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「ニード・フォー・スピード」の日本メディア向けのイベント開催。改造ランボルギーニで有名な諸星伸一氏が愛車とともに登場した会場の模様をレポート
本稿では,その模様をレポートする。記事後半には中村氏へのインタビューを掲載しているので,本作が気になるという人はチェックしてほしい。
「ニード・フォー・スピード」公式サイト
20年以上の歴史を誇る「ニード・フォー・スピード」シリーズだが,本作は「原点回帰」として,シリーズのリブートを図っている。中村氏によれば,企画開発にあたってはシリーズ従来作を見直したり,ファンの声を汲み取ったりしたとのことで,例えば「ニード・フォー・スピード アンダーグラウンド」の世界観や「ニード・フォー・スピード モスト・ウォンテッド」のストーリー,「ニード・フォー・スピード カーボン」のカスタマイズ要素,そして「ニード・フォー・スピード ライバルズ」の技術といった具合に,さまざまな要素を再構築したそうだ。
最初に挙げられたのは,「リアルなストリート・カーカルチャー」だ。本作は,世界中の自動車文化にまつわるコンテンツを提供しているSpeedhuntersとのコラボレーションにより,過去から最先端のトレンドに至るまでのカーカルチャーを忠実に再現しているという。例えばゲーム内に登場する車種は,ハコスカなど古い日本車のファンにアピールするものから,最新のBMW M2まで幅広く用意されている。
またゲーム内のカスタムパーツは,実在するブランドとのコラボによって設計しているとのことで,2014年夏にはGhost Gamesのスタッフが,京都のロケットバニーや名古屋のリバティウォークなどに取材を行ったという。
2つめの特徴は,「シリーズ最高峰のカーカスタマイズシステム」だ。外観の変更はもちろん,フェンダー,スカート,スポイラーなど豊富かつディープなオプションが用意され,シリーズファンのさまざまな要求に応えられるシステムになっているという。
操作面ではハンドリングやパフォーマンスのチューニングも可能で,ドリフトやグリップなどの好みに応じて詳細な調整を施せるようになっている。また「ラップエディタ」の実装により,自由にデカールやグラフィックスを施すこともできるそうだ。
3つめの特徴としては「魅力的なストーリー」が挙げられた。本作には,「スピード」「スタイル」「ビルド」「クルー」「アウトロー」という5つのプレイスタイルがあり,ストーリーモードではそれぞれのカーカルチャーに影響を与えている実在の人物が「カリスマ」としてフィーチャーされている。
具体的には,スピードのカリスマであるマグナス・ウォーカー氏は,世界的に有名なポルシェコレクターでスピードキングだ。
スタイルのカリスマとなるケン・ブロック氏は,ラリードライバーとして,また過激なスタント動画で有名な人物。ビルドのカリスマである中井 啓氏は伝説的なポルシェ・ビルダーであり,またクルーのカリスマとなるリスキーデビルはシカゴを拠点とする有名なドリフト・チームだ。
そしてアウトローのカリスマ,諸星伸一氏は,ど派手な改造ランボルギーニで有名な人物である。
またゲーム内でプレイスタイルに沿った行動を取ると獲得できる「名声」(REP)が,本作のキーとなる要素として紹介されたほか,プレイスタイルごとに,仲間となるキャラクターが用意されていることが明らかになった。
中村氏はさらに,「ニード・フォー・スピード」の映像表現にも言及した。本作に使われているゲームエンジン「Frostbite 3」には物理ベースのレンダリングが実装されており,それにより,現実に限りなく近い映像を実現しているという。またリアルタイム合成により,実写の人物とCGで描写される車を自然かつスムーズに融合できることも紹介された。
イベント後半には,冒頭にも書いたように,本作にアウトローのカリスマとして登場する諸星伸一氏がゲストとして登壇した。
Ghost Gamesの中村氏によれば,「ニード・フォー・スピード」の企画は2013年12月にスタートしたが,そのとき,諸星氏の出演している動画「Underground Hero: Love To Hate Me」を発見したという。
