プレイレポート
「NBA 2K18」のプレイレポート。実写のようなグラフィックスでNBA選手としての人生が体験できる
「NBA 2K18」公式サイト
華麗なグラフィックスで,リアルなバスケットボールを堪能
1999年から続く「NBA 2K」シリーズは毎年,北米でシーズンが始まる10月頃にリリースされるのが恒例だ。選手の顔が「本人そっくり」というのもシリーズのウリの1つだが,本作では新たにレーザースキャニング技術を導入し,選手達からデータを採取,体型の特徴まで忠実に再現した3Dモデルを作っているというから,そこまでやるか,というこだわりぶりだ。
バスケットボールやNBAにあまり詳しくない人や,スポーツゲームのビギナーはまず,チュートリアルの「2KU」モードを遊ぶといいだろう。実際の試合の流れの中で,そのときどきに必要なテクニックを教えてくれるので,試合を楽しみつつ操作方法やコツを学べるのだ。
フェイントやコンビネーションなど,本作で選手に出せる指示は非常に多いが,[左スティック]で移動,[R2]を押しっぱなしでダッシュ。また,オフェンス時は[×]や[△]ボタンでパス,[右スティック]でシュートとなっている。ディフェンスでは,マークがついた相手の近くに寄って[L2]を押しっぱなしにする,というのが基本操作で,文章では難しく思えるかもしれないが,以上の基本を押さえていれば,とりあえず遊ぶことはできる。
最初から強いチームを使ってみる,というのもゲームを学ぶには良い手だ。というのも,選手達にはそれぞれ,オフェンスやディフェンスに関わる能力値が設定されており,同じ操作をしても,能力値が高い選手のほうが成功しやすいから。
「強いチームって,どこのこと?」と首をひねる人も心配はいらない。本作にはNBA史上の名プレイヤーが時空を超えて集まった「オールタイムチーム」がいくつか用意されており,彼らを使えば壮快なプレイが楽しめる。個人的なオススメはシカゴ・ブルズで,ここにはマイケル・ジョーダン選手,デニス・ロッドマン選手など,名前ぐらいは誰でも聞いたことがある選手が揃っているのだ。とりあえずオールタイムチームでバスケットボールの楽しさを知り,そこから現役チームで操作テクニックを詰めていこう。
主人公と一体になってNBAの世界に飛び込む「MyCAREER」モード
NBA2Kシリーズでは,自分が作った架空の主人公でプレイする「MyCAREER」モードの人気が高い。本作では,「ネイバーフッド」と呼ばれるオンラインの街が用意され,そこにさまざまなプレイヤーが集い,試合をしたり,トレーニングをしたり,買い物をしたりできるようになった(関連記事)。この街を舞台に,NBA選手としての人生を満喫するのだ。
主人公には一応,バックグラウンドが用意されており,本作の場合は「かつてバスケットボールの選手だったが,DJに転向した」という,割と破天荒な経歴を持つ人物だ。ストリートバスケの試合で活躍したところを見いだされてNBAの選手になった彼と,手腕に不安のあるマネージャー,そして仕切りたがり屋で騒がしい居候の三人四脚でキャリアを積んでいくという,ちょっと海外ドラマのような設定で,つい先が気になってしまう。
主人公にとって,NBAは未知の世界だ。チームメイトやチームの広報,セキュリティといったスタッフと交流することで,主人公だけでなくプレイヤーもNBAの舞台裏が見られるという趣向になっている。
イメージキャラクターとして企業とタイアップしたり,NBAストアでファンサービスのイベントに参加するなど,試合だけではない選手達の人生を疑似体験できるという,NBA好きにはたまらないシステムといえる。
こう書くと,MyCAREERがNBAマニア専用のように感じる人もいるかもしれないが,実はビギナーこそプレイすべきモードだろう。試合では主人公を操作するだけでよく,さらに,試合を通してバスケットボールを学べるのだ。
通常の試合では操作する選手を自由に切り替えてゲームを進めることになるのだが,最初のうちは混乱しがち。どのポジションがどんな動きをすればいいのか,それなりに理解している必要があるからだ。
