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「スーパーマリオ オデッセイ」で行われたさまざまな変革は何を意図したものなのか。小泉歓晃プロデューサーに聞いた
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印刷2017/10/24 00:00

インタビュー

「スーパーマリオ オデッセイ」で行われたさまざまな変革は何を意図したものなのか。小泉歓晃プロデューサーに聞いた

風景からではなく,遊びから生まれるステージ


4Gamer:
 今回はニューヨークっぽいニュードンク・シティや,メキシコを思わせる砂の国「アッチーニャ」など,現実に存在する場所をモデルにしたと思われるステージが登場しますが,制作に当たって苦労された点はありますか?

画像集 No.002のサムネイル画像 / 「スーパーマリオ オデッセイ」で行われたさまざまな変革は何を意図したものなのか。小泉歓晃プロデューサーに聞いた
小泉氏:
 実は,特定の都市をモデルにしようと考えて開発を進めていったわけではないんです。いつもの開発と同じように,実現したい遊びに合わせてステージを作っていき,その後,見た目を当てはめていきました。

4Gamer:
 まずは遊びがあり,そこに先ほどの“旅”や“心に刺さる”というテーマで肉付けをしていった,と。

小泉氏:
 はい。それこそアッチーニャも「メキシコ風のステージを作ろう」ということで生まれたわけではなく,まずは歩行に制限のある場所はどうだろうかと,ゲームのギミックとして必要になるものを発案し,そこからステージの見た目を砂漠にすることを決めています。

4Gamer:
 それがメキシコ風のステージになるのも面白いですね。

小泉氏:
 普通なら砂漠のステージ=エジプト風とでもなりそうなところですよね(笑)。実はディレクターの元倉(健太氏)が大のメキシコ好きなんです。メキシコ旅行をしたときに心に刺さった風景を形にしたい……という考えがあったようで。
 これも,ゲームのメカニズムを大事にしつつ,どう変化を付けて提示するかという姿勢の表れなんです。

画像集 No.011のサムネイル画像 / 「スーパーマリオ オデッセイ」で行われたさまざまな変革は何を意図したものなのか。小泉歓晃プロデューサーに聞いた

4Gamer:
 ゲームとしての遊びを優先しつつ,誰もが予想するような形では実装しないということですね。

小泉氏:
 溶岩のステージを作るにしても,よくあるおどろおどろしい溶岩を出すのではなく,火山に巨大な鍋がかかった料理の国「ボルボーノ」にしてみたり。お客さんに「なんでやねん!」と言ってもらえるようにもしているんです。

画像集 No.012のサムネイル画像 / 「スーパーマリオ オデッセイ」で行われたさまざまな変革は何を意図したものなのか。小泉歓晃プロデューサーに聞いた

4Gamer:
 さまざまな形でプレイヤーの心に刺さる仕掛けを考えているわけですね。そこで,本当にこれでいいのかと不安になることはありませんでしたか?

小泉氏:
 モニターの方に遊んでいただいたりもしましたが,そこは結局,自分達を信じてやり切るしかないんですよ。

4Gamer:
 ちなみに,モニターからの評判が良かったステージはどこでしょう?

小泉氏:
 やはりニュードンク・シティですね。

4Gamer:
 今回のマリオの新しさの一端を象徴しているのは確かですもんね。

小泉氏:
 ええ。ただ,制作のうえでは2.5頭身のマリオと8頭身の住人,サイズの違う人が共存していていいのかという議論はありました。これはマリオなのか? と。
 でも,ここに「異国に来ているからなんだ」という説明を付けてみると,「それなら問題ないだろう」という手応えに変わったんです。現実でも,国が変われば異なる人種や文化に出会えるわけですから。

4Gamer:
 確かにそうですね(笑)。

小泉氏:
 8頭身の人々が暮らす都会というのは,マリオの世界では違和感のあるものですが,我々自身にとってはニューヨークに似ているので共感の対象でもあります。皆さんがマリオとはこういうものだ,と知っているけれど少し違う。このわずかなズレが,面白みや興味につながるといいですね。

