトルというのは,TCGでも珍しいと思うんです。

加藤氏:
 ルールブックに書いてあれば,いざ何かあったときにも堂々と伝えられますし。まあ,内容自体は本当に当たり前の事なんですよ。でも熱くなると,しばしば忘れがちになるものでもありますし。

杉浦氏:
 大会のような場所になると,お互いの宣言をちゃんと把握することが求められますからね。分からなかったときには「今の宣言はこうですか?」ってちゃんと聞き直す。そういう紳士的な態度――心の余裕を持つことが重要なんです。

画像集 No.027のサムネイル画像 / 新作TCG「ドレッドノート」開発者インタビュー。グループSNEの「モンコレ」開発陣が目指したTCGの“ストロングスタイル”とは?

4Gamer:
 自分もTCGの大会に良く参加するので,そのあたりの空気感はよく分かっているつもりです。ただ,この一文はやはり賞金制を意識してのものなのかなと。

加藤氏:
 賞金制でなくても入れたとは思いますが,でもきっかけではありますね。賞金制については,どちらかといえばKADOKAWAさん主導で進んでいる施策なので,我々としてはそれに捕らわれすぎないようにしています。むしろお願いしているのは,賞金制の大会だけでなく,カジュアルなイベントも忘れないでほしいというところで。

4Gamer:
 ああ,つまりガチ勢とカジュアル勢が混ざったときの……。

杉浦氏:
 見ている世界が違っても,まずは原点に立ち返って,仲良く楽しんでほしいって事ですね。

加藤氏:
 そもそもこれはゲームなんだから,第一の目的は楽しむことでなくちゃいけない。実際はどうであれ,そこは忘れないでほしいんですよ。だから,これは言わばスポーツ大会での選手宣誓みたいなものなんですね。

4Gamer:
 分かりました。ではもう一つ,遊ばせていただいたスターターについてなんですが……これちょっと青側が厳しくないですか。赤の焼きが強すぎて,なす術もないというか。

加藤氏:
 確実に焼かれると青は辛いですが,ギリギリを狙うと覚醒で耐えられて,一手番が無駄になるので,そこでバランスが取れているんです。初心者同士だと,便利なコードがある分青の方が強くて,焼きのコツを覚えてくると赤が強くなる。最終的にはスサノオがいる分,赤がちょっと強いかも,くらいですかね。

河端氏:
 ただ,青には見えない強さがあって。赤は「神通力 金剛」でBP+30しかできないのに対し,青にはアタックダメージを−50する「アテナの煌めく盾」,+50する「アレスの猛き槍」がある。どちらも1コストで発動できるので,赤は相手に攻撃をしかけるときに,どうしてもこれらを意識せざるを得ない。そこに心理戦が発生するんです。これを利用できるようになったら,青は強いです。

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神通力 金剛
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アテナの煌めく盾

4Gamer:
 うーん……赤の焼きがちらつくと,どうしても攻撃できなくなってしまって。あれをなんとかできるカードがあればいいんですけど。

加藤氏:
 ありますよ。青青でコードダメージを減らすコードがあって,スターターには入っていませんが,うまく使うとそれで穴を空けたところを殴れたりします。それにスターターだけでも「ディスペル」とかあるので,うまく使っていただければ。

河端氏:
 青,めっちゃ強いんですけどねえ。

加藤氏:
 イメージ的には,赤は焼きが強くて,青はスタンダード。黄色はオールマイティだけどちょっと癖が強いタイプ,それから嫌らしい強さの黒っていう性格付けなんです。なんで,青も十分強いと思います。

4Gamer:
 なるほど。まずカードを揃えるところからですね。

加藤氏:
 ええ。第1弾のブースターが104枚。スターター限定のカードと合わせ,作れるデッキのパターンは相当数あります。レアリティの差こそありますが,強さ的に格段に見劣りするカードはないはずです。

杉浦氏:
 僕らはいつも言ってるんですけど,コモンカードも必ずデッキに入っていてほしいですからね。

加藤氏:
 TCGに限らない話ですが,基本貧乏性なんで(笑)。お金をかけたほうが絶対に強いというのはあまり望むところじゃないんです。まあ,TCGである以上はどうしようもないところでもあるんですけど,できるだけ緩和したいなあと。なので,どんなカードにも使い道があり,デッキに入れる価値がある。そんなバランスを意識して作っています。

河端氏:
 コモンだろうアンコモンだろうが必ず使い道は用意しています。もちろんメタ(対策)次第ではあるんですが,レアリティで極端に強さの差はつけない。もし強く見えるとしたら,コストが重かったりとか,必ず何かあるはずなんで。

