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「Radeon RX 590」レビュー。12nmプロセス技術を採用して製造される初のPolarisはミドルクラス市場で輝けるか
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印刷2018/11/15 23:00

レビュー

12nmプロセス技術を採用して製造される初のPolarisはミドルクラス市場で輝けるか

Radeon RX 590
(PowerColor Red Devil RX 590 8GB GDDR5(AXRX 590 8GBD5-3DH/OC))

Text by 宮崎真一


 2018年11月15日23:00,AMDがGPU新製品「Radeon RX 590」(以下,RX 590)を発表した。Radeon RX 500シリーズがデビューしたのは2017年4月のことだが,あれから1年半近くが経って,新たなシリーズ最上位モデルが登場してきたわけだ。
 4Gamerではそれに合わせ,PowerColorブランドのRX 590搭載グラフィックスカード「PowerColor Red Devil RX 590 8GB GDDR5」(型番:AXRX 590 8GBD5-3DH/OC,以下 PowerColor RX 590)をAMDの日本法人である日本AMDから入手できたので,2018年の年末商戦期にミドルクラス市場で登場した新しい選択肢の実力に迫ってみたいと思う。

PowerColor Red Devil RX 590 8GB GDDR5(型番:AXRX 590 8GBD5-3DH/OC)
メーカー:Tul
販売代理店想定売価:3万6980円(税込3万9938円)前後(※2018年11月15日現在)
画像(002)「Radeon RX 590」レビュー。12nmプロセス技術を採用して製造される初のPolarisはミドルクラス市場で輝けるか


「12nmプロセス技術を採用して高速化したRX 580」的なRX 590


画像(055)「Radeon RX 590」レビュー。12nmプロセス技術を採用して製造される初のPolarisはミドルクラス市場で輝けるか
 RX 590は,Radeon RX 500シリーズ,そしてAMD製GPUとして初めて12nmプロセス技術を採用して製造されるGPUだ。原稿執筆時点でAMDは製造委託先を明らかにしていないのだが,既存のRadeon RX 500シリーズはGLOBALFOUNDRIESの14nmプロセス技術を採用して製造されていたこと,そしてAMDでGPU製品のプロダクトマーケティングを担当するAdam Kozak(アダム・コザック)氏は報道関係者向けの事前電話会議において「アーキテクチャの変更はない」と断言していたりすることから,「7nm世代へ向けたテストケースとして,プロセスデザインを全部やり直してTSMCへ移行した」可能性は低いだろう。GLOBALFOUNDRIESの12nmプロセス技術を採用しているのではなかろうか。

AMDが公開したスペック一覧(※画像をクリックすると完全版を表示します)。「従来製品からダイサイズが変わっていないのは,電力効率と性能,Time-To-Market(素早く量産すること,くらいの意)を重視しため」とKozak氏は語っていた
画像(056)「Radeon RX 590」レビュー。12nmプロセス技術を採用して製造される初のPolarisはミドルクラス市場で輝けるか
 一方,RX 590のスペック自体は,既存の「Radeon RX 580」(以下,RX 580)とほぼ同じだ。GPUマクロアーキテクチャがGCN 4.0世代に留まるのはもちろんのこと,総シェーダプロセッサ数が2304基だったり,ダイサイズが232mm2だったりする点も,RX 580から変わっていない。表1にRX 590とRX 580,そして上位製品および競合製品のスペックをまとめてあるので,ぜひチェックしてほしいと思うが,「RX 590は高クロック版RX 580以上でも以下でもない」と言ってしまって差し支えないように思われる。

※確度にかかわらず,100%正しいと言い切れない部分には「?」を付記しています
画像(004)「Radeon RX 590」レビュー。12nmプロセス技術を採用して製造される初のPolarisはミドルクラス市場で輝けるか

画像(057)「Radeon RX 590」レビュー。12nmプロセス技術を採用して製造される初のPolarisはミドルクラス市場で輝けるか
 さてそんなRX 590だが,北米市場におけるメーカー想定売価は279ドル(税別)。AMDは,「Radeon RX Vega 56」(以下,RX Vega 56)と「GeForce GTX 1070」(以下,GTX 1070),そしてRX 580および「GeForce GTX 1060 6GB」(以下,GTX 1060 6GB)の間を埋めるGPUと位置づけている。