4Gamer:
 ニュードンク・シティといえば,市長として懐かしのポリーンが登場し,シリーズ初となるボーカル曲「Jump Up, Super Star!」を歌うことも話題となっています。今回,ボーカル曲を取り入れた理由を教えてください。

画像集 No.013のサムネイル画像 / 「スーパーマリオ オデッセイ」で行われたさまざまな変革は何を意図したものなのか。小泉歓晃プロデューサーに聞いた

小泉氏:
 これもまた,マリオを知らない人の心に刺さるためにどうすればいいかということを考えたうえのことです。
 楽曲には,それが何に使われている曲なのかは分からないけれど,耳に入ってくる……という強さがありますから。

4Gamer:
 作曲と作詞はどなたが担当されたんですか?

小泉氏:
 作曲の担当は「スーパーマリオメーカー」「進め!キノピオ隊長」,「ゼルダの伝説 ムジュラの仮面 3D」にも携わった弊社のコンポーザーの久保(直人氏)。作詞担当は,サウンドデザインの鈴木(伸嘉氏)が日本語で作ったものをみんなで揉んだうえで,Nintendo of Americaのローカライズメンバーに英訳してもらいました。

4Gamer:
 英語曲なのに,歌詞は日本語がもとになっているんですね。スーパーマリオの世界観を表した内容で驚きましたが,シリーズを手がけた日本のスタッフが作ったからこそ,こうしたものが作れたということでしょうか。

小泉氏:
 そうですね。英訳にあたっては伝えたいことがしっかりと伝わるよう,かなりたくさんのやりとりを行いましたから。日本語をそのまま英語にしただけだと,どうしても心には刺さらないんですよ。

4Gamer:
 歌詞を英訳するうえで,苦戦したポイントはありますか?

小泉氏:
 いろいろあって,かなり苦労していたようです。歌詞の中に「1UP」というゲーム内用語が使われていますが,多くの人にマリオを認知してもらうための歌なのに,そんな用語を使っていいのだろうか? という議論もありました。

4Gamer:
 そういえば,1UPがゲーム内用語であるというのも,意識していないと気付かない点ですよね。

小泉氏:
 「マリオの曲だから,専門用語が出てきて当たり前なんだ」と思わないように……ということですね。
 ただ,ほかの部分で日常の言葉を使っているので,最終的には聞く人の心に引っかかる言葉として「1UP」をあえて残しました。

4Gamer:
 歌を担当しているのはどなたなんでしょう?

小泉氏:
 歌手兼声優のケイト・デイヴィスさんに歌ってもらいました。

4Gamer:
 しかし今,なぜポリーンを?

小泉氏:
 ニュードンク・シティは,都市をテーマにビジュアルを作っていったわけですが,「そういえば,ウチにも昔,都市が舞台になったゲームがあったよね。そういえばマリオも出ていたよね」……と,連想ゲーム的にポリーンの名前が出てきたんです。
 当初はニュードンク・シティのお姫様として出そうという案もありましたが,あの都市の世界にお姫様はないだろうということで,市長になりました。

画像集 No.014のサムネイル画像 / 「スーパーマリオ オデッセイ」で行われたさまざまな変革は何を意図したものなのか。小泉歓晃プロデューサーに聞いた


システムとキャラクターを融合し,感情移入を促す


4Gamer:
 差し支えなければ,開発チームの規模と平均年齢を教えていただきたいのですが。

小泉氏:
 具体的な数は言えませんが,今までの3Dマリオ作品の中では最大の人数ですね。といっても,もの凄く多いというわけではなく,ちょっと多いぐらいです。スタッフの年齢は幅広いですね。いろいろな年代の人達が,それぞれ心に刺さるものを出してくれたので,このゲームにとってはプラスにはたらいたんじゃないかと思います。

4Gamer:
 さまざまな世代のスタッフが自らのマリオ観に基づいてアイデアを出す中で,1本の作品としてまとめるうえで難しいことなどはないのでしょうか?

