プレイレポート
「アサシン クリード オデッセイ」プレイレポート。今度の舞台は古代ギリシア。暗殺,戦争,そして海戦を楽しみまくれ
2017年に発売された前作「アサシン クリード オリジンズ」(PC / PS4 / Xbox One)(以下,オリジンズ)からシステムが一新され,広大なオープンワールドやレベル制の成長システムの採用など,多数の新要素が追加され,多くのゲーマーの好評を得たのは記憶に新しい。
今作はその路線を受け継いだ第2作となり,古代エジプトを舞台にしたオリジンズよりさらに時代をさかのぼり,紀元前431年(紀元前5世紀)の古代ギリシアを股にかけ活躍していく作品になっている。
12世紀のエルサレムをテーマにした初代「アサシン クリード」以来,作品を重ねるごとに現代に近づいていった本シリーズ。オリジンズで紀元前1世紀の古代を舞台にしたことで,筆者を含め驚いたシリーズファンは多かったと思う。最新作のオデッセイではさらに数百年過去にさかのぼるという挑戦的な舞台設定になっており,その世界観に興味が引かれているゲーマーも多いことだろう。
今回は,そんなシリーズ最新作となるオデッセイのPlayStation 4版をプレイできたので,その内容と感想をお届けしよう。なお,プレイとスクリーンショットの撮影はPS4 Proでおこなっている。
今回のテーマは「古代ギリシア」。あのスパルタが,アテナイが,そして謎の組織がプレイヤーの前に立ちふさがる
冒頭でも書いたとおり,本作は紀元前5世紀のギリシア,いわゆる「古代ギリシア」が舞台だ。現代から約2500年ほど前のこの地では,「ポリス」と呼ばれる都市国家が複数存在していた。スパルタやアテナイなどはその筆頭で,歴史の教科書などで知っている人もいるだろう。
それらの都市国家は,あるときは手を組み,またあるときは敵対し,互いに覇権を狙っていた。主な舞台となる紀元前431年は,スパルタを盟主とするペロポネソス同盟と,アテナイを中心とするデロス同盟に分かれて対立しており「ペロポネソス戦争」の真っ最中であった。詳しくは後述するが,ギリシア内で繰り広げられるこの戦争自体がゲームの大きな一要素となっている。
主人公は選択制となっており,ゲーム開始時に男主人公の「アレクシオス」か,女主人公の「カサンドラ」のどちらかを選び物語を進めていく。従来作でもプレイを進めていくと,自動的あるいはプレイヤーの任意で操作するキャラクターが代わることもあったが,それをよりシナリオと絡めて進化させたものという印象だ。なお,主人公は一度選ぶと途中で変えられない。
ちなみにネタバレになるので詳しくは書かないが,この選択は単に性別(キャラクター)を入れ替えるだけのものではなく,シナリオそのものにも影響を与える。クリア後は,周回プレイも楽しめそうな雰囲気だ。
広いギリシアを舞台とするオデッセイだが,物語が始まるのは片田舎の小さな島「ケファロニア島」だ。
元々はスパルタで家族と共に平和に暮らしていた主人公だが,古代ギリシアでは神の言葉として絶対的に信じられていた,神託に端を発するトラブルにより孤児となってしまう。
命からがら船でスパルタを逃げだし,遭難しながらもたどり着いたのはケファロニア島。運良くお調子者のマルコスに助けられた彼(彼女)は,成長して傭兵となり,日銭を稼いだり,カネにルーズなマルコスの尻ぬぐいをするため,島内で様々な依頼をこなして生活していた。
そんなある日,主人公は島外から来た怪しい人物に大きな仕事を依頼される。その仕事とは,あるスパルタの将軍を暗殺すること。これをきっかけにアテナイとスパルタの戦争,そしてギリシア全土を覆う怖ろしい陰謀との戦いに巻き込まれていくことになるというわけだ。
アサシン クリードシリーズといえば,過去に実在した歴史上の人物を登場させたり,緻密なリサーチを元に当時の情景や風俗を忠実に再現することでも有名だが(関連記事[ https://www.4gamer.net/games/384/G038410/20180307131/ ]),これは今作でも健在だ。オープニングでは,映画などでも有名なテルモピュライの戦いが描かれ,スパルタ王のレオニダスが一騎当千の戦いを見せる……というかプレイヤーが操作できるほか,本編でも世界初の歴史家ヘロドトスや,哲学者ソクラテスと絡むことができるなど,今回もそうそうたる偉人が登場して楽しませてくれる。
