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AMD,デュアルFijiカード「Radeon Pro Duo」の詳細を公開。国内でのカード単体販売はなし
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印刷2016/04/26 22:00

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AMD,デュアルFijiカード「Radeon Pro Duo」の詳細を公開。国内でのカード単体販売はなし

画像集 No.015のサムネイル画像 / AMD,デュアルFijiカード「Radeon Pro Duo」の詳細を公開。国内でのカード単体販売はなし
 2016年4月26日22:00,AMDは,Fiji世代のGPUを2基搭載するデュアルGPUカード「Radeon Pro Duo」の詳細や性能に関する情報を公表した。Radeon Pro Duoは,GDC 2016に合わせてAMDが概要を発表していたもので,今回,そのスペックが明らかになったというわけだ。
 だが,日本のRadeonファンにはとても残念なことに,日本市場においては,Radeon Pro Duoの単体販売は予定がないとのことで,同日にProject Whiteが発売した仮想現実(VR)コンテンツ開発向けデスクトップPC(関連記事)というシステムでの販売だけが行われるとのことだ。
 AMDによる資料をもとに,Radeon Pro Duoの詳細を確認してみよう。

Radeon Pro Duoの主な特徴を示したスライド。HBM1オンパッケージのGPUを2基搭載し,外部出力インタフェースはDisplayPort×3+HDMI×1。消費電力は堂々の350W(!)だ。詳細は続く段落で
画像集 No.002のサムネイル画像 / AMD,デュアルFijiカード「Radeon Pro Duo」の詳細を公開。国内でのカード単体販売はなし


Radeon R9 Nano×2のスペックと消費電力


 まずは,Radeon Pro Duoのスペックから見ていこう。
 本製品は,演算ユニットである「Compute Unit」にして64基,総シェーダプロセッサ数4096基,オンパッケージのHBM1(High Bandwidth Memory 1)によるグラフィックスメモリ容量は4GBという,FijiコアのGPUを2基搭載する製品だ。GPUコアの最大動作クロックは1000MHz,メモリクロックも1000MHzなので,GPUコア1基あたりの仕様は「Radeon R9 Nano」(以下,R9 Nano)と同じという理解でいいだろう。カード全体のTDP(Thermal Design Power,熱設計消費電力)は350Wで,これはR9 Nanoのちょうど2倍だ。

Radeon Pro Duoの主なスペック
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 は,Radeon Pro Duoのスペックを,R9 Nano,そして既存のデュアルGPUカード「Radeon R9 295X」(以下,R9 295X)および競合製品である「GeForce GTX TITAN Z」,シングルGPUカード「GeForce GTX TITAN X」(以下,GTX TITAN X)と比較したものだが,16.38 TFLOPSという単精度浮動小数点演算性能は圧巻であり,AMDはこの値を基に,Radeon Pro Duoを史上最速のグラフィックスカードと呼んでいる。

画像集 No.016のサムネイル画像 / AMD,デュアルFijiカード「Radeon Pro Duo」の詳細を公開。国内でのカード単体販売はなし

 カード自体の全長は268〜270mmで,厚みは2スロット分。これに,「Radeon R9 Fury」と同じように,120mm径の空冷ファン付きラジエータが“生えて”いる簡易液冷ユニットを組み合わせてある。

カードの表側はニッケル合金製の外装で覆われており,LEDを埋め込んで光るRadeonのロゴや,デュアルBIOSの切り替えスイッチなどを備える
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外装を外した状態。搭載する簡易液冷ユニットはCooler Master Technology製だ
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 ビデオ出力インタフェースは,DisplayPort 1.2×3とHDMI 1.4×1という仕様になっている。FijiがHDMI 2.0には対応していないので,4K解像度の60Hzで出力するには,DisplayPortを使うしかない。

 なお,PCI Express補助電源コネクタは,8ピン×3という極めて珍しい仕様となっている。この8ピン×3仕様は,「Radeon R9 290X」を2基搭載したASUSTeK Computerの「ARESIII-8GD5」といった特殊なカードでの採用実績はあるものの,リファレンスデザインで8ピン×3を採用したものは,Radeon Pro Duoがおそらく初めてではないだろうか。