小泉氏:
 そうした点であまり苦労はしませんでしたね。
 というのも,マリオはとても強いキャラクターです。例えば画家のような格好をしていてもマリオのゲームとして成り立ちますから。昔から変身というギミックがあり,これを許容して頂いてきたのも大きいかもしれません。

4Gamer:
 幅の広いキャラクターとして成長していますしね。テニスをしたり,ゴルフをしたりといったこともありますし。

小泉氏:
 ええ。ちなみに今回,こうした着替え的な部分をまとめているのが,帽子のキャッピーです。マリオのトレードマークである帽子から生まれたキャラクターなので,まるで昔からいたかのように違和感がありません。Joy-Conで操作するとキャッピーを上下に投げたりできて遊びの幅も広がりますし。
 それに,“おすそわけ”したJoy-Conでキャッピーを操作する2人プレイもできます。実はこれは企画の当初から絶対にほしい機能として導入したんです。キャッピーを生き物としたのも,生きているからこそ操作したいと思わせるためですし。いわば2人目の主役ですから,仲良くなってほしいですね。

画像集 No.015のサムネイル画像 / 「スーパーマリオ オデッセイ」で行われたさまざまな変革は何を意図したものなのか。小泉歓晃プロデューサーに聞いた

4Gamer:
 帽子を操作できるという設定だけでも2人協力プレイは実現できますが,一歩踏み込んで,生きている帽子を操作できるという形にすることで,遊ぶ人に,より一層共感してもらうということなんですね。

小泉氏:
 ええ。例えば「ゼルダの伝説 時のオカリナ」では,ナビィという妖精が出てきますが,これも同様のコンセプトによるものです。ナビィは「Z注目」システムでロックオンした相手の近くを飛びますが,当初はプレイヤーがどこをロックオンしているかを示す矢印のようなアイコンに過ぎませんでした。

4Gamer:
 旅の道連れという印象でしたが,当初はただのロックオン機能だったんですか……。

小泉氏:
 キャラクターであれば「ロックオンしている対象物が何であるかをプレイヤーに教えることができる」わけです。個人的には,このように設定を足すことで機能を増やせるという体験を,ゲームを作りながら何度もしてきました。

4Gamer:
 機能とキャラクターの紐付けがうまくできていると共感を呼べるということですね。


開発者の想定を越えたプレイも,面白ければ仕様に


4Gamer:
 ではスーパーマリオ オデッセイにおいて,プレイヤーに一番注目してほしい部分はどこでしょうか。

小泉氏:
 一つには絞れませんが,やはりあえて挙げるならキャプチャーですね。いろいろなモノに乗り移れれば面白いというのはみんなが考えることですが,なかなか作りづらいんです。これを実現したうえで,ゲームギミックの中でキチンと成立させたのはとてもユニークだと思います。

4Gamer:
 テストプレイヤーが意外な方法でキャプチャーを使った……というようなことはありましたか? 例えば,想定外のショートカットをしたりとか。

画像集 No.016のサムネイル画像 / 「スーパーマリオ オデッセイ」で行われたさまざまな変革は何を意図したものなのか。小泉歓晃プロデューサーに聞いた

小泉氏:
 そういうこともありますね。今回に限ったことではないんですが,面白ければそれは仕様にします。もともと,マリオ自身の身体性能が高いので,プランナーが想定した“正解”のほかにも,複数の解き方を生み出しやすいんです。

4Gamer:
 華麗にジャンプで飛び越えていくところをゴリ押ししたり,ギミックや特殊能力をちょっと工夫してみたり,確かにいろいろな解法がありますね。

小泉氏:
 そうしたところを一つ一つ潰していったのでは,プランナーの意志を押し付ける窮屈なゲームになってしまいます。とくに3Dのゲームだと,お客さんがそれにすぐ気付いてしまいますから,それぞれの正解を認められる度量があるような世界にしたいんです。これは,スーパーマリオ64の頃から変わらない姿勢です。

4Gamer:
 過去,面白かったことで仕様になったものがあれば教えてください。

小泉氏:
 古くは「無限1UP」ですね(笑)。ゲームデザインとしては簡単に1UPされるとダメなんですが,「よくぞ発見した!」ということで仕様として残したそうです。
 こうしたところから,面白いものを仕様として残す伝統が生まれたんでしょうね。


