プレイレポート
「三國志13 with パワーアップキット」のプレイレポート。一人の人間として,三国時代をどう生きる?
三國志13はいわゆる“武将プレイ”のゲームである。プレイヤーが一武将の視点に立ってプレイするもので,文字通り「曹操や孔明になってゲームを進める」と言ってよい。
だが,三國志13WPKでは“武将”というより,その時代の“一個人”を遊べると言っていいほどに,プレイの幅やディテールが上がっており,プレイ感はほぼ別物といっても差し支えないものになっている。
三國志13WPKで追加された新要素は多岐にわたるのだが,本稿ではこの「個人の生き様のディテールアップ」を中心にしたプレイレポートをお届けしよう。なお,今回プレイしたのはPC版だ。
「威名」は三國志におけるクラスシステム
三國志13WPKのマップは当時の中国全土をカバーしているが,構造としては街と街を道がつなぐポイント・トゥ・ポイントの形だ。最小時間単位は1日で,最高速でプレイするとゲーム中の1日が現実世界の1秒くらいで進むような感じだ。
もちろんポーズは随時可能で,全編に渡ってアクション要素はほぼないため,じっくりとプレイできるはず(戦闘はリアルタイム進行だが,ここでもポーズは可能)。
PC版はマウス操作のみで遊べるが,スペースキーでポーズとその解除を行うなど,キーボードを併用したほうが便利だろう。一方でこの手のゲームではお約束とも言えるESCキーは,マウスの右クリックがキャンセルに割り当てられていることもあって,そこまで出番は多くない。
ゲームシステムは,RPG的な要素も大きいが,全体的に見れば当然ながらストラテジーゲームの文法で作られているといった感じだ。大げさな表現をすれば「三国時代シミュレーターの中で,一人の人間として生きる」のが本作の目的となるだろう。
「三國志」シリーズはもちろん,同じコーエーテクモゲームスの「信長の野望」シリーズでも,この武将プレイというゲームデザインへの試みは何度かなされてきた。
「三國志」で言えばVII,VIII,Xが武将プレイを採用しており,「信長の野望」では最新作の「信長の野望・創造 戦国立志伝」などがこれに相当する。
「太閤立志伝」「維新の嵐」といったタイトルも武将プレイ的なゲームの傑作と言えるだろう。
これらの作品と並べると,三國志13WPKは「個人ができること」の幅と密度に注力している。「三國志」シリーズファンの中には「武将プレイといっても,内政の面倒を見るプレイをしようとすると,できることが減るしなあ……」と思う人がいるかもしれないが,三國志13WPKでは歴代の武将プレイ作品と比べても遥かに「個人」がやれることの幅が広い。
それを実現するメカニズムの筆頭が「威名」システムだ。
威名システムは,簡単に言ってしまえば,RPGでしばしば見られる「クラス+スキルツリーシステム」だと考えてほしい。「スキルツリーって何?」というガチガチのストラテジーゲームファンであれば,Civilizationシリーズに見られる技術ツリーを想定してほしい。これらと同じ要領で,キャラクターが実績を積んでいくに従って,キャラクターにできることが増えたり,アクションの効率が上がったりする。
威名には,「侠客」「商人」「将軍」「武官」「軍師」「官吏」の6種類がある。それぞれの威名には4つの段階があり,上がれば上がるほど世界に対してより大きな影響を与えられるようになっていく。
これはRPGでいう「クラス」だと思って間違いない。プレイヤーはこれらのうち好きなものを選択し,そのルートに従って功績を積んでいくのだ。
最初に知っておきたいのは,RPGと違い,それぞれで「経験値」的なものをためる必要はないということだ。例えば「商人」をプレイして商人の経験値を溜め,それを消費してランクを上げていく――といったシステムではない。
威名の内部でランクが上がるかどうかは,「そのランクの要件を満たしているかどうか」だけで判断される。例えば,「名声」のパラメータが100のキャラクターが,ある日別の威名に乗り換えた場合,ランクの要件が「名声が10以上」等であれば,何もしないままランクが上がることになる。
