プレイレポート
競走馬育成ゲーム「StarHorsePocket」プレイレポート。ゲームセンターで16年以上遊ばれている「StarHorse」がスマホアプリで完全再現
同シリーズといえば,アーケード(AC)で遊ぶ育成ゲームということもあり,やり込むにはそれなりの時間と資金を必要とする印象が強いだろう。スマホ向けにリファインされた本作でも,従来作と同等の投資が必要となるのか,そもそもAC版から大幅な変更がなされているのか,そんな気になる点に注目しながら,AC版プレイヤーの目線でプレイレポートをお届けしよう。
ちなみに本作は,ストアからのダウンロードにWi-Fi環境が必須となる。初回起動時に容量が3サイズから選べるが,音声実況を楽しむうえでも完全ダウンロードがいいだろう。また,初めてのGIレースや競馬場に出走した際,追加ダウンロードが発生するため,初期のプレイ時にはWi-Fi環境でのプレイを強くオススメする。空き容量も4GBほどは用意しておきたい。
「StarHorsePocket」公式サイト
「StarHorsePocket」ダウンロードページ
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スタミナ制ではなくメダル制。AC版を踏襲したシステム
まずプレイしてみて感じたのが,「これはAC版StarHorseそのままだ!」ということ。シリーズもののスマホアプリ化と聞くと,オリジナルの要素やシステムの簡略化といった大胆なアレンジが施され,別もののゲームに生まれ変わっているイメージを抱く人もいるかもしれない。しかし,本作はゲームセンターでプレイしたStarHorseシリーズそのものだった。
なかでもうれしかったのは,ゲームの進行に必要となるのがいわゆるスタミナではなく,メダルであったこと。つまり,メダルさえあればスタミナを気にすることなく連続でプレイし続けられるということだ。基本のゲームシステムはAC版と同じプロセスで進行し,シリーズファンであっても違和感なく楽しめる作りとなっている。
また本作には,ディープインパクトやオグリキャップなどの名馬をはじめ,25年分の実名馬が7960頭以上も収録されているそうなので,今後の開放が楽しみだ。これらは種牡馬や繁殖牝馬として登場し,名馬同士を掛け合わせて自分好みの競走馬を生み出せるのはもちろん,レースでライバルとしても登場する。
StarHorseシリーズは,ほかの競馬シミュレーションゲームと異なり「ストーリー」や「牧場経営」などの要素は用意されていない。スマホ向けになったからと言って,本作にそういった要素が追加されているかというとそうではなく,生産を繰り返し,いかに強い馬を作るかというシンプルなゲーム性がそのまま維持されているのだ。
もちろんAC版と同様に,馬券をメダルで購入するベットゲームも楽しめる。若干ではあるが,AC版より馬券の種類が少なかったり,序盤は購入限度額が低く設定されていたりするが,ベットゲームでメダルをうまく稼げれば,競走馬の育成,生産費用に充てられるということだ。
上述したとおり,時間経過で回復するスタミナ制と異なり,ベットゲームでメダルさえ稼げてしまえば連続でプレイでき,メダルをかけるほど馬が強くなるシリーズの特徴を考えれば,ベットゲームも蔑ろにはできない要素だろう。ベットゲームに勝利すると登場する発泡酒やワインなど,育成が有利になるお馴染みの飼葉も登場するので,調教に力を入れるなら積極的に参加しておきたいところだ。
万枚馬も夢じゃない! より勝てる馬が育成しやすく
ここからは育成パートの内容を掘り下げていこう。基本のゲームサイクルはAC版と同様で,生産,調教,レースへの出走をメダルを消費して繰り返し行っていく。競走馬を育成できる期間には制限があり,最長で120週となっている。これを過ぎると強制的に引退となってしまうため,限られた期間内でより多くのレースに勝利し,獲得賞金を伸ばしていくことがこのゲーム最大の目標だ。
ゲームを開始すると,まず自分が所有する競走馬を生産しなくてはならない。そのためには「種牡馬」と「繁殖牝馬」の株券が必要になるわけだが,これらは基本的にガチャで入手することになる。初回の生産ではSSRの「キズナ」「ルーラーシップ」「エピファネイア」の3頭からほしい馬を選び,その馬の株券が必ず入手できるガチャを回せるようになっている。株券は一度入手してしまえば,その後も使い続けられるので,のちのちの生産にもSSRを惜しみなく使える仕組みだ。
なお,自分で育成した競走馬を親馬にすることも可能。次の世代へと血統をつなげるには馬封石が1つ必要で,新馬を生産できるのは一回のみとなっている。株券をベースにした初回の生産はメダル消費で,次世代に血統をつなぐには馬封石が必要になることを覚えておこう。
仔馬を生産したあとは,重賞へデビューするための前準備として「条件戦」で3勝しなければならない。クリア以降は,プレイヤーが思うがままに育成し,晴れて好きな重賞レースに出走させられる。