ヘロドトス |
ソクラテス |
本作シリーズの魅力の1つである名所だが,言わずと知れた世界遺産のパルテノン神殿が完全な形で登場したり,ケファロニア島には巨大なゼウス像がそびえていたりと,見どころはたくさんある。また有名な名所巡りもいいが,小高い山で朝日を眺めたり,晴れた日にエーゲ海を航海するなど,自然の中を移動するだけで美しい風景を楽しめる。
今作でも自由に画面が撮影できる「フォトモード」が搭載されているので,気に入った名所や風景があったらバンバン撮影していていくのも面白いだろう。
ストーリーでは各所に選択肢が用意され,展開や結末が複数用意されるものがかなり多かったのが印象的だ。例えば「○○というアイテムを持ってきてくれ」というよくある依頼なら,素直にそのまま渡すこともできるし,なかったといってそのまま懐に収めることもできる。多くはこういったシンプルなもので,その選択がどう影響を及ぼすかはアイコンによってそれとなくわかるようになっている。
だが,一部の選択肢はその場で結果が現れず,ずいぶん経ってから結果を知ることになったりする。筆者も良かれと思って人道的な選択をしたつもりが,後にもっと酷い結果になったことを知り,ちょっとガックリ来てしまった。自ら選んだことなのでしょうがないのだが,その後の選択肢はちょっと慎重に選ぶようになってしまった。
ベースは前作を引き継ぎつつも,クラフトシステムは簡略化され,スキルも装備制に変更
作品の基本システムは前作のオリジンと同じ,3人称視点のオープンワールドアクションゲームだ。広大な古代ギリシアを徒歩や馬,そして船を活用しつつ自由に移動し,各地で様々なミッションをこなしていく。軽快なパルクールによる移動,相棒の鳥(ワシのイカロス)による上空からの詳細な偵察,カウンターに頼れないシビアな多対一の戦闘などのシステムは引き続き採用されており,「戦闘の難度が高めなので,事前の偵察やステルスからの強敵の暗殺が重要」というキモのポイントも変わらない。前作のプレイ経験がある人はすぐに慣れることができそうだが,久しぶりに「アサシン クリード」を遊ぶプレイヤーは戸惑うことが多いかもしれない。
キャラクターの成長はレベルアップとスキルの取得,そして装備の更新が主な手段だが,敵とのレベル差によるステータスの違いをテクニックや装備のみで埋めるのは難しく,基本的には「適正レベルから大きく離れた高難度地域は後回し」といった旅となるだろう。
もちろん,戦闘にならなければ問題はないので,動き回ってマップ(ビューポイント)を埋めたり,クエストを受けるのは自由だ。ただ,今作はオオカミなどの野生動物がかなりアグレッシブに襲いかかってくるため,油断していると人里離れた山中であっさり死亡……なんてこともあるので注意したい。
とはいえ,ストーリーを追っていけば自然と適正レベルの地域に行くようになっているので,あまり難しく考える必要はない。地域ごとにいくつものミッションや探索ロケーションが用意されていて,飽きてしまうことはないし,そもそも行ける場所を全部回っていては,時間がいくらあっても足りないほど。無理して高レベル地域に立ち入らなくても,することはいくらでもあるので安心してほしい。
ハック&スラッシュ(ハクスラ)要素は今回も健在で,クエストをクリアしたり大型のチェストを漁ったりすると,通常より性能が高い「レア」や「エピック」といった装備が手に入る。自分よりレベルが高い装備は身につけることができないが,逆に低いものは鍛冶屋でアップグレードすることが可能で,お金と素材さえあればいくらでも使い続けられる。
なお,クラフト要素は変更され,木材や皮などの素材はこの装備と後述する船のアップグレードに必要なものとなり,キャラクター自体の強化には使用しなくなった。
鍛冶屋ではさらに装備に「彫刻」を施すことが可能で,弱い武具はそれなりに,強い武具はより一層強くすることが可能だ。前作ではキャラの強化に「レベル」「スキル」「クラフト」「装備」と4つの要素が絡んでいたが,今作ではクラフトと装備が一体化されて,よりシンプルなったと言える。