 ちなみにいま挙げた4製品の北米市場における2018年11月15日現在の実勢価格は,

  • RX Vega 56:420〜546ドル程度
  • GTX 1070:359〜389ドル程度
  • RX 580(容量8GBモデル):209〜295ドル程度
  • GTX 1060 6GB:249〜319ドル程度

なので,イメージとしてはGTX 1060 6GBの平均価格帯と同じくらいといったところだろうか。

RX Vega&GTX 1070,そしてRX 580&GTX 1060 6GBの間にある価格ギャップを埋める存在がRX 590だというスライド
画像(058)「Radeon RX 590」レビュー。12nmプロセス技術を採用して製造される初のPolarisはミドルクラス市場で輝けるか

 AMDによると,期待できる性能はリファレンスクロックで比較した場合にRX 580より最大12%高いとのこと。AMDが全世界のレビュワーに対して配布したレビュワーズガイドによると,2560×1440ドットと1920×1080ドットの2条件で,RX 590は優れた性能を発揮できるという。

RX 580と比べて最大12%高い性能を示すというRX 590。主要なタイトルで解像度1920×1080ドット条件において60fps以上のフレームレートを確保でき,一部のeスポーツタイトルでは120fps以上を確保できるとAMDはアピールしている。基本的にはフルHD解像度向けGPUという理解でいいだろう
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比較的コンパクトなカード長ながら3スロット仕様となるPowerColor RX 590


画像(003)「Radeon RX 590」レビュー。12nmプロセス技術を採用して製造される初のPolarisはミドルクラス市場で輝けるか
 ここからは入手したPowerColor RX 590を見ていくことにしよう。
 そのカード長は実測約240mm。今回,AMDは「RX 590リファレンスカード」的なものの存在を公表していないため,それとの比較はできないが,たとえばGTX 1060 6GBの「Founders Edition」が実測約249mmだったので,ミドルクラス市場向けとしては長くも短くもないサイズに収まっていると言っていいのではなかろうか。

画像(005)「Radeon RX 590」レビュー。12nmプロセス技術を採用して製造される初のPolarisはミドルクラス市場で輝けるか
 そんなPowerColor RX 590だが,100mm角相当のファンを2基搭載したクーラーは,実のところ3スロット仕様だ。PowerColorはRed DevilシリーズのRX 580搭載カード「PowerColor Red Devil Golden Sample Radeon RX 580 8GB GDDR5」(AXRX 580 8GBD5-3DHG/OC,以下 Red Devil RX 580 GS)でもほぼ同じ見た目をした3スロット仕様クーラーを搭載していたので(関連記事),そのまま継続して採用しているか,アップデート版を採用しているという理解でいいのではなかろうか。

カードを別の角度から。3スロット仕様のクーラーと背面のカバーが基板のほぼすべてを覆っている。「基板長≒カード長」という理解でよさそうだ
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カードの厚さを見たカット。背面の金属製カバーは実測約1mm厚で,相応に重厚な印象を受ける
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外部出力インタフェースは外部出力インタフェースはDisplayPort 1.4×3,HDMI 2.0b(Type A)×1,Dual-Link DVI-D×1となっている
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 ちなみにこのクーラーだが,マザーボードにカードを差したときの垂直方向へI/Oブラケット部から実測約35mmはみ出したデザインになっており,これもカードを大きく見せる一因となっている。8ピンと6ピン各1系統からなり,両方に正しく給電しないと正常に動作しない補助電源コネクタもマザーボードに差したとき垂直方向を向くため,この方向のクリアランスはPCケース内で相応に必要だということは押さえておきたい。

カードのはみ出し具合(左)と補助電源コネクタの配置(右)。8ピン,6ピン各1という仕様はRed Devil RX 580 GSと同じである
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VBIOS切り替えスイッチ。工場出荷時設定はOCモードに入っていた
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 ユーザーの操作できるスイッチが基板上に2つあることにも注目しておきたい。実のところこれもRed Devil RX 580 GSから継承した仕様なのだが,外部出力インタフェースに近いほうはグラフィックスBIOS(以下,VBIOS)切り替えスイッチで,以下のとおり,PCがシャットダウンした状態で切り換えることにより,2つの動作モードのどちらかを呼び出せるようになっている。