寄り道をしたからこそ,奥深くなった


4Gamer:
 複数の解法が生まれる作りにしてあるということですが,今回はとくに懐が深い印象です。

画像集 No.017のサムネイル画像 / 「スーパーマリオ オデッセイ」で行われたさまざまな変革は何を意図したものなのか。小泉歓晃プロデューサーに聞いた
小泉氏:
 ステージの中にもの凄い数のネタを仕込んでありますから,ぜひ楽しんでください。密度が高いうえ,それぞれにしっかりとしたレベルデザインをしていますし,複数の解法があるので,チャレンジしたくなる。行ってみたいところへ行けば,その努力に報いてくれるゴールが用意されている……という,そんな作りになっているんです。

4Gamer:
 3D世界における密度の濃い探索というキーワードは,「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」Nintendo Switch / Wii U)にも通じるところがあると思います。両チームで交流や情報交換などはあったんでしょうか。

小泉氏:
 直接的にはないんですが,どちらのチームもスーパーマリオ64やゼルダの伝説 時のオカリナ以降,「この広い3D空間で,どんなことをしたら面白いんだろう」という課題を追ってきましたから。それぞれのチームが回答を出したのが,たまたま現在だったんじゃないかと。

4Gamer:
 それぞれのチームの回答が同時期に実を結ぶというのも面白いですね。

小泉氏:
 ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルドでは,広大な世界に散りばめられた謎解きという点を線でつないでいく。一方,スーパーマリオ オデッセイでは,点にたどり着くためにマリオの身体性能を駆使する。
 両者は異なるゲームなので答えは一つではないんですが,一つの真理はあるかもしれない……とは思っています。

4Gamer:
 そのどちらもがNintendo Switchという新ハードで出ているというのも,凄いことだと思います。

小泉氏:
 ソフトの発売スケジュールを編成するときに,ある意味狙ってはいましたが,あまりそこにとらわれないようにはしました(笑)。
 ゼルダの伝説 時のオカリナやスーパーマリオ64を作っていた頃から,このゲームはどんなことをすれば面白いんだろう? とずっと考え続けた十数年でしたが,それぞれのチームがやりたかったことを実現できるようになった……ということなのかもしれません。

4Gamer:
 これまで実現できなかったのは,ハードウェア上の制約があったということでしょうか?

小泉氏:
 それもあるでしょうし,それ以外もあるでしょうし,理由はさまざまだと思います。
 今回は“旅”というキーワードで寄り道や発見をくくっていますが,これまでいろいろなマリオを作ってきた過程で寄り道をし,豊かなものに出会えたことが,さらに豊かなゴールにつながったんだと思います。もっと前に“旅”というキーワードが正解であることが分かっていたとしても,できてくるものはもう少し違うものになっていたかもしれません。
 そうした意味では,これまでの過程に何も無駄はなかったんじゃないかと……なんて言うと,マリオシリーズが最終回のように思われてしまいそうですが,まだまだ続きますからね(笑)。

4Gamer:
 それは当然,今後もマリオシリーズでは革新が続いていくということですよね?

小泉氏:
 そうですね。守るだけじゃなくて,新しい何かにチャレンジしていってもらいたいと思いますし,そのようにうながしていきます。

画像集 No.018のサムネイル画像 / 「スーパーマリオ オデッセイ」で行われたさまざまな変革は何を意図したものなのか。小泉歓晃プロデューサーに聞いた


マリオとは,常に面白いことを最初にするヒーロー


4Gamer:
 発売前の時点ですが,世間からはどのような反応が届いていますか?

小泉氏:
 「3Dマリオを遊んだことはないけど,プレイしたくなった」というご意見をけっこう見かけましたね。また「なんか良く分からないけれど,面白そうだ」という声も多くて,凄く嬉しいです。この「なんか良く分からないけど」というのが,とてもありがたいんですよ。ファンでなくても,言語化できないところで刺さるものがあったということですから。

4Gamer:
 継続してマリオを遊び続けているわけではない人にも,きっちり刺さったということですね。

小泉氏:
 そうなんです。あと,いろんな国の方がとても喜んでくださったのも嬉しかったです。メキシコの方には「ゲームで取り上げてくれてありがとう! ぜひ,メキシコに来てほしい。メキシコ料理をご馳走するから!」と言っていただいたり。また,アメリカの方もニュードンク・シティを見て「これ,ニューヨークですよね!」って嬉しそうに言ってくれましたし。

4Gamer:
 そうした背景に,これからNintendo Switchを各国で展開する上で,ゲームにいろいろな国の要素を入れて現地でアピールしていこう……という思惑も,実はあったり……?

