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西川善司の3DGE:「RyzenはCore i7よりこれだけ速い」――AMDが披露したベンチマーク結果をチェックする
CPUベースのレイトレーシングをマルチスレッドで実行する「CINEBENCH R15」の結果は,プレゼンテーション中のグラフ資料と同じ結果になるだけで面白みがないということで,AMDは,さまざまなベンチマークを実行し,比較するデモを行っていたので,ここでは,そのうち2つを紹介してみたい。
マルチスレッドのベンチで強みを見せるRyzen 7
まずは,実用環境レベルでのマルチスレッド性能を測定するためにワンオフで制作されたという,スクリプト制御型のオリジナルベンチマークソフトだ。
ここで比較するCPUは「Ryzen 7 1700X」と,競合の6コア12スレッド対応CPU「Core i7-6800K」。つまり北米市場におけるメーカー想定売価で399ドル(税別)対425ドル(税別)の戦いだ。それ以外のハードウェアはメインメモリ容量が32GB,GPUが「Radeon RX 480」,ストレージが容量240GBのSSDで共通だが,その所要時間はRyzen 7 1700Xが91.3秒なのに対してCore i7-6800Kは112秒と,なんと21秒弱もRyzenのほうが速いという結果になっていた。
もう1つは,ネット対戦型RTS「Dota 2」のゲームプレイシークエンスをリプレイ再生し,その模様を,リプレイ再生しているPC上の「Open Broadcaster Software」(以下,OBS)で同時にH.264エンコードし,ネットワーク経由で出力するという,かなりCPUヘビーなテストだ。こちらは,スコアや経過時間が最後に出るというものではなく,「出力されたビデオストリームにおけるコマ落ち」の頻度を確認してもらうというものになっている。
下に示したムービーがそのデモの様子で,奥に見える大きなディスプレイのほうが,ゲームアプリケーションとOBSを同時実行しているテスト機の映像だ。手前に見えるノートPCで流れているのが,テスト機から出力されたH.264ビデオストリームである。
実際に再生してもらうと分かるが,Ryzen 7側もCore i7側もゲームアプリケーションのほうはスムーズだ。ただし,ノートPC側を見てみると,Core i7側から出力された映像がカクつく瞬間を確認できる。これは,デスクトップPC側のCPU処理負荷が高くなりすぎて,CPUベースのH.264エンコーダが処理すべきフレームを落としてしまったことの証しだ。
普通,OBSを使った配信を行う場合はGPU側のビデオエンコーダを使うはずなので,テスト環境の“現実味”は薄いが,とはいえ,「ここまでの高負荷な処理をさせても,競合の同価格帯モデル以上にマルチスレッド性能があるのだ」ということは,十分に言えるように思う。
というわけで,筆者がデモを見た限り,Ryzen 7には相当期待できそうな気配だ。気になっている人達には,十分な予算を確保しておくよう勧めたい。
ちなみに,AMDの日本法人である日本AMDによると,税別価格はRyzen 7 1800Xが5万9800円,Ryzen 7 1700Xが4万6800円,Ryzen 7 1700が3万8800円。なので,単純計算した税込価格は6万4584円,5万544円,4万1904円となる。
西川善司の3DGE:AMDの新世代CPU「Ryzen 7」は北米時間3月2日発売決定。8コア16スレッドの最上位モデル「Ryzen 7 1800X」は499ドルに
AMD公式Webサイト
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