プレイレポート
「Re:Legend」正式リリース版プレイレポート。農業や釣りなどを楽しみながら冒険できるスローライフ・アクションRPG
「スローライフ・アクションRPG」と紹介したが,実は本作のジャンルを一言で言い表すのは難しい。メーカー資料を見ても「Co-op シミュレーション RPG」「モンスター育成」「アクション」,Steamのタグでも「RPG」「農場シミュレーション」となっており,パッと見では何が何やら……だ。
正式リリースを果たしたこの機会に,相当な欲張りセットに見える本作のプレイレポートをお届けしたい。
「Re:Legend」公式サイト
開幕から押し寄せるスローライフ要素。店で買うのではなく,自分で集めて作り出していく楽しさ
本作の物語は,滝から落ちた主人公がとある村に漂着したところから始まる。主人公は記憶を失っており,何も思い出せないが,幸いなことに村人たちは超親切。とりあえず生活していくための家も用意してくれる。
自宅前には荒れた農場があり,ここをクワで耕すことで,種を植えられるようになる。水やりを毎日していくことで少しずつ育っていき,回復アイテムとなるベリーなどを収穫できる。このあたりは,スローライフ系のゲームではおなじみの流れだ。
自宅前には「出荷ボックス」が設置されており,ここに売却したい物を入れておくと,NPCが毎日回収しに来てくれる。主人公が流れ着いた「ヴォッカ タウン」は小さな村で,道具屋などのショップ施設もあるが,そこではアイテム類の「買い取り」をしていない。不要なアイテムを換金するには,自宅前の出荷ボックスに入れて1日待つしかないのだ。
クラフト要素もあるが,最初は「銅のインゴット」などの中間素材を作るために必要な素材を探すことからだ。各素材の入手先や,何が作れるかを把握できるようになると,クラフトも金策のひとつになる。
そのほか,「釣り」や「料理」などもあり,これらの要素がゲーム開始直後から一気に開放されていく。
そして本作の重要な要素が,フィールドやダンジョンに棲息する「マグヌス」と呼ばれる生き物たちだ。基本的には戦って倒せば経験値を得られる,普通のRPGでいうところのモンスター的存在なのだが,手懐けて相棒にすることもできるのだ。
仲間となったマグヌスは戦闘に入ると共闘してくれるほか,騎乗しての戦闘も可能。騎乗すると主人公の移動速度が速くなるので,通常時の移動にも役立つ存在だ。
このようにして,ゲーム開始直後からスローライフ要素が次々と開放されるわけだが,本編のストーリーを進めていくにも,それなりに歯応えがある。
フィールドやダンジョンにいるマグヌスたちは,見た目の可愛らしさに反して結構な体力を持っており,初期装備の武器では,1体相手でもけっこう時間がかかる。レベルアップをするとパラメータの割り振りが可能だが,これをある程度「パワー」に振っておかないと,序盤のボス戦がとんでもない難度になったりする。マグヌスを倒して着実にレベルアップしていくことは非常に重要だ。
また,武器や防具を新調するにも,ショップでは販売されていない。素材を自分で集めて作る必要があるため,どこでどんな素材が拾えるのか,自身の足で歩いて得た知識が重要となる。
回復アイテムは農業で得たり,肉や魚を料理して自作。お金は,拾って得た物を出荷ボックスに入れて換金。武器・防具は素材を自分で集めて自作。本作のスローライフ要素は寄り道要素ではなく,本編の物語を進めるための補助的役割を果たすものとなっているわけだ。
本作では,さまざまな行動に対してスタミナ(SP)を消費するようになっており,これが0になると,ほぼ何もできなくなってしまう。減ったスタミナは自宅で寝ると回復するので,スタミナが残り少なくなってきたら自宅へ帰還しよう。
スタミナを含む各種パラメータは,主人公の「生活スキル」によっても成長していく。
たとえば,木材を伐採していると伐採スキルが上がるが,このスキルが1レベル上がるごとに伐採力が上昇し,最大スタミナ値が5アップする。生活スキルは「採鉱」や「伐採」など全16種類あり,あらゆる行動が何らかのスキルアップにつながるのだ。