中村氏は「世界中を探しても,こういったカスタムランボルギーニを持っているのは諸星さんしかいない」とし,その唯一無二のスタイルが「ニード・フォー・スピード」に通ずるものだと考えて,諸星氏に協力をオファーしたそうだ。
諸星氏は,2013年のランボルギーニ50周年記念イベントに日本代表として参加したときのエピソードを披露した。諸星氏は,LED装飾を施したピンク色のランボルギーニ・ディアブロSVでミラノを走ったとのことで,その自由さが大きな注目を集めたものの,結果としてランボルギーニの社長から直接,注意を受けたという。
それ以前にも,上記の動画を見たランボルギーニの上層部が諸星氏を普通の職業の人間ではないと誤解し,ランボルギーニ・アヴェンタドールを売らないよう社内に指示を出していたことがあったそうだ。
なお,諸星氏のランボルギーニ・ディアブロSVは,LED装飾も含めて忠実に再現された状態で,「ニード・フォー・スピード」のアップデートに登場する予定だ。
諸星氏は「ランボルギーニの電飾カスタムをずっと批判されてきた」とし,「今回,ゲームに採用されたのは本当に嬉しい」とコメントした。中村氏も「存在感がハンパないので,世界中の皆さんが乗りたがるんじゃないでしょうか」と述べた。
また諸星氏は,自身が参加した「ニード・フォー・スピード」の実写パートの収録を,「まるでハリウッド映画を撮影しているかのように本格的で,スタッフや小道具の数もものすごいことになっているので,ビックリした」と表現。演技については,「諸星さんそのまま」(中村氏)とのことだ。
最後に諸星氏が「ニード・フォー・スピード」のリアルさを,「今までのゲームの常識を変えるくらい素晴らしい」と表現。そして中村氏が,「今回は原点回帰と同時に,シリーズの新時代の幕開けになったと思います」と述べて,イベントを締めくくった。
今回の「ニード・フォー・スピード」は
シリーズの原点回帰にして完成形
今回のイベントでは,プレゼンテーションを行った中村氏にショートインタビューを行う機会を得た。改めて説明すると,中村氏は「ニード・フォー・スピード」のデベロッパであるGhost Gamesのアートディレクターで,本作では主に世界観の構築やライティングなどを担当している。
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。今回の「ニード・フォー・スピード」は,長年続いてきたシリーズの原点回帰,という位置付けなんですね。
中村雄太氏(以下,中村氏):
はい。「ニード・フォー・スピード」シリーズは1994年の第1作以来,20年にわたって,ほぼ毎年リリースしてきました。しかし2014年にはそれを1回お休みし,2年かけてシリーズをリブートしようと考えて,本作を開発しました。それこそ企画からソースコードに至るまで徹底的に見直し,シリーズの良かったところ,ファンが求めるものを研究して,「ニード・フォー・スピード」の完成形として仕上げたんです。
4Gamer:
シリーズのリブートは,いつ頃決まったのでしょう。
中村氏:
Ghost Gamesは,2013年にリリースされた前作「ニード・フォー・スピード ライバルズ」からシリーズに携わっているのですが,前作の開発が終了したとき,チームの中で「ファンが求める『ニード・フォー・スピード』とは何だろう」という疑問が持ち上がったんです。そこから,原点回帰して新たにシリーズをスタートさせるのがいいのではないか,という結論にたどり着き,2013年11月頃から具体的に企画を練り始めました。
4Gamer:
ファンが求める「ニード・フォー・スピード」とは,具体的にどんなものでしょうか。
中村氏:
もちろん,人それぞれ異なるとは思いますが,リクエストとしてもっとも多かったのは,カスタマイズ要素です。カスタムパーツは実在のものを多数採用していますし,またラップエディタは相当こだわったので,ぜひオリジナルのデカールなどを作ってください。私自身,どんなカスタムカーが見られるのか,非常に楽しみにしています。
次にリクエストが多かったのは,ストーリーモードです。これは,ほかのレースゲームにはあまりない要素で,非常に期待されていました。
4Gamer:
本作の大きな特徴となる,グラフィックスについても教えてください。東京ゲームショウ2015のプレイアブルバージョンでは,非常に美しいロサンゼルス・ベイエリアの夜景を見たのですが,そのほか,どんなところが見どころになりますか。