キャラクター関連なので一緒に触れておくと,アクティブスキルにも手が加えられている。オリジンでは「スキルをアンロックすると,発動可能なアクションが増える」といったものだったが,今作では「近距離と遠距離それぞれのスロットに,スキルを装備する」というものに変わった。
これにより,ボタンを同時押しするだけで簡単にスキルが発動できるようになったので,筆者のような下手くそプレイヤーでも「敵に囲まれた状態だと,焦って狙ったスキルが出せない」なんてことがなくなったのが嬉しい。
その反面,スロット数を超えるスキルは戦闘中に使用できないため,「どのスキルをセットしておくか」がかなり重要だ。弓兵に対処するために瞬時に敵に近づけるスキルは欲しいし,回復スキルも使えるようにしたい。いやいや,強力な盾持ち兵に対処するためには,シールドブレイクも必要だ……などと考えていると,止まらなくなってしまう。
近距離用のスキルスロットはストーリーが進めば1つ追加されるが,それまでは4つしか使えないので,スキルの取捨選択はプレイヤーを大いに悩ませてくれる。
仲間を集め,海へ繰り出し,戦場で英雄となれ! 傭兵としてギリシアを満喫しよう
砂漠が多かった前作の舞台エジプトと違い,本作の舞台であるギリシアは非常に自然豊かだ。内陸に広がる平原や山はもちろん,海も重要な舞台であり,マップの広範囲にあの美しいエーゲ海が広がっている。ゲームの開始地点であるケファロニア島を含め,大小様々な島が非常に多く,探索には海の移動が欠かせない。
それを踏まえて今回は船が序盤で手に入る。前作でも水辺に多数の船が出てきたが,基本的にはナイル川と地中海の沿岸を移動するのを目的とする,非常に小型のものがほとんどだった。比較的大型の船もあるにはあったが,敵の移動拠点という側面が強く,奪い取って自由に乗り回すことはできなかった。
ところが今回はある事情から,結構あっさりと船長という立場になってしまう。もちろん1人乗りの船の「なんちゃって船長」ではなく,多数の乗組員を有する大型の船だ。これを自由に移動や停泊させることができるほか,任意のタイミングで戦闘も可能で,海賊船や商船を襲ったり,スパルタやアテナイが所有する軍艦も攻撃できてしまう。気分はまさに自由気ままな海賊家業,といった感じだ。
当然そんなことをすれば敵船の反撃を食らってしまうので,こちらも入念に戦闘の準備をしなくてはいけない。自分の船は素材と資金があれば好きなタイミングで強化できるので,まずはここから行うのがいいだろう。
アップグレードできる項目は,攻撃用の弓矢やジャベリン,耐久力や防御力の向上,漕ぎ手のスタミナアップなど多岐にわたる。船は人間のように俊敏には動けず,プレイヤーの腕だけではカバーできない部分が多いので,海で活躍したいなら積極的にこちらにリソースを振り分けたいところだ。
とはいえ,船を大幅に強化するには大量の資材と莫大な資金が必要となるので,そう簡単には進められないはず。そういったときは,人材力で補えばいい。
今作では,敵(に限らないのだが)を「船の副官」という形で仲間にできるようになった。方法は簡単で敵にバレない状態でこっそりと近づき,暗殺する代わりに気絶させるだけ。戦闘が終わればゆっくり声をかけることができるので,航海の仲間に加えてしまえばいい。
味方に加えられるのは無名の敵(ザコNPC)だけではなく,イベントで仲間にできる者もいるし,詳しくは後述する地域の指導者まで勧誘可能だ。手強い敵ほど能力も高いようで,海戦をより有利に進められるので,苦労して誘ってみる価値はある。
また今回は海戦だけではなく,陸上での戦争の要素も追加された。前述のように本作の舞台は戦争真っ最中であるため,地域のほぼすべてでスパルタとアテナイが激しく争っている。これは直接的な(NPC同士の)戦いとしても表現されているが,地域がどちらの勢力に支配されているかマップで一目瞭然となっており,実際に指導者もエリアに配置されている。この支配地域を逆転させるのが「征服戦争」だ。
各地域には「支配力」が設定されており,これが高いほど支配が万全であるため,当然ながら指導者のガードも堅い。こういった指導者を直接狙うのは難しいが,敵兵の排除,物資の破壊,軍資金の奪取といった妨害行為によりこの支配力は低下していき,ガードも緩くなる。当然,暗殺も楽になるわけだ。
ちなみに支配力を最低値まで落とせば,指導者がたったひとりで野宿してたりする。自分でやったことながらちょっとしたわびしさを感じてしまう。なんかごめん。
