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プレイレポート
「Travis Strikes Again: No More Heroes」プレイレポ&須田剛一氏ミニインタビュー。新たな戦いは「解像度の境界線」を越えて展開する
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「Travis Strikes Again: No More Heroes」(以下,Travis Strikes Again)は,グラスホッパー・マニファクチュアの制作,マーベラスの販売によるアクションゲーム「ノーモア★ヒーローズ」シリーズの最新作。本作では主人公である殺し屋のトラヴィスが,架空のゲーム機「Death Drive MK-II」用ソフトの世界で戦う。国内のプレイアブル出展は今回が初だったため,設置されていた任天堂ブースには,初日から須田氏のファンが多く訪れていた。
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今回プレイできたのは「Electric Thunder Tiger II」という架空ソフトの世界。舞台となる裏路地は,ネオンが輝く中,地面のテクスチャがところどころ欠けており,TVのカラーバーのような壁が行く手を阻むという幻想的な場所だ。加えて,敵を倒すとドットのような破片になって四散したり,ベクタースキャン方式のゲームのようにキラキラと光が輝く演出もあり,現代のゲームと昔のゲームが渾然一体となった,不思議な空間という印象を受ける。
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トラヴィスと2P側の操作キャラクターであるバッドマンは,攻撃ボタンを押しっぱなしにしていると武器を自動でブンブン振り回す。フィールド上を駆け回りつつ,群れなす雑魚どもをバッサバッサと斬り倒すのが楽しい。
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ただし「Electric Thunder TigerII」のボスである「エレクトロ トリプル スター」とのバトルでは,通常の移動や攻撃よりも,前転回避とヘビーアタックを使った慎重な立ち回りが求められる。ボスの電撃弾や極太ビーム,落雷といった危険な大技を前転回避でかわし,ヘビーアタックの強烈な一撃を叩き込むのだ。この辺りはアクションゲームの基本に忠実な作りになっているという印象で,上手くいくと「してやったり!」という爽快感を得られる。
ヘビーアタックは威力が高い代わりに隙も大きく,加えて武器の「電力」を大量に消費する。武器の電力が切れると攻撃できなくなるので,シリーズおなじみの「充電」アクションでチャージしなければならない。旧作での充電は,Wiiリモコンを振ったり右スティックでレバガチャしたりする必要があったが,今回はLスティックボタンを押しつつRスティックを上下に動かすという方式に。シャカシャカと充電していると「ノーモア★ヒーローズ」をプレイしているという実感を味わえる。
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本作は2人協力プレイが可能だが,とくに面白く感じられたのがスキルを使った連携だ。トラヴィスは「敵や弾を防ぐ壁を作り出す」「敵を吸い込むブラックホールを設置する」,バッドマンは「回転しながら敵に突っ込む」「体力を回復する」など,それぞれ異なったスキルを持っている。「トラヴィスがブラックホールを設置して敵をまとめたところに,バッドマンが回転攻撃で切り込んで一気に殲滅する」「トラヴィスが壁を置いて敵弾を遮り,バッドマンが安全に接近できるようにする」など,互いのスキルをうまく使うことでゲームが有利になるというわけだ。
雑魚戦では爽快感を,ボス戦ではアクションゲームの醍醐味を味わえる内容でありつつ,協力プレイではスキルを使った連携も楽しめる……と,幅広い面白さがあり,完成が待ち遠しい。また,テキストも須田氏の独特なセンスが炸裂していたので,ファンは楽しみにしてほしい。
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会場で,本作を手がける須田剛一氏に話をうかがうことができたので,その様子をお伝えして本稿の締めくくりとしたい。
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4Gamer:
よろしくお願いします。日本では初のプレイアブル出展ですが,来場者の反応はいかがでしょうか。
須田剛一氏(以下,須田氏):
任天堂さんのブースも盛り上がっていましたし,「Travis Strikes Again」にも朝イチでファンの方が集まって下さって,いい反応を得られた感じがあります。僕らのゲームが任天堂さんのブースに出展されるのは初めてのことですし,それはいちゲーマーとして凄く嬉しいです。何と言っても子供の頃から任天堂さんのゲームを遊んできていますから,感慨深いです。
