インタビュー
まちゃぼー選手&RAIN選手インタビュー。競技シーンの最前線で戦い続ける2人にEVO2019を振り返ってもらった
まちゃぼー選手,RAIN選手と言えば,プロゲーマーになる以前から競技シーンの最前線で活躍を続けている2人だ。よしもとゲーミングのプロゲーマーとしてEVO2019を戦い抜いた感想を聞くとともに,今後の目標や展望を聞いたので,その模様をお届けしたい。
「よしもとゲーミング」公式サイト
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。今年はよしもとゲーミング所属のプロゲーマーとしてEVO2019に参加したわけですが,感想を聞かせてください。
RAIN選手:
EVOには毎年参加しているので,特に何か心境が変化したり,変に気負うということはありませんでした。ただ,今年の「大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL(以下,スマブラSP)」部門はエントリー数が3500人もいたので,何回勝てば優勝できるんだろうとは思っていましたね(笑)。
まちゃぼー選手:
自分も毎年参加しているので,これといって心境が変わったりはしませんでした。プール予選に挑むときは今年もEVOに帰ってきたなぁって思ったりしたくらいです。それくらい大型大会に慣れてきているということなんでしょうが(笑)。「ストリートファイターV アーケードエディション(以下,ストV AE)」部門も参加者は多かったんですが,楽しみつつも真剣にトーナメントを戦えたと思っています。
4Gamer:
まちゃぼー選手は2016年が初参加でしたね。慣れてきているという話ですが,当時はやはり緊張していたのでしょうか。
まちゃぼー選手:
ガチガチでしたね(笑)。動き悪いなって自覚しながら戦っていた記憶があります。
4Gamer:
コンディションはいかがでしたか。
RAIN選手:
自分とまちゃぼーさんは同じ部屋だったんですが,睡眠時間はかなりおかしくはなっていましたね(笑)。寝たいときに寝て,起きたいときに起きて行動するみたいな。ただ,試合前に睡眠がしっかり取れて体調も悪くなかったので,大会にはいい状態で参加できていたと思います。
まちゃぼー選手:
自分も好き放題な生活リズムで大会前は過ごしていました。大会前日は16時間くらいベッドの上から動きませんでした(笑)。ずっと寝たり,音楽を聞いたり動画を見たり,ゲームをしたりをループしていました。それくらいリラックスできていたんだと思います。
4Gamer:
大会に向けて,特別に行った練習や取り組みはなにかありましたか。
RAIN選手:
大会前日にローカル大会があるんですけど,そこで調整していましたね。あとは普段通りといった感じです。
まちゃぼー選手:
自分はマイペースでしたね。今年で4回目の参加だったんですけど,気負い過ぎてもいいことはないと感じています。今年はよしもとゲーミングにスポンサードしていただいて,「Capcom Pro Tour」に参加しているわけですが,序盤は責任感でゲームをしていた部分があったんですよ。でも,結果が鳴かず飛ばずで……。そこから少し気を抜いてプレイするように心がけたら結果がついてきたので,意識的にマイペースで取り組もうとしています。
4Gamer:
まちゃぼー選手は今年に入って飛躍的に成績を伸ばしています。EVO2019でも「ストリートファイター」シリーズでは過去最高となる5位を記録しました。躍進の理由はどこにあると考えていますか。
まちゃぼー選手:
2日目の予選を戦っているときに,去年より精神的にかなり楽になったと感じていたんですよ。去年はあと2回勝てばTOP8というところで負けてしまったんですが,参加中に「あと何回勝てば2日目が終わるんだ……」といった感じで精神的疲労がすごかったんです。誇張じゃなくて,「終わったら立っていられないんじゃないか」と思えるほどでした。
4Gamer:
精神的な余裕が生まれた理由はなんだと思いますか。
まちゃぼー選手:
単純に実力が付いたんだと思います。強くなればそのぶん試合ごとの精神的疲労も減りますので。去年は勝つにしてもギリギリの試合ばかりだったんですが,今年は試合カウントを2-0で勝つことが多くなった。EVO2019に限らず,今年はいい循環で大会に臨めていると感じています。
4Gamer:
EVO2019ではTOP8にWinner'sで進出したものの,最終日は初戦でLoser'sに落ちてしまい,そのままLoser'sでも敗れ,5位で大会を終えました。
まちゃぼー選手:
Winner'sで戦ったInfexious選手との試合は,ちょっと焦り過ぎてしまいましたね。これまでも大事な試合で焦ることが多く,それが課題だと認識していたのですが,ここでもそれが出てしまいました。内容的には悪くなく,勝てる試合だったと思っています。
4Gamer:
試合を見ていても,優勢に押していた印象を受けました。