本編はアクションRPGであり,主人公は記憶を取り戻すことが目的だが,その過程でヴォッカ タウンの人々との交流や問題解決をすることになる。ストーリーを進めるように急かされることはなく,プレイヤーがそのときにやりたいことを優先して進められ,スキルの成長やアイテムの入手といったスローライフ要素で得たものは,いずれ本編で役に立つ。アクションRPGとスローライフ要素,お互いがうまく絡み合い,結実している印象を受けた。
可愛らしい見た目と世界は好感が持てる。しかし,細かい問題は多い
親しみやすく可愛らしいキャラクターや,どこかほのぼのとした世界,のどかなBGMも素晴らしく,スローライフを楽しむ要素とアクションRPGの融合もちょうどいい。コツコツとマイペースで進めていくのが大好きな人にとって,本作はたまらないだろう。
序盤のボスは「推奨レベル15」と設定されているが,ノーヒントの手探り状態でスローライフ要素を楽しみながら進めていると,そこまでのプレイ時間が10時間を超えるかもしれない。最終的なボリュームは相当なものになるはずだ。
ただ,チュートリアルで表示されたコントローラのボタン表示と実際のボタンが異なるといった,微妙に困ることも散見される。
また,条件は分からないが,画面上の特定のアイコンが点滅し続けるという症状にも見舞われ,一旦,Alt+Escボタンでゲームウィンドウを最小化して,また戻す必要があった。アーリーアクセス終了からの正式リリースということだが,不具合はまだまだ残っているようだ。
見た目の可愛らしさもあって,取っ付きはいいゲームなのだが,意外と不親切な点も多い。正直なところ,筆者も分からないことが多く,毎日水やりをしていたにもかかわらず,畑の作物が枯れたときは,しばらく原因不明だった。
のちに道具屋で売られていた種のラインナップが変化し,説明欄に「[夏]」と記載されていたことから,「季節が変わったため,春向けの作物がダメになったのか……」と推測できたが,こうした部分にはしっかりとしたチュートリアルがあってもいいのではないか。
ただ,不親切な部分すべてがマイナスポイントというわけではない。「この素材はここで手に入れるのか」「こうしたら効率がいいな」といった,“プレイヤーが自らの手で道を切り拓いて発見をすること”が重要視されている気がするからだ。
たとえば,序盤に農場で拾える「シダ」「石」「古い丸太」を出荷ボックスに入れて,お金を稼いでいたのだが,これらを2つずつ使って「初心者の防具」をクラフトすると150Gになる。シダと石は1つ10G,古い丸太は20Gで売却できるので原価は80G。つまり,ひと手間加えると70Gも儲かるのだ。こうした小さい“発見の嬉しさ”が楽しい。
前述のとおり,本作には惜しいと感じる点が多い。ただ,それらを補って余りある魅力もある。
新しい武器防具を入手するには,自分で素材を集めて作る必要がある。お金を得るには,拾った素材や伐採した材木などを出荷ボックスに入れて換金する必要がある。そのため,通常のRPGよりも攻略に時間がかかるだろう。
しかし,その過程を楽しいと感じられる何かがある。健気に頑張る二頭身の可愛らしい主人公だったり,そんな主人公が農作業をしている間,農地の外でじっと見守るマグヌスの可愛さだったり。ハイペースでストーリーを進めるのではなく,じっくりジワジワと進めていく楽しさ。これこそが,まさにスローライフだという気がするのだ。
「牧場物語」や「スターデューバレー」「ルーンファクトリー」といったスローライフ系の作品が好きな人なら理解しやすいと思うが,どういうゲームかを把握して,1日のうちに何をやれるのかが分かってくると,スローライフなのに「やることが多い……!」と忙しくなってくるあたりも本作はよく似ている。
できるだけ効率的に動いて,忙しいスローライフを送るもよし。農場に種を植えて水を撒き,まだ昼なのにベッドに飛び込んで寝てしまう生活をするもよし。プレイヤーのやりたいように進められる懐の深さが心地よく,嬉しい作品だ。
正式リリースを迎えたとはいえ,今後もアップデートが行われるはずだ。本作が気になった人は,ぜひチェックしてみてほしい。
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