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本日発売された「F1 2016」をレビュー。F1世界選手権をリアルに再現したシリーズ最新作で,至高の走りを楽しもう
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印刷2016/09/08 10:00

プレイレポート

本日発売された「F1 2016」をレビュー。F1世界選手権をリアルに再現したシリーズ最新作で,至高の走りを楽しもう

 モータースポーツの最高峰「フォーミュラワン ワールドチャンピオンシップ」をあますことなく再現したCodemastersのF1シリーズ。その最新作が,ユービーアイソフトから2016年9月8日に発売された「F1 2016」PlayStation 4/Xbox One)だ。
 毎年,新作が発表されるF1シリーズだが,これまでは日本グランプリが開催される秋頃の発売が多く,実際のF1は残り数戦か,場合によってはワールドチャンピオンが決まっているということもあった。
 しかし,昨年の「F1 2015」からその時期がやや早められ,今年は全21戦中14戦めのイタリアグランプリが終了し,日本グランプリ(10月9日)を含めて7つのグランプリが残されているというタイミングでのリリースになっている。

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「F1 2016」公式サイト


 ちなみに,今年のドライバーズ・ワールチャンピオンシップは現在,メルセデスのルイス・ハミルトン選手とニコ・ロズベルグ選手の二人に絞られており,コンストラクターズ・ワールドチャンピオンシップは,メルセデスが獲得しそうな状況だ。ゲームをプレイすれば,そんなF1サーカスに参戦し,選ばれし22人のドライバーの1人としてトップドライバー達とワールドチャンピオンシップを競えるのだ。

PlayStation 4/Xbox One専用タイトルになった前作から,F1マシンのモデリングはグッと細かくなった。リプレイでじっくり眺めてほしい
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 これまでのF1シリーズ作品と同様,本作もF1を主催する国際自動車連盟(FIA)の公式ライセンスを取得したゲームであり,そのため,F1に参戦しているコンストラクターズ(チーム)およびドライバー,F1マシンのほか,サーキットやレギュレーションにいたるまで,すべてが公式データに基づいている。マニアには,これだけでも嬉しい話だ。

FIAの公式ゲームなので,チームやドライバーなどはすべて実名で登場
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 上記のルイス・ハミルトン選手やニコ・ロズベルグ選手のほか,フェラーリのセバスチャン・ベッテル選手,キミ・ライコネン選手,レッドブルのダニエル・リカルド選手,マックス・フェルスタッペン選手,マクラーレンのフェルナンド・アロンソ選手,ジェンソン・バトン選手のほか,今年新規チームとして参戦したハースF1チームのロマン・グロージャン選手,エステバン・グティエレス選手も登場する。
 2016年は,F1史上初となる全21戦でチャンピオンシップを競うことになったが,ゲームでも現実と同様のスケジュールが組まれている。初開催となった第8戦,アゼルバイジャン共和国の首都バクーに作られた市街地サーキットは,当然,本作でも初登場だ。スパ・フランコルシャンに匹敵する,全長6kmを誇るロングコースで,平均速度は210km/h。さらに,時速340km/hに達するロングストレートがあり,ターン8から11にかけての,車1台がやっと通れる狭いスラロームセクションの難しさも,ゲームをプレイすることで味わえる。

アゼルバイジャン共和国,市街地サーキットのスラロームセッションでは,ワンミスが即クラッシュにつながる
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時間や天候の変化が再現されており,前の見えにくいナイトレースや,レース中の降雨に対するには,ピット戦略が重要になる
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フリー走行から決勝レースまで
どっぷりとF1の世界に浸れる「キャリア」が熱い


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 ゲームモードとしては,チームと契約してF1へ参戦し,実績を積みながら10年間のドライバー人生を歩んでいく“キャリア”が復活している。
 個人的に好きなモードなのだが,前作ではなくなっており残念だった。そのため,本作での復活は非常に嬉しい。
 キャリアのほかには,ワールドチャンピオンを目指してライバルと戦う「チャンピオンシップ・シーズン」,さまざまな設定が自由にできる「クイックレース」,世界中のプレイヤーとオンラインで戦う「マルチプレイヤー」,1周のタイムに全神経を集中させる「タイムトライアル」と,これまでのシリーズで定番のモードが本作にも用意されている。
 キャリアとワールドチャンピオン・シーズンでは,現実のグランプリウィークと同様に,フリー走行(フリープラクティス)1,フリー走行2,フリー走行3,予選,決勝という流れで進行していく。