中村氏:
例えば,峠をイメージした山のエリアは,かなり大きな印象を受けると思います。景色はもちろんですが,プレイでもダウンヒル,アップヒル,ドリフトと,コミック/アニメの「頭文字D」のような感覚を楽しめます。一部のエリアは,日本の峠のようにクネクネした細い道で,森の雰囲気も日本を意識したものになっていたりします。
4Gamer:
現在,レースゲームやドライビングゲームは,どこもグラフィックスをセールスポイントにしていますね。そうした中,「ニード・フォー・スピード」の映像の特徴はどういうものになるのでしょうか。
中村氏:
「ニード・フォー・スピード」は,ゲームエンジンに「Frostbite 3」を採用しているのですが,今回,新たに物理ベースのライティングを実装しました。そのため,本物に限りなく近いライティングが可能になっており,とくに夜の市街地や濡れた路面などは本作でしか表現できないような領域に達しています。
また本作はオープンワールドで,天候の変化があり,かつ建物などのオブジェクトが多く,エフェクトも大量に表示しています。単なるフォトリアルに留まらないリッチな表現も,本作ならではのものだと言えるでしょう。
とくに製品版は,これまでお目にかけてきた試遊向けバージョンに比べてものすごくクオリティアップしています。PlayStation 4版とXbox One版は秒間30フレーム表示なのですが,それでも処理落ちしないよう最適化を図ったりもしていますので,ぜひ期待してください。
4Gamer:
それではゲームプレイについても教えてください。本作には5つのプレイスタイルが用意されており,ストーリーモードではそれぞれにカリスマがフィーチャーされています。そのうち2名が日本人というのは,特別な意図があるのでしょうか。
中村氏:
「ニード・フォー・スピード」の開発チームはスウェーデンを本拠地としているのですが,スタッフは皆,日本のカーカルチャーに大きなリスペクトを抱いています。また世界のカーカルチャーに影響を与えている日本人も少なくありません。そうした意味で,中井 啓さんと諸星伸一さんが起用されたのは,決して偶然ではありません。
カリスマ達には,実際にゲームに出演してもらったわけですが,こちらから演技を依頼するのではなく,実際の彼らのそのままの姿で登場します。ですから,動画配信サイトなどで彼らのバックグラウンドを予習しておくと,よりゲームを楽しめるかもしれません。
4Gamer:
スウェーデンのスタッフがリスペクトしているというお話ですが,日本では自動車業界にやや元気がないというか,とくに若い人達の車人気が下がっているという話が数年前にありました。それに関して,お考えがあれば聞かせてください。
中村氏:
私自身もそうですが,私と同世代の人間は小さい頃から車が好き,車に影響を受けてきたという人が少なくありません。そういった人達が親となり,子供達にいろいろ教えていくことで,また波が来るんじゃないでしょうか。
4Gamer:
「ニード・フォー・スピード」も,親子で楽しんでもらえれば,日本のカーカルチャーの発展にも貢献できるのではないかということですね。
中村氏:
そうですね。ぜひ車の格好良さをお子さんに伝えてほしいです。やはり小さな頃に受けた影響は大きいですから。
また,ハコスカやフェアレディZなど日本の旧車も数多く収録していますので,私より上の世代の人にも喜んでもらえますし,当然最新の車種も収録していますので,かなり幅広い車ファンが楽しめると思います。
4Gamer:
DLCの予定などはいかがでしょう。
中村氏:
リリース後に,諸星さんのランボルギーニ・ディアブロSVを筆頭とするコンテンツを,無料アップデートで配信します。こちらも期待してください。
4Gamer:
最後に「ニード・フォー・スピード」ファンに向けてメッセージをお願いします。
中村氏:
「ニード・フォー・スピード」は2015年11月12日発売です。ぜひオンラインのストリートでお会いしましょう。
4Gamer:
本日はどうも,ありがとうございました。
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(C)2015 Electronic Arts Inc.
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