プレイレポート
バイオレントな石器時代を生き抜く,「ファークライ プライマル」のプレイレポート
「ファークライ プライマル」公式サイト
以前から,大手メーカーの看板シリーズでありながら,まるでインディーズゲームのようなぶっ飛び方で話題になっていたこのシリーズ(とくに,“3”のスタンドアロン拡張パック「Far Cry 3 Blood Dragon」とか)だが,制作が発表されたときはさすがに誰もが「マジで……!?」と思ってしまったはず。
ナンバリングはされていないので,スピンオフという立ち位置の作品なのだと思うが,それにしても,エキゾチシズムを漂わせた従来作に比べてなんという変わりようであろうか。
そんな本作については,3月26日にファーストインプレッションを掲載しているが,今回は,キャンペーンをクリアするまでプレイした感想なんぞをお伝えしたい。インプレッション記事とかぶってしまう部分もいろいろあるが,たとえすでに知っていても,ぜひ「ほお,なるほど」と感心してもらいたい。
時代は紀元前1万年。すべてが現代とは違う異世界だ
舞台となるのは,紀元前1万年前のヨーロッパ中部,「オロス」と呼ばれる土地だ。主人公は,「ウィンジャ」という部族に属する男,タカールで,敵対する「ウダム」や「イジラ」といった部族との抗争を繰り広げていくことになる。ちなみに人類が1万年以上前から殺し合いを繰り広げてきたことは考古学的調査からも明らかで,そういう研究を踏まえての設定だと言えそうだ。
ゲームの始め,ウィンジャは流浪の民だ。氷河期が終わりかけた頃とはいえ,部族的にも生物的にも食物連鎖の最下位に位置しているため,食料を確保することもままならないというピンチの状況に陥っている……いや,筆者の暮らしの話をしているわけではない。
放浪の末,ウィンジャ達は豊かな自然が広がる土地,オロスにたどり着くが,そんな都合の良い土地には当然先客がいるわけで,ヤツらは縄張りを奪われてなるものかと,ウィンジャを見つけ次第攻撃を仕掛けてくる。
そんな中,ウィンジャに属する主人公のタカールは,やっとの思いで獲物を捕まえた思いきや,サーベルタイガーに襲われて死にかけたりと,なかなか苦労が絶えない様子だ。そして,いろいろあって女戦士サイラと出会う。
オロスの“先客”とは上記のウダムとイジラで,この2勢力は拠点が南北に分かれているため,ある程度の住み分けができているが,定住地もないウィンジャ達はそのへんをウロウロせざるを得ず,そんなところを彼らに見つかると,悲惨な目にあわされてしまう。どれくらい悲惨かというと,もう筆舌に尽くしがたいほど。おまわりさんに訴えてやる,と思っても,警察なんてない。
かくして,サイラと一緒にかりそめの拠点をオロスに築き上げたタカールは,生き残ったウィンジャの民を集めて脅威を排除し,最終的にはオロス全土の制圧を目指すことになるのだ。あとから来たのに全土制圧を目指すとか,なんだかこっちが悪人みたいだが,生き残るためには仕方ない。人間が問題を話し合いで解決するようになるのは,ずっと後の時代のことだ。
オープニングムービーから英語のようなフランス語のような,不思議な言葉が使われているが,これは架空の言語なので,字幕がなければ何を言っているのかサッパリ分からない。とはいえこの言葉,言語学者の協力を得たうえで作られたものだそうで,真偽のほどは調べようもないが,似た言葉が使われていた可能性は非常に高いとのこと。そのため,これを使いこなせれば,石器時代でも意思疎通に苦労しないと思われる。
飛び道具は石と矢と槍
1万年前の最新技術を使いこなせ
なにせ石器時代なので,シリーズ従来作のように多彩な銃器類は出てこない。その代わり本作では,石,弓,槍,棍棒などの,まことに原始的な武器で敵を攻撃する。撃ち合いには自信があるが,棒で殴るとか,どーよ? と最初は思っていた。だがやってみると,なんかこう,銃で撃つよりエグいというか,必要以上の野蛮さが時代を象徴していてナイスだ。
ストーリー序盤で使用できる武器はグレードが低かったり,所持できる数量に制限が掛けられている。しかし,オロスの大地で出会うキーキャラクター達の依頼をこなしたり,素材を集めることで武器を強化し,持てる数を増やすことができる。さらに,キーキャラクター達から戦闘やアイテム収集に役立つスキルを学ぶことができるため,できるだけ早いうちに多くのキャラクター達と会っておくのがオススメだ。
