Switch「チャリオット 王様パック」のプレイレポートをお届け。頭脳だけでも反射神経だけでもクリアできない手強いパズルアクション

　プリンセスとフィアンセ，そしてガイコツのよろず屋が霊柩車を運ぶNintendo Switch向けパズルアクションゲーム「チャリオット 王様パック」が，3gooより配信中だ。
　本作は見た目の可愛らしさとは裏腹に，なかなか歯ごたえのある難度に仕上がっており，頭脳と指先を駆使した謎解きとアクションが楽しめる1本だ。

カナダ生まれのアクションゲームが「全部入り」で登場

　「チャリオット 王様パック」は，カナダのデベロッパ，Frima Studioが開発したパズルアクションゲームだ。日本ではすでに「チャリオット」が，2014年にPC，2015年にPS4とWii Uでそれぞれ配信されている（関連記事）。これにDLC「王家の道具パック」を加えたのが，今回Nintendo Switch向けに配信開始となった「チャリオット 王様パック」というわけだ。

「王家の道具パック」は，ガイコツの「よろず屋」と，お助けアイテム「オムニブーツ」「バブルシールド」「ステイシスフィールド」「ワープビーコン」「ロイヤルアームズ」のセット。バラエティ豊かなプレイが楽しめる

押して，引いて，たぐり寄せる。チャリオットを運ぶ長い旅

　タイトルになっているチャリオットとは，王様の棺桶が積まれた荷車（霊柩馬車）のこと。棺桶には王様の幽霊が取り憑いており，「ワシをもっといい場所に埋葬しろ！」とだだをこねている。王様の娘である「プリンセス」とその「フィアンセ」，そして追加キャラクターの「よろず屋」は，王様のワガママに付き合い，チャリオットを運ぶ長い旅に出るのだ。


　プレイヤーはプリンセス，フィアンセ，よろず屋のいずれかを選び，チャリオットをゴールへと運んでいく。
　チャリオットは人力で運ばなければならないのだが，車輪では越えられない段差や登れない崖が当たり前のように存在している。そのため，チャリオットを「押す」「引く」，そしてキャラクターを「ジャンプ」させるといったさまざまなアクションを駆使して先を目指すことになる。


　メインとなるアクションはチャリオットを「引く」動作だ。[ZR]を押しっぱなしにすればチャリオットとキャラクターの間にロープが張られ，そのまま移動すればチャリオットを引っ張って歩ける。[L]でロープをたぐり寄せることも可能だ。また，チャリオットは上に乗ることもでき，ジャンプの足場としても使える。乗った状態で坂道を下ればなかなかに爽快だ。


　プリンセスたちが挑むステージは山あり谷ありだが，これらのアクションを組み合わせれば一見越えられなさそうな悪路でも突破できる。例えば，チャリオットの車輪では越えられない段差がある場合，まずは自分が段差を登った後にロープを張り，たぐり寄せればチャリオットを引き上げることができる。
　また，空中にアイテムが配置されている場合には，ロープを繋いだ状態でチャリオットを降ろせば，まるで釣りをするかのようにアイテムを回収可能だ。


　坂道の向こうに，普通のジャンプでは決して届かないような大きな谷が口を開けていても，諦める必要はない。チャリオットに乗って坂道を下り，谷へと飛び出したら向こう岸に飛び移り，すかさずロープでチャリオットを引き寄せればいい。
　ただし，チャリオットが画面外に離れた状態で一定時間が過ぎるとミスになってしまうため，しっかりとロープを握って，坂道をカッ飛んでいくチャリオットを呆然と見送らないようにしよう。


　このように，可愛い見た目に反して本作のアクションは結構激しめ。なかなか難関を越えられないで試行錯誤を繰り返しているときはムズムズするが，思い通りのプレイが決まったときの爽快感は格別。うまくいったときはちょっとした冒険映画のワンシーンようであり，ふと自分のプレイに酔える瞬間だ。

　本作では，いろいろなアクションを駆使する指先だけでなく，パズルを解く頭脳も求められる。ステージの中には「チャリオットだけが乗れる床」と「キャラクターだけが乗れる床」が迷路のように組み合わさっている地形があり，ある程度事前にルートを決めておかなければならないのだ。
　また，チャリオットを乗せると作動するスイッチや，トランポリンのように跳ねる床などトラップも多い。時にはあえてチャリオットから手を離し，迷路を抜けてから再度合流しなければならない場合もあるなど，柔軟な思考が求められる。