もちろん,その威名固有のスキルを何回か成功させるといった条件も用意されていたり,威名の乗り換えに90日のインターバルが要求されたりもするので,乗り換えまくって物事に対処するのはそう簡単ではない。ただ,1からやり直し的なシステムというわけではないのだ。
前置きが長くなったが,それぞれの威名を簡単に紹介しよう。
●侠客
在野武将が選択可能。どの勢力にも直接的には加担せず,独立独歩の人間として動く(パーティも組める)。三國志13での在野武将プレイは制限が多かったり,逆になさすぎたり(ついでに,やることもなさすぎたり)と,いろいろな面で難しいプレイスタイルだったが,本作ではこの威名を上げていくことが明確な目標の1つとなる。
侠客には,暗殺者として活躍するコースもある。「義の人」として知られる劉備も暗殺を企てたことがある(結果は失敗)ので,劉備で暗殺者を目指したりするのも楽しそうだ。
●商人
在野武将が選択可能。こちらも特定勢力に直接的な加担はできないが,兵糧や名品を売り買いして稼いだ金を特定勢力に投資して,その見返りを得ることは可能だ。さらにはそうやって作った信用をもとに,勢力の方針に介入もできる。外交方針に口出し(停戦や攻撃など)して,文字通り「背後から歴史を動かす」ことが可能だ。
●将軍
ここからは仕官した武将のみが選択できる威名だ。将軍は一般的にイメージされる指揮官型の威名で,兵隊を集め,訓練し,戦場で戦うことに秀でている。ある意味で分かりやすい「武将」と言えるだろう。威名のツリーは内部で大きく2つに分かれており,基本的に大規模な野戦での活躍を念頭に置いた良将コースと,いわゆる戦場における軍師的な活躍が期待できる智将コースがある。
智将コースには防御に特化したコースもあるので,「血を吐きながらの防御戦こそが軍人の本懐よ!」というマゾ……もとい熟練プレイヤーには特にオススメしたい。
●武官
将軍と立場的には似ているが,こちらはもっと脳筋。「真・三國無双」と間違えてるんじゃないですかね? みたいな連中の本領である。具体的に言えば周瑜は将軍だが,呂布は武官といった具合。
筆者の経験則で言うと,「戦闘で勝っても戦争には勝てないのだ……」みたいな気持ちになることが最も多い威名であり,これはこれで非常に楽しい。もはや自分の君主が絶対に勝てないとなったら,敵の大軍に向かって突撃するのも武人の生き様というものだ。
●軍師
さきほど将軍を「戦場における軍師的な活躍もできる」と書いたが,こちらは戦場よりも後方で活躍する。人心操作やマップ上の要衝管理がメインの仕事となるだろう。
人心操作については,コーエーテクモゲームスの歴史ストラテジーゲームではおなじみの要素で,軍師が国の内側をしっかり固めていないと,将軍たちの忠誠心がボロボロと蝕まれていくことも珍しくない。本作でも重要な任務となる。
軍師はマップ上の特定ポイントに砦などの施設を構築できる。本作では軍隊がマップを移動しているだけでも士気が下がるので,こういった休憩地点を用意するのは極めて重要なのだ。
●官吏
驚くべきことに,本作では内政に特化した立場でのプレイも可能。「戦争なんてものは準備段階で9割がた決まってるのですよ」「戦争とは外交のいち選択肢に過ぎませぬ」とかうそぶく嫌味なデスクワーカーを演じたいならこれ一択だ。
なかでも本当に内政に特化したコースは,真面目にコツコツと都市機能を改善していくのがメインの仕事となる。
が,官吏コースを文字通り「官吏」コースで進めていくと,他人を推挙(特定武将の評価値を強制的に高めて昇進を早める)したり,あるいは国庫を着服したり,さらには私財を国庫に直接注入できたりする。
つまり,やろうと思えばまず敵国に潜り込んで有能な官僚となり,凡将を推挙しつつ私腹を肥やすだけ肥やした末,“本来の君主”に仕え直して私財を国庫に叩き込む……という壮大な謀反劇さえ実行可能だ。