Radeon Pro Duoのカード表面。Fijiチップ2基が,PLX Technology(現Avago Technologies)製PCI Expressスイッチを挟んだ,デュアルGPUカードでお馴染みの基板デザインだが,メモリチップがGPUパッケージ上に載っているため,従来のデュアルGPUカードのように,大量のメモリチップが基板を覆うような見た目にはなっていない
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ゲームにおいてもGTX TITAN Xの1.5倍も速いとアピール


 GDC 2016での発表でAMDは,「Radeon Pro DuoはVRコンテンツ制作用である」と強調していた。今回もAMDは,Radeon Pro Duoを「LiquidVR SDK対応GPU」であると謳っており,その点はいささかもぶれていない。
 ただ,ゲーマーとして気になるのは,Radeon Pro Duoでゲームを動かしたらどれくらいの性能が出るのかだろう。そして今回,AMDは,いくつかのゲームを使ったベンチマークスコアを公開して,性能の一端を明らかにした。

 AMDによると,Radeon Pro DuoはGTX TITAN Xの1.5倍,R9 295X2の1.3倍も高速とのこと。とくに4K解像度でゲームを実行した場合のグラフを見ると,GTX TITAN Xと比べて20〜60%ほど高いフレームレートを実現しているようだ。

Radeon Pro Duoは,GTX TITAN Xの1.5倍,R9 295X2の1.3倍速いと主張するスライド
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Radeon Pro DuoとGTX TITAN XおよびR9 295Xで,ゲームにおけるフレームレートを比較したグラフ
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 また,DirectX 12対応ゲーム「Ashes of the Singularity」を4K解像度で比較した場合,GTX TITAN Xの2-way SLI構成よりも,Radeon Pro Duoのほうが20%ほど高いフレームレートを実現できる。

4K解像度のAshes of the Singularityで,Radeon Pro DuoとGTX TITAN XおよびR9 295Xのゲームにおけるフレームレートを比較したグラフ
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 VRコンテンツ制作において重要な,VR対応ヘッドマウントディスプレイ(以下,HMD)での性能をアピールするテスト結果も公表されている。それによると,Valveが公開したVR対応3Dベンチマークソフト「SteamVR Performance Test」では,GeForce GTX 980 Ti」よりも若干だが高いスコアを記録したとのことだ。

SteamVR Performance Testでのスコア比較グラフ。Radeon Pro Duoは5製品の中では最高のスコアとなっているが,デュアルFijiカードであることを考えると,もう少し高いスコアに届いてほしい気もする
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 AMDではそのほかにも,レイトレーシングエンジン「FireRender」に対応するAutodeskのCG制作ソフト「3ds Max」での処理性能が,Intelの「Core i7-5960X Extreme Edition」(以下,i7-5960X)と比較して15倍高速であるなど,コンテンツ制作用途における性能の高さもアピールしている。

3ds Maxでの性能比較グラフ。Radeon Pro Duoはi7-5960Xと比べて,15倍も高速であるという。また,シングルGPU時とデュアルGPU時を比べても,1.73倍の性能向上を実現しているとのことだ
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こちらは,Blackmagic Designのノンリニアビデオ編集システム「DaVinci Resolve 12」で,Radeon Pro DuoのシングルGPU時とデュアルGPU時の処理性能を比較したグラフ。デュアルGPU時は2倍の性能向上を実現したとしている
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 AMDが公表した性能を見る限りでは,VRコンテンツ制作のみならず,ゲーム用途に使っても面白い製品ではないかと思えるRadeon Pro Duo。ただ,繰り返しになるが,現時点では日本市場でのカード単体販売の予定はない。どうしても欲しいという場合は,BTO標準構成価格で43万円強というProject WhiteのデスクトップPCを買うしか選択肢がない状況だ。
 一般のゲーマーは次世代GPUである「Polaris」(開発コードネーム)を待つだろうという判断が働いたのかもしれないが,「史上最速のグラフィックスカード」を単体で購入する機会がないというのは,やはりちょっと残念である。

Radeon Pro Duo 製品情報ページ(英語)


  • 関連タイトル:

    Radeon R9 Fury

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