4Gamer:
 最後に今後の展開についてなのですが,現時点で何かお話しいただけることはあるでしょうか。先ほどは5色目以降が増える予定があるというお話でしたが。

加藤氏:
 それもありますが,第1弾はあえてシナジーを控えめにデザインしたので,まずは第2弾で横のつながりを強化する予定です。そこから先はまだぼんやりですが,ダミーで置いたカードをトラップみたいに使えるとか,混色も今は2色までですが,もうちょっと幅をもたせたいなーとも思っています。実際に取り組んでみて,テストでボツになるかもしれませんけど(笑)。

杉浦氏:
 半年ごとにスターターを見直す予定なので,そのタイミングで入れられるといいんですけどね。

加藤氏:
 とはいえ,まずは皆さんに馴染んでもらうことが大事ですから,新しい要素はまだ少し先の話ですね。

4Gamer:
 拡張のネタはまだまだ豊富にありそうですね。

加藤氏:
 そうですね。モンコレで培った17年分の蓄積がありますから。そこは期待していてください。

河端氏:
 あと世界観の面も,KADOKAWAさんとのタッグでしっかりフォローしていくつもりなので,お楽しみに。具体的なことはまだ言えないですが,まずはWebでのサイドストーリー展開なんかを考えているところです。

加藤氏:
 その辺はグループSNEの得意分野だからね。TCGだから世界観が薄い,なんてことには絶対なりませんから。そっちの面でも“深さ”は保証できると思いますよ。

4Gamer:
 分かりました。では,締めとして読者に向けたメッセージをいただけますでしょうか。

杉浦氏:
 じゃあ自分から。大会運営は,先ほどKADOKAWAさんが主導という話があったんですが,今後はグループSNEとしても,より良い環境作りのために力をかけていきたいと思っています。賞金狙いのガチ勢の方はもちろんのこと,カジュアルな皆さんにも楽しんでいただける運営を目指して,KADOKAWAさんと力を合わせていきますので,応援よろしくお願いします。

河端氏:
 メディア展開のことはさっき話したので,ここはこの3人でやってるTwitterの話でも。「まるデ@ドレノTCG開発班」というアカウントでカードやルールの解説なんかをやってますので,フォローをお願いします。あとニコニコ動画のグループSNEチャンネルでも,ときどき対戦動画なんかをアップロードしています。こちらもぜひチェックしてみてください。

加藤氏:
 もう全部言われちゃった気がするんだけど(笑)。まあ,僕らが考えているのは,とにかく遊んでくれた皆さんが納得のいくゲームにするということなんです。TCGって決して安い趣味ではないわけで,だからこそ,皆さんがかけてくださった金額以上の楽しみを僕らは提供しなくちゃならない。「ドレッドノート」は,あらゆる意味で本格的なものをお届けしたいと思っていますので,今後にもぜひご期待いただければと。

4Gamer:
 はい。本日はありがとうございました。

画像集 No.015のサムネイル画像 / 新作TCG「ドレッドノート」開発者インタビュー。グループSNEの「モンコレ」開発陣が目指したTCGの“ストロングスタイル”とは?



 神戸のグループSNEにお邪魔し,本作について根掘り葉掘り聞いてみた今回のインタビュー,いかがだっただろうか。ゲームデザインからグループSNEの沿革についてまで,製品の発売直前という忙しい時期にもかかわらず,答えにくい質問にも応じてくれたお三方には,改めて感謝したい。

 ちなみにインタビュー収録後,加藤氏と本作のスターターデッキで対戦させていただく機会を得たのだが……残念ながら筆者の負けとなってしまった。しかも,筆者がインタビュー中で“強すぎるのでは?”と主張した赤――「紅蓮の剱」を使用し,加藤氏が青――「蒼穹の盾」を使っての結果である。
 最終ターンはお互いにHPを1まで削り合った状態で,筆者としては押し切れると判断して全軍攻撃を仕掛けたのだが,加藤氏の「アテナの煌めく盾」の前にこれを阻まれ,返す刀で討ち取られるという,まさにインタビューで氏が語っていたとおりの展開となってしまった。
 さらに,焼き対策にじっくり構えて戦線を維持する立ち回りや,こちらの「ディスペル」をうまく誘う戦術には終始してやられ…………筆者としては大変悔しい。いやはや奥深いとは聞いていたが,筆者の理解度はまだまだ足りないようである。
 というわけで,次の機会には必ずリベンジを果たすべく,筆者はもう少し修行をしてみるつもりだ。このインタビューで本作に興味を持った読者も,ぜひ一度本作を手に取ってみてはいかがだろうか。

――2015年5月18日収録

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