まちゃぼー選手:
また,ダブルエリミネーションの大会では,Loser'sに落ちた後に立て直しを図ることが重要なんですが,それはEVO2019ではできていたと思っています。それでもBig Bird選手に負けてしまいましたが,純粋に実力が足りていなかったからですね。
自分の中では,キャラ対策,人読みも一定の水準でできていて,内容も悪くなかったと思うのですが,結果的に0-3で敗れてしまいました。優勝するには,メンタル,実力ともに少し足りていなかったと思っています。
4Gamer:
EVOのストリートファイターシリーズ部門では初めてのTOP8進出ということで,それで気負っていたということはありませんでしたか。
まちゃぼー選手:
そんなことはないと思っているんですが,正直なところは分からないですよね。Winner'sでのTOP8進出でしたし,優勝できるかも! といった気持ちがちらついていたのは否定できません(笑)。
4Gamer:
RAIN選手は3500人弱のスマブラSP部門で65位タイという成績でトーナメントを終えました。
RAIN選手:
最低限残すべき成績は残せたかなとは思っていますが,もっと上に行きたかったというのが本音です。実力も少し足りていなかったし,当たった相手とのキャラ相性も良くありませんでした。
4Gamer:
現在,EVO2019で使用したウルフからジョーカーに,キャラクター変更を進めているとのことですが,これはキャラ相性の問題を解決するためなのでしょうか。
RAIN選手:
そうですね。EVO2019だけでなくウメブラでも,当たりたくないキャラに当たって負けてしまったので……。元々最強キャラ使いを自負しているので,今はジョーカーをがっつり練習しています。また,なんにせよEVO2019では,やりこみも足りていなかったと思っているので,もっとスマブラやりたいですね。
4Gamer:
EVO2018,EVO2019と2年連続でスマブラシリーズのTOP8に日本人選手が3人残りました。近年は国内選手の活躍が目立つようになり,海外のトッププレイヤーとの差が縮まっているように感じます。
RAIN選手:
自分も3か月ほど前――2019年5月あたりに日本人選手が海外選手に追いつきつつあると感じたんですが,MkLeo選手なんかを見ていると,明確な差はまだありますね。ただ,そのMkLeo選手も日本のかめめ選手がLoser'sに落としているんで,間違いなく日本はスマブラの強豪国の1つに入っていると思います。EVOでも何年か後,日本人選手が優勝している可能性も低くないと思いますよ。
4Gamer:
それはRAIN選手がということでしょうか。
RAIN選手:
自分ではないとは言えませんよね(笑)。そうなれるように練習を続けていきます。
4Gamer:
先ほど名前が出ましたMkLeo選手ですが,今年に入ってビッグタイトルを立て続けに獲得しています。ほかの選手と比べて何が秀でていると考えていますか。
RAIN選手:
すべてが高水準なのは間違いなく,さらにフルタイムのプロゲーマーなので,いい環境で常に練習できていることは大きいですね。また,言うまでもなく彼は誰もよりも優れた才能を有していると思っています。
4Gamer:
MkLeo選手はまだ18歳ですよね。EVO2019のグランドファイナルでは2-0まで追い詰められてからの逆転優勝となりました。
RAIN選手:
自分が日本語配信の解説を担当していたので試合はすべて見ていましたが,彼は主人公ですよね(笑)。優勝する選手は何か持っているんだなぁって感じました。
4Gamer:
スマブラSPのMkLeo選手のように,ストV AEでは日本のボンちゃん選手が圧倒的な結果を直近の大会で残しています。まちゃぼー選手から見て,現在のボンちゃん選手が活躍している要因はなんだと思いますか。
まちゃぼー選手:
ボンちゃんさんの使用キャラであるかりんが相対的に見て上位のキャラだということ,そしてボンちゃんさんが大器晩成タイプだということがとくに大きい要因だと思います。やり込めばやり込むだけ強くなる人なので,キャラの強さも相まって,安定した成績を残していますね。
あとはかりんが苦手なキャラがいるんですが,それに対してサガットをぶつけられるのも大きいですね。もしかりん1本だったら,もう少し成績は落ちていると思いますよ。
4Gamer:
ボンちゃん選手は晩成タイプとのことですが,まちゃぼー選手は自身から見て,早熟なのか晩成なのかどちらなのでしょうか。今年に入っての成績を見ると晩成のように感じられますが。
まちゃぼー選手:
どちらなんでしょう(笑)。確かにストリートファイターシリーズの成績は尻上がりに伸びてきましたが,すばやく仕上げることも苦手というわけではないんですよ。
また,主戦場をストリートファイターシリーズに移して気が付いたことなんですが,自分は展開が早いゲームで読み合いをするのが苦手なんです。
4Gamer:
「Mr.最適解」とも呼ばれるまちゃぼー選手ですが少し意外です。