  • OC:ブースト最大クロック1576MHz,ファン最大回転数2300rpm,Mute Fan Technology無効
  • Silent:ブースト最大クロック1545MHz,ファン最大回転数1400rpm,Mute Fan Technology有効

 OCモードはブースト最大クロックをリファレンス比で31MHz引き上げ,さらにファンの最大回転数も増してある動作モードだ。対するSilentモードはブースト最大クロックが1545MHzなので,こちらがリファレンスクロック動作モードと理解してもいいだろう。メモリクロックやGPUコア電圧などの設定は両者で変わらない。
 なお,Mute Fan Technologyというのは,GPUの温度が60℃を下回ったときにファンの回転を停止させる機能のこと。本機能を利用できるのはSilentモード時のみで,OCモードではGPU温度が低い状態でもファンは回転し続ける。

 さて,もう1つのスイッチは「LED SWITCH」で,こちらはシステムの動作中にも変更可能だ。工場出荷時設定,つまり補助電源コネクタ側だと本体側面のRed Devilロゴが常時点灯となるが,反対側にスイッチを切り換えると消灯する。

LED SWITCH(左)と,工場出荷時設定でもあるLED常時点灯(右)。最近のゲーマー向けグラフィックスカードとしては比較的おとなしいLEDイルミネーションだと言える
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Red Devil RX 580 GSのレビュー記事より,基板を撮影したカット
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 さて,ここで1つお断りしておくと,今回もAMDからは「カード分解不可」のお達しが出ているため,実際にGPUクーラーを取り外すことができない。そこで今回4GamerではPowerColorブランドを展開しているTulから,俗に「exploded view」(破裂ビュー)と呼ばれる画像の提供を受けたので,下に示しておきたい。
 GPUの詳細は分からないが,見える範囲で基板を確認する限り,6+1フェーズの電源部を採用する点など,基本設計はRed Devil RX 580 GSとよく似ていると言っていいのではなかろうか。

PowerColor RX 590のexloded view。基板の見えている部分はRed Devil RX 580 GSとよく似ている
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OSとSilent,両方の動作モードでテストを実施。ドライバはレビュワー向けのものを利用


 テストのセットアップに入ろう。
 今回,比較対象としてはまず,下位モデルとなるRX 580と上位モデルとなるRX Vega 56を用意した。さらに,RX 590の対抗製品と位置付けられるGTX 1060 6GBと,その上位モデルであるGTX 1070とも比較したい。なお,今回用意できたRX 580カードは前出のRed Devil RX 580 GSで,メーカーレベルのクロックアップモデルとなるため,今回はMSI製のオーバークロックツール「Afterburner」(Version 4.6.0 Beta 9)を使い,リファレンスレベルにまで動作クロックを下げていることをお断りしておきたい。

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 また,本稿の主役となるPowerColor RX 590は前述のとおりOCとSilentという2つのVBIOSを切り換えられるようになっているため,今回は両方でテストを行うことにし,グラフ中に限り「PC RX 590 OC」「PC RX 590 Silent」と記載することもあらかじめお伝えしておく必要があるだろう。
 これまた前述のとおりだが,SilentのほうのVBIOSではブースト最大クロックがリファレンスと同じ1545MHzとなるため,こちらのスコアはRX 590のリファレンススペックに近いものと見なして問題ないと考えている。

 Radoonのテストに使うグラフィックスドライバは,RX 590のレビュー用として全世界のレビュワーにAMDが配布した「18.40-181101a-335465E-RadeonSoftwareAdrenalin」だ。AMDは「Radeon Software Adrenalin Edition 18.10.1」以降で「Display Driver Package」を18.40世代で移行させているので,最新世代のグラフィックスドライバをベースにRX 590への対応を果たしたものという理解でいいと思われる。
 一方,GeForceのテストには,テスト開始時の最新版となる「GeForce 416.81 Driver」を使う。