草花が咲く床はキャラクターだけが乗れ，チャリオットはすり抜けてしまう。チャリオットの下にあるのはスイッチで，うまくチャリオットを乗せれば仕掛けが作動する

　地形を判断してさまざまな動作を組み合わせるパズル的な考え方と，タイミング勝負のシビアなアクションが組み合わさっており，頭脳一辺倒でなく，かといって反射神経偏重でもない……という独特なプレイ感が生まれているのだ。

　マップは広大で，一見たどり着けないような場所にアイテムが隠されていることもある。特に「設計図」は重要で，入手すれば壁や天井にロープを繋げられる「ペグ」，移動速度を上げる「スプリント」などのさまざまなお助けアイテムがアンロックされる。プレイの幅を広げてくれるのでぜひ隅々まで探しておきたいところだ。

　なお，「王家の道具パック」の追加アイテムは「設計図」を入手することなく最初から使用可能だ。設置した場所にチャリオットを呼び出せる「ワープビーコン」，氷や溶岩の上を歩けるようになる「オムニブーツ」など，道中を手助けしてくれる便利なものばかり。難度の高い本作だが，これらの追加アイテムをうまく使えば攻略もグッと楽になるだろう。

「バブルシールド」はキャラクターの身を守るだけでなく，ジャンプボタンを押しっぱなしにすると弾んでハイジャンプできる

「ロイヤルアームズ」はキャラクターごとに異なる技が発動。プリンセスは剣を振り回し，フィアンセはクロスボウを乱射，よろず屋はガイコツで竜巻を作り出す

物理演算がプレイに緊張感をもたらす

　チャリオットの動きは物理演算で表現されており，プレイに緊張感をもたらしている。チャリオット動きは重力の影響を受けたり，慣性が働いたりするため，状況に応じてアドリブを効かさなければならない。
　例えば，崖の上からチャリオットを引っ張り上げるシチュエーションでは，チャリオットが静止している状態ならうまくいく状況であっても，加速がついているとチャリオットの重さにキャラクターが引きずられてしまい，[↓]で踏ん張らないと失敗になってしまうのだ。こういった物理演算が組み込まれていることにより，一度プレイしたステージであっても，緊張感が損なわれることなく遊べる。

チャリオットに荷物を載せ，無事に送り届けなければならないシチュエーションも登場。加速をつけすぎて乱暴に扱うとチャリオットが逆さまになってしまい，荷物が壊れてしまう。荷物のバランスをとって運んでいくのも物理演算があるゆえに面白い

　物理演算を理解してうまく利用すれば，トリッキーなプレイも可能だ。　例えば，チャリオットに乗った状態で周囲のものを吹っ飛ばす「リパルサー」を使えばチャリオットが加速して快適に移動できる。また，チャリオットに勢いがついた状態で壁にペグを打ち込んでぶら下げると，ゆらゆらと振り子のように揺れるので，これに乗れば遠くへジャンプできるのだ。

壁にペグを打ち込めばチャリオットをぶら下げられる。このように，チャリオットを中継点にしてさらに下へ行くこともできるし，ぶら下げたチャリオットを足場に遠くへジャンプすることも可能だ。いろいろと工夫のしがいがある

　可愛らしいビジュアルと物理演算によるチャリオットの予測困難な動きが特徴の本作。ロープ1本でチャリオットを崖からぶら下げるプリンセスなど，コミカルな雰囲気が漂う一方で難度はやや高めだ。チェックポイントもそう多くなく，難関を越えるのに失敗した場合はやり直しするために再びチャリオットを運ばなければならないことも少なくない。歯ごたえあるゲームを求める人にとって，やりがいのあるタイトルといえるだろう。

　特に前述した物理演算を利用して，アイテムとアクションを組み合わせて進んでいくのが面白い。本作は2人同時プレイにも対応しており，1人のときとはまた違ったプレイフィールや，ハプニングが楽しめる。Nintendo Switchごと持ち込み，Joy-Conを“おすそわけ”して楽しむのもいいだろう。

ローカルでの2人プレイが可能。声をかけあいながら，さまざまなハプニングを楽しもう

ニンテンドーeショップの「チャリオット 王様パック」ページ

「チャリオット 王様パック」紹介ページ