インタビュー
MMORPG「創世記戦: アンタリアの戦争」では株式などのシミュレーション要素を導入。開発チームを率いるキム・テゴン氏へのインタビューを掲載
韓国では本作の正式サービスが始まったばかりということもあり,G-Star 2018へのブース出典は見送ったとのこと。そんななか,本作の開発チームを率いるKim Tae Gon(キム・テゴン)氏が,G-Star 2018の視察に訪れていたので,創世記戦:アンタリアの戦争や韓国におけるゲーム業界の近況などを聞いてみた。
「創世記戦」は韓国語版の正式サービスが開始
人気シリーズの最新作は事前登録者数が200万人超え
4Gamer:
お忙しいなかご対応いただき,ありがとうございます。
G-Star 2018の会場はご覧になられましたか。
Kim Tae Gon氏(以下,キム氏):
今年はJOYCITYとしてブースを出展していないこともあり,さきほど家族と一緒に釜山に到着して,ぶらりと回ってきたところです(笑)。
今年のG-Star 2018は,「PUBG」と「FORTNITE」の一騎打ちといった様相を呈していますね。サバイバル系(バトルロイヤル系)のゲームは,まだまだ発展する余地がありますし,昨年までのG-Starとはまるで違った印象を受けます。
4Gamer:
そうですね。ただ,見方を変えると,Epic GamesとPUBG/Blueholeのブースが,ほかの中小のブースを吸収しているようにも思えます。取材を行う側としては,もっと色々なメーカーが参加してほしいという気持ちもあるのですが。
キム氏:
スマートフォンが普及することで,どこにいてもオンラインゲームを楽しめるようになりました。ゲームショウへの出展はコストが掛かりますし,また新作情報などはネットでも届けられるため,ゲームメーカーによってはゲームショウの出展に対するプライオリティを下げる判断もあるでしょう。
ちなみにJOYCITYは,創世記戦の韓国語版の正式サービスが10月25日に始まった直後という理由で,G-Star 2018への出展を見送りました。でもタイミングが合えば,来年以降もブースを出展すると思いますよ。
4Gamer:
その創世記戦ですが,韓国におけるサービス状況はいかがですか。
キム氏:
韓国に先駆けて,東南アジアを中心に約5か月のソフトローンチを行ってきたので,今のところ大きなトラブルもなく順調にサービスできています。ただ,熱心なファンにとっては待ちわびていたこともあるのか,ガッツリ遊ぶ人が多く,コンテンツの消費速度はソフトローンチを行ってきた他国よりも速いですね。
4Gamer:
ソフトローンチの対象国には,創世記戦のIPが浸透していない国もあったと思います。そういった国での反響はいかがでしたか。
キム氏:
IPの魅力ではなく,RPGとシミュレーションを融合したゲームシステムなどをアピールしています。具体的には,世界観やストーリーが好評で,それをベースに自分でストーリーを作り上げるシステムも好評を博していますね。また,アプリ内課金に対する圧力が低いことも高く評価されています。
4Gamer:
個人的に,創世記戦でMMORPGに“株式”を取り入れた部分が気になっているのですが,実際のゲーム内でどのように遊べるのでしょうか。
キム氏:
株式はゲーム中盤以降になると関われるシステムで,全員が体験できるわけではないのですが,実際に体験した多くのプレイヤーから斬新なシステムだと言われています。
本作におけるギルドは,ひとつの株式会社のようなもので,ギルドマスターは各メンバーに持ち株を配布できます。株主であるメンバーは配当金を得られますが,株価がギルド活動に応じて変動するため,メンバーは自然とギルドに貢献したくなる仕組みになっているんですよ。
4Gamer:
実際のゲーム内で,株式にまつわる面白いエピソードなどはありますか。
キム氏:
とある大手ギルドでは,持ち株を配布されたギルドメンバーたちが「発行株数が少ない!」と憤慨して,主要メンバーが一斉に脱退して別のギルドを設立してしまいました。また,ギルドの株主総会でギルドマスターが解任されたケースも発生しています。
4Gamer:
オンラインゲームとは思えない展開ですね。日本語版も早く遊びたいです。
キム氏:
大きなバグはソフトローンチを通じて潰しており,韓国語版のサービスも順調に進んでいます。現在,グローバル版と並行して日本語のローカライズ版を開発中で,2019年にはぜひ日本でもサービスを開始したいですね。
韓国ゲーム業界の近況も聞いてみた
4Gamer:
せっかくお会いできたので,韓国におけるゲーム業界の近況も聞かせてください。前回にお会いした今年1月からこれまでの間に,大きなトピックはありますか。
キム氏:
4Gamer:
スマホ向けMMORPGとしてのゲームシステムの進化も,だいぶ行き着くところまでいったようにも思えますが。
キム氏:
そうですね。ゲームシステムの進化がメーカー間で横並びになり,それによって差別化が行いにくくなっているのは事実です。そういったなか,競争力を発揮するべく,有名IPを起用する傾向がより強くなっているのでしょう。これは,過去にPC向けのRPGが迎えた歴史と同じ流れなんですよ。
4Gamer:
言葉は乱暴ですが,ゲームシステムの違いが少なく,表面上のIPだけを変えたようなゲームが乱造される懸念はありませんか。
キム氏:
そういったタイトルが出てくるのも避けられないと思います。
ただ,PC向けMMORPGが盛り上がり続けた後のように,似たり寄ったりで長時間を要するゲームに飽きてしまう人も増えるはずです。そういった人は,新しいゲームジャンルに飛びつくこともあるでしょう。
また,PC向けのMMORPGが最盛期だった時代は長かったですが,スマホでは世代交代のスピードが加速しているのもポイントです。スマホ向けMMORPGの時代がいつまで続くか,1年後にどうなっているか,誰もまったく予測できないでしょうね。
4Gamer:
そういったなか,G-Star 2018で最もアピールされている2作品のジャンルがバトルロイヤル系という点は興味深いです。キムさんは,現在どのジャンルに注目されていますか。
キム氏:
個人的には,メインストリームになるかどうかは別として,シミュレーションゲームの需要が高まるのではと見ています。プレイヤーの年齢層も高まって,モンスターと戦うよりも,マネージメントなどをじっくり楽しみたいという人が増えると思うんですよ。
シミュレーションをモバイル向けに簡略化したタイトルはこれまでも登場していますが,ハイブリッドなゲームにも期待できます。たとえば,今回のG-Star 2018に出展されていた「A3 Still Alive」は,MMORPGとバトルロイヤルのハイブリッドですが,こういったタイトルも今後増えるでしょうね。
4Gamer:
もうひとつおうかがいたいのが,中国のゲーム市場に関してです。現在,中国政府が中国向けゲームの承認を凍結しており,各方面に影響を与えています(※4Gamer関連記事)。
キム氏:
JOYCITYとしても中国は大事な市場で,その動向は注視しています。個人的な見解としては,中国政府も利益を生み出すマーケットを長期にわたって制限するとは考えにくいため,割と楽観的な見方をしています。
4Gamer:
中国のゲームメーカーにとっては,このようなリスクを踏まえると,より海外市場に目を向けるのではと思います。JOYCITYにとって,この動きはどのように映っていますか。
キム氏:
そうですね。TencentやNetEase Gamesなどが手がけるゲームの完成度は高く,JOYCITYにとっては強力なライバルが登場することになります。ただ,ライバルではなく,手を取り合うという選択肢もあるかと思います。
4Gamer:
そういえば,JOYCITYは「サムライスピリッツ」のIPを使ったスマホ向けMMORPGのパブリッシングを行うという発表をされていますね。公式サイトの情報ではその開発会社が明かされていませんが,もしかしてTencentが開発する「侍魂:朧月伝説」ですか?
キム氏:
その通りです(笑)。「侍魂:朧月伝説」の韓国語版は,韓国で2019年上半期の配信を予定しています。
4Gamer:
そろそろお時間のようなので,最後に,今年1月のカンファレンスで発表された「ガンシップバトル:トータルウォーフェア」「BLESS Mobile」の続報がありましたらお願いします。
キム氏:
ガンシップバトル:トータルウォーフェアに関しては,ちょうど今日(インタビューを実施した11月16日),グローバル版の事前登録を開始しました(※4Gamer関連記事)。日本のプレイヤーの皆さんも遊べるので,ミリタリー系のシミュレーションが好きな人はぜひチェックしてください。また,BLESS Mobileも順調に開発中で,韓国では2019年の配信予定となっており,こちらもご期待ください。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
「ガンシップバトル:トータルウォーフェア」
事前登録ページ
- 関連タイトル:
創世記戦~アンタリアの戦争
- 関連タイトル:
創世記戦~アンタリアの戦争
- 関連タイトル:
ガンシップバトル:トータルウォーフェア
- 関連タイトル:
ガンシップバトル:トータルウォーフェア
- 関連タイトル:
侍魂オンライン-朧月伝-
- 関連タイトル:
侍魂オンライン-朧月伝-
- この記事のURL:
キーワード
Copyright(C)JOYCITY Corporation. All rights reserved.