 テスト時におけるWindowsの「電源プラン」は,とくに断りのない限り「高パフォーマンス」で統一。そのほかテスト環境は表2のとおりとなる。

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 テスト方法は4Gamerのベンチマークレギュレーション22.1準拠。RX 590が1920×1080ドットと2560×1440ドットでのゲームプレイを想定したGPUであることから,今回は両解像度と,さらに高負荷な状況における挙動を確認すべく3840×2160ドットを加えた3パターンとした。


RX 580比でざっくり1割の性能向上を実現するRX 590。GTX 1060 6GBを上回る場面は多い


 それでは,「3DMark」(Version 2.6.6174)の結果から順に見ていこう。
 グラフ1は,3DMarkのDirectX 11テスト「Fire Strike」における総合スコアをまとめたものだが,これを見ると,AMDがRX 590を「RX 580とRX Vega 56の間にある性能面のギャップを埋める存在」とアピールしている理由がよく分かる。
 リファレンスクロック相当のSilentモードで動作するPowerColor RX 590はRX 580に対して約9%,GTX 1060 6GBに対して14〜20%程度高いスコアを示し,一方,RX Vega 56比では76〜80%程度,GTX 1070比で85〜88%程度のところに留まっている。

 OCモードで動作するPowerColor RX 590のスコアはSilentモードのそれとほとんど変わらなかった。

画像(021)「Radeon RX 590」レビュー。12nmプロセス技術を採用して製造される初のPolarisはミドルクラス市場で輝けるか

 続いてグラフ2は総合スコアからGPUテストの結果である「Graphics score」を抜き出したものだ。
 ここでリファレンスクロック相当のSilentモードで動作するPowerColor RX 590はGTX 1060 6GBに対して17〜23%程度と総合スコア以上の差をつけ,GTX 1070比では86〜93%とスコア差を詰めてきた。Radeon勢との比較だと総合スコアを踏襲する格好だ。
 なお,ここでもOCモードのPowerColor RX 590はSilentモードに対して明確な優位性を示せていない。

画像(022)「Radeon RX 590」レビュー。12nmプロセス技術を採用して製造される初のPolarisはミドルクラス市場で輝けるか

 ソフトウェアベースの物理演算テスト結果をFire Strikeの総合スコアから抜き出したものがグラフ3となる。今回はCPUと統一しているため,スコアはほぼ横一線だ。

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 GPUとCPU,両方の性能が効いてくる「Combined test」の結果をまとめたものがグラフ4だが,ここでもSilentモードで動作するPowerColor RX 590の位置づけは変わらない。ただ,動作クロックの高さが影響するのかどうか,Fire Strike“無印”でGTX 1060 6GBとのスコア差を約17%に広げ,GTX 1070に対して約86%のスコアを示している点は注目に値しよう。
 OCモードで動作するPowerColor RX 590のスコアがSilentモードと最大でも約1%しか変わらないのは,ここまでと同じだ。

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 3DMarkのDirectX 12テストである「Time Spy」における総合スコアをまとめたものがグラフ5となる。
 ここでSilentモードで動作するPowerColor RX 590とGTX 1060 6GBのスコア差は11〜14%程度。Fire Strikeと比べると若干詰まった。ただ,Silentモードで動作するPowerColor RX 590とRX 580のスコア差は約10%でFire Strikeと変わらないので,RX 590がスコアと落としているというよりは,GTX 1060 6GBが若干盛り返してると捉えるのが妥当だろう。
 PowerColor RX 590でOCモードとSilentモードのスコアに大きな違いが生じていないのはFire Strikeと同様だ。

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 グラフ6はTime SpyのGPUテスト結果を抜き出したものだ。Silentモードで動作するPowerColor RX 590のスコアはRX 580に対して約10%,GTX 1060 6GBに対して13〜16%程度高いので,「Fire Strikeと同様に,総合スコアよりも競合とのスコア差が広がった」と言えそうだ。
 対RX Vega 56だと72〜77%程度,対GTX 1070だと82〜85%程度となっている。

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 次にグラフ7はTime SpyにおけるCPUテストの結果をまとめたものになる。Fire StrikeのCPUテストと同様,基本的には横並びと言っていいが,あえていえば,GeForce勢のほうがわずかに高いスコアを示している。「Radeon SoftwareのほうがグラフィックスドライバのCPU負荷が若干高い」という可能性はあるかもしれない。