ちなみに官吏は外交官的な「説客」コースにも分岐しており,こちらはかなり派手な動きができる。三國志13WPKでは外交が戦争に与える影響がきわめて大きく,「こりゃあAIが永遠に泥仕合を続けるパターンに入ったな」という状況を勝利に導ける。適切な停戦交渉を成就させさえすれば,あとは将軍だの武官だのが泥まみれになって「勝利」を掴んでくれるのである。
言い方を変えれば,多少自分の勢力が劣っていても,まず「AI同士の泥仕合」の構図に持っていければ,ジャイアントキリングを起こせる。うむ,やはり戦争は外交のいち選択肢に過ぎませぬな。
このように,威名によって幅広いプレイができるのだが,中でも興味深いのは「在野武将の勝利条件」だ。侠客や商人の場合,特定条件(侠客なら武名,商人なら所持金)を一定以上に増やすと,それでゲームに「勝利」できるのである。
最後はどこかに士官して「中華統一」しないとゲームが終わらないなら,在野でやる意味って何? といった疑問を抱くことなく,無職のまま天下を目指せるのだ。
前述したように,これらの威名は自由に渡り歩けるし,それに対してのペナルティも事実上存在しない。一部のRPGのクラスチェンジに見られるような「以前の威名で得たスキルが使える」ということこそないが,たとえ仕官していたとしても(あるいはそれだからこそ),状況によっては威名を乗り換えることが重要になることもある。
一方で,仕官している状態で顕著な活躍をすると,君主から「特権」をもらえる。これを使うと戦争および外交にプレイヤーの意思を無理矢理ねじ込めるので,「命じられるままに一騎討ち馬鹿でやってきましたが,なんとしてもここは相手を指名したい! 君主の外交方針に一言もの申したい!」というときに,わざわざ官吏に切り替える必要はない。威名を切り替える前に,「いまこの状態のままで,できることは何か」ということは,しっかりと確認しよう。
人事を尽くせ。尽くせなくなってもなお尽くせ
三國志13WPKでは威名以外にも多くの新要素がある。ざっくりと「個人の視点に近いもの」から順番に紹介しよう。
●同志
三國志13WPKでは,RPGの「パーティ」に当たる「同志」を編成できる。三國志には似合わない用語かもしれないが,それ以外に適切な表現が思いつかないくらいに「パーティ」だ。同志に組み込めるのは,同じ勢力に属する絆武将(一定以上に親しくなった武将)と,そのさらなる絆武将(つまり関羽と絆武将になれば,劉備や張飛も同志に誘える)という制限はあるが,その効果は絶大だ。
まず,「同志」は他勢力に引き抜かれない。これだけでも安心安全要素としては非常に大きい。また,同志に組み込んだ人物によって武将のパラメータが上昇するというのも心強い。本作では武将のパラメータが経験によって成長するとはいえ,80代後半からその上昇ペースは非常にゆっくりとしたものになるので,「何はともあれ能力値に+1」という効果はかなりありがたい。
いいことずくめの同志だが,その効果が最も強烈に発揮されるのは在野時だろう。在野時は在野武将でしか同志を結成できないが,それは事実上の「小さな国家」と言っても過言ではない(実際,国を旗揚げすることもできる)。
また,本作における在野プレイは,侠客であれ商人であれ,1人で何もかもしようとすると手が足りないのだが,同志を編成し,さまざまな役割を分担すると,仕事の効率は跳ね上がる。
一方,それなりの規模の国で官吏をやっていると,深刻な人手不足は感じないので,「これが国家と個人の差だな……」みたいな気持ちになれて楽しい。逆に言うと三国志オールスター的な同志で遊んだ後,配下に恵まれていない袁術でプレイすると,「国家とは……」的な気持ちにもなれて,これまた楽しい。
同志の効果を存分に味わいたいなら,商人プレイがいいだろう。なんとかして在野武将と絆を結び(絆結びには贈り物攻勢が効くので,金を稼げる商人がやりやすい),手数を倍にするのだ。それだけで商人プレイは一気に軌道に乗る。