まちゃぼー選手:
自分は読み合いを回避してきた人間なんですよ。GUILTY GEARシリーズは自由度が高かったので,状況ごとに多くの選択肢がありました。自分はその中から相手が気付いていない答えを見つけ出すことが得意だったので,試合を運べたんです。
ですが,ストVシリーズは限られた選択肢の中で相手と真正面から読み合って,ベストの答えを出さなければならない。これが本当に難しく感じています。
4Gamer:
その能力が優れている選手はだれになりますか。
まちゃぼー選手:
ふ〜どさんは本当に優れていると思っています。ストVシリーズってゲームスピードが速くて,情報を整理する時間が全然ないんですよ。体力やゲージ状況,画面位置,残り時間など刻々と変化する試合の中で,ふ〜どさんはベストな選択肢を選ぶのが本当にうまい。ときどさんやボンちゃんさんもうまいので,そういった選手が安定した成績を残しています。
4Gamer:
EVO2019の話に戻ります。今年のEVOで印象に残った出来事やトピックはありましたか。
まちゃぼー選手:
最終日の決勝大会の合間に,観客参加型のイベントが開催されていたんですけど,あれは良かったですね。特定の状況の場面が映し出されて,このコンボは相手を倒しきれるでしょうか? みたいなクイズだったんですが。かなり盛り上がっていましたし,選手間でもかなり好評でしたよ。自分も大会だけでなく,こういったイベントは面白いなってほっこりしていました(笑)。
選手はもちろん主役なんですけど,盛り上げる観客もイベントの参加者なので,全員が楽しめるイベントがあるEVOは本当に素晴らしい大会だなって思いましたね。
RAIN選手:
今年は最終日のトリがスマブラSPだったわけですが,スマブラシリーズを主戦にしている自分からすると感慨深いものがありました。エントリー数が一番多くても,トリはほかのタイトルが選ばれると思っていましたので……。
スマブラSPは国外だけでなく,国内でもすごい勢いを見せているタイトルで,例えば500人規模の大会のエントリーを開始すると,数分で埋まってしまうことも少なくないんですよ。まだ1年目のタイトルですし,今後の盛り上がりにも注目してほしいですね。
4Gamer:
2人の今年の目標を聞かせてください。
まちゃぼー選手:
今年は「Capcom Cup 2019」出場が目標だったんですが,これはほぼ達成できたので,Capcom Cup 2019優勝が次の目標になりますね。ただ,現状の実力で足りていないのは間違いないので,苦手な部分を克服できるよう練習を重ねていきます。
使用キャラのネカリが自分が苦手な部分を求めてくるんですよ。現状はネカリの性能を完全に引き出せていないので,それをきちんと引き出せるようになりたいですね。むしろ,Capcom Cup 2019までにそこまで仕上げて,優勝を目指せる状態を作り上げることが目標と言ったほうがいいかもしれません。
4Gamer:
ところで,まちゃぼー選手はネカリ以外のキャラを使うことは考えていないのでしょうか。
まちゃぼー選手:
今年はネカリ1本でいきます。これは宣言しているので曲げません。
RAIN選手:
自分はジョーカーをメインキャラとして仕上げることが目標ですね。スマブラSPが出てから,キャラ変えを何回もくり返しているので……。それが前提の目標で,今日本で活躍している若い世代のプレイヤーの実力に追いつきたいですね。
4Gamer:
選手として活躍している2人ですが,今後選手以外の活動を何かする予定はありますか。
まちゃぼー選手:
あんまり考えたことがないですね。自分には「第一線で活躍して最強になりたい」という大きな目標があって,それを今プロゲーマーになって,自由にやらせてもらっているんですよ。ほかのことをするとそれだけ,目標を達成できる可能性が減ると思うので,とにかく最強を目指してがんばりたいですね。
RAIN選手:
同じ考えですね。自分はよしもとの社員でもありますが,選手としては勝つことがすべてだと考えています。
4Gamer:
最後に読者やファンに対して,メッセージや今後の意気込みを聞かせてください。
RAIN選手:
スマブラ勢の中ではかなり年齢が高いんですが,自分が活躍することで年齢が高くてもスマブラで活躍できるということを証明し続けたいと思っています。いつまでも一線級で活躍できるようがんばっていきます。
まちゃぼー選手:
自分は寡黙なタイプで,黙々と練習して,大会に出るといったプレイヤーなので少し応援しづらいところがあるかもしれません。ただ,Capcom Cup 2019優勝に向けて,かなり力を入れて練習していますし,今後も大会などには積極的に出場していきますので,ぜひ応援のほどよろしくお願いします。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
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