モードは豊富。短時間でテール・トゥ・ノーズの熱いバトルを楽しみたければクイックレースがいいだろう
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ゲームでは,随所に中継ムービーが挿入されて臨場感をアップする。解説は元F1ドライバーのアンソニー・デビッドソンさんだ
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 もちろん,各セッションの長さを自由にカスタマイズすることもできるし,フリー走行や予選が短くなり,決勝レースの距離が25%に短縮されるショート・ウィークエンドを選ぶこともできる。ショート・ウィークエンドは,各セッションの長さもちょうど良く,それでいて決勝レースに天候変化があったり,セーフティカーが入ってきたりなど,突発的要素もあるのでオススメしたい。
 現実のグランプリと同じ,フリー走行は90分が2回と 60分が1回,予選はフル,そして決勝レースの距離が100%になるフル・ウィークエンドは,かなり時間がかかるのが難点だが,F1ファンならば一度は挑戦しておきたい。

 マルチプレイヤーについては残念ながらタイミング的に試せなかったが,これまでのように自分でレースを立ち上げたり,ほかのプレイヤーのレースに参戦する以外に,マルチプレイヤー・チャンピオンシップというモードが用意されている。

フロントウイングを破損するとコーナーでノーズの入りが悪くなる。ピットインして交換すると,余計な時間がかかる
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走行中でもピット戦略を変更したり,セッティングの調整をしたりと,プレイヤーは忙しい
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 メインモードであるキャリアには,レースウィークエンドを細かく設定できる「キャリア」モード(キャリアの中にキャリアがあるので,ちょっとややこしい)と,現実のグランプリと同様にフル・ウィークエンドを戦う「プロ・キャリア」モードの2つが用意されている。プロ・キャリアでは,ミスをしたときに時間を巻き戻してやり直せる「フラッシュバック機能」が使用できなくなる。

 筆者のようなベテランともなると自分の腕前をよく知っているので,プロ・キャリアモードではなく,キャリアモードでもっぱら遊んでいる。うふふ。ちなみに,キャリアとプロ・キャリアは(名前は似ているが)完全に独立しており,キャリアはマクラーレンで,プロ・キャリアはハースでといった並行プレイも可能だ。

 さらに本作では新たに,「ライバル」が設定される。これは,予選順位やペナルティの有無,セクタータイム,ファステストラップ,レースを完走したかどうか,最終順位など,グランプリごとにさまざまな要素でライバルと比較され,所定の30項目を先に達成できれば,チーム内での評価が上がるというシステムだ。達成すると,新たなライバルが設定されるので,レースに勝つだけでなく,常にライバルを打ち負かす走りが求められるわけだ。

 また,グランプリごとに,「予選順位が11位以上」「決勝を8位以上でフィニッシュ」「アロンソを上回るタイム」といった目標がチームから言い渡されるので,これらも達成することでチーム内の評価が高まる。レース中にもライバルの動向が無線で知らされるなど,常にライバルと戦っている感が演出されているので,焦ると同時に気分が盛り上がる。

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22名のドライバーの1人として参戦するため,キャリアモードの最初に自分のアバターを作成する
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ライバルがいることで,常に緊張感のある戦いが繰り広げられる。トップドライバーと競えるなんて嬉しい

 3回あるフリー走行には,「コース順応」「タイヤ・マネージメント」「予選ペース」「チーム目標」の4つからなる「プラクティス・プログラム」が用意されている。フリー走行中,これらに挑戦することで,走りながら(遊びながら)コースを覚えたり,ドライビングテクニックが身についていくという仕掛けだ。結果よって各プログラムのスコアがもらえ,合計スコアに応じた「リソース・ポイント」が獲得できる。

 ここで,各プログラムを簡単に説明しておくと,まず,コース順応は,コース上のレーシングラインにマーカーが登場するので,そのマーカーを通過していくというもので,理想的な速度で通過すれば多くのスコアが手に入る。タイヤ・マネージメントは,できるだけタイヤの消耗を押さえて目標ラップタイムを出し続けるもので,タイヤの寿命を延ばす走りをすることでスコアが加算される。

レコードラインのマーカーを通過していく「コース順応」をプレイすれば,初めてのコースでもすぐに走れるようになって便利だ
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アクセルべた踏みのコーナーリングをするとタイヤグリップが落ちるので,タイヤをなるべく持たせる走りを「タイヤ・マネージメント」で学ぼう
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 予選ペースは,3ラップ中,高い順位が期待できるタイムを叩き出すというもので,予選セッションを想定したプログラムだ。最後のチーム目標は各グランプリごとに内容が異なり,例えば,「セクター2で最速ラップを出す」「最小限の燃料でフルラップを走る」「DRSを使う」「2種類以上のマシン・セッティングを試す」など,チームから出される課題のクリアを目指すというもの。

マシン強化にはリソース・ポイントが必要なので,できるだけ多く獲得できるように走りたい
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 プラクティス・プログラムは3回のフリー走行中に達成すればいいので,すべてのプログラムをパーフェクトクリアして,多くのリソース・ポイントを獲得したい。
 というのも,得られるリソース・ポイントを使って,エンジン出力や燃費効率,シャシーの重量,ダウンフォースなどでマシン開発(強化)が可能になるからだ。