小泉氏:
 なるほど! そういうことにしましょうか(笑)。

4Gamer:
 考えすぎでしたか(笑)。

小泉氏:
 ただ,今年の頭からマリオの格好で世界中を行脚している中で,Nintendo Switchについては好意的な反応を感じています。世界を旅するマリオというのは今までなかったので,新たな共感を呼んだのかな? という気はしますね。

4Gamer:
 言われてみれば,ありそうでなかったマリオですよね。現実っぽい世界を旅していることで,より親しみやすい存在になったのかもしれません。

小泉氏:
 Nintendo Switchのプロモーションでは,飛行機や車に乗っている時に遊んだり,友達の家に持って行ったり……といったシーンを入れています。ゲーム機の使い方をもっと広げることで,お客さん達が旅をして私達の作ったゲームを紹介してくれるんじゃないか……という考えもあったんです。
 例えば,マリオを遊んでいるのを見た人が,「何それ?」と興味を持ってくれて,そこでJoy-Conを“おすそわけ”して一緒に遊ぶ。そんな,誰かと誰かをつなぐようなゲーム機であってほしいんです。そうした意味では,Nintendo Switchは“旅するゲーム機”かもしれませんね。


4Gamer:
 プレイヤー,そしてマリオと共に旅をするのがNintendo Switchというわけですね。少し話題を変えさせてください。これまでのシリーズは全年齢向けでしたが,今回はCEROだと「B」,ESRBは「E10+」,PEGIは「7」と,少しレーティングが上がっています。

小泉氏:
 基本的にはどの世代の人にも遊んでいただけるように仕上げていますし,危険なものを作ったつもりもありません。今までのシリーズでできていたことでも,リアルな背景になるとドキドキすることが増えてしまう……ということですね。
 例えば,ニュードンク・シティでは戦車が出てきます。戦車自体は今までのシリーズにも登場していますが,今回のグラフィックスのスタイルだと,少しリアルになっている。こうした点から,審査機関がレーティングを上げる判断をしたのだと思います。

4Gamer:
 大人向けのゲームを作ろうして,レーティングが上がったわけではない,と。

小泉氏:
 “全年齢向け”の「全」には,大人も含まれていますから。今回はレーティングが上がっていますが,子供向けにしようとか,大人向けにしようというような意識はありません。

4Gamer:
 さて,これまでマリオを変えていくという点についてお話しいただきましたが,逆に変えてはいけない部分についても教えてください。

小泉氏:
 それはたくさんあると思います。中でもとくに,“マリオは面白いことに関わっている人である”という部分は絶対に変えたくないです。
 マリオはこれからもいろいろなことをするでしょうが,それはきっと遊びに根付いている何かでしょう。端的に言うと「マリオはゲームのキャラクターなので,遊びを中心に考えていきたい」ということです。

4Gamer:
 ゲームキャラクターであり,ゲームファーストの考え方で展開が続けられていくと。

小泉氏:
 バラエティの豊かさも必要でしょうね。いろいろなことが起こる世界,そのバラエティがマリオを支えていると思います。
 一番いいのが「マリオって,なんだかいつも新しいことをする人だな」と思っていただけることですね。「一番始めにやったのがマリオだよね」と言ってもらえるものを持っていてほしいですし,そうしたチャレンジをし続けられる男であってほしい。

4Gamer:
 なるほど。これまでの変身や衣装替えも,基本的には遊びの部分に関わっていますしね。

小泉氏:
 ええ。それに,世界中の人に親しんでいただけるようにする努力は,続けなければならないと思っています。ドメスティックにならないよう,さまざまな国の方に意見を聞いたりしていますね。

4Gamer:
 常に面白いことをする,国際派のゲームヒーローがマリオであるというわけですね。

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