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結のほえほえゲーム演説:第27回「『俺の屍を越えてゆけ』生死への向き合い方から推し神様との子作りまで」
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印刷2017/01/14 00:00

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結のほえほえゲーム演説:第27回「『俺の屍を越えてゆけ』生死への向き合い方から推し神様との子作りまで」

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 ごきげんよう,女優・タレントとして活動しております。です。
 今年も「結のほえほえゲーム演説」をよろしくお願いいたします。

 さあ,2017年一発目のテーマは,1999年にPlayStationで,2011年にPSPでリメイク版が発売された「俺の屍を越えてゆけ」(以下,俺屍)です。
 「ニコニコ闘会議2015」のSCEブースでMCを務めさせていただいた折,空き時間にこの作品について語るコーナーを提案し,私物のプレイデータを持ちこんで大いに語ったり,先日のSIE公式ニコ生「Jスタとあそぼう」では「好きなJスタタイトル」としてご紹介&実況プレイをしたり……と,隙あらばオススメしてしまう大好きな作品です。

 発売当時は岸部一徳さん出演のCMが迫力のあるお芝居過ぎて,ちょっと怖いゲームなのかな……? なんて勘違いしていた私。
 まさか数年に一度は必ずクリアするゲームになろうとは。これから先も自分の生涯で何度もプレイするのだろうなぁ……と思いながら,毎度,一族の歴史を紡いでおります。

 そんなこんなでこの連載でも,俺屍のオススメポイントをバァーンとォ!! 語っちゃおうじゃありませんか。

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効率よりも自分の心を優先してしまう瞬間


 私がゲームにおいて最も美しいと感じるのは,そのゲーム内における各種システムがストーリーとシンクロしているものです。俺屍の主人公一族は,朱点童子にかけられた二つの呪いと共に生きることになります。
 常人の何倍もの速さで成長し,数年で死に至るという「短命の呪い」と,人と交わって子孫を残すことができないという「種絶の呪い」です。この制限がプレイヤーにとって,かせとなります。

 短命の呪いによって,大事に育てたキャラクターが数年で死に至るのって,どう覚悟していたってショックなんですよ。誰よりも頼りになる強さを誇っていたキャラクターの寿命が近付いて,健康度が落ちていることに気付いた瞬間からもうね……。
 戦力が欲しいあまり,そんなキャラクターを戦場に出しても,どんどん弱っていくばかりの姿を目の当たりにして罪悪感に駆られたり。本当は戦場に出したほうが効率的なんだよなぁって思っても,あぁ休ませてあげなきゃ,少しでも長生きさせたい,って思うんですよ。
 私がゲームを最も愛おしいと思う瞬間は,効率よりも自分の心を優先させたくなったときです。

 種絶の呪いによって人と交わることができず,一族は神様と交わって子孫を残すこととなるんですが,そのお相手の神様を顔やセリフの好みで選んじゃったりするのもね,ついつい効率より私の心が動いちゃう瞬間の一つです。私の推し神様については後でたっぷり語りましょう。

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俺屍は女性賛美!?


 俺屍のゲームデザインを手掛ける桝田省治さんの作品では度々,思わず「桝田さんの女性観はどうなっているんだ……?」と気になってしまうことがあります。
 「リンダキューブ アゲイン」では,幼げな少女が奇抜な人外と対峙するのがデフォルトで,戦闘以外でも心をえぐるような展開の多さが印象的でしたが,俺屍では序章のアニメーションムービーから女性が壮絶な目に遭います。
 ゲスな発言を連発する化物に,生まれたばかりの子を人質にされたお輪は,泣きながらその身を化物に差し出し,許しを乞うのです。

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 そのシーンで,なんて嗜虐的な描写なんだ……と思う方もいるかもしれません。しかしこれは,どんな目に遭っても決して消えることのないお輪の母性を表現しているのではないでしょうか。どんなに苦悩や葛藤があっても,母性や愛情から逃れられない。そんな女性を男性が描くことこそ女性賛美だと感じます。
 例えるなら,映画監督のペドロ・アルモドバル(「オール・アバウト・マイ・マザー」「ジュリエッタ」など)の女性賛美にも通じるものがあるのではないでしょうか。

 女性専用装備に強いものが多いのも特徴です。ゲーム内のキャラクターに性別がある場合,男性のほうが強い作品も多いなか,女だらけのほうが攻略しやすかったり。

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初めて聞いた声が最後の言葉


 俺屍ではキャラクターの遺言にたくさんのパターンがあり,死に際にそれぞれ異なる遺言を残します。そのときに初めて,ボイス付きでキャラクターがしゃべるのです。
 見た目以外は,たった一つの情報(趣味や癖などのプロフィールが必ず一人一つあるんです)しかなかったキャラクターですが,遺言の内容と声色,しゃべり方で「この子,こんな子だったのね……!」と初めて知ることができるんです。
 「いかつい見た目だけど意外と優しくて甘えん坊だったのね」とか「可愛い顔をしているのに渋い声のしっかり者だったのね」とか。
 見た目とのギャップのほかにも,死に対して覚悟ができている人もいれば,未練を口にする人もいます。最期の瞬間にパーソナリティが垣間見えるのです。

 この子こんな子だったんだなーって愛着がぎゅっと沸いた瞬間に,別れなきゃいけない。声を聞けるのが最後の別れの瞬間だけ。行き場のない切なさを抱えながら,生きている残りの一族と強く生きねばならないのです。