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 ここからは実際のゲームアプリケーションにおける性能を見ていこう。グラフ8〜10は「Far Cry 5」のテスト結果である。
 RX 590でレギュレーション22.1における合格ラインをクリアしているのは解像度2540×1440ドット以下なので,これはAMDの主張どおりだろう。リファレンスクロック相当となるSilentモードのPowerColor RX 590は平均フレームレートでRX 580に対して8〜11%程度,GTX 1060 6GBに対して22〜24%程度高いスコアを示しており,これはなかなか立派と言っていいのではなかろうか。
 さすがにGTX 1070と比べるとスコアは82〜83%程度に留まるものの,Far Cry 5がRadeonに最適化されている効果は十分出ていると言え,とくに1920×1080ドットで最小70fps出てくれれば十分だと思う人は多そうだ。

 なお,OCモードのPowerColor RX 590はSilentモードに対して平均フレームレートで2〜3%程度高いスコアを示した。体感できるかどうかはさておき,3DMarkと比べるとスコアは開いた格好である。

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 その一方,PowerColor RX 590のスコアが芳しくない結果に終わったのが,グラフ11〜13にまとめた「Overwatch」である。
 ここでSilentモードのPowerColor RX 590はRX 580に対して平均フレームレートで6〜10%程度高いスコアを示した。これだけならここまでと大して変わらないのだが,問題はGTX 1060 6GBに対して2〜5%程度しか高いスコアを残せていないことである。RX 580はGTX 1060 6GBに及ばないので,その点においてRX 590の存在意義はあるのだが,ここまでのスコアと比べると厳しい結果であり,最適化不足の感が否めない。

 なお,OCモードのPowerColor RX 590はSilentモードに対して1〜2%程度高いスコアを示した。これは3DMarkとFar Cry 5の中間といった印象だ。

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 グラフ14〜16に示した「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」(以下,PUBG)でも,スコア傾向はOverwatchと同じだ。平均フレームレートで比較するとSilentモードのPowerColor RX 590はGTX 1060 6GBに対して3〜5%程度高いだけという結果だ。RX 580に対しては8〜10%程度と順当にスコア差をつけられている以上,ここも競合比での相対的な最適化不足と指摘できよう。

 ただ,OCモードのPowerColor RX 590だとSilentモードと比べてスコアは伸びやすくなっているようだ。とくに1920×1080ドットで最小フレームレートがRX 580比で約5%改善している点は評価できそうである。

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 「Fortnite」の結果がグラフ17〜19になるが,Silentモードで動作するPowerColor RX 590のスコア傾向はOverwatchおよびPUBGとほぼ同じだ。平均フレームレートではRX 580に対して6〜9%程度,GTX 1060 6GBに対しては0〜3%程度高いスコアを示している。「RX 580からきっちりスコアを伸ばし,競合を若干ながら追い抜いた」点では評価できるものの,Far Cry 5における景気のよさを見てしまうと,少々物足りない印象も拭えない。
 なお,OCモードで動作させたときの平均フレームレートはSilentモード比で1〜4%程度高く,また最小フレームレートは1920×1080ドット条件で約5%高い。

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 続いては「Middle-earth: Shadow of War」(以下,Shadow of War)のテスト結果だが,グラフ20〜22を見ると分かるように,PowerColor RX 590のスコアは端的に述べて良好だ。平均フレームレートを見ると,RX 580比だとプラス7〜8%程度ながら,GTX 1060 6GBには12〜18%程度と有意なスコアギャップを築き,さらにはGTX 1070に対しても2560×1440ドット以下の条件では6〜10%程度高いスコアを示している。このインパクトはかなり大きいだろう。
 3840×2160ドット条件だと地力の違いが出ている印象もあるが,そもそもこの解像度だとプレイアブルではないので「現実的な解像度条件においてShadow of WarだとRX 590が速い」とは言っていいだろう。

 なお,PowerColor RX 590の2条件で比較すると,OCモードはSilentモードと比べて0〜3%程度高いスコアを示している。もっとも実フレームレートでは最大でも1fpsの違いしかないが。

