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東京レトロゲームショウ2016:第47回 「Joint Task Force」で,映画「ブラックホーク・ダウン」を追体験してみたかった
1993年10月3日,ソマリアの首都モガディシュで起きたアメリカ軍とソマリア民兵の戦い,通称,「モガディシュの戦闘」を描いた「ブラックホーク・ダウン」は,筆者お気に入りの映画だ。かれこれ10回は観ているはずだが,またしてもBlu-rayを引っ張り出し,何度めか分からないまま,飽きずに鑑賞していた途中,急に戦争物のゲームをプレイしたくなった。
確か同じ戦いをテーマにしたRTSがあったよなぁ,と「Steam」を物色して見つけたのが,今週の「東京レトロゲームショウ2016」で紹介する「Joint Task Force」(以下JTF)だ。自分で言うのもなんだが,いい流れだ。
Steam「Joint Task Force」紹介ページ
JTFを開発したのはハンガリーのデベロッパMost Wanted Entertainmentで,2006年にオランダのHD Interactiveをパブリッシャとして発売された。以前紹介した「COMMANDOS」シリーズからも分かるとおり,筆者はチマチマしたRTSが好きだったので,発売当時,デモ版をプレイした記憶はあるものの,同時期に発売された同じく現代戦モノの「World in Conflict」をプレイしてしまい,JTFのことはなんとなく忘れてしまった。
そして,約10年の歳月が流れ,このたび,ついにJTFをプレイすることになった。レトロゲームの名作を紹介するという記事の趣旨に反し,要するに筆者がプレイしたかっただけではないのかという疑問も浮かんでくるが,気にしないようにしたい。
キャンペーンモードでは,特殊部隊の指揮官となったプレイヤーが,ソマリア,ボスニア,アフガニスタン,コロンビア,そしてという,(当時)情勢不安定な地域において,敵部隊の制圧やテロリストを相手にした戦闘任務を遂行していく。シングルプレイには全部で20ステージが用意されており,ステージごとに達成が必須となる主任務と,挑戦するかどうかは任意の副任務がある。
主任務は,例えば
1)敵の迫撃砲を破壊して,国連の援助船団を守る
2)川を渡って滑走路を確保する
3)援助船団を護衛し,できるだけ多くの援助トラックを近隣の村へ運ぶ
4)赤十字野戦病院を守り,すべての医療従事者を避難させる
といった具合に,1つの任務を達成するとまた次の任務に突入,といった感じで進めていく。展開は非常にドラマチックで面白いが,1つが終わるたびに,すぐ次が始まるため,のんびり治療や修理をしていたら攻撃を受けて任務失敗になってしまう。また副任務はいろいろとあるので,ぜひあなたの目で確認してほしい(あまりやっていない)。
映画ブラックホーク・ダウンと同じく,UH-60 ブラックホークやMH-6 リトルバードなどのヘリコプターも登場して戦場に華を添えるが,モガディシュの戦闘をそのまま描いたステージは登場しないし,映画の登場人物も出てこないのが,ちょっと残念だ。著作権とか,いろいろあるのだね。
戦闘車両は,FAVレコンビークル,ハンヴィー,M1エイブラムス,M2ブラッドレー歩兵戦闘車,移動式大砲,移動式対空砲,修理車両のほか,軍事衛星,巡航ミサイル,RQ-1プレデターが登場する。ハンヴィーなどは,グレネードランチャーやTOW 対戦車ミサイルが搭載された仕様違いもあるので,任務や敵兵に応じて使い分けよう。
敵軍にはT-72主力戦車,T-55中戦車,ZSU-23-4自走式高射機関砲,BMP-2歩兵戦闘車,BRDM-2 装甲偵察哨戒車など,旧ソ連兵器が多数登場する。
これらのユニットは,ズームアップして眺めるとかなり細かいところまで描き込まれており,マニアの人なら楽しめるはず。また,戦車の履帯から巻き上がる砂塵や,独特の軌道を描いて飛ぶTOW 対戦車ミサイルなど,グラフィックスにもこだわりが感じられ,ロープ降下中にヘリが撃墜されて振り落とされる兵士の姿など,演出にも力が入っている。こうしたことが相まって,ここは戦場だ! という臨場感がものすごく感じられるのだ。
資金に余裕があれば,現代戦ならではのハイテク装備が使える。例えばプレデターを目的地点に飛ばして敵の配置状況を把握し,攻撃を仕掛けるということもできる。
また,味方ユニットの中にはレベルアップするヒーローユニットがおり,任務を遂行していくことで経験値を獲得し,攻撃や防御,視野能力などが高くなったり,体力回復が早くなったりするという育成要素も用意されている。
戦闘は,戦車部隊でゴリ押ししてもうまくいかないだろう。戦車は1発撃ってしまうと,次弾を装填するまで無防備になってしまうので,歩兵やブラッドレーをサポートに付けるなど,いろいろなテクニックが必要だ。歩兵部隊は単なるやられキャラではなく,機動力もあって便利で,RPGやAT-4を持たせた歩兵を数人用意すれば,いとも簡単に戦車部隊を壊滅させてくれて頼もしい。
ユニットごとに攻撃有効範囲があるので,それをうまく利用し,損害を最小限にしたい。
とはいえ,戦いに突入すれば,歩兵や車両のダメージは避けられない。歩兵が怪我をしたらメディックが,車両が壊れたら修理車両があれば直してくれるので,前進して攻撃しては,後退して治療や修理という展開が多くなる。そのため,RTSにしてはあまりスピード感のない戦闘になりがちだが,治療や修理中に「今のは思ったよりやられた」とか「意外とダメージは少なかった」とか,1人でつぶやきながら,次の戦いに挑むドキドキ感はなかなかのものだ。
キャンペーンでは,難度をノーマルとハードから選択できるが,ノーマルでも試行錯誤しながら戦術的な行動をする必要があり,トライアル&エラーを繰り返すことになる。任務に失敗すると画面の下のほうに「Restart mission」ボタンが出てくるが,その横にひっそりと「Easy」ボタンが用意されている。筆者は「お情けなんていらねーぜ!」と声に出しつつ,ありがたくポチッとさせてもらうのであった。イージーは深く考えずにゴリ押しプレイが可能なかなりカジュアル風味になるので,とにかく突進という人にはオススメだ。もちろん,慣れてくれば頭を使ってゲームを進めたいところ。
というわけで,興味があれば,まずはSteamのデモ版をプレイしてみてほしい。
Steam「Joint Task Force」紹介ページ
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