しかし,このMyCAREERでは切り替えができず,主人公だけを動かせばいいのに加えて,評価システムが自分の動きの良し悪しを採点してくれるのだ。シュートしたり,相手からボールを奪ったりといった派手なプレイはもちろん,「ボックスアウト(敵を身体でブロックし,リバウンドしたボールを取れないようにすること)に成功した」「素早くパスを回した」「良いスペースの取り方をした」といった細かな点まで評価してくれるので,自然と良い動きが分かる仕組みになっている。
評価システムの目はとても厳しく,「ゴール前で敵に阻まれてしまい,苦し紛れに入りもしないシュートをした」「自分がマークすべき選手から離れた」「フリースローを外した」など,悪い動きをすると容赦なく減点されてしまうから恐ろしい。
NBA選手になったのはいいが,主人公の能力が低いうちは先発メンバーに加えてもらえないこともあり,出番は限られている。やっとお呼びがかかったと思ったら,コートでヘマをして評価ダウンということも少なからず起きる。試合に出たくてたまらないのと同時に失敗を恐れるプレッシャーが感じられ,これは実にリアルな体験だ。
試合の合間に練習を行うこともでき,これもゲームの理解に役に立つ。とくに,人数が少ない「2on2」ではセオリーを外れた動きをするとまず勝てないので,みっちりプレイするのにもってこいだ。
ゲーム内通貨「VC」で,オシャレがしたい
試合が終わると,活躍に応じてゲーム内通貨の「VC」で給与が支払われる。給料の使い道はさまざまだが,最も重要なのが能力アップで,「スピード」「スタミナ」「ジャンプ力」など各種の能力を上げると,さらに活躍できるようになるのだ。
このへんは,スポーツゲームでありながらRPGっぽいシステムで,いろいろと頭を悩ましたいところだ。ともあれ,試合をこなすごとに強くなり,次の試合が楽しみになってくる。ちなみに,試合以外のVCの入手法も用意されており,例えばシューズメーカーと契約すれば,試合でそこのシューズを履くたびにVCがもらえるし,ファンイベントやタイアップ広告でもVCが手に入る。
一方,髪型を変えたり,ウェアやシューズを買ったりするときにもVCが必要になる。成長とファッション,どちらを取るべきかというわけだが,現在のネイバーフッドには初期装備のTシャツを着た人が多く見られる。まだまだキャリアを追求している段階,といったところだろう。
ちなみに,ネイバーフッドのトレーニング施設にはバーベルやトレッドミルなどが置かれており,ミニゲームとして遊べるが,これらは単に「能力値の上限を開放する」もので,直接的なパワーアップ効果はない。
また,試合や練習を重ねることで経験値が溜まり,それが一定の値になると「バッジ」がもらえる。これは,パッシブ能力を与えてくれる効果がある。
いずれにせよ,NBA選手たるもの,とにかく試合で活躍してVCを稼ぐことがパワーアップの近道だ。強い選手ほど身なりが良くなるのは妙にリアルだが,個人的には,もう少し気軽にオシャレを楽しみたいという気がしないでもない。
もっとも,VCはMyCAREERだけでなく,後述する「MyGM」モードなど,ゲームに用意された各種のモードで手に入るほか,直接販売も行われている。いろいろなモードをまんべんなくプレイすれば,もっとオシャレできるようになる。
MyCAREERで努力し,成長する姿を見てきただけに,GMとなった主人公も応援したくなる。こちらはシミュレータとしての色彩が強く,理想のチーム作りが楽しめる。
「MyTeam」モードは選手や用具,コーチ,戦略などのカードを組み合わせてチームを育成するモードで,こちらはトレーディングカードゲーム風だ。試合をやって「MT」と呼ばれるゲーム内通貨を貯め,パックを引いて新たなカードを入手するのだが,どんな選手が手に入るのか,いつもドキドキする。
以上のように,基本的にバスケットボールをテーマにしたスポーツゲームなのだが,RPGやシミュレーション,トレーディングカートゲームの要素が盛り込まれ,NBAの熱烈なファンはもちろん,そこそこ知っているという人でも十分に楽しめる作りになった「NBA 2K18」。
ボリュームは十分以上で,遊び尽くせないほどバスケットボールがてんこ盛り。ただし,MyCAREERモードでは金欠ならぬVC欠に悩まされることもしばしばで,MyGM,MyTeamとも,それなりに歯ごたえがある。本家NBAのシーズンに合わせて,ゲームのほうも,いろいろなモードでじっくり遊んでいきたい。