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 GeForceシリーズへの最適化が進んでいることで知られる「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク」(以下,FFXIV紅蓮のリベレーター ベンチ)の総合スコアがグラフ23となる。
 ここでSilentモードのPowerColor RX 590はRX 580比で108〜110%程度と順当にスコアを伸ばしているものの,対GTX 1060 6GBだと99〜105%程度で,1920×1080ドット条件ではほんのわずかながら下回るスコアになってしまった。「最適化の壁」は大きい印象だ。

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 そんなFFXIV紅蓮のリベレーター ベンチにおける平均フレームレートと最小フレームレートをまとめたものがグラフ24〜26となる。
 平均フレームレートは総合スコアをほぼ踏襲したものとなっているが,最小フレームレートに着目すると,Silentモードで動作するPowerColor RX 590はRX 580と比べて8〜17%高いスコアを示している。ただ,1920×1080ドットではGTX 1060 6GB比で約88%に沈んでおり,最小フレームレートがRadeonの課題ということも見てとれるだろう。

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 グラフ27〜29は「Project CARS 2」の結果だが,ここでSilentモードにおけるPowerColor RX 590の平均フレームレートはRX 580に対して11〜13%程度,GTX 1060 6GBに対して5〜8%程度,それぞれ高い。
 PowerColor RX 590の2条件だと,OCモードとSilentモードのスコア差は約1%といったところだ。

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GTX 1060 6GBより100W近く高い消費電力。そのスコアはRX Vega 56に迫る


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 RX 590の公称典型消費電力は225W。RX 580の高クロック選別版である「XTR」モデルとは変わっていないが,一方でこの数字はRX Vega 56の210Wより高い。AMDとNVIDIAでは消費電力周りのスペック表記に違いがあるため,GTX 1060 6GBの120WというTDP(Thermal Design Power,熱設計消費電力)と比べて「105W高い」と単純に言うわけにはいかないのだが,それでも「GTX 1060 6GBと比べて相当に消費電力が高そう」なのは容易に想像がつく。

 そこで,RX 590の消費電力を確認するため,「4Gamer GPU Power Checker」(Version 1.1)を用いて,FFXIV紅蓮のリベレーター ベンチ実行時におけるカード単体の消費電力推移をまとめてみることにした。
 その結果はグラフ30のとおりだ。Silentモードで動作するPowerColor RX 590だと300Wを超える場面が62回生じ,そのうち22回は350Wを超えてきた。それに対してRX 580だと300W超が5回だけで,GTX 1060 6GBとGTX 1070では一度も300Wに達していないので,RX 590の消費電力は相当に高いと言えるだろう。

※グラフ画像をクリックすると横に引き伸ばした拡大版を表示します
画像(050)「Radeon RX 590」レビュー。12nmプロセス技術を採用して製造される初のPolarisはミドルクラス市場で輝けるか

 これは,グラフ30で取得したデータの中央値を求めたグラフ31を見るとよりはっきりする。Silentモードで動作するPowerColor RX 590の消費電力中央値は約205Wで,RX 580と比べて約23W高く,GTX 1060 6GBとの違いは100W近くにまで達してしまった。おおむね「スペック値」として出ているとおりの結果になってしまったわけだ。
 付け加えると,OCモードで動作するPowerColor RX 590の消費電力はさらに高くなり,RX Vega 56に迫るレベルとなっている。

画像(051)「Radeon RX 590」レビュー。12nmプロセス技術を採用して製造される初のPolarisはミドルクラス市場で輝けるか

 念のため,ログの取得が可能なワットチェッカー「Watts up? PRO」を用いてシステム全体の最大消費電力を計測してみよう。
 テストにあたっては,Windowsの電源プランを「バランス」に設定し,さらにゲーム用途を想定して無操作時にもディスプレイ出力が無効化されないよう指定する。そのうえで,各アプリケーションベンチマークを実行したとき,最も高い消費電力値を記録した時点をタイトルごとの実行時,OSの起動後30分放置した時点を「アイドル時」とした。

