「風ノ旅ビト」のデベロッパによるスマホ向けアプリ「Sky 星を紡ぐ子どもたち」プレイインプレッション。言葉は交わさなくても空を飛べる

　「風ノ旅ビト」や「Flowery」のデベロッパとして知られるthatgamecompanyのスマートフォン向けアプリ第1弾「Sky 星を紡ぐ子どもたち」（iOS版）の配信がスタートした。

※0：25頃追記：iOS版アプリが2019年7月17日夜半に配信開始となりました。編集部でも確認の上，記事の一部をアップデートしています。

　制作が発表された2017年から長きにわたって謎のベールに包まれていた本作だが，配信に先駆けてゲームの内容を体験できたので，本稿でプレイインプレッションをお届けしよう。

「Sky 星を紡ぐ子どもたち」公式サイト

「Sky 星を紡ぐ子どもたち」ダウンロードページ

　ゲームの物語は，かつてthatgamecompanyが手がけた作品と同様に，ほとんどテキストのない形で“察する”しかない（操作などの説明は最小限だが存在する）。プレイヤーに提示されるのは「星々の世界から地上に落ちてきてしまった“精霊”を空に帰還させる」という使命だけである。


　精霊たちは，なぜ地上に落ちてしまったのか。そして，それを救う主人公は何者なのか。そういった謎の数々は，世界中をわたり歩きながら断片的な情報を収集していくことで，少しずつ明かされていくのだ。

ゲームを開始すると，オープニング映像のあと，操作が可能となる

　地上に落ちた精霊は黒い石の姿となり，あちこちに散らばっている。これらを解放するためには，フィールドの各地に置かれている「キャンドル」に火を灯し，そこから得られるエネルギーを消費せねばならない（以降は単に「キャンドル」と呼ぶ）。集めたキャンドルは本作における“通貨”としても機能するので，キャンドルを発見し次第，火を灯していこう。

何らかのアクションが発生するオブジェクトは，近寄ると専用のアイコンが表示される

黒い石となった精霊を解放してキャンドルを贈ると，絆レベルに応じたアイテムやエモートが手に入る

自分をタップすると，精霊の“光”が呼び声に応えてくれる。精霊の痕跡などを見つけたら，まずは自分をタップして呼びかけてみよう

　本作の魅力はなんといってもビジュアルによる表現力だ。移動や視界の回転は左右のバーチャルパッドで行うのだが，極めて軽快な操作感覚と相まって，歩き回るだけで世界観を堪能できる。

　「風ノ旅ビト」で見られた砂丘の世界はもちろん，草原と青空のコントラストや，厳かな雰囲気がただよう遺跡の内部など，どこに行っても映像美に目を奪われること請け合いだ。

これらのスクリーンショットはプリレンダリングムービーを切り出したものではない

　ある程度ゲームを進めると，右側のバーチャルスティックをホールドすることで，自キャラが空に飛び上がれるようになる。この能力を活用して乱気流の中に飛び込めば，自由に空を飛ぶことも可能だ。

自力で空を飛べるほか，飛行生物に乗るシーンもある

キャンドルを使った間接的なコミュニケーション

　メインストーリーは，ソロプレイでも最後までクリアできる仕組みになっている本作だが，フィールド内には同エリアにいるほかのプレイヤーキャラクターの姿も表示されている。彼らとのゆるいマルチプレイ要素も注目ポイントだ。

　先に紹介したとおり，本作はゲーム内で進行目標が明示されず，キャンドルもひっそりと配置されていることが多い。そんなキャンドルを新規プレイヤーが見落とさないように，先行しているプレイヤーが間接的に教えられる仕組みが用意されている。


　ゲーム内で出会ったプレイヤーとは，互いにキャンドルを贈り合うことで親交を深められる（フレンドになれる）のだ。親交を深めると，ハイタッチやハグなどのコミュニケーション機能がアンロックされていく。

　面白いのは，本作におけるプレイヤーキャラには固有の名前が存在せず，フレンドのキャラ名は自分で設定するという点である。ちなみに，一定以上まで親交を深めなければテキストチャットを行えない仕組みなので，挨拶や会話のわずらわしさはない。

親交を深めていないプレイヤーキャラの姿は，灰色かつ個性の感じられないモデルで表示される

QRコードを生成してゲーム外でフレンドを作れるという機能もある。すでに行ったことがある場所であれば，フレンドのところまでワープも可能だ

フレンドとは手をつないで一緒に移動できる。筆者がプレイしたときは，別のプレイヤー（開発スタッフもしくは同業者）に進行を助けてもらえた

　旅の拠点となる島に戻ると，プレイヤーが助け出した星の精霊たちが作り出す星座を見つけられる。星座の星々は旅の途中で出会った精霊やフレンドを表しており，ここからキャンドルを直接贈ることも可能だ。

NPCとして登場する精霊たちもフレンドと同様にツリーを持っており，フレンドと同じようにキャンドルを提供できる

　以上のとおり，キャンドルの使いどころは非常に多い。なお，メインストーリーを進めれば，ゲームの進行や数人のフレンドとのやり取りに必要な分のキャンドルは十分手に入るようだ。

　そのほか正式サービス後に2か月間隔で実施される予定のイベントや，ログインボーナスとしての配布を通じても手に入れられるという。課金要素としても用意されるので，もっと多くの仲間とつながりたいという人は購入を検討するといい。

貴重なアイテムを入手できる「ハート」。精霊と一定以上まで親交を深めるか，プレイヤー同士でのやり取りを行わなければ手に入らない。具体的な用途はテストプレイの時点では不明

メインストーリーの攻略には6〜10時間程度，すべての精霊やキャンドルを探し出すには20時間以上のボリュームがあるとのこと

　本作のビジネスモデルは基本プレイ無料のアプリ内課金制だが，無料でダウンロードできるタイトルとは思えない遊び応えがあった。シーズンパスを購入すれば，デイリーボーナスが増加したり，新たなエモートやアイテムが入手できたりする。ちなみにシーズンイベント期間中は，シーズンパスを購入しなくともクエストに参加し，一部の限定アイテムを獲得できるとのこと。

　「Sky 星を紡ぐ子どもたち」は，テキストによる説明が可能な限り省かれているものの，ほかのプレイヤーとのコミュニケーションが重視されているという，かなり意欲的な作品だ。iOS版が先行配信されたが，Android版やPC版の配信も予定されている。thatgamecompanyの作風が好きな人ならきっと楽しめるタイトルなので，少しでも興味がわいたならぜひ一度プレイしてみてほしい。

※2019年7月23日12：50頃追記：メーカーの修正依頼をもとに記事の内容をアップデートしました。

新しいエモートなどを入手した際，精霊と一緒にポーズをとるシーンがお気に入り

「Sky 星を紡ぐ子どもたち」公式サイト

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