初回プレイ時は,チュートリアルの生産でSSR株券を使用することもあり,順当に育て上げればGI勝利の快感を味わえてしまう。AC版に比べGI勝利までの道のりが早く,シリーズ未経験のプレイヤーにもやさしいバランスだと感じた。運次第ではあるが……。
出走できる重賞レースはOP,そしてGIII〜GIまでの4グレードが用意されており,それが1月1週目から12月4週目まで,現実の重賞レースに則って開催されているので,自分の競走馬に合った距離やグレード,調教スケジュールを考えて出走させていこう。
競走馬の育成は,OPやGIIIから上のグレードを目指す勝ちにこだわった方針でもいいし,次の世代へ夢を託すために,ひたすら調教を重ねる生産重視型のプレイスタイルもあるだろう。AC版では,GIを1勝するのにもそこそこ手間をかけた馬が必要だったが,本作だとそれがあっさりと勝てる印象だった。
勝ちやすいからといって遊びごたえがないというわけではなく,疲労や調子の管理,その馬に合った適正距離やグレードを選ばなければレースには勝てない。好きなタイミングで好きな時間だけ遊べる手軽さと,長期にわたる育成スケジュールの管理が肝となっているのだ。
遊びやすさの点でいえば,生産に数千枚のメダルを消費するのに対し,レースの賞金は約100枚〜500枚,多くて1000枚ほどとなっていて,競走馬が活躍すれば消費したメダルを回収しやすく,勝率もシビア過ぎない印象だ。
それに加え,他プレイヤーがWBC,SWBC(※)以外のレースに参戦してこないこともあり,勝率が安定しているように感じた。
※他プレイヤーの競走馬が出走するゲームオリジナルのGIレース。WBCは賞金2000枚,SWBCは賞金5000枚の超高額レースだ。WBCには自分も含めてプレイヤー馬が3頭,SWBCはプレイヤー馬5頭が出走するPvPレースとなっている。
本作のガチャには,SSRレアリティの株券を含んだ「レアガチャ」と,SHを消費してレアリティN,HN株券を得られる「SHガチャ」,愛馬のアクセサリをランダムで入手できる「アクセサリガチャ」,デイリークエストを全てクリアすると1日1回引ける「デイリーガチャ」が用意されている。
馬封石で引けるレアガチャには,東京競馬場,中京競馬場,京都競馬場の3種類が用意されており,そのラインナップにはキングカメハメハやゴールドアリュール,アドマイヤムーンなどの有名な競走馬が名を連ねている。
本作における高レアリティの利点は,そのパラメータもさることながら,仔馬の生産に必要なメダルの枚数が非常に多いことだ。筆者の手元にあるSSR株券をモデルにすると,少なくても約1000枚,多いと1600枚ほどのメダルが必要となっている。メダルを大量に消費しなければならない点をデメリットのように感じるかもしれないが,本作では“いかにメダルを飲ませるか”が強い仔馬を生みだす秘訣であり,生産時から“一気にメダルを飲ませられるチャンス”を作れるのがSSRの大きな利点なのだ。
レースで勝つためにはガチャでSSRの株券を引き当てると話が早いが,株券を強化できる「合成」システムに頼るのも1つの手だ。例えばSRの株券でも,合成を重ねることで生産コストが上昇していくため,コストに見合った素質のある仔馬が誕生する可能性は十分にある。
競走馬を育てるために,“メダルを飲ませる”手間がこの生産で省けて助かる反面,1回の生産でガツンとメダルを消費してしまう。筆者の場合,ガチャで株券を引くためというよりは,メダルの購入に馬封石を消耗する傾向が強かった。
メダル不足に悩むプレイヤーの救済措置として,1時間に100枚ずつ秘書がメダルを補充してくれる親切なシステムも搭載されている。時間を置けば無課金でもプレイが再開できるようになっているのはうれしいところだ。
個性豊かな5人の秘書や時短など,スマホ版オリジナル機能に注目
スマホ版オリジナル要素で注目したいのは,やはりイラストレーターTony氏が描いた5人の美人秘書だろう。秘書達はLive2Dで表情豊かに動くので可愛さ倍増だ。筆者のお気に入りは,“仲の良い姉タイプ”の松浪結衣ちゃん。身長170cmのモデルスタイルでありながら,ちょっとダメ人間臭が漂うあたりがとてもいい。
5人にはそれぞれ“いかにもヒロインっぽい”“ツンデレ系妹タイプ”といった属性が設定されている。秘書はいつでも変更できるので,好きな秘書と一緒に競馬ライフを楽しもう。
この秘書達はゲーム中のさまざまな場面でアドバイスしてくれるガイド的な役割を担っている。AC版では調教の成果や,飼葉を与えた結果など,無機質にコメントが表示されるだけだったが,本作ではよりプレイヤーに近い立ち位置でサポートしてくれる。各所で表示されるコメントは,秘書たちの個性を反映しており,シーンによっては声優陣によるボイスが再生される。
