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日本一はセ・リーグ代表の読売ジャイアンツ! 「eBASEBALL プロリーグ」2019シーズン SMBC e日本シリーズをレポート
SMBC e日本シリーズは,NPBとKONAMIが共同で開催するPS4版「実況パワフルプロ野球2018」を競技種目としたeスポーツリーグ「eBASEBALL プロリーグ」の2019シーズンを締めくくる大会だ。2019年11月から実施されたeペナントレースの各リーグ上位3チームで競われたコカ・コーラ eクライマックスシリーズ(関連記事)を突破したセ・リーグ代表の読売ジャイアンツ(セ・リーグeペナント2位。以下,巨人)とパ・リーグ代表の千葉ロッテマリーンズ(パ・リーグeペナント1位。以下,ロッテ)が日本一の座を懸けて戦った。本稿で熱戦の模様をレポートしよう。
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セ・リーグ2位から日本一へ。巨人が2連勝でパ・リーグ王者のロッテを制す
SMBC e日本シリーズは,両球団の代表選手が3イニングずつ操作を担当する9イニング制で試合を行ない,先に2勝を挙げた方が優勝という決着方式で実施された。事前に公開されていた,第1試合と第2試合のロースター(出場選手順)は以下のとおり。
千葉ロッテマリーンズ VS 読売ジャイアンツ
第1試合 ロースター
1〜3回(ロッテ:町田和隆選手 - 巨人:吉田友樹選手)
4〜6回(ロッテ:下山祐躍選手 - 巨人:舘野弘樹選手)
7〜9回(ロッテ:清野敏稀選手 - 巨人:坂東秀憲選手)
第2試合 ロースター
1〜3回(巨人:高川 健選手 - ロッテ:町田和隆選手)
4〜6回(巨人:舘野弘樹選手 - ロッテ:柳 虎士郎選手)
7〜9回(巨人:吉田友樹選手 - ロッテ:下山祐躍選手)
巨人代表選手。左から坂東秀憲選手,高川 健選手,吉田友樹選手,舘野弘樹選手 |
ロッテ代表選手。左から下山祐躍選手,清野敏稀選手,町田和隆選手,柳 虎士郎選手 |
解説はプロ野球OBが担当。第1試合は岩村明憲氏(写真左)とG.G.佐藤氏(写真右) |
第2試合は真中 満氏(写真左)と斉藤和巳氏(写真右)が解説を担当した |
先攻はロッテ,指名打者ありで行われた第1試合は,両チームともにレジェンドOBを投入。ロッテは現監督である井口資仁を投入し打撃力とセカンドの守備を強化し,巨人は日本野球界のレジェンドである王貞治を4番ファーストに据えて試合に臨んだ。
ロッテは町田選手,巨人は吉田選手が先陣を切った1〜3回は,お互いが好ピッチングを披露。1回裏のランナーを出した状態での王の打席と3回表のロッテの攻撃ぐらいしかチャンスは生まれず,0-0のまま下山選手と舘野選手という両チームのキャプテン対決となった4〜6回の攻防へと移行する。
試合が動いたのは,舘野選手が王で四球を選び出塁した4回裏。5番ゲレーロは凡退するも,続く阿部で前の打席では反応できなかった内角への変化球を完璧に捉えてホームランを放ち,2点のリードを奪うことに成功する。
下山選手は6回表に加藤でソロホームランを放つも,舘野選手は6回裏の王の打席で,パワーを活かしてボール球を引っ張り,強引にヒットにして1点を追加。2点のリードを維持したまま7〜9回につないだ。
両キャプテンに後を託された巨人の坂東選手とロッテ清野選手の対決は,巨人の球団職員でもある坂東選手が圧倒する。外角低め,内角高めのストライクゾーンギリギリにストレートをナイスピッチで投げ込む投球で清野選手の打棒を封印。任された3イニングをすべて三者凡退で抑えてゲームセット。3-1で巨人が勝利し,日本一へ王手をかけた。
巨人先攻の指名打者なしで行われた第2試合は,第1試合とは打って変わって初回から得点を奪い合う展開に。巨人の高川選手がツーランホームランで先制すると,ロッテも負けじと,第1試合に続き先鋒を任された町田選手がソロホームランで1点を返す。しかしこのまま打撃戦にもつれこむまでには至らず,2回と3回は両者無得点で終了。巨人の舘野選手,ロッテの柳選手の対戦となった4〜6回へ突入する。
巨人のキャプテンにしてエースである舘野選手と,ロッテの躍進を支えた若手のホープ柳選手による中盤戦は,4回表にいきなり波乱が起こる。この日初めてコントローラを握った柳選手が,外野へのライナー気味の打球の目測を見誤り,ノーアウト3塁というピンチを招いてしまう。
このチャンスをセ・リーグ屈指の強打者である舘野選手が見逃すはずはなく,タイムリーを放って中押しとなる追加点を獲得する。痛恨のミスを犯すも4回表を最少失点で切り抜けた柳選手は,毎回チャンスを作るものの得点を奪うまでには至らず。ロッテの下山選手が巨人の吉田選手を打ち崩せるかに試合の焦点が当てられる。