また,この「同志にする」という一連の流れは,「どうやって武将と絆を結ぶか」を学ぶステップとしても有用だ。
チュートリアル(本作では「英傑伝」)をプレイするのではなく,死んで覚えるポリシーを魂に刻んだプレイヤーたちにこそ,同志の結成を強く推奨したい。
●結婚
異性の武将と結婚できるというシステムは三國志13にもあったが,本作では絆武将から紹介された養子(武将)と結婚することも可能になった。また,結婚相手との間に生まれた子供を育てていくという要素も追加されている。
なお,所属勢力プレイ方針などにもよるが,本作のゲーム展開速度だと,第一子が成人して最前線に出てくる頃には,天下の趨勢が決まっていることが多いかもしれない。まぁ,史実もそうでしたよね(官渡の戦いで実質的な決着はついてました),というある意味残酷なお話でもある。
ちなみに即物的な話になるが,在野プレイでの結婚は同志獲得の絶好のチャンスでもある。プレイヤーが在野なら,配偶者はたとえ君主の養子であっても問答無用で在野になるので,「在野武将は在野武将しか同志にできない」という問題をクリアできるのだ。
しかも絆武将の養子は,その絆武将のステータスを色濃く受け継ぐ。このため曹操や関羽といった一線級武将の養子を配偶者にすれば,自動的にハイスペックな嫁ないし旦那=ハイスペックな同志をゲットできるという塩梅だ。
というわけで「同志候補を探してみたけど,こんなヤツと同志になるなんてポリシー的に無理」と言いたくなる候補しか見つからない場合は,積極的に玉の輿を狙おう。
●戦場での戦闘と,個々の武勇
本作では,戦場に「戦術地点」という特殊なポイントが設定された。このポイントに前もって「戦術」を仕掛けることで,そのポイントを踏んだ敵軍に大打撃を与えたり,あるいは自軍の回復拠点にできたりする。
また,本作では戦場の広さが三國志13の4倍になっている。これに戦術地点の追加が相まって,「移動すること」の重要性は格段に増した。三國志12と同様,本陣を落とされてしまってはならないので,PCストラテジーゲームの鉄則であるランチェスター戦略(弱者は局地戦に持ち込むべき,という原則がある)に従って戦力を一方面に集中させすぎるのは考えものだ。敵の別働隊が本陣に向かってきたときに対応が間に合わない,ということは十分にあり得る。
筆者が本作の戦闘でもっとも感銘を受けたのが,戦闘開始時に戦場全体をバードビューで見られる――つまり,事実上の2Dマップとして戦場を把握できること(しかもマップ全体が1枚に収まっている)だ。
この視点自体は新要素ではない(はず)だが,戦闘開始時,自動的に視点がバードビューになるのが素晴らしい。「戦闘に派手な演出なんざいらねえんだよ! 戦場の全貌を把握させろ!」派にとって,これはもう福音と言ってもいい。
数多くの部隊を同時に指揮するとなると,やはりこの画面が便利 |
もちろんカメラを寄せることもできる |
ちなみに,個々の部隊を指揮する将軍として戦争に参加するのであれば,バードビューはそこまで便利でもない,というのも面白い。
総指揮官にとっては「どちらの方面に誰が向かっているか」「どこでどういう戦闘が起こっているか」を把握することが生死を分けるが,個々の指揮官になると「あの城壁には,あのあたりに階段があるのか」といったことを知るほうが大事だったりすることもあるのだ。
個々の戦闘,一騎討ちや舌戦にも変更が加えられている。
一騎討ちも舌戦も,基本は三すくみ構造のカードゲーム的なシステムで,どのアクションがどのアクションに対して有利かはその都度確認できる。
おそらく最初は「畜生,運ゲーじゃねえか!」と叫びたくなるようなバランスに感じるかもしれない。だが一騎討ちにしても舌戦にしてもスキル(前者は「一騎」,後者は「弁舌」)の影響がかなり大きいため,それらのスキルを獲得することで勝率は確実に上がっていく。ステータスの高さにものを言わせてぶん殴ることも可能だが,ステータスの差が20くらいなら「まさかの勝ち・負け」があると思ったほうがいいだろう。
