プレイレポート
シビアな攻撃に何度も叩きのめされながら活路を見いだすアクションRPG「イモータル:アンチェインド」のプレイレポートをお届け
本作は,スウェーデンのToadman Interactiveが2018年9月に海外でリリースしたSFアクションRPGだ。強大な力を持つ「モノリス」を巡り,さまざまな種族が争った世界を舞台に,モノリスの力が弱まり,邪悪な「不死者」がはびこる中,記憶を失った主人公が星々を巡って戦っていく。
今回,オーイズミ・アミュージオから発売されたのは日本語版となっており,英語音声・日本語字幕で楽しめる。アイテムのフレーバーテキストも日本語になっているため,英語版をプレイしたという人でも,神話とSFが融合した世界観をより深く堪能できるだろう。
さまざまな特性を持つ銃器の使い分け,部位破壊を使いこなせるかどうかがポイント
ゲームは「DARK SOULS」からの影響を強く感じられる内容となっている。不死者を倒して経験値に相当する「ビット」を入手し,ステージの要所に建てられた「オベリスク」でレベルアップして戦力を増強していく。DARK SOULSでいうところの「ソウル」がビットで,「篝火」がオベリスクに該当する。
また,主人公が倒されると集めたビットはその場に残されるが,リトライして回収できれば元通りになる。そのため,ビットが溜っている際のドキドキと不安,敵にやられてビットを落とした時の落胆,そして回収がうまくいった時の喜びなどは,DARK SOULSなどが好きな人ならよくわかってもらえるだろう。
DARK SOULSやそれに近いゲームの多くは,剣による近接戦闘をメインにしているが,本作がフィーチャーしているのは,銃器による遠距離戦闘だ。さまざまな特性を持つ銃器を使った部位破壊と,銃弾のリソース管理が,独特の緊張感を生み出している。
ステージのあちこちに不死者たちが徘徊しており,容赦ない攻撃を仕掛けてくる。彼らのほとんどは銃器を持っているため,むやみに接近戦を仕掛けると,近寄る前にハチの巣にされてしまう。
斧や棍棒といった近接武器は,大きなダメージは与えられないうえに使うとスタミナが減るため,あくまで最後の手段になるだろう。無敵時間を持つ前転で接近する手もあるが,スタミナを消費するためこちらも連発はできない。それよりは,弾が遠くまで届き,スタミナも要さない銃器のほうが圧倒的に便利で,射撃で遠距離からダメージを与えていくのが本作のスタイルになっている。
とはいえ,主人公が持てる銃弾の数は限られているうえに敵の数は多いため,トリガーハッピーに撃ちまくっていては息切れすること間違いなしだ。そんな時には,手足を砕く部位破壊をうまく使っていきたい。
敵にはヒットポイント(ライフゲージ)に加えて「耐久力」と呼ばれるバーがあり,攻撃を当てると減っていき,ゼロにするとしばらく動けなくすることができる。攻撃する部位によって効果に違いがあり,足に当てると耐久力が多く減り,頭ならヒットポイントに大ダメージを与えられるため,状況に合わせて狙い分けていきたい。
また,剣や銃を持った腕に連続で攻撃すると破壊でき,攻撃手段を奪うこともできる。部位破壊した後に近接攻撃を仕掛ければ,銃弾を節約しつつ大きなダメージを与えられるのだ。
銃器は敵を倒したり,ステージ内の宝箱を開けると入手できる。銃器には,射程は短く弾数も少ないが大火力のショットガン系,速射できるが精度と威力はイマイチのサブマシンガン系,長射程で威力も高いが弾は非常に少ないスナイパーライフル系,バランスが取れているが決定力に欠けるアサルトライフル系などがあり,いずれも一長一短だ。
特に「射撃範囲(射程)」と地形の兼ね合いは重要で,広い場所では射程の長い銃器があれば遠くから先制できるし,柱や壁など入り組んだ地形ならば射程よりも瞬間火力を重視したり,突進してくる敵が多ければショットガンとアサルトライフルを組み合わせるなど,銃器の特性を理解したうえで装備を選ぶと効果的に戦える。
武器には属性が付与されているものもあり,うまく使うと戦闘を有利にできる。時間経過とともにダメージを与え続ける毒や炎の属性は強力で,攻撃を当てたら一歩引いて敵の自滅を待つのも1つの戦法だ。また,武器にはエネルギーを消費することで使える,グレネードや高威力のバーストショットなどの「パワーアタック」も用意されており,この強力なオプション攻撃もなかなか爽快だ。
もし,体力や銃弾が切れても,オベリスクに触れれば満タンに回復される。倒した敵も復活してしまうが,ギリギリの状態でオベリスクを見つけられると心の底からホッとする。敵がお目当ての銃器をドロップするまで,オベリスクを拠点にして狩りに励むのもいいだろう。