得点を奪えなければ終わりの下山選手は,投手に特殊能力「勝ち運」を持った唐川を投入。さらに代打で出したバルガスを捕手に置くといった,超攻撃的な采配を振るう。
得意のピッチングで吉田選手にチャンスを与えずにイニングを進めると,8回裏に得点機会が訪れる。代打で投入した鈴木大地でヒット,続くマーティンで四球を選ぶと,ノーアウト1,2塁で迎えた加藤の打席は“勝負の”3バントでランナーを進め,最後は井上でセンター前ヒットを放ち2点を獲得。土壇場で試合を振り出しに戻す。
下山選手は9回裏にも捕手にしてまで残しておいたバルガスでヒットを放ち,さらなるプレッシャーを巨人にかけるも,ここは吉田選手が踏ん張り,勝負はタイブレークでの延長戦にまでもつれこむ。
得点圏にランナーを背負って戦うタイブレークでの攻防を任されたのは,巨人は舘野選手,ロッテは下山選手と,どちらもチームのキャプテンだった。
10回表,ノーアウト1,2塁,先頭打者坂本でスタートという好条件が整っていた舘野選手は,バントで送る安全策は取らず勝負を選択。初球の内角高めストレートを投手に叩き返し,ノーアウト満塁の状況を作り出す。
舘野選手は,続く代打の大城でしっかり犠牲フライを決めて勝ち越し点を取ると,ビヤヌエバのタイムリーと岡本のセカンドゴロで得点を追加。シーズン防御率1点台の下山選手を打ち崩した。
舘野選手は打撃だけではなく投球も冴えを見せ,10回裏はデラロサの剛速球(150キロ代後半のナイスピッチストレート)でフライを打たせるなど,打者3人でシャットアウト。この瞬間,eBASEBALLの日本一の座は巨人に決定した。巨人代表の4選手に1500万円の報酬が贈呈。試合終了後には,個人タイトルを獲得した以下の選手の表彰式も行われた。
セ・リーグ
首位打者:岸川虎太朗(阪神)
最多本塁打:舘野弘樹(巨人)
最多打点:舘野弘樹(巨人),高良匡史(ヤクルト)
最優秀防御率:大茂英寿(DeNA)
最多奪三振:大茂英寿(DeNA)
パ・リーグ
首位打者:井上将旭(楽天)
最多本塁打:緒方寛海(西武),指宿聖也(オリックス)
最多打点:緒方寛海(西武)
最優秀防御率:三輪貴史(楽天),下山祐躍(ロッテ)
最多奪三振:高田和博(楽天)
Best Proleague Player(プロランキング1位):指宿聖也(オリックス)
MVP:舘野弘樹(巨人)
SMBC e日本シリーズ優勝,読売ジャイアンツ球団代表選手囲みインタビュー
――優勝おめでとうございます。まずはいまの率直な気持ちを聞かせてください。
舘野選手:
決まった瞬間は嬉しさ爆発という感じでした。シーズン中は辛い練習もけっこうやってきたので,それが報われてよかったと思いましたし,今日は4人の力で勝ったという感覚があったのが嬉しかったですね。
吉田選手:
去年はクライマックスシリーズで負けてしまったので,本当に嬉しい気持ちになりました。今年はシーズンをとおして皆に見せ場があったので,そこもよかったです。
高川選手:
ここ2〜3週間,個人としては苦しい時期が続いてたんですけど,今日は2試合目にチームを勢いづけるホームランが打てたことが嬉しかったです。タイブレークにはなったんですけど,うちのキャプテン(舘野選手)は日本一なので,必ずやってくれると思って見守っていました。
坂東選手:
実際の巨人の日本シリーズが(0勝4敗で)球場で見ていてすごく悔しかったので,個人として絶対負けたくないという気持ちはありました。
チームメイトが本当に心強いので,僕はあまり打たなくても大丈夫。抑えさえすれば点を取ってくれるから勝てるだろうとは思ってました。決まった瞬間はホッとしましたね。今日は最後までハラハラドキドキしながら見ていました(笑)。
――第2試合はタイブレークにもつれ込みましたが,対策はしていましたか。
舘野選手:
少しはしていましたけど,先攻時のタイブレークの練習はしてませんでした。なので,今日は誰が行くのかってところから急いで決めました。
(舘野選手が担当したのは)チームメイトに「行ってくれ」って言われたからですね。打順の巡りもよかったので,とくに作戦は考えず,ホームランかゲッツーかぐらいの気持ちで初球から振りにいきました。
――舘野選手はほぼ強振しか使わないことで有名ですが,今日はバントやミート打ちも使っていました。
舘野選手:
そうですね,バントは10年ぶりぐらいですかね。基本的に盗塁,エンドラン,バントはしないつもりでプレイしているんですけど,今日はなにがなんでも1点を取りに行くという気持ちだったので。
――先ほど出た“辛い練習”というのはミート打ちだったり走塁のことだったりするのでしょうか。
舘野選手:
そうですね。あと,ひとりで(横浜のレジェンドOB)平松さんのカミソリシュートを打つ練習をするみたいな,相手チームへの対策です。みんなでやる練習ば楽しいんですけどね。