 リソース・ポイントはまた,プラクティス・プログラム以外でもフリー走行,予選,決勝の各セッションの(プラクティス・プログラムとは別の)チーム目標の達成状況,さらに接触やショートカットなどのペナルティ,ライバル対決によるドライバー評価によっても獲得できるため,フリー走行から決勝レースまで,より良い成績で各グランプリを終えることがマシンの強化につながる。

リソース・ポイントを消費してマシンの強化が可能。トップチームに追いつけるよう,アップグレードしていこう
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 つまり,フリー走行から決勝までプレイヤーを淡々と走らせるのではなく,それぞれに課題や目標を用意することで,プレイヤーが楽しみながら自然に走り込み,コース攻略やドライビングテクニックも向上するようになっているのだ。その仕掛けにスッポリとはまり込んだ筆者は,流そうと思ってもついつい走り込んでしまうのだった。


初心者から上級者まで遊べるゲームバランスが見事
手軽に挑める世界最速のF1バトル


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 挙動については,タイヤのグリップとエアロダイナミクスで地面に貼り付くように走るF1マシンの特徴がうまく再現されている。ハイスピードであるだけに,一般車のように,フロントの荷重移動を感じながら……といった走りではなく,スパッ,スパッと正確にステアリングを操作してコーナーを抜けていく感じだ。タイヤグリップが限界を超えたときの感覚は,ゲームパッドでも掴みやすく,F1マシンならではの挙動特性が存分に楽しめる。
 マシン設定(マシン・セッティング)については,ダウンフォース重視からトップスピード重視まで5つのプリセットが用意されているので,初心者でも容易に走れるだろう。

レースでは,タイヤ交換のタイミングなど,ピット戦略も重要だ。あえてピットインのタイミングをズラすことで勝てる場合もある
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(左)マシン設定はプリセットが用意されているので,それらを使うだけでも十分に戦える。(右)スライドバーを調整することで,プリセットよりも細かいマシン設定が可能。設定をセーブ/ロードできるので,いろいろ試したい
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 エアロダイナミクス(フロント&リアウイング調整),トランスミッション(デフギア調整),サスペンションジオメトリー(キャンバー&トー調整)などの調整が可能で,こだわりたい人は,各項目をスライドバーで細かく調整できる。調整した場合の効果も説明されるので,分かりやすい。また,カスタマイズした設定をセーブ/ロードすることができるので,筆者のようなセッティングマニアの人も安心だ。

 これまでのシリーズでも定評のあったAIドライバーの走りが,本作では一段と良くなった印象だ。不用意にインを開けていると,すかさず飛び込んでくるし,人間くさくアグレッシブに攻めてくるので,コーナーでタイヤとタイヤが触れるか触れないかのサイド・バイ・サイドの戦いが堪能できる。

設定により,レース中にペースカーが入る。このタイミングでのピットインがベストだが,周回数によっては悩むことも
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AIドライバーのレベルやアシストを調整することで,テール・トゥ・ノーズやサイド・バイ・サイドの熱いバトルが楽しめる
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レースウィークエンドで使用するタイヤチョイスは,いかにも現代のF1っぽい要素だ。どのタイヤセットで挑むか,こだわってみよう
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 AIドライバーのレベルもベリーイージーからアルティメットまで,7段階に設定可能なので,腕に合わせて設定すれば,より熱いバトルを楽しめるだろう。ちなみに筆者は,ミディアムなら余裕だが,ハードだと何とか勝てるくらいで,エキスパート以上では上位入賞する自信がない。
 時間を少しだけ巻き戻してミスをなかったことにできるフラッシュバック機能の有無,マシンダメージの有無,セーフティカー介入の有無など,好みに合わせたレースの設定もできる。
 ブレーキアシストやレコードラインの表示など,アシスト機能ももちろん用意されており,初心者から上級者まで幅広い層が楽しめるだろう。

大まかなピット戦略を決めてからレースに挑もみたい。もちろん,走行中でも臨機応変にピット戦略を変えられる
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 レースシミュレータのようなガチガチな作りではなく,ステアリングコントローラを使わなくてもゲームパッドで十分プレイできる味付けになっているのは,シリーズを通して変わらないところだ。もちろん,ステアリングコントローラを使うことでワンランク上のドライビングフィールを得られるので,所有しているなら,使わない手はない。

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 本作は,これまでのシリーズ作品に比べてゲーム性が高められ,マシンをコントロールする楽しみがより味わえる一本になったという印象だ。最近は地上波でF1中継が行われず,身近なモータースポーツとは呼びにくいF1だが,ぜひ多くの人が本作に触れ,世界最高峰のモータースポーツの醍醐味を味わってもらいたいと思う。

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