そしてもう1つ,注目したいオリジナル機能が,スマホアプリらしくサクサクとゲームを進められる時短機能だ。この機能によって,出走/観戦しないレースはすべてスキップでき,1週分の育成が約10秒ほどで終えられる。基本的にスキップ機能が搭載されていないAC版と比較すると……いや,これはもう比較すべきではないほど,大幅な時短となっている。なお,通常の重賞レースにはPvP要素が用意されていないため,他プレイヤーの競走馬と競えるのはWBCとSWBCのみだ。
もちろん,レース観戦にもスキップ機能が存在する。画面をタップすると即座にレースがスタートし,スキップボタンを1回押すとレースが盛り上がりを見せる最終コーナーへ飛び,もう1度押すとクライマックスのゴール前まで一気に飛んでくれる。
新機能ではないが,歴代プレイヤーが大好きであろう「脚色ランプ」が本作にも存在することにも触れておきたい。AC版のようなランプが画面に表示されるのではなく,競走馬の頭上に浮かぶアイコンがその役割を果たしている。緑から黄色,赤から虹色に光るのはもちろん,脚色によって矢印の方向が変化する。なお,表示されるのは馬の脚色に変化が起きた一瞬だけだ。
また,ゲーム内には条件を満たさないと開放されない機能が存在している。これは,馬封石を購入した金額によってアンロックされるもので,購入額が一定を超えるとステージが上昇する「セレブランク」が大きく関係している。
これだけ聞くと,「やっぱりお金を使わないと満足に遊べないじゃないかー」と思われるかもしれないが,少し待ってほしい。開放される機能はいずれも便利ではあるが,プレイするにあたって絶対に必要なものではなく,あくまでより快適なプレイを求める人や,よりやり込みたい人向けのコンテンツとなっている。機能開放の条件は,セレブランクのみになっているため,ガチャを引くためだったり,メダルの補充に馬封石を購入したりすると,ついでにアンロックされているおまけのようなものなのだ。
セレブランクで開放される機能は,農園,トレセン,パートナー調教,主戦騎手,3つ目の馬房などだ。脚質「大逃げ」「自在」「まくり」「直一」はパートナー調教で習得できるもなので,この脚質を目指すにはある程度のセレブランクが必要になると考えていいだろう。
セレブランクによる機能開放によって幅広い調教が行えるのは間違いない。一度機能が開放されれば,その後も永続的に機能を利用できることを考えると,セレブランクを目当てに初期投資を考えてみるのもいいだろう。
サクサク進む育成にハマること請け合い
レースには杉本 清氏の名実況も
AC版だと120週を調教し終えるのに数時間とかかり,途中で妥協したり,メダルが不足して満足に育て上げられなかったりという経験をしたプレイヤーもいたのではないだろうか。少なからず,筆者は気が短いので満足に育て上げられた記憶のほうが少ない……。
ところがスマホ向けに最適化した本作だと,時短機能でサクサクと調教が進められ,好きなタイミングに好きなだけ遊べるおかげで,こだわりの馬をより育成しやすくなっている。しかも,生産の消費メダル数が飛び抜けて多いおかげで,シッカリと育て上げた馬を2,3世代つなげれば,あっという間に賞金を稼いでくれる万枚馬を生産できた。
従来作に比べストレスがなく,育成にメダルを消費する手間が大幅に省けたことによって,GI優勝などの結果へとつながるのも早い。愛馬がレースに勝ってくれれば,モチベーションを維持しやすく,気づいたら1日中遊んでいたなんてことも。とくに,ゲームセンターのように他プレイヤーの動向に注意する必要がないのがとても大きく,プレイするタイミングを計る必要もないので気軽に遊びやすいと感じた。
ちなみに本作でも,全レースに競馬実況アナウンサー杉本 清氏の音声を使用した実況がついている。ゲーム内に登録されている実名馬はもちろん,自分で名付けた愛馬の名前も音声合成機能によってアナウンスしてもらえる。観客の声援が響くなか,愛馬が最後の直線で名前を呼ばれるとそれだけでもう大興奮。レース中のグラフィックスにもかなり力が入っており,まさにAC版のサテライトがスマホに収まっているような感覚だ。
さて,ここまで本作を紹介してきたが,ゲームの内容がシンプルなうえ,可愛い秘書がばっちりサポートしてくれるので,競馬初心者や競馬知識ゼロな人でも遊びやすい印象だ。筆者個人としては,ガッツリ競走馬育成ゲームとしてはもちろん,メダルゲームとして楽しめる側面も持っていると強く感じた。
現在稼働中の「StarHorse3」との連動も発表されているので,AC版に触れたことがあるプレイヤーも本作をぜひ遊んでみてほしい。AC版と変わらないどころか,より短時間で遊べる作品となっているので,きっとゲームセンターで快適にプレイしているような感覚で楽しめるはずだ。
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