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イツ花という存在


 プレイヤーにシステム面の説明をしてくれるサポートキャラ的存在として,イツ花という女の子が登場します。
 のっけから「メンドクサイ入力が続きます」「パパパパパくらいで良いので目を通して下さいね」「細かいことは全部後回し!」など,元も子もない,あけすけなメタ発言を連発します。チュートリアルが苦手な私としてはこのくらい大ざっぱな感じは助かるのですがね。

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 このイツ花ちゃん,とにかく明るい。そして,切り替えも早い。
 当主が亡くなった次の瞬間には「バァーン! と! いってみましょう!」なんて底抜けに明るいテンション。いやちょっと待って,まだ私,立ち直れていないよ。その明るさについていけない……。少しイラッとすることもありましたよ。正直。
 でも真面目な話,現実の世界でも,生きていくうえで,身近な人や大事な人の死を乗り越えなければならないときって,ほぼ必ず訪れると思うんです。現実世界でも,俺屍の世界でも,生と死に向き合わなければならないことに変わりはない
 俺屍で何度も繰り返し一族の死がやって来るたび,いつからかイツ花の明るさが救いになりました。彼女のような底抜けの明るさで前を向いていくことは大事なことなんだと。そんなことを教わった気がします。


〜番外編〜


 種絶の呪いのため,一族は神と交神して子孫を残します。
 奉納点を捧げて交わってもらうだけの関係です,恋愛から始まるわけじゃありません。現実世界で例えるなら……そうですね,お見合いした日に結納金を納め,即子作りするようなものでしょうか。

 いやね,神様との交神時のセリフ(PSP版から)がたまらないんですよ。同じ神様と交神すると,回を重ねるごとにセリフが変わります。最初はドライだけど,徐々に心を開いてくれる神様もいたり……。美少女ゲームや乙女ゲームもびっくりのときめきがあなたを待っています(ちなみに交神するたびに奉納点が高くなるシステムは,どちらかというと地下アイドルが売れていってしまうみたいな感覚に近いです)。

 で,私の推し神様はこちら!

【女神様】

葦切四夜子 幼女! 人間だったら手を出すと捕まりかねないけど,神様だから大丈夫! 神様だから! 神様だから!
羽黒ノお小夜 段々と一族に執着してくるセリフがたまらない。小っちゃくてごめんねとは一体何のことなのか? 妄想がはかどります。
印虎ひかる 眼をかっ開いた外見がインパクト大な彼女。最初の交神から情熱的なセリフにド肝をぬかれます。
敦賀ノ真名姫 ハスキーボイスが最高! 傷を負い,人間を信用できない彼女が,一族にだけ心を開いてくれたときの感動といったら! お前の肉をかじりたい! 貪りたい! 本命です!
九尾吊りお紺 最近はやりの「バブみ」というやつが味わえるのではないでしょうか。母性溢れる苦労人。コーンコーンという泣き声も可愛い。

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【男神様】

三ツ星凶太 ナイフを舐めてる物騒な見た目だけど……愛情深い優しい神様。ギャップ萌えってやつですね。
おぼろ幻八 クールな眼鏡男子好きとしては放っておけない。はい。見た目がタイプです。
黒鉄右京 下町のお兄ちゃんみたいな口調が最高。三白眼がカッコイイ。
やたノ黒蝿 交神を繰り返すたびにどんどんデレていくツンデレ系神様。あなたの羽に包まれたい。
虚空坊岩鼻 鼻で一体何をどうするのでしょうか。意味深な交神時のセリフにドキドキです。

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 俺屍は,普遍的な面白さのある名作です,今までも,そしてこれからも,末永くたくさんの人に愛されるゲームでしょう。プレイ後にじわっと残る「人間」の重さと寂しさが,たまらなく愛おしくなります。あの感覚をぜひ味わっていただきたいです。もしプレイしたら,子供にどんな名前をつけたとか,推し神様はこの神様だとか,Twitterで話しかけてくれると私が喜びます。
 「俺の屍を越えてゆけ2」も大好きなので,いつかきっと語ります。語らせてください。

最近プレイしているゲーム(2017/1/14)
PlayStation 4:「人喰いの大鷲トリコ
PlayStation 4:「FINAL FANTASY XV
PlayStation 4:「ペルソナ5
PlayStation 4:「ニューダンガンロンパV3 みんなのコロシアイ新学期
PlayStation Vita:「サガ スカーレット グレイス
ニンテンドー3DS:「ポケットモンスター サンムーン
ニンテンドー3DS:「桃太郎電鉄2017 たちあがれ日本!!
iOS:「アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ

■■結(女優・タレント)■■
女優・タレントとしてフリーランスで活動中。国内映画祭にて主演女優賞を多数受賞。幼少期からのゲーム好きが高じ,数多くのゲーム番組でMCを務め,イトキチ(糸吉)の愛称で親しまれている。ニコニコ公式チャンネル「結チャンネル」にて「ファイナルファンタジーVI」のゲーム実況動画を公開中。Part1はこちら

公式サイト:http://yui-monogatari.com/
公式Twitter:https://twitter.com/xxxjyururixxx
ニコニコチャンネル「結チャンネル」:http://ch.nicovideo.jp/yuichannel
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