4Gamer:
「Travis Strikes Again」の見どころを改めて教えてください。
須田氏:
気持ちのいいスラッシュアクション,そしてJoy-Conを「おすそわけ」すれば2人で協力プレイできることがウリですね。今回は色々な意味で「ノーモア★ヒーローズ」のスタイルを変えています。トラヴィスがビデオゲームの世界に入ることにより,これまでの血なまぐさい戦いとは違う,「解像度の境界線で戦う」ようなバトルが展開するんです。
4Gamer:
「解像度の境界線で戦う」というのは,出展バージョンに見られた,地面のテクスチャが抜けていたり,カラーバーのような光が行く手を遮ったり,斬られた敵がドットのような破片になって飛び散ったり……といった、異なる世代のゲームにおける表現が渾然一体となったものということでしょうか。
須田氏:
そうした部分を含んだ,いろいろな表現です。例えば,通常の画面比率は16:9ですが,「Death Drive MK-II」のゲームに入ると昔ながらの4:3になるのも「解像度の境界線」的な表現ですね。また,子供の時にベクタースキャンのゲーム機を見て,レーザーのような光が飛び交う様に衝撃を受けたんですが,こうしたテイストも取り入れています。
4Gamer:
今回の出展バージョンは,ビーム・カタナで敵を斬っていくという内容でしたが,ゲームのメインはこうした剣戟的なアクションになるのでしょうか。
須田氏:
そうです。直接攻撃するだけでなく,トラヴィスとバッドマンはそれぞれ別のスキルを持っていますので,プレイ感が変わります。発売バージョンではバッドマンで1人プレイを楽しむこともできるんです。また,個人的に愛が溢れるほど大好きな「ゼロヨンチャンプ」をモチーフにしたパートもあります。
4Gamer:
それは楽しみです。出展バージョンでは雑魚戦とボス戦を体験できましたが,全体のボリュームの何%位に当たるのでしょうか。
須田氏:
5%ほどですね。
4Gamer:
テキストの面でも“須田節”が炸裂していましたが,「Travis Strikes Again」ではどれくらいのテキストを執筆されているのでしょう。
須田氏:
システム系のメッセージを除き,キャラクターの台詞などは,ほぼ100%僕が書く予定です。ただ,バッドマン関連のテキストは「シルバー事件」で裏シナリオを担当した,大岡まさひさんに書いていただきます。トラヴィスが僕で,バッドマンが大岡さんという形ですね。
4Gamer:
黄金コンビのテキストがまた見られるということで,ファンは嬉しいと思います。
須田氏:
自分もこれまでにたくさんのゲームキャラクターを生み出してきまして,彼らが独り立ちしていくような現象も経験してきました。なので,今回はゲームを制作しつつ,「ビデオゲームの中に存在しているキャラクターとは何なのか」というテーマを探っていきます。ある意味,ビデオゲームそのものと向き合うような作品ですね。
4Gamer:
メタ的な視点も含まれているわけですね。
須田氏:
トラヴィス=僕なので,自分の趣味を入れ込んでいるんですが,若手スタッフの中には,今回の「Travis Strikes Again」でリスペクトしているゲームを知らない者もいるんです。彼らの世代は動画で全てが完結しがちなんですが「実際にプレイしないと分からないものもあるんだ」と教え込んだりもしています。
4Gamer:
今回トラヴィスが遊ぶゲーム機は「Death Drive MK-II」という名前ですが,これはやっぱりセガハードを意識したのでしょうか。
須田氏:
デスドライブというゲーム機は「LET IT DIE」にも出てきているんですが,アニメ「伝説巨神イデオン」に出てくる亜空間航法「DS(デス)ドライブ」が元ネタです。初めて見たとき,「ワープじゃなくてデスドライブなんだ! カッコイイ! やっぱり『イデオン』は違うな!」と(笑)。
「LET IT DIE」の「デスドライブ128」は,「『イデオン』に出てくる宇宙船のソロシップをゲーム機にしたら」というコンセプトでデザインされています。「デスドライブ128」の本体は4本の脚で支えられているんですが,これはソロシップの外側についた4基のエンジンからきているんです。
4Gamer:
なるほど。たしかに「デスドライブ」といえば「イデオン」ですね(笑)。最後に,「Travis Strikes Again」の発売時期をお聞かせください。
須田氏:
……明日かも知れない(笑)。冗談はさておき,2018年内の発売を予定しています。作っている人間のパッションが,遊んでいる人に伝わるゲームにしたいと思っています。
4Gamer:
ありがとうございました。発売を楽しみにしています。
「Travis Strikes Again: No More Heroes」公式サイト
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Travis Strikes Again: No More Heroes
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