ムツゴロウ王国も驚く絶滅種のワンダーランド
「ファークライ3」から導入された狩猟要素は,“4”を経て本作にも継承されている。これまでは,野生動物の生息場所は人里離れた森林などに限定されていたが,本作では拠点を一歩出ればそこは野生の王国。遭遇しまくりだ。ジャガーやオオカミなど,おなじみの動物だけでなく,サーベルタイガーやマンモスなど,現在では絶滅してしまったものもいて,動物好きの人にはたまらないものがあるはずだ。まあ,狩るんですけどね。
動物はかなり自律的に行動するので,いろいろなことが起きて面白い。例えば,筆者がトイレに行っているスキに,キャンプ場に放置していたキャラクターがオオカミの群れにボコボコにされていたことがあった。何事? と思って周囲を見ると鹿がおり,そのせいだったのだろう。鹿にMPKをかまされたのは,生まれて初めての経験だ。大自然って,怖い。
また,夜な夜な追い回していたホワイトタイガーの逃げ込んだ先が,たまたま敵対勢力のキャンプだったこともある。こちらは何もしていないのに,敵の大半がホワイトタイガーに襲われて死亡。労せず資材がガッポリ手に入った。大自然,最高。
そのためには,「ビーストマスター」のスキルと,エサとなる手持ちの肉が必要で,最初はオオカミやジャガーなど(このゲームでの)中型の生き物が使役の相手になるが,スキルがアップするとサーベルタイガーやクマなどの獰猛な大型動物も手なずけることもできる。
大型動物は,敵を襲わせたり偵察したりするだけでなく背中に乗ることができ,徒歩よりもラクチンに移動できるので,重宝する。徒歩で移動するのが面倒という人は,早めに手なずけておくといいだろう。
蘇生処置をとらずに放置していると動物は死んでしまうが,自生している赤い葉を使えば,たぶん古代の魔力によっていつでも生き返らせることが可能なので安心してほしい。
それにしても,狩られるだけだった“3”の動物に比べて,“4”では乗って暴れられる象が登場し,そして今回のビーストマスターと,シリーズが進むにつれて動物の役割が重要になってきたという印象だ。最初は脅威にすぎなかった動物を仲間にできるのは仕掛けとして面白いし,仲間にすると愛情もわいてくる。
この石器時代,さあ,腰を据えて遊ぼう
実際に行ったことがないのでリアルなのかどうかは分からないが,石器時代のオープンワールドは,果てしなく広がる大自然が見事だ。ビルも車もない土地には,森や草原がどこまでも広がっている。ハンググライダーで空を飛ぶこともできないし,闘技場で戦ったりなどのお遊び要素も少ないが,石器時代の世界が緻密に作り込まれているため,本当に異世界に来たかのような錯覚を起こしてしまう。この感覚にうまくノれたら,本作はかなり楽しめるはずだ。
モラルも価値観も異なる野蛮な時代であるだけに,バイオレンス度はかなりお高めだが,果たしてタカールはウィンジャの民と共にオロスを自分のモノにできるのだろうか? ぜひあなたの目で確かめてほしい。
「ファークライ プライマル」公式サイト
さて,蛇足ながら個人的にすごく気になったのがエンディング。よくあるパターンだが,スタッフクレジットが流れたあと,ちょっとしたカットシーンが流れる。これがどういう意味なのか,非常に,ひじょおおに気になるところ。最後の最後で気になるネタをぶち込んでくるのは,ズルいと思います。
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(C)2015 Ubisoft Entertainment. All Rights Reserved. Far Cry, Ubisoft and the Ubisoft logo are trademarks of Ubisoft Entertainment in the US and/or other countries. Based on Crytek’s original Far Cry directed by Cevat Yerli. Powered by Crytek’s technology “CryEngine”.
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