銃器と近接武器には,装備するのに必要な能力値が決められている。能力値には「筋力」「器用さ」「感知力」「素早さ」などがあり,レベルアップ時に好きな能力値を上げられる。しかし,適当に割り振ってしまうと「強力な装備を手に入れても装備できない」ということになる。筆者は初プレイ時に,近接武器に惹かれて「筋力」を上げていったが,後で出てくる銃器が「器用さ」や「感知力」「素早さ」を要するものだったため,あっさりと行き詰まることになった。
そんな時は,“プレイのやり直し”が有効だ。銃器に必要なステータスが初期状態から高めになっている「追う者」や「射る者」などのクラスを選んだり,欲しい銃器に必要なステータスをメモしておき,計画的にレベルを上げていってもいいだろう。
なお,セーブデータが1つしか保存できないため,プレイをやり直す場合にはすべてを失う覚悟が求められる。武器ごとに必要なステータスが異なるだけに,数人分のキャラクターをセーブできるようにしてほしかったところだ。
危険な敵と鉄壁の布陣が,プレイヤーの心を折りにくる
本作の難度は高く,プレイ中は幾度となく死ぬことになる。渓谷やレーザーフェンスといった即死系の地形はもちろんのこと,触れるとダメージを受けて動きを封じられるツタ,宝箱の脇にさりげなく,スパイクなどの罠が仕掛けられていることも多く,死にゲー好きの人も満足できるだろう。
特に地形と敵の配置も相当に意地が悪く(褒め言葉),柱の陰から突然敵が現れたり,細い橋の上で挟み撃ちにされたり,敵に追われて逃げた先に別の敵がいたりと,結構マゾい。
しかし,敵の出現位置を覚えておき,先制して対処することにより,戦闘は有利になっていくため,死にまくりながら攻略パターンを構築していくという面白さを充分に堪能できる。最初はボロボロになりながら途中で力尽きていたところも,慣れればどんどん効率化してビットを稼げる恰好の場所となる。遠くで待ち構える敵は長射程の武器で先制し,敵が出現する茂みがあれば即座にグレネードを投げ込み,足を部位破壊して近接武器でとどめを刺すなど,自分の上達に酔いしれることもできるのだ。
銃器による敵の攻撃は受けるダメージも大きく,慎重な立ち回りが不可欠となるが,こうした戦闘のクライマックスとなるのがボス戦だ。ボスは高い耐久力と強力な武器を併せ持つ危険な相手。おまけにステージ内にはこちらの足を止める罠が仕掛けられていたりもするので,ゴリ押しでは絶対に勝てない。弾の多い武器を持ち,一手先を見据えた移動で攻撃を回避し,着実にダメージを与え続けなければ勝利は見えてこないだろう。もし,負けそうになっても,攻撃パターンをしっかりと観察し,再戦につなげたい。
本作は歯ごたえのあるゲームではあるが,途中から難度の上昇が加速する。最初のうちこそゾンビのような敵がゆっくりと向かってくるため部位破壊も狙いやすいが,中盤からは敵も厄介になってくる。
たとえば,スナイパーライフルを持った敵は,こちらの攻撃を防ぐバリアを張りつつ,高所や開けた場所で待ち構えており,バリアは一定時間で切れるが,放っておくとまた,新しいバリアを張ってしまう。バリアの発生装置自体をグレネードや銃撃で破壊するという手もあるが,位置関係によってはそれも難しく,結果として,バリアが切れるまでじっと待って,新しいバリアが張られるまでの時間に銃撃するしかない。もちろん,敵は遠くから動かないため部位破壊も狙いづらく,ヒットポイントを削る地道な戦いを強いられることになる。
ステージ内を警備するかのごとく歩いている巡回型の敵も危険だ。巡回する範囲がかなり広く,一度見失ってしまうと,攻撃できる位置に戻ってくるまでに時間がかかる。しかも放置したまま先へ進んでしまうと,思ってもいなかったところから銃撃されることになるのだ。
また,本作には高低差の激しいステージが用意されているが,こちらの銃器には射程距離に制限があるが敵にはないようだ。つまり,かなりの高所から豆粒のような敵に一方的に撃たれることも珍しくないので,忍耐力も必要となる。
本作の緊張感と銃器,そして部位破壊の組み合わせは相性が良く,思い描いた通りに攻撃が決まれば爽快感を味わえる。その一方で,途中から難度が急上昇し,ウリである部位破壊を狙いづらい局面が増えたり,攻略に時間がかかるあたりは,少しもったいないと感じられた。ただ,そういったものも含めて,腕に自信があり,不屈の闘志と忍耐力を持った“死にゲー”ファンに向けたタイトルと言えるだろう。
「イモータル:アンチェインド」公式サイト
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イモータル:アンチェインド
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