なお「一騎」や「弁舌」のようなスキルは,後天的に習得し,成長させられる。おそらく最も簡単なのは,自分が欲しいスキルを持った武将と絆を結ぶことだ(絆を結ぶと,結んだ相手のスキルに応じた自分のスキルが+1される)。筆者は「カネを稼いで名品を漁り,ターゲットとなるスキルを持った武将を名品漬けにして絆を結んでスキルをゲットだぜ」というのが手堅いと感じたが,もちろんそれ以外にもいろいろと方法はある。
●戦場以外での戦闘
本作では,大きなマップ上に「要衝」と呼ばれるポイントが設置されている。前述したように,軍勢の士気はマップ上を行軍しているだけでも下がっていくので,この要衝を押さえて休憩を取ることが重要になる。
結果として要衝では,しばしば都市以上に激しい争奪戦が繰り広げられる。要衝には防御拠点を建設できるほか,要衝に長時間留まっている部隊は防御効果が向上していく(陣を張る)ので,攻められる側としては敵の動きに先んじて防御部隊を要衝に送り込み,陣を深く張りたいところだ。
従って,攻撃側としてはここでジレンマが生じる。到達した要衝で一度部隊を休め,近くの要衝に陣を張った敵部隊と互いに万全な状況で戦うのか,それとも一気呵成に進軍し,敵の体勢が整わないうちに叩くのか。このあたりは武将の質や彼我の戦力差にもよるが,AIは全体として「互いに万全になってから突っ込む」傾向があることは覚えておきたい。
部隊を休ませるべく要衝に向かうところ。ユニットの下に見えるバーが士気だ |
要衝には防御施設を建設できる。これも割と重要 |
●君令
君主は威名に紐づいた「君令」を発することで勢力の各種収入や人口の増加速度,傷兵の回復速度などを変化させられる。
有名な君主は固有威名の君令を持っており,これによって個性が生まれている(「戦闘力が跳ね上がるが収入が悪化する」といった君令を持つAI君主は,序盤でこそ猛威をふるいがちだが,やがて息切れする傾向がある)。
●天災
ここまで紹介してきたように,本作にはさまざまな「人事の尽くし方」がある。それでも,天災だけはどうしようもない。水害やイナゴなど,歴戦の三國志プレイヤーにはおなじみの災害は,本作でも容赦なくプレイヤーに襲い掛かってくる。
とはいえ,商人でプレイしているなら,天災はチャンスと同義語だ。豊作で兵糧の値段が下がっているときにありったけ買い込み,日照りやイナゴで値段が上がったら,すかさず売る。本作では,ときに天命もまた人事の歯車に組み込まれていくのである。
本当の勝利とは何か? を追い求めたくなる
というわけで,総じて言えば,本作は「凄まじくボリューム感のある武将プレイ」を楽しめるゲームとして完成したように感じる。本作に取り入れられている要素のすべてを把握するのは決して容易ではないだろう。
ただ,ゲームが分かりにくいわけではない。チュートリアルとして用意されている「英傑伝」の5話くらいまでをプレイすれば(そしてPKで追加された2本をプレイすれば),基本的な操作法やシステムは理解できるはずだ。
また「どうしてもチュートリアルは嫌,絶対にプレイしない」という鉄のポリシーを持っている人(筆者を含む)であっても,とりあえず侠客,商人,武官,官吏(内政コース)のいずれかでプレイすれば(そして2〜3回行き詰まれば),本作の概要がだいたい理解できるはずだ。
ここで強く言っておきたいのは,「いきなり君主を選ぶな」ということ。前述したように,膨大な数の要素が詰め込まれているが,野に己一人で立つ侠客や商人,あるいは一騎討ち専門の狂戦士や,文書管理が三度の飯より好きな人間表計算ソフトをプレイするのであれば,その最初期において見える世界は限られるし,やれることも少ない。
だが君主だけは,話が別だ。
君主は,どんなに小さい国であっても,国のすべてを管理する必要がある。極論すれば自分の一騎討ち能力を高めるだけでも構わない武官に対し,君主は軍事も内政も外交も,すべての要素を一通り理解している必要がある。
