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「ドルフロ」人形×彼岸花のリハーサルを見て――8月8日はオーケストラコンサートでもいかが?
本公演は1日限りの平日開催で,昼夜2回の予定となる。チケットは残すところ一般販売(先着)のみだが,SS席の購入者にはチケット1枚につき特典「グリフィン部隊章ペンダント」が会場で贈呈される……が,残念ながらSS席はすでに完売となってしまったので悪しからず。
そして今回,ドルフロの音楽を制作するVanguard Soundと,本公演の演奏を担当する東京交響楽団(指揮:永峰大輔氏)の両メンバーが初顔合わせをした,リハーサルの現場に赴いた。
「人形×彼岸花」特設サイト
ドルオケは実質3Link
人形×彼岸花は……公演名が少しばかり仰々しいので,本稿ではひとまず“ドルオケ”と書いていくとする。幸い,指揮官にとって戦術人形はアイドルみたいなものだから,語弊を物申す人もいないだろう。
ドルオケはこれまで,2018年10月と2019年5月に中国公演,2019年6月に韓国公演が行われ,今回の日本公演で計4回めとなる。当然,公演ごとに演奏する楽団は異なっているものの,そこは「4回めのサンボーンとVanguard Sound」だから。より良いものになると期待しよう。
また東響こと東京交響楽団と言えば,管弦楽の世界では“老舗”と呼ばれる名立たるプロオーケストラである。これまでゲーム界隈での活動はあまり見られなかっただけに,ゲーム系コンサートが増えている昨今,人によっては「満を持しての東響」的な見方ができるのかもしれない。
練習場を見て,まず気づく。演奏者の人数がとても多い。(韓国公演については存じていないものの)中国公演では約50名編成であったが,日本公演では演奏が約90名,ドルオケ初の混声合唱(東響コーラス)が約60名と,合わせて150名近くが参加するらしい。単純に3Linkである。
それと,これもゲーム系オーケストラの面白いところらしいが,今回の編成にはパーカッションが8名(+ティンパニ奏者1名)いる。同規模の編成だと,パーカスはもうちょっと少人数で回すケースが多いようだが,今回はパートを増しているからこその演奏が予定されているのかも。
実際,「オーケストラと言ったら……バイオリン?」くらいの知識しかない身で足を運び,パーカスの真後ろで練習風景を眺めていたところ,それも影響したのか「打楽器のリズム体が最も印象的」といった安直な感想をもって帰ってきた。だから,きっとそうなのだ。
Vanguard Soundの番頭に立つのは,ドルフロのBGMを数多く手がけてきたメインコンポーザーのひとり,Dr.RD氏だ。4Gamerでは以前,同社の中国拠点で同じくメインコンポーザーのG.K氏に話を聞いたことがあったが,なんでも彼は退職し,今はサンボーン本社にいるのだとか。
と,ここで終わらせると不思議な空気になるので補足しておくと,あくまでひとつのステップアップとしての転職であり,本公演には携わっていないものの公演日に来日するし,サンボーンにいるからには今後も少女前線およびドルフロに携わるしと,少し形が変わっただけなのだろう。
話を現場に戻すと,指揮の永峰氏はDr.RD氏と英語でコミュニケーションをとりながら,リハーサルを進めていった。譜面を起こし,スタジオで音源を収録してみても,実際にやってみる以上の効果的な修正というものはないようで。曲終わりに音程への細かな意見が飛び交う。それを聞いた各担当者は,自身の譜面に書き込む。譜面を育てているみたい。
東響の演奏者たちは,とても自然体というか,全体的にリラックスした雰囲気でリハーサルに臨んでいた。最初に釘を刺しておくと,実際のステージに立つときはキリっとしたプロの表情を切り替えるのだろうが,プロフェッショナルならではの肩の力の抜き方,とでもいうのか。笑顔が見られて,笑い声も聞こえる。そんな好ましい風景であった。
リハーサルでの演奏は,プログラム順に頭からやっていく「通し」ではなく,各パートの参加数が多い順から鳴らしていく「抜粋」のような形式であった(不調法ゆえに用語のただしさはさておいてほしい)。何曲かの演奏が済むと,参加パートがなくなった金管や木管の演奏者はその場を抜けて,先に休憩に入っていく。中々にシステマチックだ。
ふと,「バイオリンやトランペットはずっと残らなくちゃいけないから損な役回り」と思ってしまったが,それはきっと傍から見ている素人のつぶやきでしかないのだろう。幼少時の稽古事,学生時代の吹部経験,そしてプロオーケストラでの担当など,これまで長く音楽と付き合ってきた当人たちは,もうそんなこと気にもかけていないのかもしれない。