――レジェンドOBの王は,相手にとって対策が必要な選手ですが,ロッテのプレイヤーたちにプレッシャーを与えられていたと思いますか。
舘野選手:
だと思います。やっぱり「4番ファースト王」って字面だけで強いじゃないですか。(対戦するとしたら)自分だったら絶対嫌ですから。タイムリーも打てましたし,王さんの存在のデカさは感じました。
――王でタイムリーを打った時,実況では「ボール球を打った」と説明が入りましたが,実際のところはどうだったのでしょう
舘野選手:
かなりボール球でしたね。でも王さんなら無理やりパワーでヒットにできる,そういう確信を持って振りました。
――第2試合,吉田選手はかなり追いつめられたと思うのですが,どういう心境でしたか。
吉田選手:
シンプルに「ヤバいな」って思いましたけど,あのあと9回裏をしっかり抑えられたので,タイブレークになったらてぃーの(舘野選手)が決めてくれるだろうと思っていました。
舘野選手:
(タイブレークに)出てもらおうと思ってたのに(笑)。
吉田選手:
結果的には,盛り上がってよかったかなと。不本意ですけど(笑)。相手が上手かったのもありますし,落ち込んだりはなかったです。そもそも8回裏だったので,このあと抑えないと負けになりますし,自分のプレイができるようすぐに気持ちを切り替えて,落ち着けましたね。
――吉田選手は「スプラトゥーン」でも日本一の経験がありますが,今回「パワプロ」で優勝を間近にした際に,感じるものに違いはありましたか。
吉田選手:
とくにはなかったですね。でも大きい大会の優勝が決まる瞬間の空気って独特の雰囲気があるので,そういうのをまた味わえたのは楽しかったです。
――(巨人の球団職員である)坂東さんは日本一になったら「選手に自慢する」と言ってましけど,これで心おきなく……。
坂東選手:
そうですね。明後日,(キャンプ地の)宮崎に行くので。でも選手はこれからシーズンインですからね。ちょっと難しいかもしれないです(笑)。
――1500万円の報酬の使い道は考えていますか。
舘野選手:
生活費ですね。自分はいまコレ(eBASEBALL)専業みたいな感じでやってきているので,報酬で暮らしていこうと思っています。
吉田選手:
とくに決めてないです。とりあえず貯金になると思いますけど,なんか大きい買い物でもしようかな。
高川選手:
自分も考えてなかったです。eBASEBALLには趣味の延長線上で参加させてもらって,大きな報酬をいただけるということなので……。家が汚いのでまずは片付けてから,買い物をしてゲーム部屋っぽくしたいかなと思います。
坂東選手:
ぼくも同じで,プレイしているときにお金のことは考えていなかったです。かなり大きな額なんですけど,まだもらった実感がないですね。何に使っていいものなのか分かってないんですけど……やっぱり巨人軍なので,「紳士たれ」ということでいいスーツを買おうかなと思います。
吉田選手:
350万のスーツを!?
坂東選手:
いやいやいや,1着なわけないでしょ(笑)。
――最後に来シーズンに向けての展望を教えてください。
舘野選手:
やはりeBASEBALLには,(NPBの目標として)野球人口を増やしたいという狙いがあると思うんです。具体的に何をやれるのかというのは難しいのですが,そういったことも考えつつプレイを続けていきたいですよね。
吉田選手:
シーズン中は実際のプロ野球を,オフシーズンはeBASEBLLを見てねというスタイルで始まったものだと思っています。2020シーズンの実施も発表されましたが,これから4年,5年と長く続いて,より人気になるようにしていきたいです。
高川選手:
最近は「パワプロ」好きな人はもちろん,野球好きの人もeBASEBALLを見てくれているなと感じることが多くなってきたので,その流れを壊さないようにしたいです。
あとはプロプレイヤーになりたいと思っている人の手本になれるような選手になりたいと思います。
坂東選手:
私が巨人の球団職員になった理由とも重なるのですが,野球振興の大きな柱として成長していってほしいなという思いがあります。このままいくと野球界がどんどん縮小していくというのは,プロ野球の現場で働く人間として実感しているところでもあるので,いかに野球との接点を作れるかということを巨人でもやりたいと思っています。
(プロ野球とeBASEBALLは)相互だと思うんですよね。ゲームがきっかけで野球に興味を持つ人も増えてきている気がしていて。野球の面白さ,ゲームの楽しさ,その両方をいろいろな人に見てもらえるように,選手としても頑張りたいと思います。
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