プレイレポート
音楽都市を舞台にした「ハイリゲンシュタットの歌」のインプレッションをお届け。複雑な過去を持つ5人の青年との日々を描いた恋愛ADV
2017年9月28日に発売を予定しているPlayStation Vita用ソフト「ハイリゲンシュタットの歌」は,文化放送エクステンドが手がける女性向け恋愛ゲームの第3弾にあたる作品です。その後,事件の解決のため,力を貸してほしいと言われた主人公は,王立楽団のメンバーとしばらくの間,一緒に過ごすことになるのですが,度々不思議な事件に巻き込まれてしまいます。
ちょっとドジなところがある主人公ですが,自分なりに事件解決のために頑張ろうとする姿が健気で可愛らしく,魅力的です。そんな主人公と一筋縄ではいかない楽団員のメンバー達による物語の序盤を紹介します。
「五線譜」と呼ばれる青年達と,彼らを取り巻くシャルの人々
王立楽団の楽団員のなかには,「継者(ファルガー)」と呼ばれる特殊な力を使う青年達がいます。
寡黙な指揮者
ハルト
CV:小野友樹
年齢:23歳
身長:178cm
ベートーヴェンの遺志を継ぐ青年。王立楽団の指揮者。真面目で冷静沈着、楽団の頼れるリーダーだが、真面目すぎて融通が効かない面も。口数は少ないが、思ったことをそのまま口に出してしまう為、駆け引きが苦手で、よくもめ事を起こす。
麗しき天才ヴァイオリニスト
アルシェ
CV:島﨑信長
年齢:24歳
身長:177cm
モーツァルトの遺志を継ぐ青年。王立楽団のヴァイオリニスト。自他共に認める天才音楽家。天才として扱われることに慣れている為、それを鼻に掛けるような態度はとらず、フランクな性格。コミュニケーション能力が高く、女性の扱いにも慣れている。主人公に対しても、冗談交じりに口説いてくるが、いつまでたっても名前を憶えてくれない。
いたずら好きのトリックスター
ディー
CV:内田雄馬
年齢:19歳
身長:168.5cm
シューベルトの遺志を継ぐ青年。明るく快活で裏表のない性格。王立楽団のチェリストだが、音楽に対してはあまり真面目に取り組んでおらず、練習も公演もさぼり続けている。日課は楽団メンバーへのいたずら。
心優しき調律師
クラヴィア
CV:鈴村健一
年齢:27歳
身長:181cm
バッハの遺志を継ぐ青年。王立楽団のチェンバロ奏者、兼調律師。穏やかで温厚な性格。楽団の中では年長者ということもあり、各所で衝突したり、問題を起こすメンバーをうまくフォローしている。年下の楽団メンバーに異常に懐かれる特性を持つ。
自由気ままなストレイキャット
ヴィッセ
CV:岡本信彦
年齢:20歳
身長:175cm
ショパンの遺志を継ぐ青年。王立楽団のピアニスト。あまり感情を表に出さず、口数も少ない寡黙な青年。しかし、たまに発する突っ込みの切れ味は鋭い。ひとり出歩くことも多い単独行動派で猫が好き。
それぞれ偉大な音楽家の遺志を継いでいる彼らは,「五線譜」と呼ばれており,普段はステージで演奏をし,必要となれば楽器を武器に変化させて戦います。
彼らが所属している音楽特殊機関「ファタリテート」は,音楽に関係する事件を解決するための専門機関で,王立楽団の裏の顔。指揮官のアイゼン(CV:加瀬康之)と,指揮官補佐のビアンカ(CV:今井麻美)は軍属ですが,軍人とは思えないほどフランクで,五線譜のメンバーや主人公と冗談を言い合うような関係です。ビアンカは,指揮官補佐よりも劇場のマネージャー業のほうが忙しそう。特にアルシェに手をやいているようです。
また,音楽に関する事件を単独で解決しているファタリテートに何かと突っかかってくるエリート警部・ルドルフ(CV:石川界人)と,その面倒を見ているベテラン刑事・アントン(CV:興津和幸)のコンビも面白いので,ぜひ注目してください。
自分なりにできることを探そうと奮闘する主人公は,何かとトラブルに巻き込まれて……