もっとも,「父親から帝王学っぽいものを学ばないうちに,不慮の事故で玉座を継いだ若様」プレイをしたいなら,初手で君主を選ぶのもいいかもしれない。家臣に「よきにはからえ」とだけ命令し,自分は狩りと女性に熱を上げるタイプの若様がなぜ量産され続けるのか,そのプレイを通して学べるかもしれない。それもまた本作の遊び方だ。まぁ,結果はだいたいの歴史が示すとおりになるのだが……。
ともあれ,三國志13WPKではプレイヤーにできることが広がり,しかもその多くがゲームの行方に少なからぬ影響を及ぼしている。
特に商人や官吏,つまり経済と外交を劇的にコントロールできる威名の力は凄まじく,勢力が均衡しているくらいの状況であれば,プレイヤーによるひと押しが確実にその後の中華の行方を決めると言っていい。
もちろん,どんな無理難題でも克服できるわけではない。ある程度まで強制的に発動する歴史イベントや,武将の寿命といった要素を除いたとしても,この世界では「これはどうにもならないかもしれないですね」という状況が起こる。
手練手管を駆使して遅滞戦術に務め,状況を泥沼化させることで逆転のチャンスをつかもうと努力してもなお,やっぱり圧倒的な戦力差はひっくりかえせませんでしたというのは,決して珍しい話ではないのだ。
この,「できることの壮大さ」と,それに対する「それでも越えられない壁」のせめぎ合いは,ときにドラマチックな展開を生む。そしてストラテジーゲームで一番面白いのは,この「うまく行くか行かないかが分からない時間帯」であるのは言うまでもない。「あとは地図を自陣営の色で塗りつぶすだけ」という,現実世界で考えれば最も理想的な状況は,ゲームとしてみれば出がらしのお茶みたいなものなのだ。
本作ではこういった部分に加えて「自分がプレイしている武将にとっての勝利とは何なのだろう?」というところを意識すると,ゲームがより楽しくなるのではないかと思う。
例えば無能な君主の下で困難な戦いを勝ち抜き,ゲーム的に言えば自分の陣営の勝利でゲームが終わったとしよう。だがこれは本当にその武将にとってのハッピーエンドなのか?
ゲーム内部では「その後」は描かれないが,中華を統一するにあたって功績が最も大きかったプレイヤー武将は,その後の世界において尊敬と崇拝を集めるだろう。それゆえに嫉妬や羨望の対象とも成り得る。そのようなプレイヤー武将に対し,「無能な天子」は果たして何を命ずるだろう?
あるいは武の道一筋,己の槍一本で戦い抜くことが信条の武将をプレイしているとき,「今ここで外交官ないし商人に転職して外交関係を整理し,国家財政を健全化してから,改めて最前線に立てば天下は我らのものだ」というルートが見えたとしよう。
だが果たしてそのルートを選んで天下を取ることは,本当に彼にとっての勝利なのだろうか? 後世の史書はそのような「武人」を「文武両道に秀でた天下の大将軍」と伝えるかもしれないが,それは彼の本懐なのだろうか?
この「プレイヤー武将ができること」と「プレイヤー武将にとっての勝利」のせめぎ合いも,ぜひ楽しんでほしいところだ。そこでうまくいったりいかなかったり,完全に予想外の方向へと展開したりといったところが,本作ならでは面白さかもしれない。
もちろんこういう,いわば妄想型のプレイは,具象性の強いストラテジーゲームであれば,どんなタイトルでも楽しめる(Paradox Interactive社のストラテジーゲームは特にこのプレイ方針と相性がいい)。
だがプレイヤーの視点と行動を「一人の人間」に絞り込んだ本作は,そういった妄想がとても膨らませやすい。三国志に詳しくなくとも,乱世を生きる人間の生き様を追体験してみたいのであれば,本作は良い(そしてストラテジーゲームの初心者にもオススメしやすい)チョイスとなるだろう。
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- ライター:徳岡正肇
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