支配力が一定まで下がれば,征服戦争に参加することが可能で,多数のNPC相手に一傭兵として戦いを挑んでいくことになる。勝利すれば支配する勢力を逆転させることが可能で,経験値やレアなアイテムを入手できる。地域の一部とはいえ,強大な国家を裏と表の両面から攻撃して一矢報いるのはなかなか爽快で,歴史に手を加えているようで面白い。
また防衛戦に参加することもできるが,こちらは守る方なので難度は低めで,報酬もちょっぴり少ないという感じだ。お気に入りの勢力がピンチになっているなら,助けに入るといいだろう。
なお,勢力の逆転は特にプレイヤーが関与しなくても発生するようで,「この場所,最初から支配力低めだな」と思っていたら,いつの間にか指導者が入れ替わっていることもあった。プレイヤーが関与できる余地があるとはいえ,戦争はたったひとりの英雄ですべてが決まるわけではない,ということなのだろう。
前作をブラッシュアップしつつ,海戦や征服戦争などプレイの幅が広がる新要素が追加された一作。自分の選択を信じて,古代ギリシアを駆け巡ろう
今作の主人公はゲーム開始時から傭兵として活動しており,各地でミッションを引き受けるのも,私情が絡むメインミッションを除けば,基本的に報酬のために働くという体になっている。前述のように戦争にも参加するが,それもあくまで報酬のため。したがって特定の国に束縛されるわけではなく,あるときはアテナイに,そしてあるときはスパルタのために活動する。これが傭兵の基本スタンスだ。
同じような傭兵の同業者も多数登場するが,これは前作の強力なお邪魔キャラだった「警備兵」の要素も取り込み,強力なライバルとして存在している側面が強い。例えばオデッセイでは配置アイテムに所有権が設定されているものがあり,これを人目につく場所で盗んでしまえば犯罪になる。もちろん,殺人(暗殺)は言うまでもないし,ミッションをこなすために敵の砦に侵入した際も,姿を見られれば同じことだ。
悪行を重ねると賞金首となってしまい,同業者の傭兵に狙われることになる。今作の傭兵は警備兵のように確実に自分より強いとは限らないが,複数人から襲われれば当然ピンチになる確率は上がるし,明らかに格上な凄腕の傭兵に狙われる可能性もある。こうなると暴れ回るのは難しくなるので,一定時間隠れてしのぐ,賞金を自ら(の資金で)清算する,そもそも最初から目に付かないようにステルスで暗殺する,といった方法をとる必要が出てくる。
前作から暗殺攻撃が一撃必殺でなくなり,一部では重要度が下がったとも言われたが,やはり「人目につかないで倒す」が有効であるのは変わらないのだ。
前述のように本作は,システム面での一新が計られた前作のオリジンズをベースにしつつも,シナリオ面ではキャラクター選択と選択肢によるストーリーの分岐が追加された。またシステム面では海戦と侵略戦争の要素の追加など,手堅く進化した印象だ。
多くの場面でひとりで戦うことになるバトルは相変わらず手応えがある。ありすぎて場合によってはボコボコにされて逃げ回るときもあるが,あらかじめ暗殺で敵を減らしておくなど対抗策はあり,常に厳しい戦いを強いられるというわけでもない。前作でレベルが低いうちは逃げ回るしかなかった警備兵が,本作では傭兵に変更され賞金がかからない限り襲われなくなったのも,地味ながら探索のしやすさが向上して嬉しかったところ。
また難度選択の一種として,昨今のオープンワールド作品では当たり前となったクエストマーカーを消すモードがあるところを見ると,「いろいろな発見があるので,動き回って探索してほしい」という思いが込められているように思う。
シリーズ10周年作品となった前作「オリジンズ」に比べると,今作は斬新さという点では若干譲るかもしれない。だが相変わらずの広大なマップと多数のクエスト,美しく再現された古代ギリシアの風景,そして英雄や海賊にもなれる新要素など見どころは多く,ゲーマーが腰を据えてプレイするのにピッタリな作品だ。シリーズファンはもちろん,ステルスアクションややりごたえのあるバトルが好きなゲーマー,あるいは古代ギリシアに興味がある人は手に取ってみてほしい。
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