事件解決までの期間,劇場に住むことになった主人公は,初日に五線譜のメンバーと顔合わせをしたあと,劇場内を探索することになるのですが,劇場はとっても広く,さっそく迷子になってしまいます。そんなとき,これから楽器の調律をするというクラヴィアにばったり遭遇し,そのまま彼の仕事を見学させてもらうことに。
そんな話をしていると,何やらうめき声のようなものが……クラヴィアは音の喪失事件に関係しているかもしれない,と推測しましたが,その声の主はアルシェのわがままで,倉庫で“あるプレゼント”を探していたビアンカのものでした。
アルシェは,今晩のデートの相手である公爵夫人に,以前プレゼントしたネクタイピンを付けてくるように言われたらしいのですが,そのネクタイピンがどこにあるのか分からないらしく,ビアンカに探すようにと言ったそうです。
ビアンカに協力すると申し出た主人公とクラヴィアでしたが,捜索を始める前に,何やらカチカチと音が聞こえてきました。もしかしたら今度こそ音の喪失事件に関することかもしれないと,その音の出処を突き止めた主人公でしたが,そこにあったのは,なんと時限爆弾!
結局,造った人にしか直せないということで,ネクタイピンの入っていた箱に書かれていたお店に主人公が行くことになります。
1人では迷子になってしまうだろうということで,クラヴィアが付いてきてくれる……かと思いきや,そこは薔薇が壊れる元凶となったディーが付き添ってくれることに。なんだかんだでいい子。
その人形を直してあげようと,手に取ろうとする主人公ですが,人形の様子が突然おかしくなって……。
音楽にこだわって作られた作品
本作は“音楽”をテーマにしているということで,さまざまなところで音楽へのこだわりが感じられます。
それぞれのルートのエンディングテーマ「君への歌」は,そのルートのキャラクターが歌唱する形となっています。すべて同じメロディの楽曲となっていますが,ルートごとに歌詞が異なっていたり,異なるアレンジが加えられているというこだわりが! ぜひ,すべてのルートをクリアして,5種類のエンディングテーマを聞いてみてくださいね。
また,BGMも楽器にこだわっているということで,ほとんどの楽器を生演奏で収録しているそうです。演奏シーンのBGMには,シームレスに楽器の音が増えていくといった,乙女ゲームでは珍しい演出も用意されています。
本作のエンディングを見ると「音のかけら」というポイントが入手可能です。このポイントは,メニューの「EXTRA」で使うことができ,消費することで本編には登場しないスチルや,ボイス付きのシナリオが閲覧できます。
音楽の街・シャルで起きる事件を解決するために奮闘する主人公と五線譜。共通ルートでは,彼らと打ち解けるまでが描かれ,そのなかで彼らが時折思い詰めたような表情をすることがあります。彼らはそれぞれ,訳ありな過去を持っているようで,その真相は個別のルートで明らかになっていきます。
そして,条件を満たすことで開放される「ハイリゲンシュタットの歌」では,あるキャラクターの過去,今に焦点を置き,未来へとつながる物語が描かれています。このシナリオは,本作の世界観に深く迫るものとなっているので必見です!
文化放送エクステンドがいままで手がけてきた「逢魔が刻〜かくりよの縁〜」と「Side Kicks!」の2作とは,また違った世界観で描かれている本作ですが,ほかの2作と同様に,丁寧に作り込まれた作品となっているので,ほか2作をプレイ済みで,本作も気になっているという人はもちろん,文化放送エクステンドの作品を初めて遊ぶという人にもおすすめな作品です。
「ハイリゲンシュタットの歌」公式サイト
(C)NIPPON CULTURAL BROADCASTING EXTEND INC.