 その結果がグラフ32だ。アプリケーション実行時において,Silentモードで動作するPowerColor RX 590とRX 580のスコア差は27〜42W程度。GTX 1060 6GBと比べると104〜128Wのスコア差がついている。いずれも4Gamer GPU Power Checkerの計測値と比べると大きめの違いになっているが,「PowerColor RX 590の消費電力がかなり高い」点では一致しているわけだ。
 RX Vega 56に迫る勢いを見せる点も,4Gamer GPU Power Checkerで計測した結果と同じ傾向と言える。

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 最後に,「GPU-Z」(Version 2.14.0)を用いて計測したGPU温度も確認しておきたい。ここでは,テストシステムをPCケースに組み込まず,いわゆるバラックに置いた状態から,3DMarkの30分間連続実行時を「高負荷時」として,アイドル時ともども,GPU-Zから温度を取得することにした。なお,テスト中の室温は約24℃で安定させている。

 その結果がグラフ33だが,GPUごとに温度センサーの位置や温度の制御法,それにGPUクーラーも異なるため,横並びの評価にあまり意味はない。それを踏まえたうえで結果を見ていくと,Silentモードで動作するPowerColor RX 590の温度は高負荷時でも約71℃と低めだ。ファンの回転数が上がるOCモードでは60℃にまで落ちるので,搭載する3スロット仕様のGPUクーラーは見た目どおりの性能を持つと言っていいだろう。
 なお,アイドル時にSilentモードのPowerColor RX 590で温度が高めになるのはファンの回転が停止するためである。

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 筆者の主観であることを断ったうえでPowerColor RX 590の動作音について述べると,Silentモードだと,「静音性が高い」とまでは言えないものの,密閉型のPCケースに入れてしまえば気にならないレベルの動作音だ。一方,OCモードだと高負荷時にかなりうるさくなる。PCケースに入れても耳につくレベルの動作音なので,正直,これで常用するのは厳しいのではないだろうか。
 PowerColor RX 590の工場出荷時設定はOCモードだが,実際に購入して常用するならSilentモードのほうがいいように思われる。


性能面ではGTX 1060 6GBと勝負できるRX 590。だが,消費電力と価格がネック


PowerColor RX 590の製品ボックス
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 以上のテスト結果から,RX 590のゲーム性能はRX 580比でざっくり1割高いとまとめることができる。徹底的にGeForceへ最適化されたタイトル以外では,程度の差こそあれ,安定的にGTX 1060 6GBを上回るスコアを示す点は評価に値しよう。

 ただし,課題は2つある。前段で指摘した消費電力と,もう1つは価格だ。
 消費電力のほうは先ほど触れたとおりで,少なくとも「GTX 1060 6GB比で100W近く大きな消費電力」はさすがにインパクトが大きいと言わざるを得ないだろう。
 また,2018年11月15日現在,GTX 1060 6GB搭載カードは,各社の高付加価値モデルであれば3万円台後半から4万円台前半という実勢価格なので,それと比べれば,原稿執筆時点で“初値”の情報が明らかになっている3製品のメーカーおよび販売代理店想定売価,

  • ASRock「Phantom Gaming X Radeon RX590 8G OC」:3万4980円(税込3万7778円)前後
  • PowerColor RX 590:3万6980円(税込3万9938円)前後
  • Sapphire Technology「NITRO+ RADEON RX 590 8G GDDR5 SPECIAL EDITION」:3万7590円(税込4万597円)前後

は悪くないのだが,一方で発売から時間が経ったことで,GTX 1060 6GB搭載カードはブランドを選ばなければ税込2万円台後半から購入できるようになっているという現実もあるのだ。エンドユーザーがAMDの目論みどおり高付加価値モデル同士で比較してくれれば弱点は消費電力だけになるが,なかなかそううまくはいかないように思う。

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 RX Vega 56とRX 580,GTX 1070とGTX 1060 6GBの間にある性能面のギャップを埋めるというRX 590のコンセプトは悪くなく,少なくとも3D性能に関してはきちんと結果も出ている。
 ただ,消費電力と価格まで考慮するに,RX 590は市場で厳しい戦いを強いられるのではないだろうか。

AMDのRX 590製品情報ページ

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