予定の半分を終えたところで休憩時間に。ここ大久保にある東響の練習場内で談話しつつ一休みする人もいれば,休憩中でもそれぞれの相棒を手に,音合わせを続ける人もいる。入り口にある手書きの「東響コーヒー100円」の古ぼけた張り紙は,いつもそんな彼らを眺めていそう。
休憩が終わり,練習場に混声合唱のための東響コーラスのメンバーが現れると,日本公演の本当の姿が見えてきた。音の厚みと説得力がまるで違う。比較しすぎも忍びないが,中国公演では「生演奏」と「BGMありの生演奏」の二通りの形式が用いられたが,日本公演では完全生演奏のみとなる。それができる人数なのだろう。
事前に東響コーラスに求められたのは2点。少女前線ないしドルフロのサウンドは,AIの暴走をテーマとした“新しい世界の音楽”とされている。そして楽曲ごとのコーラス部分には,ラテン語と古いブルガリアの民族的な言葉をかけ合わせた,意味を持たない歌詞が添えられている。
永峰氏はそれらの歌い方について,「ラテン語の部分は子音をハッキリと」「母音のない言葉の音は長く柔らかく」と指示する。またVanguard Soundからも「オペラのように口を広く開けるのではなく,フォークソングを歌うようにしてほしい」との注文が。そういうところも見るのか。
ちなみに,言っている指摘が分かるようで分からない筆者のような人たちに向けて,永峰氏は「良い言い方じゃないですけど,カラオケっぽくで(笑)」とうまく咀嚼してくれた。会場に足を運ぶ人の中で,これが気になる人がいたら,合唱隊の口元にも注目してみてほしい。
これ以上のことは文字よりも身体で体感してほしいが,一点補足を。本公演には数曲ほど“我々がまだ知らない曲”がある。まだゲームに実装されていない,サウンドトラックにも収録されていない,「そのうち体験できるようになるんだろうイベント楽曲」などである。
すでにサントラを聞き込んでいて,ほとんどの楽曲を識別できる人もいるだろうが,少しばかりのお節介をしておこう。いくつかの知らない楽曲については「なんの曲だろう……?」と疑問符を浮かべるよりも,その場の雰囲気で演奏を楽しむことを優先するといい。
それと余談だが,4Gamerには「ゲーム音楽コンサートの心構え」の解説記事もある。静粛に肩ひじ張れるように……ではなく,静粛でいながらも肩ひじ張らずに楽しみたい人は,こちらも参考にしてほしい。
いまゲーム音楽コンサートがアツい! まだ行ったことがない人へ向けて,鑑賞までの流れを説明したい
ここ数年,ゲーム音楽コンサートは年間100以上が開催され,ものすごい盛り上がりを見せている。好きなゲーム音楽を生演奏で聴けるチャンスがこれだけ増えてきたのだから,ぜひ1度は生で鑑賞してみてほしい。本稿では,1度もコンサートに行ったことがない人へ向けて,鑑賞までの流れを紹介しよう。
このほか,ドルオケの特設サイトではグッズ情報をはじめ,本公演に関する注意事項なども記載されている。現地に足を運ぶ人も,これからチケット争奪に挑む人も,必ず一度は目をとおしておこう。それでは,リハーサルの模様はここまで。8月8日はドルオケで良き一日を。
「人形×彼岸花」
○開催概要
開催日:2019年8月8日(木)
昼公演:開場13:00 - 開演14:00
夜公演:開場18:00 - 開演19:00
会場:東京芸術劇場コンサートホール(アクセス)
○演奏概要
演奏:東京交響楽団(指揮:永峰大輔)
混声合唱:東響コーラス
音楽:Vanguard Sound
主催:サンボーンジャパン
○チケット料金
SS席……12,000円(税込)
S席……8,000円(税込)
A席……6,500円(税込)
B席……5,000円(税込)
※SS席は完売
○チケット販売(一般・先着):
・ローソンチケット(Lコード:30088)
電話:0570-000-407(オペレータ10:00〜20:00受付)
ローソン・ミニストップ店頭Loppiにて受付
・イープラス
○公演に関する注意事項等
http://gf-jp.sunborngame.com/2019_orchestra/
「人形×彼岸花」特設サイト
ローソンチケット受付ページ
イープラス受付ページ
「ドルフロ」4Gamer内サテライトサイト
「ドールズフロントライン(旧名:少女前線)」公式サイト
「ドールズフロントライン(旧名:少女前線)」ダウンロードページ
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ドールズフロントライン(旧名:少女前線)
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(C) SUNBORN Network Technology Co., Ltd. (C) SUNBORN Japan Co., Ltd.
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